【コラム・沼田誠】先月、福岡県議会の海外視察をめぐる報道が話題になった。現議員の任期が始まった2023年4月から2026年3月までの3年間で計23件実施され、総額約2億6496万円、1人当たり平均約135万円に上る費用であることが報道されている。
地方議会の行政視察とは、どのような根拠に基づくものなのか。委員会として行う視察は、地方自治法第100条第13項「議会は、議案の審査又は当該普通地方公共団体の事務に関する調査のためその他議会において必要があると認めるときは、会議規則の定めるところにより、議員を派遣することができる」という条文に基づく。
つまり、毎年必ず実施するものではなく、必要に応じて予算を通して実施するという、一般的なルールの上に成り立っているに過ぎない。このことを踏まえれば、費用や頻度以上に、調査研究する必要性が明確であるかどうか、つまり「目的が明確か」「何を持ち帰るかが意識されていたか」ということが、もっと問われるべきだと思う。
つくば市 9件中2件は合格
この視点で、つくば市議会と水戸市議会の視察がどうなっているのか調べてみた。つくば市議会は、委員会ごとの視察報告書が公式サイトで公開されていたので、2025年度の委員会視察報告書9件を読み比べてみた。
広報広聴委では、視察前から「2026年度に主権者教育の取組を実施できないか検討しており、その具体化に向けた参考とするため」という論点を持って臨み、視察先の3段階の難易度設定などを、評価軸ごと持ち帰っていた。また、総務文教委では、視察を受けて「決算審査分科会の集中審議事業に選定した」と、視察成果を議会の活動につなげることを報告書に明記している。9件中この2件は、目的と市民への還元が明確に表現されている。
しかし、他委員会の所感は、視察内容の説明のあと、「大変参考になりました」などの言葉で締めくくられ、市の具体的な行政課題との接続が明確ではないものもあった。とりわけ、議会運営委として改革の先進市を視察しながら、「引き続き積極的に議会改革を進める所存」という一般論で結ばれていたのは、腰が引けている印象を受けた。
水戸市 個別の報告書公開なし
水戸市議会はどうか。残念なことに、水戸市議会公式サイトでは、つくば市議会のように個別報告書の公開は見当たらなかった。これでは、行政視察が充実した内容だったとしても、広く一般に知らしめることはできない。まずは、その質を市民が問える状態をつくることに取り組むべきだろう。
筆者自身、水戸市職員時代に、地方議会の行政視察対応を行ったことがある。その際は、視察側の目的を踏まえて準備し、質疑も真摯(しんし)なものだった。しかし、議会によっては、先に行先が決まり、後付けでテーマが設定されるところもある、という噂(うわさ)も聞いたことがある。
行政視察は「旅行」ではない。何のために行き、何を持ち帰ったか―その費用を負担している市民がしっかり確かめる必要があるだろう。(元水戸市みとの魅力発信課長)






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