水曜日, 11月 19, 2025
ホームつくば未来のアニメーター必見! つくばのウィットスタジオに未知なる可能性

未来のアニメーター必見! つくばのウィットスタジオに未知なる可能性

【高校生ライター・加藤涼芳】「進撃の巨人」と言えば、広い世代に愛されている漫画の1つである。奇妙ともいえるストーリー設定でありながら不思議な魅力を放つこの漫画をアニメ化したウィットスタジオ(本社・東京都武蔵野市)に迫る。

アニメを作ってみたい人に朗報 

アニメ「魔法使いの嫁」のポスター前で撮影する山田さん(右)と加藤記者=同

つくば市にウィット茨城スタジオがある。同市産業振興センター(同市吾妻)内に設けられ、人材の育成をコンセプトとし企画制作活動をしている。来年4月からの新卒者を含む新規採用の募集もスタートしており、地域に根ざした新たな形のアニメ制作の可能性に挑む。

茨城スタジオでは、まず短編アニメやご当地オリジナルグッズの作成など短期間でできるものから手掛け、さらに、地元の商業施設や学生との連携なども視野に入れていきたいとのことだ。

茨城スタジオを担当するのは同社制作担当の山田健太さんだ。つくば市は人材育成に適していると話す山田さんから、将来アニメ制作の仕事につきたいと思っている人にアドバイスをもらった。①考えているものを、具現化することを楽しむ②自分の意見を持ちつつも、他人の意見に耳を傾けコミュニケーションを大切にする③アニメーションの画面の作り方を理解する―の3つだという。 

膨大な時間と尽力が必要 

ウィットスタジオでは、企画→脚本→絵コンテ→作画→加工、納品までを他社のスタッフとの関わりを持ちつつ仕上げている。

企画・脚本・絵コンテでは、いろいろな設定の材料が必要になる。脚本作成に週1回のペースでシナリオライターとの打ち合わせをし、大量の絵コンテ作成には、アニメ監督をはじめ社内スタッフから社外発注も含め対応する。中でも作画には、膨大な時間と労力を要する。1枚の絵を複数の人がチェックし加筆しながら作業を進めていく。

キャラクターの色や背景の色彩の個々の設定、また、同じ対象物の色でも明るいところと暗いところでは色味を変えて塗るなどの細かな指定をする。設定の詳細が書かれた指示書の作成・作画の変更等を重ね最終画面の決定に至る。素材の合体の後、最後に光の処理を加える。こうして出来た原画60枚で映像8秒程度にしかならない。

手掛けたスタッフ1人ひとりの妥協のない熱い思いが原画1枚1枚に注ぎ込まれ、戦闘シーンの速い動きをも滑らかに描き出し、見る者すべてを魅了する作品ができ上がる。たくさんの人と協力し合い、分業しつつ数年単位の年月を1つの作品に費やし作成する。

取材の際、見せていただいた原画からは神聖さを感じるほどの迫力があった。機密資料ということで写真を掲載できないのが残念だ。

同社制作担当スタッフの山田さんは「パソコンを使って1秒間に例えば8~12枚の絵を何層分も重ねて描くなど、1枚ずつ手作業で行うのでやりがいがあります」と話してくれた。山田さんいち押しの作品は新感覚・青春ロードムービーと話題になった「ローリングガールズ」だそうだ。

学校対抗アニメコンテストなど地域活性化に期待

ウィット(WIT)スタジオのWITとは、和田丈嗣社長を初めスタッフの名前の頭文字(W・I・T)を連ねて出来たものと、英語のWITからできており「機知(その場に応じてとっさに機転きかせる)に富んだ」という意味がある。物づくりに携わる人たちならではの頓知のきいたネーミングだ。ウィットスタジオには、そんなアイデアに満ちたスタッフがたくさん所属し、アニメの企画制作業務を行っている。

同スタジオは長編アニメーションだけでなく、プロモーションビデオやテレビの番組宣伝ほかゲームのオープニング等も担当している。

山田さんが特に印象に残っているのが、スカイツリー展望台で流した映像の作成だったという。通常、縦9:横16の画面比率に対し、縦9:横96という横長の大画面への挑戦は、苦労もあったが技術の飛躍的発展につながったと笑顔を見せてくれた。

今後アニメを見る際、アニメ企画制作の角度から鑑賞するのもまたひと味違う楽しみ方になるだろう。アニメ制作には数年単位の年月と膨大な尽力を要することは前に紹介済みだが、地方でそれをどうカバーするかが最大の課題であろう。また、地域活性化の一助として学校対抗アニメコンテストや動画甲子園などと銘打った企画の実現に期待したい。(土浦日本大学中等教育学校5年)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

ウサギ捕り遊び仕事(3)《デザインを考える》26

【コラム・三橋俊雄】今回は、京都府北部・丹後半島で行われているウサギ捕りという「遊び仕事」について2つの事例を紹介します。「ククリワナ」(宮津市由良・南丹市大野)と「バイ投げ」(宮津市上世屋)です。 針金の「ククリワナ」 杉の新芽を求めて訪れるウサギのケモノミチに、針金で輪をつくり、近くの木へ仕掛ける―それが「ククリワナ」(図1)です。針金は藁(わら)で一度焼いて粘りを出し、柔らかくして用います。金属の匂いが消えるためか、よく捕れるといいます。罠(わな)の針金は使い捨てにし、山仕事の行きしなに仕掛けますが、同じ場所には続けて置きません。 ワナは7〜10カ所ほど設けておきます。ケモノミチはウサギがヒサカキの葉を食べたり、丸い糞を落としたりすることで見分けられます。猟の技術は大人から教わったものだといいます。 朝7時半に山仕事へ出発し、道中で仕掛けを確認します。ウサギが捕れていれば、仕事の間は木にぶら下げておきます。谷では仲間とともに山の作業をし、午後4時半頃には帰宅します。ある日には7羽もウサギが捕れて、近所に分けたこともありました。猟は10月から翌年4月まで続き、平均すると5日に1羽ほどの成果でした。 昔はウサギによる害が圧倒的に多かったようです。杉の苗木を春や秋に苦労して植えても、新芽を食べられてしまい、翌年には植え直しを余儀なくされることもありました。杉の木が一本でも助かればと思い、仇討ちのつもりでウサギを捕りましたが、それは同時に「楽しみ」でもありました。食料の乏しい時代でもあり、捕ったウサギは料理して食べました。 皮は喉から足まできれいに剥ぎ、なめすことはせず干して山の敷物にしました。内臓はうまく取り出せるので捨ててしまい、背や足の肉はすき焼きにして食べました。佃煮(つくだに)風の「コロ炊き」にすれば日持ちもしました。 二股枝の「バイ投げ」 「バイ投げ」は、まず雪山の陽の当たる斜面で、曲がった木の根元近くに眠っているウサギを探し出します。ウサギに気づかれないように近づき、バイ(二股の枝にアカマツの葉をくくりつけたもの)を用意します。そして、天敵のタカやトンビが襲いかかってきたかと思わせるように、続けざまにバイを空中へ投げ上げます(図2)。 バイはヒューヒューと風を切って唸(うな)り声を発し、その音に驚いたウサギは身をひるがえし、木の根元の隠れ穴へ一目散に逃げ込みます。間髪を入れず雪穴めがけて走り寄り、すばやく周囲の雪を踏み固めて逃げ道をふさぎます。テンズキ(木製の除雪具)で穴を慎重に掘り進め、ウサギの後ろ足を探り出して掴(つか)み、引きずり出します。 この「バイ投げ」は午前10時から午後3時頃まで行われ、猟期は節分(2月初め)までとされています。節分を過ぎるとウサギは発情期を迎え、行動が敏感になるため、追いかけるのが難しくなるといいます。(ソーシャルデザイナー)

中学校保護者の個人情報漏えいの恐れ つくば市 写真販売会社が不正アクセス受け

つくば市は17日、市内の中学校1校が写真販売を委託しているフォトクリエイト(東京都新宿区)が不正アクセスを受け、宿泊学習などの行事写真を購入した保護者の個人情報が漏えいした可能性があると発表した。市教育局学び推進課によると、写真を購入した保護者の人数は現時点で不明。実際に個人情報が漏えいしたなどの被害は現時点で確認されていないという。 同社のウェブサーバーが今年7月までに第三者から不正アクセスを受け、同社が調査した結果、同社が保有する個人情報が漏えいした恐れがあることが判明したと今月14日、同社から同校に連絡があった。 漏えいした可能性がある個人情報は、2022年から25年に、同社が運営するインターネット写真販売サービス「スナップスナップ」で写真を購入した保護者の氏名、性別、生年月日、住所、電話番号、メールアドレス、パスワード、購入時のニックネームなど。 市によると、22年から25年の4年間に、同校が同社に写真販売を委託した宿泊学習や修学旅行に参加した生徒数は計225人。そのうち何人の保護者が写真を購入したかは不明。写真は、宿泊学習や修学旅行に同行した地元の写真館のカメラマンなどが撮影したスナップ写真などという。 写真を購入した保護者に対し同社は、個人情報漏えいの恐れがある旨を個別メールで通知、さらに使用中のパスワードを変更するよう依頼し、二次被害を防ぐ対策を行ったとしている、 一方、市は同社に対し、個人情報の厳正かつ適正な管理について徹底するよう強く申し入れたとしている。

日米に見る軍隊のおかしな使い方《吾妻カガミ》212

【コラム・坂本栄】東北地方のクマ出没に対処するために県知事が自衛隊に出動を求め、話題づくりが上手な防衛相がこれに応じたとのニュースには驚いた。小銃や機関銃を使って掃討するのかと思っていたら、どうやら「前線」で駆除する猟銃の使い手やライフル警察隊の「後方支援」を担当するらしい。これなら災害出動の小規模団だが、最近、軍隊の使い方が内外でルーズになっているのが気になる。 麻薬船爆撃、デモ隊鎮圧 何かと思い付きが目立つトランプさんは、米国に麻薬を運んでいるという理由でベネズエラの小船を撃沈するよう米軍に命令し、すでに何隻か沈めた。爆撃によって麻薬組織の運び屋が数十人殺されたという。この命令に抗議してカリブ海域を管轄する米海軍の司令官が辞表を出したというから、ホワイトハウスのボスと米軍指揮者の間で軍隊活用の是非について意見の対立があったのだろう。 軍隊組織は外国軍の侵略や政戦略を踏まえた対外作戦を想定して整備されている。麻薬取引への対応は麻薬取締部門の担当であり、この部門に密輸船に対応できる備えがないのであれば、沿岸警備隊(日本では海上保安庁)に任せるのがスジだろう。密輸船対応に軍隊を出すということは、ベネズエラに戦争を仕掛けるようなものだ。 ベネズエラの大統領が「麻薬マフィアのボス」(トランプさんのコメント)なのかどうかは知らないが、民間小船を爆撃せよとの命令は常軌を逸している。世界最強の軍隊を擁する国の大統領のこのような雑な軍隊運用を見ると、米国の軍事機構は正常に機能していないのではないかと思う。 別の分野でもトランプさんはおかしなことをしている。彼の移民政策に反対するデモを州兵に鎮圧させるという使い方だ。連邦制の米国には中央政府の軍隊のほかに州政府の軍隊がある。州兵が一種の予備力とは言え、抗議デモ程度の取り締まりに動員するのは異常といえる。交通整理の警察官で対応が無理なら、せいぜい機動隊が担当する分野だろう。 軍隊運用の線引きが曖昧 クマ退治、小船爆撃、デモ鎮圧。日米で軍隊運用の線引きが曖昧になっている。相手がクマにせよ、麻薬船にせよ、デモ隊にせよ、強力な装備を持つ軍隊がこの種のケースに関わると、軍隊に与えられた本来の仕事から逸脱する。軍隊の自立性を生かす災害出動は別にして(もっともクマ退治程度の後方支援は自治体の仕事だが)、国内問題に関与させるのは抑えた方がよい。 外交経験が少ないトランプさんは、ワンマン不動産経営の延長なのか、中国の習さん、ロシアのプーチンさん、北朝鮮の金さんの強権政治に憧れているという。いずれの国も対外用軍隊と国内治安隊が独裁者によって事実上セットで運用されている。トランプさんが沿岸警備隊や警察機動隊の役割を正規軍に持たせるのは、実力組織の運用でも強権国のまねをしたいのだろう。(経済ジャーナリスト)

ホーム開幕戦で敗れ2勝1敗 つくばサンガイア

バレーボールVリーグ男子のつくばユナイテッドSunGAIA(略称サンガイア、本拠地つくば市)は15日、土浦市大岩田の霞ケ浦文化体育会館で今季ホーム開幕戦を迎え、レーヴィス栃木(本拠地足利市)にセットカウント1-3で敗れた。これでサンガイアは2勝1敗で東地区4位。16日も午後2時から同会場でR栃木と再戦する。 2025-26 Vリーグ男子(東地区)レギュラーシーズン(11月15日、霞ケ浦文化体育会館)サンガイア 1-3 R栃木22-2520-2525-1623-25 第1セットは互いにサイドアウトを取り合う流れでスタート。中盤にはサンガイアがレフト浅野楓のブロックやスパイク、ライト長谷川直哉の多彩な攻撃などでリードを広げるが、終盤にR栃木が曾根裕也のサービスエースなどで追い上げ逆転に成功、22-25でサンガイアは最初のセットを落とした。 第2セットも序盤は拮抗した展開だったが、中盤にR栃木が5連続得点などで引き離し、結果20-25でサンガイアはこのセットも落とした。 「自分たちのやりたいことの半分くらいしか出せなかった。細かいつなぎやコンビネーションが良くなく、相手にチャンスボールを渡し、点につなげられてしまった」と武藤茂主将。「選手の良さを出しきれなかった。相手のポジショニングに想定と違う部分があり、高さでミスマッチが出たところを特に第1セットは突かれた」と加藤俊介監督。 R栃木の先発メンバーにも目を見張らされた。6人のうち架谷也斗、十文字龍翔、奥村航の3人がサンガイア出身。在籍時期やポジションは違うといえ、それぞれに一時代を築いた選手たちだ。 「出身選手だからという意識はなかったが、特に架谷と奥村には相当ポイントを取られたので、この2人を抑えなくてはと選手に話した」と加藤監督。武藤主将は「架谷は去年のうちのエースで、難しいボールも上手に打ちこなすやっかいな選手」と評し、長谷川直哉も「チームメートだったから特徴もよく分かっている。絶対負けたくない」とライバル意識を燃やしていた。 試合は第3セット、サンガイアがメンバーチェンジなどで流れを引き寄せた。セッターを森居史和から浅野翼に変更、村松匠のバックアタックをお膳立てするなど攻撃の幅を広げた。「森居はサイドへの速い供給が得意で、浅野はインサイドをうまく使う。それぞれに良さを出してくれた」と加藤監督。 第3セットを25-16で奪ったサンガイアは、第4セットも終盤まで粘りを見せるが、一歩及ばず23-25でセットを落とし試合終了。 明日の再戦に向けて長谷川は「今日できなかった守備のやり方や、かみ合わなったポイントなどを動画やミーティングで確認し修正したい」、また加藤監督は「うちの良いところが出ればリベンジできる。みんなコンディションは良く、その試合のベストメンバーを出す」と前を向いた。(池田充雄)