小児運賃と通学定期は値下げ
つくばエクスプレス(TX)を運行する首都圏新都市鉄道は11日、来年3月に向けて全体で12.2%の運賃値上げを国交相に申請したと発表した。値上げ申請は、消費税の変更による申請を除き開業以来初。
一方、少子化が進行する中、子育て世代が沿線に定着することが重要だとして、SuicaやPASMOなど交通系ICカードによる小学生の小児普通乗車券と、小中高校生や大学生の通学定期は据え置きまたは値下げする。
値上げ率は、定期券以外が8.2%、通勤定期が20.2%。一方、通学定期は15.3%の値下げとなる。
普通券は、ICカードの場合、初乗りが現在の168円から180円に7.1%値上げ。最長距離のつくば駅から秋葉原駅までは現在の1205円から1280円に6.2%値上げする。切符の場合、初乗りは現在の170円から180円に5.9%値上げ、つくば駅から秋葉原駅までは現在の1210円から1280円に5.8%値上げする。
一方、小児運賃は、ICカードの場合、13キロまでは据え置き、14キロ以降は200円均一とする。つくば駅から乗車する場合、みどりの駅までは据え置き、みらい平駅以降は200円均一とする。切符の場合は大人の半額となり、つくば駅から秋葉原駅までは610円が640円になる。
定期券は、通勤定期は現在は平均割引率が40.6%なのに対し、値上げ後の割引率は37.4%と縮小して値上げする。つくば駅から秋葉原駅までの場合の通勤定期は1カ月当たり、現在の4万3300円から4万7500円に9.7%値上げになる。
一方、生徒や学生の通学定期は子育て世代の負担軽減のため、平均割引率を現在の60.4%から70.0%に大きくして、値下げする。つくば駅から秋葉原駅まで通学定期の場合、1カ月当たり現在の2万8870円から2万3040円と20%値下げになる。加えて小児の通学定期は19キロ以降は1カ月当たり5000円均一とする。つくば駅から乗車する場合、守谷駅以降の小学生の通学定期は一律5000円となる。
3カ月と6カ月の定期の割引率は、通勤定期、通学定期いずれも割引率を縮小し、3カ月は5%から2%に、6カ月は10%から4%にする。割引率を縮小したとしても通学定期は全区間値下げになるという。
開業20年、大規模更新が急務
TXは2005年8月の開業以来、乗客数は順調に増加し、19年度は、06年度の2倍の約1億4310万人になった。20年度はコロナ禍の影響で19年度の70%の1億45万人に落ち込んだが、その後徐々に回復し23年度は19年度の97%の1億3868万人になった。
利用者数の増加に伴いこれまで、6両編成の車両を当初の30本から現在41本に増やしたり、秋葉原駅の出入口の増設などを実施してきた。今年8月は開業から20年を迎え、経年劣化した車両や架線、軌道など鉄道施設の大規模更新や、混雑対策のため車両を6両編成から8両編成にする長編成化、総合基地の増強などが急務になっているとする。加えて、TXの建設主体である鉄道建設・運輸施設整備支援機構に対する債務残高が23年度末時点で約4357億円残っており、今後も約20年間、毎年約200億円の返済を行っていく必要があるとして、昨今の物価高騰に対応しつつ、将来にわたって持続可能な経営を行うため値上げを申請したとしている。