土曜日, 3月 14, 2026
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《食とエトセトラ》1 温故知新 ご飯の炊き方

吉田礼子さん

【コラム・吉田礼子】「食は母系で伝わる」と言ったら、今どき、古臭いと一蹴されてしまうでしょうか? あなたにとってお袋の味は何? と聞かれたら、何を思いうかべるでしょうか? 卵焼き、味噌汁、ご飯おにぎり、コロッケ、カレー、ポテトサラダ? 昭和30年代までに生まれた人だったら、思い当たるのではないでしょうか。

美味しい思い出とともに、若いころの母や兄弟姉妹の姿が蘇(よみがえ)る。今振りかえると、自分の味覚はこのころ形成されたと感じている。母が料理する姿を見ていると、こちらも楽しかった。そのうち自分でもしたくなり、母に頼んで手伝う。先ずはお米のとぎ方から。

見ているときと違って、1升の米をとぐのは大変なこと。水は冷たく、羽釜(はがま)は重たく、米粒をこぼさないよう神経を集中する。竹ザルに上げ、シャッシャッと水を切る。斜めにするとさらに水が出る。15~30分、布巾(ふきん)をかけて上げておく。この状態でも浸水時間は進んでいる。

初めチョロチョロ、中パッパッ

いよいよ炊飯。初めチョロチョロ、中パッパ、ブツブツ言うころ火を引いて、赤子(あかご)泣くとも蓋(ふた)とるな―。この歌、聞いたことがあると思いますが、蓋を開けないで、釜の中の状態を判断する先人の知恵に脱帽です。

初めチョロチョロは火加減のこと。強めの中火で釜の中の水が沸騰して、中の圧力が最高点まで高まり、隙間から蒸気が徐々に出てきます。蒸気が上に向かい勢いも強くなり、泡が出て噴きこぼれそうなら、圧力は最高点でブツブツ。

そこで一番弱い火加減にし、五合ぐらいで15分、赤子がせがんでも我慢。15分経ったら、一度強火にして、20ぐらい心の中で数える。耳を澄ますとチリチリ音が聞こえ、美味しいおこげができている。火を止め15分蒸らし、蓋を開ける。蓋は釜の上で立てず、水平に動かして外で立てる。

ご飯粒が立って、瑞々(みずみず)しくピカピカ光っている。周りをシャモジで回し、上下にかきまぜ、お櫃(ひつ)か飯台(はんだい)に空けて蓋をする。余分な水分を木が吸ってくれ、パリッと旨味と甘みが増す。

和食はユネスコの無形文化遺産

2013年、和食がユネスコの無形文化遺産に認定さました。和食が評価されたのは以下の点です。

▽多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重:国土が南北に長く、海、山、里に多種多様な食材を有する
▽栄養バランスに優れた健康的な食生活:一汁三菜を基本とした理想的な栄養バランス、旨味を上手に使いヘルシーな食生活が長寿の秘訣
▽自然の美しさや季節の移ろいの表現:四季折々の花や葉を飾って料理して、季節感を楽しんでいる
▽年中行事との密接な関わり:正月などの年中行事と食文化が密接に関わり、また食の時間が家族や地域の絆を深めた

お料理も欧米型、調理法も簡便な方が求められている昨今、先人の知恵を学び、和食を次世代につなげていきたい。和食を通じて、年中行事、家庭や地域の絆も大切にしていきたい。(料理教室主宰)

【よしだ・れいこ】東北学院大文学部史学科卒。子どものころから母が料理する姿に触れ、料理の先生に憧れる。「台所は実験室」をモットーに独学。50歳を前に、全国料理学校協会所属の児玉久美子先生に師事。2008年、土浦市に吉田料理教室を開校。1953年、宮城県生まれ。土浦市在住。

 

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がん治療で読んでおきたい本《ハチドリ暮らし》59

【コラム・山口京子】がん治療をする上で知っておきたい情報が整理されている3冊の本を見つけました。 最初のお勧めは「国立がん研究センターの がんになったら手にとるガイド」(国立がん研究センター・がん対策研究所著、小学館クリエイティブ)です。がんと診断されてからの検査、治療、生活、仕事、お金、体験談などがまとめられており、これからどうなるのだろうという不安に対して、見通しを立たせてくれる本です。 次のお勧めは「専門医が教えるガン克服の21カ条 ガンとわかったら読む本」(佐藤典宏著、マキノ出版)です。医師からがんと告知されたあと、患者本人がどのような選択をするのかによって治療の進展が違ってくるので、標準治療、非標準治療、西洋医学、東洋医学などにこだわらず、自分がよいと信じる治療法を組み合わせることがよいと書かれています。 また、告知されたときに知っておくべきこと、手術前にしておくべきこと、手術後に心がけるべきことなど、貴重なアドバイスが載っています。 恐ろしい「多重複合汚染」 3冊目は「がん患者3万人と向きあった医師が語る正直ながんのはなし」(西尾正道著、旬報社)です。この本では、がんと医療の問題を考える一つのきっかけとして、近藤誠医師(がん放置療法の提唱者)の主張の誤りを指摘しつつ、日本の医療の問題点を述べています。 また、放射線によるがん治療の意義と今後のがん医療の在り方、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)が日本の医療や食物の安全に与える影響、福島原発事故による放射性物質が健康に与える影響、低線量被ばくがもたらす健康被害などが語られます。 さらに、化学物質と放射性物質の「多重複合汚染」が子どもの発達障害の原因ではないかとの脳神経科学者・黒田洋一郎氏の指摘を読むと、がんの増加やさまざまな病気の原因に「多重複合汚染」があるのではないかと考えてしまいます。そして、放射線の核種と線量の公開を求めるなど、福島原発事故対策のあり方を明記しています。 1945年の原爆投下以来2000回以上と言われる核実験、チェルノブイリ原発事故、福島原発事故などで、健康被害が静かに進行しているのでは!(消費生活アドバイザー)