土曜日, 10月 24, 2026
ホームつくば次世代育成や社会実装目指す サイバーダイン、台湾の大学などと提携

次世代育成や社会実装目指す サイバーダイン、台湾の大学などと提携

医療用の装着型ロボット、HAL(ハル)を開発、販売する筑波大発ベンチャー「サイバーダイン」(つくば市学園南、社長・山海嘉之筑波大教授)と台湾の研究機関、大学など5者は4日、戦略的パートナーシップの提携を結んだ。同社が開発する、医療とロボット工学、情報技術などを融合したサイバニクス医療技術を台湾に展開すると共に、共同研究や教育プログラムなどを通じて次世代の専門家の育成やイノベーションの創出、社会実装につなげたいとする。

5者はサイバーダインと、山海社長が籍を置く筑波大学サイバニクス研究センターのほか、台湾バイオテクノロジー開発センター、輔仁大学、輔仁大学附属病院。サイバーダイン本社で調印式が開かれ、山海社長をはじめ、各機関の代表者らが出席した。

今後5者は共同で、バイオ・医療系テクノロジーとAI、ロボット、情報系テクノロジーを融合した技術を活用し、日台における医療・ヘルスケアサービスの向上を目指していくとし、脳神経・筋系の機能改善、機能再生を促進する装着型サイボーグ HALを用いた治療や、日常的にメディカル・ヘルスケアデータを収集・解析・AI処理する技術を台湾で展開し、社会実装を目指す。

台湾からの関係者(左)に製品の説明をするサイバーダインのスタッフ

サイバーダインは、筑波大サイバニクス研究センター長の山海教授が2004年に立ち上げたベンチャー企業で、同氏が開発した、人が体を動かそうとする際に脳が発する微弱な電気信号をセンターが読み取り動作を補助する動作支援ロボット HALを国内外に展開している。HALは、人間の皮膚につけたセンサーが感知する電気信号を、内蔵コンピューターが解析し、足や腰、腕などに着けた補助装置のモーターを作動させることで人の動作を助けるものだ。事故や病気、高齢などにより自力で動かすことができなくなった身体部位に対しする機能回復にもつながるという。

社会課題解決策、新たな輸出産業に

同社は近年、開発した技術の海外展開に力を入れており、2024年12月にはマレーシア政府系機関と7億円規模のサイバニクス製品導入契約を結び、同国に建設される東南アジア最大級のリハビリ施設「国立神経ロボット・サイバニクス・リハビリテーションセンター」に、異なる3タイプのHAL 65台を納入した。また、昨年11月には、国際協力機構(JICA)によるウクライナ復興支援の一環として、ロシアによる軍事侵攻が続く同国で負傷した市民らの機能回復訓練を目的に、HALを46台納入すると発表している。

山海社長は海外活動について「新しい領域の開拓は非常に重要」であるとし、「日本が直面する社会課題には、高齢化など世界に先んじていることがある。社会課題の解決は、税金を使い公的機関が取り組んできた分野。しかし、社会の変化が加速する中で、公的機関の力だけでは全てをカバーできない難しい状況が生まれている。課題解決のためには新しい経済のサイクルを発想しなければいけない。日本の経験を生かした解決方法をつくり出し、各国と相互に情報共有しながら社会変革をスピードアップしていけるよう、まずはアジアから開拓している」と話す。

今回の台湾とのパートナーシップ協定締結については「台湾も高齢化が進む国の一つ。日本でつくり上げてきた技術が、高齢化により台湾で起きている課題に直接介入し、支援できるような構造をつくることで、台湾の中の高齢化問題の解決にもつなげていきたいと考えている」とし、「早い段階で、社会課題の解決策を産業として各国の社会に導入することで、それが日本にとっての輸出産業に仕上げていくことができる。日本が世界に貢献できる新たな取り組みにしたい」考えを述べた。(柴田大輔)

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次期学長予定者に永田氏を再任 筑波大 在任17年と長期に

筑波大学(つくば市天王台)は23日、任期満了に伴う次期学長予定者に永田恭介氏(72)を再任したと発表した。次の任期は来年4月から2030年3月末までの3年間。永田氏は2013年4月から同大の学長を務めており、次の任期を含めると在任期間は17年と長期に及ぶ。 同大では2020年の学長選考で、これまで最長2期6年とされていた学長任期の上限を撤廃した(20年10月21日付、23年3月27日付)。前回23年は、学長選考は行わず、学長選考・監察会議の再任審査で永田氏が再任された(23年10月25日付)。 再び再任が決まったことを受けて23日、永田学長が記者会見し、カリキュラム改革や入試改革などの所信を改めて説明した。大学院までを見据えた3+3/3+4制(学群を3年で早期卒業し大学院を3年または4年で修了する)などのカリキュラム改革や、大学院課程を学位プログラムに移行したのに続く、学類の学位プログラム化など学群学類/大学院の組織の見直し、さらにAIの発展や留学生の増加を見据えた入試改革などについて必要性を話した。 在任期間が17年と長期に及ぶことについては「いけないことと、いいことの両方がある」とし、いいことして「ステークホルダー(利害関係者)とのやりとりが充実し、社会のいろいろな層と密接に意見交換できる」と強調した。 次期学長選考をめぐっては、9月に学長候補者の推薦を受け付けたところ、推薦があった候補は永田氏一人だった。10月22日、同大学長選考・監察会議(河田悌一議長)を開いて本人面談などを行い、次期学長予定者に決定した。永田氏は、筑波大学が未来構想大学(研究型総合大学)となる目標を掲げ、数々の学内改革を実行してきたこと、さらに永田氏が主導した、筑波研究学園都市の大学と研究機関が連携する筑波研究教育共創体(3月23日付)は、大学の研究と教育の在り方を大きく変えうる、類いまれで先進的な取り組みとして期待できることなどが理由という。 一方、9月の推薦受付に先立って、同大では、教職員の意見聴取(意向投票)が行われた。筑波学生新聞によると、意見聴取の候補者は永田氏一人で、結果は、永田氏が1460票だったのに対し、白票が922票だった。 同大学長選考・監察会議会議は、意見聴取の結果について、公表しないとしている。 永田学長は、意見聴取で白票が多かったことについて「白票の意味には、反対と分からないの二つの意味があるが、(理事や各組織長などで構成する教育研究評議会からの)推薦者名簿は、1組織を除いてすべての組織長が賛同してくれたが、現場の教職員にまで思いが届いてないということだと思う」と述べ、「去年から、上の人を除いて、各部局の希望者全員が集まって意見交換する場を設けており、白票の意味を変えていけると思う」などと話した。(鈴木宏子)

データセンター建設ガイドラインを策定 つくば市

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「進学を諦めない社会であってほしい」あしなが学生募金事務局 長瀬光来さん

24、25日 つくば駅前で募金活動 病気や災害、自殺などで保護者を亡くした遺児の進学支援を訴える「第112回あしなが学生募金」の街頭募金活動が24、25日の両日、つくば駅南北自由通路前で実施される。集められた募金は、国内の遺児や親に障がいがある生徒の奨学金として活用される。街頭募金活動を実施する学生団体「あしなが学生募金」事務局員で筑波大学人間学群心理学類3年の長瀬光来(みく)さん(21)は「進学を諦めない社会であってほしい」と話す。 長瀬さんは大学1年の秋から募金活動に参加し、今回を含めて5回目になる。これまでは先輩に付いて街頭で声掛けをしていた。半年前に学生募金活動を企画・けん引する事務局員になって初めて取り組む街頭活動となる。「今回が局員として初めての街頭募金になるので、結構ドキドキなんです」と緊張を隠せない。 母親の病死契機 長瀬さんは現在、あしなが育英会の奨学金を利用している。きっかけとなったのは、小学3年の4月に母親が病気で亡くなったことだった。父親の収入だけに頼って生活するのは厳しく「進学のための奨学金があることを知り、奨学金で高校・大学と進学した」。長瀬さんの姉が高校に進学する際、中学校教師からあしなが育英会の存在を教えてもらったという。 現在長瀬さんは、月4万円のあしなが育英会の奨学金のほかに、2020年度から開始された日本学生支援機構の給付型奨学金(月4万4500円)や、土日の結婚式場でのアルバイトなどで学生生活をまかなっている。給付型奨学金を受給していることから大学の授業料の一部が減免対象となり、通常の授業料の約3分の2を減免してもらっている。 しかし日々の生活は厳しく、普段の移動は徒歩や自転車。交通費が支給されるのでアルバイト先に向かう時にバスに乗る程度。農家を営む祖父から米や野菜の仕送りがあり、食費負担をある程度軽減できているが、昨今の物価高で生活は厳しいと話す。 「進学を諦めない社会に」 あしなが育英会が今年8月に高校奨学金受給世帯の保護者4590人を対象に実施したアンケート調査によると、教育への影響に関する質問(複数回答)のうち、進学先について「学費を理由に希望を変更した、または変更を検討している」が27.7%、「大学や専門学校への進学を諦めた、または諦める可能性がある」が21.5%と、回答の約2割以上が進学への影響の可能性を示した。また「子どもにアルバイトを増やしてもらった、または始めてもらった」との回答も22.6%を占め、2割強の世帯で奨学金を受給している高校生が家計を支えるため働いている現状が明らかになった。 「私はすごく勉強が好きで、絶対に大学に行きたかった。勉強が好きだったり、『こういうことをやりたい』と思っている子もたくさんいると思うので、そういう子が進学を諦めない社会になっていったらいいなと思う」という長瀬さんは、将来、児童相談所職員や児童養護施設職員など、児童福祉に関わる仕事を希望しているという。 夏休みなどの長期休暇期間中は実家がある岐阜県に帰省して、地元の児童養護施設などでアルバイトや有給の長期インターンに参加している。一部の児童は大人への不信感から反抗的な態度を取ることもあるが、「1対1で少しずつ関わっていくうちにいろいろなことを知ることができたり、楽しそうに話してくれるようになったりする。そうした喜びにやりがいを感じながら取り組んでいる」と話す。 まずは知っていただくこと 長瀬さんは大学1年の秋から、水戸市や千葉県流山市の街頭で募金活動に参加してきた。道行く市民の反応については「本当にありがたいことに、温かく見守ってくださる方が多い。強い口調で何かを言われるようなトラブルもなく活動できている」と、市民意識の高さを実感していた。チラシを受け取った市民から「頑張ってね」と声を掛けられたこともあった。 しかし「知っている人は知っているが、知らない人は全然知らない」と、認知度にバラつきがあるという。長瀬さんは「まずは1人でも多くの方に知っていただくことが大事かなと思っている」と、募金や募金ボランティアへの参加を呼び掛ける。(崎山勝功) ◆つくば駅前の募金活動は、24日(土)、25日(日)いずれも正午から午後6時頃まで。あしなが学生募金の公式サイトでは、ネット上や郵便振替でも募金を受け付けている。公式サイトはこちら。 ◆あしなが育英会では、27年度から遺児や親に障がいのある子どもの中学校進学を応援するため、中学校入学前に5万円の「中学校進学支援金」を給付する制度を新設する。対象となるのは▽翌年4月に中学校進学予定▽病気や災害、自死で保護者(父または母)を亡くした(道路上の交通事故は除く)、または保護者が1級から5級の障がい認定を受けている▽経済的な援助を必要―の3点にすべてあてはまる小学6年生。採用人数は全国で400人で、給付金額は5万円で1回限りの給付。締め切りは11月13日正午まで。申し込み・問い合わせはあしなが育英会公式サイトへ。