土曜日, 9月 26, 2026
ホームつくばゲリラ豪雨を再現、災害ドローン飛行実験 防災科研

ゲリラ豪雨を再現、災害ドローン飛行実験 防災科研

「飛ばしたい時に飛ばせない」

災害時の被災状況の把握や不明者の捜索、物資輸送などに利用されるドローンが、豪雨や強風の中でも安定して飛行できるかを確かめる公開実験が25日、つくば市天王台の防災科学技術研究所(防災科研)にある大型降雨実験施設で行われた。実施したのは、防災科研と、産業技術総合研究所(産総研)が2024年に設立した産総研先進ドローン技術コンソーシアム(ADTC)。今後の共同研究を通じ、災害発生時に悪天候のため「飛ばしたい時に飛ばせない」現状を改善するため、性能評価に必要なデータの収集を進める。

雨量300ミリ、風速12メートル

防災科研の大型降雨実験施設は、1時間雨量300ミリの豪雨と、風速20メートルを超える強風を同時に再現できる国内最大級の施設。降雨の強度や雨滴の大きさ、雨滴の落下速度を変化させることで、さまざまな強さの雨を自然に近い状態で再現できる。この日の実験では、1時間雨量100ミリの雨を風なしで降らせた後、雨量100ミリに風速12メートルを加えた条件、さらに300ミリの雨と風速12メートルを組み合わせた条件でドローンを飛行させた。

防災科研の大型降雨実験施設。右側の蛇腹状の装置が大型送風機

使用されたのは、ADTCと技術提携する双葉電子工業(本社・千葉県茂原市)の産業用ドローン「FMC-02Q」。光学カメラと赤外線カメラを搭載し、防水、防塵、耐風性能を備え、30分から40分程度の飛行が可能とされる。条件を段階的に変えながら飛行させ、機体の安定性や搭載カメラの映像がどう変化するかを確認した。いずれの条件でも、ドローンは安定して飛行を続けた。一方、雨の中でも機体が安定して飛行できたのに対し、カメラの視認性には課題が残った。

公開実験で使われた双葉電子工業の産業用ドローン「FMC-02Q」

災害現場では、被災状況をいち早く把握するためにドローンを飛ばしたい一方、雨や風が強いほど機体の安定性や搭載センサーの性能が低下する。また、メーカーによって耐風性能などの表示や試験条件が異なり、性能を共通の尺度で比較するための試験環境や規格も整っていない。今回の実験に協力した双葉電子工業は、ドローンについてメーカーごとに異なる条件で性能が評価されており、統一された試験環境や規格がないことが課題だとした。

飛行中の情報確認性能向上へ

実験を振り返った防災科研上席研究員の酒井直樹さん(58)は、今回の実験では強い風雨の中での飛行と搭載カメラの性能を確認したと説明。その上で、「災害時にはドローンが『飛べる』だけでなく、飛行しながら何を確認し、どのような情報を得られるかが重要だ。雨滴によってカメラが見えにくくなる問題への対策や、障害物を検知するセンサーの性能評価などが今後の課題」だとし、今回を第1回の実験として、今後は周囲にある物体の距離・位置・移動スピードを正確に測るミリ波センサーや、地形をミリ単位の超高精度な3Dデータにできるライダーセンサーを搭載した機体についても検証する。

酒井さんは、「人命に関わる災害対応時に悪天候で利用するためには、ドローンの性能を正確に理解することが必要になる。そのためにこうした実験が必要になる。課題を吸収しながら、今後の共同研究を通じて誰もが使えるドローンの開発につなげていきたい」と語った。(柴田大輔)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

guest
最近NEWSつくばのコメント欄が荒れていると指摘を受けます。NEWSつくばはプライバシーポリシーで基準を明示した上で、誹謗中傷によって個人の名誉を侵害したり、営業を妨害したり、差別を助長する投稿を削除して参りました。
今回、削除機能をより強化するため、誹謗中傷等を繰り返した投稿者に対しては、NEWSつくばにコメントを投稿できないようにします。さらにコメント欄が荒れるのを防ぐため、1つの記事に投稿できる回数を1人3回までに制限します。ご協力をお願いします。

NEWSつくばは誹謗中傷等を防ぐためコメント投稿を1記事当たり3回までに制限して参りましたが、2月1日から新たに「認定コメンテーター」制度を創設し、登録者を募集します。認定コメンテーターには氏名と顔写真を表示してコメントしていただき、投稿の回数制限は設けません。希望者は氏名、住所を記載し、顔写真を添付の上、info@newstsukuba.jp宛て登録をお願いします。

0 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho





spot_img

最近のコメント

最新記事

Bプレミア開幕 茨城ロボッツ敗れる

男子プロバスケットボールBリーグの2026-27シーズンが開幕した。茨城ロボッツは今季から新設されたトップカテゴリーのBプレミア(B.LEAGUE PREMIER)に参入。開幕戦は25日、ホームのアダストリアみとアリーナ(水戸市緑町)で開催され、三遠ネオフェニックス(本拠地・愛知県豊橋市)に82-90で敗れた。 2026-27 B.LEAGUE PREMIERリーグ戦(9月25日、アダストリアみとアリーナ)茨城ロボッツ 82-90 三遠ネオフェニックス茨城|21|17|21|23|=82三遠|22|27|25|16|=90 今季「Bリーグの勢力図を塗り替える」との意気込みで大型補強を敢行した茨城。琉球ゴールデンキングスや千葉ジェッツで活躍したオールラウンドプレーヤーのヴィック・ローや、身長211センチという圧倒的な体格を持ちながら広いシュートレンジも誇るブラジル代表のティム・ソアレス、3季ぶりにアルバルク東京から復帰した福澤晃平など、新加入選手は8人にも及ぶ。 Bプレミアでは、外国籍選手3人が同時にコートに立てる「オンザコートフリー」を採用。帰化/アジア特別枠(1人)も併用することで、海外リーグ並みのサイズ感やスケール感の大きいゲーム展開が味わえるようになった。スケジュール面では2日続けての連戦が少なくなり、選手としては翌日の疲れを気にせずに力を出しきれる。 こうして迎えた開幕戦。茨城は昨季西地区5位の三遠に対し、第1クオーター(Q)は互角の戦いを繰り広げたものの、その後はじりじりと差を広げられていった。大きな要因はターンオーバーからの速攻だ。「第2・第3Qでは守備のミスが多く、相手にリズムを持たれてしまった。第4Qでリズムを取り戻すことはできたが、その時にはもう遅かった」とポール・ヘナレヘッドコーチ(HC)。ただし第4Q開始時の15点差から残り1分47秒で5点差まで迫ったときは、逆転への期待に場内が大きく沸いた。 この日、チーム最多の23得点を挙げたローは「良いスタートが切れたが、途中から疲れが出てしまった。それでもアグレッシブにアタックし続けようと、終盤まで果敢に任務に取り組んだ」と話し、チームの状況については「新しいチームらしいミスが多かった。全員が一つになって、お互いの強みをできるだけ生かさなくてはいけない」と振り返った。 また長谷川暢主将は「レギュラーシーズン60試合の開幕戦ということで、本当に勝ちたいゲームではあったが、攻撃の部分では自分たちのやりたいバスケがなかなか表現できず、非常に重たいゲームになってしまった。明日1日の休みがあるのでしっかり修正し、次のゲームにつなげたい」と話した。 次戦は27日、ホームで三遠と再戦する。2017年から10年の長きにわたり茨城を牽引してきた平尾充庸のラストゲームとなる。(池田充雄)

給食に異物混入 つくば市の義務教育学校

つくば市は25日、市内の義務教育学校前期課程(小学校)で24日出された学校給食に直径約7ミリの磁石が混入していたと発表した。25日時点で健康被害の報告はなく、ほかに異物混入の報告はないという。 市教育局健康教育課によると、児童の一人がシチューを食べていたところ、磁石が混入していることが分かった。 シチューは、つくばすこやか給食センター豊里で調理され、同じメニューが、義務教育学校のほか、市内の幼稚園1園、小学校3校、中学校1校に計2235食が提供された。 同給食センターでは同様の丸形磁石は使用していない一方、磁石が混入していたクラスでは、給食前の4時間目の生活科の授業で、児童がそれぞれ家庭から磁石を持ち寄りおもちゃを作ったなどから、同課は学校で混入した可能性が高いと考えられるとし、学校での再発防止策として、教室の机上の整理整頓、給食開始時の着席、担任による観察などの徹底を確認したとしている。給食センターも管理体制を再確認したとしている。 異物混入を受け、市は24日、同じメニューを提供した2235人の保護者などにお詫びの通知文を送付した。

管理職2人に計74万円賠償請求を つくば市監査委員 生活保護行政の不適正事務

生活保護行政の不適正な事務処理がつくば市で相次いで発覚した問題で、同市監査委員(平島泰裕公認会計士など)は18日、市職員の不適正事務により市が被った損害額のうち、管理職2人に計74万1872円を損害賠償請求することは適正だなどとする監査結果をまとめた。74万円は、職員の故意または重大な過失による損害だとした。 監査結果を踏まえて市は今後、職員に対する損害賠償請求の有無や、請求金額、関係者の処分を検討していくとしている。 2人は2018年度から23年度まで、生活保護を担当する市社会福祉課の課長や課長補佐、福祉部次長などを務めた。74万円のうち、2018年度から21年度まで同課の課長を務めた管理職Aに13万4247円、同時期に課長補佐を務め22年度に課長、23年度に福祉部次長を務めた管理職Bに60万1165円を請求すべきとした。 6件の損害額を調査 今年6月、市長から監査要求があり実施した。2025年6月に同市福祉部が報告書に記載した不適正事案7件のうち(25年6月23日付)、市が損害を負担した6件について監査した。 6件は①社会福祉課の時間外勤務手当て(残業代)未払いによって市が負担した遅延損害金(遅延利息、25年6月20日付)➁特殊勤務手当て未払いによる遅延損害金(25年3月6日付)③障害年金の受給を申請する際に必要な診断書料などの過支給(24年7月20日付)④本来、加算対象とならなかった受給者に上乗せして支給されていた障害者加算の誤認定による過支給 ⑤加算対象でなかった受給者に上乗せ支給されていた重度障害者加算の誤認定による過支給 ➅過支給分を生活保護受給者に返還してもらう手続きが適切に行われなかったなど不適切な債権管理による国庫負担金への未算定。職員個人に故意または重大な過失がある場合は損賠賠償請求すべきだとし、対象となる市職員と請求額を調査した。 違反認識しながら是正せず 監査結果のうち①残業代と➁特殊勤務手当ての未払いについてはいずれも、市が損失を被った遅延損害金相当額を当時の管理職に請求することはできないとした。①残業代については、社会福祉課には残業代を申請しにくい状況があったが、当時の課長らによる故意または重大な過失を認めることはできないとした。➁特殊勤務手当てについては、支給要件が管理職の間で共通理解されておらず、課長によって解釈が異なっていたなどから、管理職に重大な過失があったと評価できないなどとした。 ③診断書料等の過支給については、2018年度から22年度まで課長補佐、課長を務めた管理職Bは、診断書料支給の判断基準が書かれた厚労省の生活保護問答集に反することを認識していながら、部下の係長らの指摘を受けても是正せず、故意または重大な過失があったとし、誤支給総額6万4130万円のうち、市の損害1万6150万円の4割の6460円は、管理職Bが賠償責任を負うとした。 判断保留したまま放置 ④障害者加算と⑤重度障害者加算の過支給についてはいずれも、市職員個人に故意または重大な過失があったとは認めることはできないとした。 ④障害者加算については、2020年1月に会計検査院の実地検査で指摘されるまで、管理職、係長などが法令に基づく認定方法を正しく理解せず組織的なものであったなどとし、さらに当時課長と課長補佐だった管理職2人は会計検査時も、障害者加算の認定要件を正確に理解しなかったとした。2年半後の22年11月の会議で担当ケースワーカーから問題提起があり、当時課長だった管理職Bは県に取り扱いを確認するよう指示、係長らが県に確認し、認定が誤りであったことを管理職Bに報告したが、管理職Bは県の回答を放置したばかりか、会議の記録が回覧中に行方不明となり24年1月に発見されたとした。その上で、管理職Bは、判断を保留したまま放置するなど重大な過失があったが、過支給分10万7660円は、生活保護受給者が将来自立するための用途に充てた自立更生費に算定され、生活保護受給者に返還を求める額でなくなったことなどから、市に損害が生じたとは認められないとした。 ⑤重度障害者加算については、担当職員から指摘を受ける2023年9月までは、判定基準を正確に認識していた職員はほとんどおらず組織的誤りがあったなど、管理職個人に故意または重大な過失を認めることはできないとした。職員の指摘で誤認定が発覚して以降については、当時の課長補佐は、行政の誤りが原因なので、過支給分について生活保護受給者に返還を求めたくないという考えから、翌月から加算を取り止めただけで返還を求めないこととし、課長もその根拠を確認しないままそれを採用したことから、重大な過失が認められるとした。しかし過支給分135万6870円のうち、自立更生費に算定された分を除く44万7060円については、市が徴収を行う限り市の損金にならないので、市に損害が生じたとは認められないなどとした。 故意でなく不作為 ➅不適切な債権管理による国庫負担金への未算定は、生活保護受給者に過支給分などの返還を求めても返還されない場合、手続きを適切に行った上で不納欠損処理を行えば、国から4分の3の交付を受けられるはずだったところ、催促、催告、納入指導、時効管理といった適切な債権管理を行わず、国に交付を求めることができなかった。2018年、県の監査で指摘を受け、当時の課長(管理職A)及び課長補佐(管理職B)は、債権管理を適正化すべき責務を負っていたにもかかわらず、不適切なままだったことは重大な過失が認められるとした。 その上で、当時の社会福祉課はマニュアルは策定されていたが、経理担当職員は1人だったなど実行する体制が整っていなかった、不適切な債権管理は以前から続く組織的な慣行だった、不納欠損の4分の3が国から交付されることは当時、決済権を有する福祉部長も知らなかったなど、実現するための人員措置を講じる立場にある上位者の認識が欠けていた、当時の課長(管理職A)と課長補佐(管理職B)の2人の行為は不作為であって、故意ではないことなどの事情を考慮し、賠償を求める額は市の損害額の2割が限度とした。さらに2人は共同不法行為として連帯して賠償責任を負うとし、負担割合については、それぞれの着任期間をもとに、管理職Aは13万4247円、管理職Bは60万1165円だとした。 監査ではほかに七つの意見を付け、①残業代及び手当てについては職員が申請を躊躇することのない環境を整備する ➁加算等の過支給分の返還については、返還決定額のうち徴収未了が相当残っており、将来、回収不能が確定した場合は、原因に応じて損害及び責任の所在を改めて検討する ③生活保護行政事務の適正化については、厚労省の実施要領・問答集に添った事務を徹底し、取り扱いに疑義がある場合は県に照会するなどの体制を整備し運用を徹底する、職員からの指摘や問題提起を組織として適切に受け止める風土の情勢を求めるーなどとしている。 課題や懸念も残した 一方、これまで公益通報や議会請願などで内部告発してきた当時の生活保護担当職員(現在は異動)は監査結果について「一連の生活保護不適正における管理職個人の責任が一部でも認められたこと、これまで市が一貫して認めてこなかった『組織的な誤り』『組織的な慣行』が認定されたこと、そして末尾の七つの重要な意見も含め評価し、監査委員には感謝したい」とコメントする。 一方で、元担当職員は「課題や懸念も残した」とも指摘し「『組織的問題』『人員不足』『職員の職務経験』などが職員の責任が軽くなる事情となっているが、このことは社会福祉課という一部の部署の問題のみならず、人員配置や組織運営を決める側の責任も含め市役所全体の組織の在り方についての検証が必要になることを示している。 一職員として願うのは、前例や上司の顔色ではなく、法令を重んじ、現場の声を受け止められる人が管理職であってほしい」とし、さらに「(市が損害を被り)問題となった公金約3824万円に対し、職員2人への賠償請求は約74万円であり、その差について市はより詳細な説明が求められる」「『市の調査によると』という文言が多く、実際事実ではない職員証言が採用されている部分も散見され、問題の認識の在り方など判断の根底に市の意向が強く反映されてしまっている点は非常に残念だ。それらを踏まえると、今回の監査結果は完全解決へ向けたひとつの成果とは呼べるものの、改めて第三者委員会の必要性を再認識させるものとなった。市政を監視する立場であるつくば市議会に期待したい」とする。 さらに「監査対象➅の不適切な債権管理による国庫負担金への未算定も、管理職が指示し県監査へ虚偽を行い、問題の発覚を隠蔽していたことも併せて考える視点が抜けている。なお、刑事告発していた(県監査の)虚偽公文書作成事件については今月10日付で検察への送付が完了しているため、今後関係者の刑事的責任も明らかになるだろう」などとコメントする。(鈴木宏子)

運動公園→データセンター つくば市長の宿痾《吾妻カガミ》223

【コラム・坂本栄】前市長が計画した総合運動公園を市民運動で白紙撤回に追い込んだ五十嵐つくば市長。その跡地に市が誘致したデータセンター(DC、つくば市大穂)に対し、市民から環境への悪影響を懸念する声が上がっている。以前、運動公園問題を「市長の宿痾」(22年7月18日付)と表現したが、五十嵐氏は運動公園(今はDC)問題という宿痾(いつまでも続く病気)に取り付かれているようだ。 広報紙でDC群を擁護 不動産業者が建設しているDCの何が問題なのか? 温暖化研究者は、①使用電力は現市内消費の3倍 ②排熱は同排熱量の2倍 ③二酸化炭素も同排出量の2倍―と試算している(5月19日付)。100万キロワットの電力(原発約1基分)を受電するDC群が、着工済みDC(5万キロワット)の20倍になることを想定したものだ。市民生活の環境悪化が懸念される。 問題は、周辺住民が事業者に公開説明会を開くよう要求しているのに、全体計画や環境負荷の説明を拒んでいることだ。事業内容を教えると、DC反対運動に火が付くと思っているのだろうか。記事「…レストランで初の説明会…」(8月21日付)によると、ご馳走(ちそう)付きの小規模説明会は開いたそうだが、これでは住民懐柔(かいじゅう)会と呼んだ方がよい。 逃げ回っているのは事業者だけではない。誘致した手前、五十嵐氏はこのDC事業に問題はないと判断している(6月10日付)。市の「広報 つくば」8月号のDC特集に至っては、DC群を擁護する広報紙になってしまった。 事業者が地域住民の懸念に答えず、市長も事業者の味方であることに怒り、住民たちは次の一手に動いた。市主催の公開説明会を開き、そこに事業者も呼べと、市議会に請願したのだ。その趣旨は記事「…市議会に請願…」(8月31日付)に詳しい。請願は9月市議会で審議されるが、これに反対する市議(市長&事業者寄り環境軽視派)は市民の信を失うだろう。 迷走の連鎖 「まだ続く運動公園問題」(25年10月20日付)で整理したように、五十嵐氏が起動した運動公園問題は迷走の連鎖だった。 第1章「白紙撤回のつけ」:五十嵐氏は市民運動で住民投票に持ち込み、運動公園計画全体を葬った。多くの市民が約300億の計画(陸上競技場、総合体育館、サッカー・ラクビー場など)にNOと言ったからだ。全否定ではなく陸上競技場だけに絞っていれば、経費は大幅削減され、いま建設準備中の陸上競技場(つくば市上郷)よりも高規格の施設が完成していただろう。 第2章「実現不可能な公約」:最初の市長選で、五十嵐氏は運動公園用地を元所有者(UR都市機構)に買い戻させると公約した。しかし、当選後の交渉でURは売買契約を盾にこれを拒否した。契約書にはURは返却に応じない旨記載されていたのに、五十嵐氏はこの条項を無視して、ほぼ実現不可能な公約を掲げていたわけだ。 第3章「議決を経ずに売却」:用地の扱いに困り、五十嵐氏は議会本会議に用地売却議案を提出せず、市の大事な財産を民間に売り払った。土地は市有地ではなく、市土地開発公社のものだから、議会の承認は必要ないとの理屈だった。 今後の展開 DC問題は今後どうなるのだろうか? 事業者が公開説明会を開き、その内容が理にかなったものであれば、周辺住民も納得するだろう。逆に、公開説明会を拒否し、市もこれに同調するようであれば、市民によるDC反対運動が起こるかもしれない。8月末に提出された請願書に議会がどう対応するか、請願にYESかNOか、その結論が今後の展開の分岐点の一つになるだろう。(経済ジャーナリスト)