【コラム・玉置晋】今から51年前の1969年7月16日22:32(日本時間)、「サターンV」ロケットSA-506は、米国フロリダ州のケネディ宇宙センター第39発射施設(LC-39)から発射され、3人の宇宙飛行士を月軌道に運びました。サターンVは、全長110.6メートル、重量3038.5トンという巨大ロケットです。そんなこと言われても、大きさを想像できませんよね。
「NEWSつくば」の拠点は茨城県つくば市にありますが、つくば市の隣の牛久市には、日本一の全長を誇る「牛久大仏」が君臨しています。茨城県人の自慢の一つですね。牛久大仏のホームページに載っている諸元によると、像高100メートル、台座20メートル、全高120メートル、重量4000トンだそうです。
つまり、サターンVは牛久大仏くらいの大きさなのです。ちなみに、左手のひらは18メートルありますので、「奈良の大仏様」が牛久大仏の手のひらに乗ってしまうスケール感です。この大きさを体感するには、牛久大仏の内部「胎内空間」に入り、エレベータで高さ85メートルの展望台に上ることをお勧めします。晴れた日には、西に茨城が誇る筑波山、南に東京のスカイツリーや富士山が見える絶景です。
牛久大仏=120m サターンV=110m
僕には、牛久大仏がサターンVロケットに見えてきました。いっそのこと、サターンVで月に行けたのだから、牛久大仏を宇宙に飛ばすことも可能なのではないだろうか? 残念ながら、無理。
ロケットの質量の大部分は燃料です。牛久大仏を宇宙に飛ばすには、もっと大きなロケットが必要になります。サターンVの搭載能力は地球低軌道で118トン、月軌道で47トンでした。ちなみに、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が2007年に打上げた月周回衛星「かぐや」(SELENE)の質量は3トンでした。「かぐや」を15基搭載可能なわけですね。
「かぐや」の実物大試験モデルは、つくば市のJAXA筑波宇宙センターの見学エリアに展示されています。牛久大仏と筑波宇宙センターを見て、サターンVのスケールを体感してみよう!(宇宙天気防災研究者)