【片岡英明】2026年度から、私立高校生に年間45万8200円の就学支援金が支給される。これに伴い、授業料は月約3万8000円軽減される。入学金や施設費などの支出もまだあり、無償には遠く、今後の課題もあるが、私学への入学者が増えると予想される。しかし実際のところ、私学では入学者確保に危機感が高まっている。そこで今回は、授業料軽減が入試に与える波紋について考えたい。
中学卒業者600人減、県立志願者1300人減
今年の県内中学卒業者が昨年比637人減の2万4555人になった中、全日制県立高の志願数は昨年より1344人減った。なぜ、卒業生減を超える受験者減が生まれたのか? 私学の推薦枠が24校で3300人と昨年より500人増えたので、県立減少分の多くが私学推薦に移ったともいえる。一方で、私学一般入試は1000人減となった。
このほか私学一般入試での単願入学や、併願合格から単願への切り替えも、私学入学者増に寄与しているようだ。ここまでは、就学支援初年度の動きとして想像できる。
では、今年の県立高入試はどうか。県立高84校1分校の志願状況を見て、多くの人が驚いた。定員を超えたのは進学校を中心に37校(昨年は50校)で、多くが定員割れだった。それに伴い、不合格者数は1016人(昨年比715人減)で、合格発表後の私学への入学手続数減が予想され、私学関係者の間に激震が走っている。
私学入試での推薦500人増と一般1000人減から、受験者や保護者が早めに安心できる高校の合格を確保したいとの希望も見える。就学支援金の初年度に、私学の推薦増と県立高の志願者減、それに伴う県立発表後の私学への手続き減という、3つの波が生まれた。
そのため、県にとって県立高の「魅力アップ」が重要課題になり、一方で私学は授業料が安くなった初年度の推薦増がこれからも続く学校にしなければならないと、公立も私立も魅力向上の必要性を感じる事態となった。
県立高の定員割れをどう見るか?
毎年、いくつかの県立高を訪問し、その高校の魅力と伸びる可能性を感じてきたので、今年の定員割れは残念である。私学への就学支援金初年度の定員割れは、受験生たちの「もっと学校の魅力を教えて」という叫びと考えたい。
公私の授業料格差が小さくなった今、進学実績やスポーツだけでない、生徒の日常の学び・青春・進路などの魅力を、地域と連携しながら伝える公私の学校づくりが必要になった。教職員一人ひとりが、我がこととして学校の魅力を語る時代になった。魅力ある学校づくりのために、学校改革に精を出していたころの読書ノートからの抜き書きを下に紹介し、現場教師を励ましたい。
「良い物はその良さが知られなければならない。知られてこそ良い物が良いものとして生きる」(「男たちの経営」城山三郎著、角川文庫)、「新しくできた競合店にお客を取られるということは、競合店ができる前からそういうところがあったからに他ならない」(「商売の原点」鈴木敏文著、講談社)。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)






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