【鈴木宏子】新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、つくば市は17日、保育園などを利用する保護者に対しさらなる利用自粛を求める通知を出した。「今後、利用率が下がらない場合や、市内で感染が拡大する場合は施設を休園する可能性もある」「(休園となっても)保護者が医療従事者等の場合は子どもを預かる」などと書かれていたことから、保護者から「医療従事者でないと子どもを預けることができないのか」など不安が声が出ている。
医療従事者だけ?
同市研究学園、ラ・フェリーチェ保育園では、保護者から「私は医療従事者ではないが、医療機器をつくる会社で働いている。それでも仕事を休まないといけないのか」などの声が高橋晃雄園長に寄せられたという。
不安の声を受けて高橋園長は20日、厚労省の見解を元に、自身の考えをまとめた文書を保護者に手渡した。「親にプレッシャーを与える施策を私は支持しない」「それぞれの家庭にはそれぞれの事情があり、事情の重要性はその家庭が判断すべき」だとする内容だ。
緊急事態宣言後、保育園の受け入れ対応が市町村によって異なったことから、厚労省は7日、医療従事者や、社会の機能を維持するために就業を継続することが必要な人、ひとり親家庭などで仕事を休むことが困難な人などの子どもは、保育園で受け入れるよう通知している。
高橋園長は「医療従事者だけでなく、医療機器をつくる人も、スーパーで働く人も、配送する人も、社会の機能を維持するために働いている。さらに、それぞれの家庭にはそれぞれの事情がある」とし、「確かに保育園は過密で感染リスクは家庭より高い。市が焦るのは分かるが、プレッシャーを与えるのはいかがなものか」と話す。
厚労省と同じ
一方、市は、4月6日付けで保育所の保護者に利用自粛を要請。しかし利用率がなかなか低下せず過密な状況が解消しないことなどから、さらなる利用自粛を求める通知を17日に出した。
「医療従事者しか預かってもらえないのか」という保護者の不安に対して、市幼児保育課は「『医療従事者等』と書いており、『等』の中に社会機能を維持するために働いている保護者などが含まれる」とし、厚労省の見解とつくば市の見解が異なるということではないとしている。
市は通知の中でさらに、保育園の直近の利用状況として、4月第2週(6~10日)の平均利用率が70.4%だったところ、16日に54.2%、17日に52.3%と、先週と比較して自粛効果が現われているとした。しかしこの数字は公立保育所だけの数字。同課は誤解を与えてしまったとしている。