土曜日, 5月 10, 2025
ホームつくば県障害者権利条例5周年 差別根絶に向けて関係団体がパレード

県障害者権利条例5周年 差別根絶に向けて関係団体がパレード

【川端舞】県障害者権利条例の施行5周年を記念し、「茨城に障害のある人の権利条例をつくる会」(事務局・水戸市)が1日、つくば市内をパレードした。参加した障害者らは、障害者差別のほか、新型コロナウイルス感染者や医療従事者に向けた差別など、全ての差別を根絶しようと訴えた。

障害者の生きづらさを訴える

パレードには、「―をつくる会」のメンバーである障害者や支援者、つくば市議会議員など約40人が参加した。例年は4月に権利条例を周知するためにパレードを開催していたが、今年は新型コロナの影響で延期になっていた。

参加者は、つくばメディカルセンター病院(同市天久保)前からつくばカピオ(同市竹園)までの歩道を、1時間ほどかけて行進した。

参加者が持つプラカードには、「子供扱いされました」「バリアフリーの物件ない」など障害者の生きづらさを訴える言葉や、「仕事をしたくても制度利用中、仕事できません」のような社会制度の改善を求める言葉が書かれていた。さらに今年は、新型コロナ感染拡大のなか介助を続けてくれる介助者への感謝の言葉や、患者や医療従事者への差別にも反対する「NO差別 一切の差別にNO!」という言葉が書かれたプラカードもあった。参加者は、お互いに距離を保ち、プラカードの言葉をコールしながら行進した。

コロナ禍のなかの新たな差別

「―をつくる会」共同代表の生井祐介さん(42)は、「条例ができて5周年だが、県内の障害者や支援者でも条例のことを知らない人がまだまだ多い。障害者が住みやすい町にするためには、地域のお店などにも条例について知ってもらう必要がある。毎年パレードを開催し、条例を多くの県民に知ってもらうことは大切だ」と語った。

新型コロナの感染防止のためにパレードの中止も考えたという。しかしコロナ禍で、患者や医療従事者への差別的言動など、これまで見えなかった差別が浮き彫りになるなか、条例の周知は意義のあることと考え、パレード開催に踏み切った。

参加したメンバーの1人は、「条例制定から5年経って、少しずつ合理的配慮が広がっている。私たちが目指している共生社会に進んでいっているのがうれしい」と話した。また、障害者らと一緒に行進したつくば市議会議員は、「このような機会で多くの人に障害者のことを知ってもらうことは大切だ。市議会でも障害者福祉などに関する議論を深めていきたい」と語った。

障害の有無にかかわらず「住みなれた地域で共に歩み幸せに暮らすことができる社会の実現」を掲げる県障害者権利条例は、国の障害者差別解消法に先立って2015年4月に施行。障害のある人やその家族が暮らしやすいよう、環境や考えを変えていく「合理的配慮」が明記された。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

コメントをメールに通知
次のコメントを通知:
guest
最近NEWSつくばのコメント欄が荒れていると指摘を受けます。NEWSつくばはプライバシーポリシーで基準を明示した上で、誹謗中傷によって個人の名誉を侵害したり、営業を妨害したり、差別を助長する投稿を削除して参りました。
今回、削除機能をより強化するため、誹謗中傷等を繰り返した投稿者に対しては、NEWSつくばにコメントを投稿できないようにします。さらにコメント欄が荒れるのを防ぐため、1つの記事に投稿できる回数を1人3回までに制限します。ご協力をお願いします。

NEWSつくばは誹謗中傷等を防ぐためコメント投稿を1記事当たり3回までに制限して参りましたが、2月1日から新たに「認定コメンテーター」制度を創設し、登録者を募集します。認定コメンテーターには氏名と顔写真を表示してコメントしていただき、投稿の回数制限は設けません。希望者は氏名、住所を記載し、顔写真を添付の上、info@newstsukuba.jp宛て登録をお願いします。

0 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

社会人の意識で踏み出す 関彰商事が入社式

関彰商事(本社筑西市・つくば市、関正樹社長)の2025年度新入社員入社式が9日、つくば市竹園のつくば国際会議場で開かれた。今年度の新入社員は大卒24、専卒20、高卒19の計63人。ほかに昨年10月以降のキャリア採用者が91人おり、総勢154人の新しい仲間を迎えた。 同社が5月に入社式を行うようになったのは昨年度から。新入社員研修を通じて仕事内容やグループへの理解を深め、学生から社会人へ意識を切り替えた状態で参加してほしいという思いによる。 式典では新入社員一人一人に辞令が交付された後、代表者4人が研修の成果を発表した。アドバンス・カーライフサービスDr.Driveアドバンスセルフつくば桜店に配属された柴山大希さんは「自分の中にある優しさを言葉や行動で相手に伝える接遇を大切にしたい」、セキショウホンダつくば研究学園店の外山真帆さんは「大学時代に茨城を離れ、地元の温かさや恩恵に気付いた。仕事を通して恩返しをしたい」、ビジネストランスフォーメーション部下館支店の山中大地さんは「地域の皆様とより良い関係を築くため、信頼と信用を得られるような行動を心掛けたい」、関耀会みらいのもり保育園の國藤遥香さんは「子どもたち一人一人に寄り添う、笑顔の素敵な先生になりたい」とそれぞれ抱負を語った。 式辞では関社長が、昨年まで東北大学総長を務めた大野英男さんの「東北大には多数の輝く星のような成果がある。私の仕事はそれらの星を繋いで星座を描くことだった」という退官記念講演での発言を引き、「私は、2000人を超えるわが社の社員一人一人が星であり、皆さんが成し遂げた業績やご苦労もまた星であると思う。それぞれの活躍を結び付け、お客様の悩みを解決し、その結果が星座になる。皆さんにはあらゆることにチャレンジし、たくさんの星を作ってほしい」と呼び掛けた。 先輩社員の歓迎の言葉では、ヒューマンケア部ウェルネスサポート課の東田旺洋さんが「これから約40年の社会人生活が始まるが、その中では失敗が必ずある。だがたいていの失敗は先輩も通ってきているので、相談すれば必ず解決策はある。自分なりの方法で努力を継続し、無理せず共に頑張っていきましょう」とエールを送った。(池田充雄)

土浦一高附属中受験 地元生徒数が減少《竹林亭日乗》28

【コラム・片岡英明】2024年から土浦一高の募集学級が4クラスになり、昨年の土浦市内8中学からの入学者が18人に減少したのには驚いた。土浦一高には附属中(2021年設置、定員80人)から内進生も入るので、今年の市内小学校から附属中に合格する人数に注目していた。 今年の市内小学生の土浦一高附属中への受験者は初年の21年(71人)と比べ3割減の48人、合格者は初年(25人)比5割減の12人となった。市内16小学校で12人だから、1校1人以下である。これは土浦市と土浦一高にとって大きな問題と言える。 地元の受験者減は地域にとって同高が遠い存在となり、学習目標から外れたことになる。それは、土浦一高側にとって新たな魅力発信が必要になったことを意味する。 中高一貫は教師づくりが鍵 茨城県は21年から地域の伝統高校10校に付属中を設置。一方、並木中等、古河中等に加え、勝田高を中高一貫に移行させた。その結果、県内には県立中が13校もある「中高日本一」の県となった。それに見合う教員と施設は十分だろうか。 中高一貫で成果を上げている私立校は、まず教師の個性を認め、個性豊かな教師たちがチームを組み、6年間を見通して指導を行う。卒業生を出すと担任を1年間外れ、次に新しい学年のチームをつくるサイクルがある。だから、自然に20年以上、3サイクルを体験した教師が学年の中核として育つ。 つまり、中高一貫は教師づくりが鍵だ。中高一貫を成功させるには、中心的な教師集団を育て、20年以上同一校に勤務する人事制度が必要である。学校側の安定した指導が地域に見えれば、地元との距離は近くなる。 中学校舎と体育館は必須 付属中が学年1・2学級でも、中学時代は中学の仲間と共に育つ場所が必要だ。同じフロアーに中高同居は安上がりだが、中学用の校舎と体育館は必須である。県内の市立中学では、学年が1・2学級規模でも体育館をはじめ多くの教育施設がある。 付属中を設置しても教室は増やさず、その分の高校定員を削減して調整するという構えでは、受験者減と受験生の苦労につながる。 高校を4学級から6学級に 付属中設置から5年が経ち、土浦一高・附属中の課題が少し見えてきた。「教育は百年の計」であり、始めたものを止めるわけにはいかない。ならば、受験者減の意味を受けとめ、教師の力量を高め、施設の充実をお願いしたい。 すると、県立中の環境改善は少数生徒への配慮であり、公教育としてはどうかという疑問が発生する。そこで、多くの地元の生徒のために、土浦一高の定員を4学級から6学級に戻してはどうか。 定員を増やし、教育環境を改善すれば、地域での魅力は高まる。そうすれば、多くの地元生徒が土浦一高を目標校に定めると考える。(元高校教員、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)

若者の奨学金返還を支援 土浦市

2分の1を5年間 若者の奨学金返還を支援しようと、土浦市は今年度から新たに、大学、短大、専門学校などを卒業後、市内に居住し市内で働いている20代の若者を対象に、返済した奨学金の2分の1を最大5年間支援する事業をスタートさせる。 併せて現在、都内などに住み就職活動中の大学生などのうち、卒業後は土浦市内に住み県内で就職を希望する学生などを対象に、就職活動にかかった交通費を補助する地方就職学生支援事業を開始する。 あらゆる業種で人材不足がいわれる中、若年層を経済的に支援し、大学生などのUターンなどを促して、市内への移住や定住促進を図るのが目的。いずれも12日から受け付けを開始する。安藤真理子市長は「若者の定住による土浦市の活性化につなげたい」とする。 同市によると奨学金返還支援事業を実施するのは日立、かすみがうら市などに次いで県内市町村で10番目。地方就職学生支援事業は県が2024年度から実施する事業。 奨学金の返還支援は、30歳未満で市内に1年以上住んでおり、市内の中小企業に正規雇用で就労していたり、保育士や介護福祉士、栄養士、看護師、鍼灸師、医師などとして市内の法人に正規雇用で就労していたり、個人で市内で農業などを営む若者などが対象。大企業の社員や公務員は対象外となる。支援金額は、前年度に返済した奨学金の額の2分の1で、上限は年間10万円。最大5年間支援する。初年度は年間30人の支援を想定している。 一方、就職活動の交通費を支援する地方就職学生支援事業は、都内に本部がある大学などに在学し、東京、神奈川、埼玉、千葉県に住む学生が対象で、県内企業への就職活動にかかった交通費を上限4260円補助する。今年度は年間100人の支援を想定している。二つの支援事業の同市の今年度予算は計342万6000円。 日本学生支援機構発表の2022年度学生生活調査結果によると、大学学部生(昼間部)の奨学金受給率は55%、労働者福祉中央協議会発表の24年高等教育費や奨学金負担に関するアンケート調査結果によると、日本学生支援機構の貸与型奨学金利用者の借入総額は平均344万9000円で、7割が今後の返済に不安を感じ、4割台半ばが返済の負担感に苦しさを実感していると回答している。 ◆奨学金返還支援事業は12日から土浦市政策企画課窓口で、就職活動交通費補助は市商工観光課窓口でそれぞれ受け付ける。書類の提出が必要になる。詳しくは電話029-826-1111(同市)へ。

600ミリレンズも買ってしまった《鳥撮り三昧》1

【コラム・海老原信一】初めまして。皆さんお元気ですか? お元気な方は今をキープ、そうでない方は少しだけでも元気に。そうなってもらえたらうれしいなと思いながら、このコラムで皆さんとお話をしていけたらよいなと思い、書かせていただくことにしました。 コラムのタイトルと文末の略歴から、私が一体何をしているのか分かると思いますが、なぜこのコラムを担当するようになったのかの経緯も含め、身の上話的なことを話させてください。 50代に入ったころ、ひょんなことからヨシ原にいた小鳥を、そのころ出始めたばかりの、今と比べたら悲しいぐらい性能の低かったデジカメを使い、撮影したことから始まります。画像をパソコンで開いたら、ヨシの中にポツンと黒い点が! 「あれ、鳥はもしかしてこれ?」。これがいけませんでした。 あれこれ調べて、デジカメにも一眼レフがあると知り、200ミリのレンズと共に購入。同じような状況で撮影してパソコンへ。確かに鳥と確認はできましたが、鳥の種類は? う~ん、分からんな~。財布をのぞきながらも、気持ちは早や400ミリレンズへと走っていました。今度はちゃんと種もわかる。うれしくなりました。 野鳥に専念、写真展18年 それからというもの、時間をつくっては野鳥の撮影。それ以外考えなくなりました。経験を重ねるうちに、鳥との距離がどうも近すぎる…。鳥に緊張感が感じられる…。鳥との距離に余裕を持ちたい…。またもや欲望が吹き上がることに。 野鳥撮影の定番として600ミリレンズの存在を知ることになり、無理して購入。その後は、野鳥との出会いに日々を費やすことになりました。そして、野鳥を撮ることに専念したいと、職場を早期退職。それからは鳥を撮影する毎日で、今日に至っているわけです。鳥たちと出会える喜びを共有できたらうれしいと、写真展を18年続けています。 その来場者の中に、この欄に寄稿しているKさんがおられ、野鳥の観察、撮影を通じて思ったことなどをコラムに書いてみてはとの誘いがありました。上の写真は展示会を決意するきっかけになると同時に、鳥に向き合う心持ちに変化が生まれた1枚です。この写真については、後日、お話しするつもりです。 野鳥と向き合う日々の以前と今を行ったり来たりしながら、レンズを通して見たこと、感じたことなどを、拙い文章になりますが、お話させていただくのを、緊張しながらも続けていけたなら幸いです。よろしくお願いします。(写真家) 【えびはら・しんいち】高卒後、食肉加工会社(土浦市)で設備営繕に従事。野鳥写真に専念するため56歳で退職。日本野鳥の会、野鳥の会茨城県、竜ケ崎バードウオッチングクラブの会員。阿見町などの探鳥会講師。2007年3月から洞峰公園ギャラリーで写真展を49回開催。76歳。阿見町在住。