つくば市が同市上岩崎の市立保育所跡地に建設を計画していた「茎崎給食レストラン整備事業」に対し、事業の必要性や効果などを検証する市長の諮問機関、大規模事業評価委員会(委員長・藤川昌樹筑波大教授)がこのほど、「検討・整理を要する事項が複数ある」とする厳しい内容の答申をまとめた。答申を受け五十嵐立青市長は、31日開かれた市議会全員協議会で「答申の指摘を踏まえると、当初の計画通りに事業を実施することは困難」だとし、事業を全面的に見直すことを表明した。
市議からは「元々の計画段階の検討が不十分だった」とする意見があった一方、「(事業見直しを)もう一度考え直してもいいのではないか。再度検討いただきたい」「答申は全面否定ではない。答申を受けて引いてしまうのではなく練り直すべき」などの意見が相次いだ。
五十嵐市長は「(同事業は自身の)公約でもあり、つくれるものであればつくりたいが、今回の答申を読み込めば、表現として『中止すべき』と書いてないからと、いろいろ解釈をして進めることにしてしまえば、ガバナンス(統治の仕組み)不全につながってしまう。大規模事業評価制度は(住民投票で白紙撤回された)総合運動公園の反省から生まれた制度なので、(同評価委の)専門家の皆さんに真摯に議論いただいて出された答申を、真摯に受け止めず、我田引水的な解釈をしてこれを進めてしまったら、一事業というよりガバナンスそのものに関わる問題になってしまう」などと話し理解を求めた。
三つの複合施設
同事業は①予定地に隣接する市立茎崎第二小学校に自校式給食を提供する調理機能➁市産の地場野菜を貯蔵したり加工して市の学校給食に提供する機能③茎崎二小の児童生徒約250人と一般市民約50人に計300食の給食を提供するレストラン機能の三つを備えた複合施設。
今後について五十嵐市長は①自校式給食提供機能について「現在(大規模な給食センターで複数の学校の給食をまとめて調理する)センター方式を採用し2万7000食を提供でき充足している。今のところ自校式給食のグランドデザインを描けるかは難しい」と話し、自校式給食施設の整備についてはいったん断念し、市全体の給食提供体制の見直し時期を判断していくとした。➁加工・貯蔵機能については「市内のさまざまな農業者団体と話をして、どのような可能性があるかを調査したい」とし、事業主体や、整備場所などを再検討していくとした。③給食レストラン機能については、学校の年間行事の中で地域住民と一緒に活動するイベントなどの際に児童生徒が地域住民と一緒に給食を食べるなど、既存の学校施設などを活用し、地域と児童生徒の交流機会を創出する方策などを検討していくとした。
さらに予定地の今後の利活用については「8月9日と10日に住民説明会を開き、そこで皆さんからどのような希望があるかうかがっていきたい」と述べた。
グランドデザイン無い
大規模事業評価委で問題にされたのは、①自校式給食について、これまで同市は、大規模な給食センターを次々に整備し1日計約3万食の調理能力を整え、2025年4月には桜給食センターを稼働させるなど市全体の給食供給体制を充足させたのに、その直後に茎崎給食レストランを計画し、自校式給食の実証を行う計画を立てたなどの整合性の無さだ。答申は、市の学校給食の提供体制の中で給食レストラン事業をどのように位置づけるかというグランドデザイン(長期的構想)が無い中で、必要性や妥当性を判断することは困難だなどと指摘した。➁加工・貯蔵既往については、市全域分の加工・貯蔵機能を、市域の南端に近い場所で行うことの妥当性について十分な理解に至らないなどと指摘し、③給食レストラン機能については、一般来客の提供食数を1日50食と見込み、営業時間1日2時間、2回転と想定するが、需要予測、営業計画、配置計画、既存施設の活用など代替手段との比較検討が不十分で、地域交流や居場所づくり、健康増進などの課題に対して給食レストランが本当に最適で必要なのかの十分な説明や整理が無いので、判断材料が不足しているなどとした。
その上で「結果として使用されない施設や非常に効率の悪いものが出来上がった場合に『(地域住民の)要望があったので仕方ない』ということは行政の言い訳として許されない」などと厳しい意見を付けた。
総事業費当初の2.5倍
同給食レストラン整備計画は、敷地面積約2500平方メートル、複合施設は鉄骨2階建て、延べ床面積約1083平方メートルで、事業費は計14億3900万円の計画だった。今年7月から実施設計、2027、28年度に建設工事を実施し、29年にオープンする予定だった。
当時、茎崎地区の小中学校などに計約2500食を提供していたた茎崎給食センターが老朽化し、解体する計画が出される中(2025年3月末に廃止)、茎崎地区住民から同給食センターの建て替えを求める要望などが出された時期に、市から、給食レストラン整備計画が持ち上がった。当初の事業規模は5億円程度とされ、2024年度に基本計画策定と敷地測量が実施、25~26年度に基本・実施設計に着手した。その後、資材費や人件費の高騰などから事業費は当初見込みの2.5倍の14億3870万円になることが見込まれ、10億円を超える事業であることから、昨年12月、大規模事業評価委員会で事業計画の検証がスタートした。これまで市は、基本計画と測量に174万円を使い、基本・実施設計は1793万円の予算のうち537万円をすでに前払いしているという。
大規模事業評価は、総合運動公園建設計画が住民投票で白紙撤回となったのを教訓に10億円以上の事業を対象に第三者が必要性や優先性、経済性など6項目を評価する市独自の制度で、実施は上郷高校跡地に建設予定の陸上競技場に続いて2事業目。陸上競技場は当時、妥当とする答申が出された。その後、事業費が増えている。(鈴木宏子)






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