【山崎実】優良企業の誘致による産業立県を目指して、県が昨年11月に立ち上げた「未来産業基盤強化プロジェクト」が、県議会第1回定例会(2月27日ー3月24日)の論戦に上っている。
県議会で経緯、内容、現状などについて説明を求められたのに対し県執行部は、圏央道(首都圏中央連絡自動車道)沿線地域への立地ニーズが多いことから、産業用地の新たな開発に乗り出したことを言明した。
プロジェクトは、圏央道のインターチェンジ(IC)周辺などに「産業用地開発区域」を設定。沿線市町村の開発計画などに対し、地域未来投資促進法に基づく税制や農地転用許可の特例措置を積極的に活用することで、事業化決定から造成着手までの期間を通常の3~5年程度から最短1年にまで短縮する。開発計画の検討段階から企業誘致まで、県も部局横断的に市町村を支援していく。
新たに設定するIC周辺の産業開発用地は、圏央道のつくばジャンクション(JC)以西の常総、坂東、境古河、五霞IC周辺や、以南の常磐道・谷和原IC周辺などで、既に市町村の開発構想を調査し回答のあった17市町村の中から、具体的な計画のある9市町村とヒヤリングを行っている段階(県産業基盤課)という。
今後は、事業化の確度の高い市町村計画を第1次の産業用地開発区域として選定し、造成工事の着手前から企業のエントリーを受け付けることでスピード感のある企業誘致を進めていく方針だ。
県産業立地課のまとめによる2019年上期(1~6月)工場立地動向調査によると、前年に続き圏央道沿線の県南、県西地域への県外企業の立地が多く、特に県西地域は2014年から18年までの5年間で181ヘクタール(構成比30%)と最も多く、県南地域の127ヘクタール(同21%)を加えると、50%以上を県南西で占める勢い。
新たなプロジェクトが、圏央道沿線の企業誘致をさらに後押しすることは間違いなく、大井川和彦知事も議会答弁で、「本プロジェクトにより市町村の開発計画を全面的に支援しながら、圏央道周辺地域など企業の立地ニーズが高いエリアで、新たな産業用地の開発を促進していく」と積極的に取り組むことを表明した。
同県議会では総額1兆1632億円余と過去最大の新年度一般会計予算案などを審議している。