【相澤冬樹】進化する模型を見にいこう―という呼び掛けに7日、全国からファンが地質標本館(つくば市東、森田澄人館長)に集まった。お目当ては、巨大プロジェクションマッピングに浮き上がる34万分の1の日本列島模型。地図や地質のマニアに加え、模型づくりのファンらが世界最大級という列島模型をぐるり取り囲んだ。
産総研発ベンチャーが作成
呼び掛けたのは同館が所在する産業技術総合研究所発のベンチャー、地球科学可視化技術研究所(芝原暁彦代表)。フェイスブックなどSNSで募集したところ、1日も経たず定員の50人に達したという。7日は東京周辺で窪地や谷間を探し歩くサークル「スリバチ学会」メンバーや国土交通省の河川専門家、名古屋からの単身参加者などが顔をそろえた。
同館1階には「日本列島の立体地質図」が設置されている。全長約9メートルの日本列島の精密立体模型を“白地図”に、地質などに関するさまざまな情報を投影できる立体の地質図だ。精密模型とプロジェクションマッピングを地球技研が手がけ、全面リニューアルされた昨年春に一般公開された。代表の芝原さん(41)によれば、その後も新たなプログラムを加えるなどし、「進化する模型になっている」と胸を張る出来になった。
地球技研はNHK番組に地図模型を提供するなどしており、地図や模型マニアの間にファンを増やしている。今回は芝原さん自身が解説にあたるとあって、集まった参加者も少なくなかった。
立体模型の精度は、空間解像度が陸上は10メートル、海底は数十メートルで、この空間解像度で海陸の地形を継ぎ目なく接合したプロジェクションマッピングとしては、世界最大級のサイズという。画像の投影にはコンピューターで制御された5台のプロジェクターを使用する。花崗岩や変成岩などの地質図をベースに、火山や活断層を示したり、道路網や学校のマッピングにも切り替えられる。
模型を取り囲んだ参加者を相手に、芝原さんが技術的解説をした後は、森田館長が直々に地質や中央構造線などを熱っぽく講義。参加者自身がプロジェクションマッピングの切り替え操作を行えることもあって、1時間以上、同展示にくぎ付けになるイベントとなった。