【谷島英里子】土浦の井戸の歴史を紹介するテーマ展「井戸のある暮らしー人々の生活をうるおす」が12月2日まで土浦市中央の市立博物館で開かれている。井戸のある暮らしを通して、土浦の各時代の人々と井戸とのかかわりが分かる展示となっている。
江戸時代後期、土浦城下の人々は良質な水を求めて江戸から職人を呼び、堀抜井戸を造った。作業の様子を地球儀を製作したことで知られる土浦生まれの地理・天文学者沼尻墨僊(1775~1856)が絵巻「鑿井図(さくせいず)」に描き記した。
1798年(寛政10年)作の鑿井図は、旧中城町の不動院境内に掘られた掘抜井戸の地鎮祭から竣工までの過程と井戸掘り用具が詳細に描かれ、長さは10㍍に及ぶ。同館によると、それまでの井戸と同じように人が地中を筒状に掘削したあと、先端に特殊な道具を付けた木製のさおを上下させ、より下層の水脈まで管状の井戸孔(あな)を掘り抜く方法だったという。
また井戸掘り技術を描いた鑿井図は、明治以降にかんがい用水の確保を目的に千葉県の上総地域で考案された、堀抜井戸の代表的な工法「上総掘り」にも影響を与えたとされる。
展示では、市内で最も古い神明遺跡(同市常名)の井戸跡、土浦城初代藩主・土屋数直が善応寺(同市真鍋)にある「照井」の井戸から湧き出る水を城内に通す整備をした時の資料、江戸時代の上水道整備に用いられた木製の「継手(つぎて)」、水を多方向に流す箱型の枡など40点が展示されている。

期間中の関連行事は次の通り。▽展示解説会11日(日)午後2時~2時30分。▽土浦二高茶道部による呈茶3日(祝)午後0時30分~3時。茶券200円。先着100人。▽記念講演会「沼尻墨僊『鑿井図』と江戸の掘抜井戸」24日(土)午後1時30分~3時。講師は袖ケ浦市平岡公民館の能城秀喜さん。定員70人、聴講無料(当日午前9時から整理券配布)。
同博物館の入館料は一般105円、小中高生50円。問い合わせは電話(029・824・2928)まで。