第107回全国高校野球選手権茨城大会は21日、4回戦4試合が行われた。ひたちなか市民球場では昨年の覇者、霞ケ浦が鹿島学園と対戦、延長11回タイブレークの末3−2で破り、霞ケ浦が準々決勝進出を決めた。
21日 4回戦 第1試合 ひたちなか市民球場
鹿島学園 00020000000 2
霞ケ浦 01000001001×3
霞ケ浦は2回1死後、5番西野結太が鹿島学園先発の東原大知のチェンジアップを捉えてレフト芝生席に本塁打を放ち先制。

霞ケ浦の先発稲山幸汰は3回まで鹿島学園を1安打に抑えるが、4回に4安打、2四球で逆転を許す。「3回までは自分のペースで投げられたが4回はストライクが取れず高めにいってしまった」と稲山。

逆転を許した霞ケ浦は、前回の下妻一との試合でノーヒットノーランを達成したエース市村才樹が、5回無死1塁から2番手として登板。市村は、真っすぐ、カットボール、カーブ、フォークを上手く使い分け鹿島学園を無失点に抑える。

その後は両チームともに走者を出すものの、あと1本が出ない。鹿島学園1点リードで迎えた8回、霞ケ浦は1死後、鹿又嵩翔が内野安打と盗塁で1死2塁とし、大石健斗の内野ゴロで鹿又が3塁に進み、西野結太が死球で2死1、3塁とする。花内晴紀の代打吉田麗矢がライトへタイムリーツーベースを放ち同点に追いついた。

試合は延長タイブレークに入り、11回、鹿島学園1死2、3塁、田野球司郎のライトフライでホームにタッチアップする3塁ランナーの石島士竜を、霞ケ浦のライト羽生伯が好返球しホームで刺しタッチアウト。
流れを呼び寄せた霞ケ浦はその裏、バントと死球で1死満塁とした。鹿島学園は先発の東原大知から宇多津晴匡がマウンドに上がるが、霞ケ浦の原道仁志がセンターへサヨナラヒットを放ち、3時間を超える熱戦に決着をつけた。

霞ケ浦の高橋祐二監督は「試合は(接戦になると)想定できていた。稲山をリリーフした市村は経験値が高く慌てないピッチングが出来る。一層いろんな意味でひと回り、ふた回りも成長した」とエース市村を評価した。

好リリーフした市村才樹は「流れを渡さずに0点でいけたのが良かった。低めの真っすぐは良かったが、変化球が高めだったので今後調整したい。次のつくば秀英は、昨年秋の新チームになってから勝ててないので、いいピッチングをして勝ちたい」と語った。鹿又嵩翔主将は「1点の重みを感じた厳しい試合だったが、全員野球で勝ってうれしい」と安堵した様子で話しながらも「つくば秀英には秋の決勝で負けているので、厳しい試合にはなるが、リベンジして相手より1点多く取って全員野球で勝つ」と力強く語った。
猛暑の中、スタンドには昨年の霞ケ浦の市川晟太主将らが応援に駆けつけ「昨年の夏を経験した選手がいるので、県大会を一つ一つ勝って優勝してほしい。(自分たちは)甲子園で1勝しか出来なかったが、全国制覇してほしい」と後輩たちに熱いエールを送った。スタンドには応援団、チアリーダー、吹奏学部員など約150人が駆け付け、熱い声援で選手たちを後押しした。

ベスト4を決める準々決勝は23日2球場で4試合が行われ、霞ケ浦はJ:COMスタジアム土浦でつくば秀英と対戦する。(高橋浩一)