日曜日, 4月 12, 2026
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つくば高エネ研などでかや刈り 応援ボランティア募集 石岡の保存会

かやぶきの営みを次世代に

石岡市八郷地区で、かやぶき民家と里山の営みを後世に伝える「やさと茅葺き(かやぶき)屋根保存会」(萩原寿盈代表)が、屋根に使うかやの刈り取りを手伝う応援ボランティアを募集している。かや刈りは12月21日からつくば市の高エネルギー加速器研究機構(高エネ研)、葛城の森、石岡市の県畜産センターなどで実施する。同会事務局の新田穂高さん(61)は「かやぶきを維持する『営み』自体に価値がある。昔から続く営みを新しい形で次の世代に引き継いでいきたい」と思いを語る。

同会ができたのは1998年。住民が協力し作業する習慣や、管理されたかや場が減るなどし、当時かや集めに苦労していた。そんな中、つくば市大穂の高エネ研敷地内にかやぶきに用いるススキが相当量、生い茂っていると知った八郷町(当時)の関係者らが、高エネ研敷地内のかや刈りをしようと設立したのが同保存会だ。現在、かやぶき家屋の持ち主や、石岡市内外のボランティア70人ほどが参加し、毎年かや刈りに取り組んでいる。

刈ったススキを束にする。6束で馬1頭が背負うことができる量を表す単位「1駄」になる

人が集うのが価値

新田さんが暮らすのは、石岡市真家地区にある江戸時代後期に建てられた築170年以上のかやぶき家屋。地域は献上柿の産地として知られる。かつては養蚕や葉タバコ栽培が盛んだった場所だ。

「田舎暮らしがしたかった」という新田さんは、地元の農家からかやぶき家屋を譲り受け、1998年、妻と幼い2人の子どもと出身地の神奈川県から移住してきた。今年は9月から12月初旬にかけて、移住後4度目となる屋根のふき替えを行っている。作業には地元の2人のかやぶき職人と、延べ100人余りのボランティアが参加した。「人の輪が広がる楽しみがかやぶきの面白さ」だと新田さんは言う。

移住した当時、石岡市内に90棟以上あったかやぶき家屋は、神社なども含めて現在は40棟以下にまで減っている。民家に限れば現存するのは15棟余り。「70、80代の方が家を維持してきたが、次の世代にとってかやぶきが『負の遺産』になるという考え方が一般的になった」と言う。

新田さんは「(かやぶきは)職人だけではできない。家人らは『かや刈り』『かやごしらえ』などの下準備、かやぶきが始まれば職人を補助する『地走り(じばしり)』、『手元(てもと)』と呼ばれる仕事をした。生活スタイルが変化し、集落内の協力で成り立つ『結(ゆい)』的な下地がなくなり、暮らしと密着したかやぶきもなくなりつつある」。

ふき替えたばかりの屋根が、西日に照らされ黄金色に輝く

時代の変化を前に新田さんは「かやぶきは、職人と仕事を支える様々な人たちが必要になる。文化財を保存する時、屋根や建物など『もの』の保存だけではなく、そこにまつわる『こと』を保存するのが保存会のテーマ。皆が集まり、力を結集して維持することが、かやぶき本来の営み。かやぶきの文化的価値はそこにある」と言う。

もう一つ、同会が取り組むのが「物質の循環」だ。地域には「屋根を直すと田畑が良くなる」という言葉があるように、取り替えられた屋根から出た大量のかやは、堆肥や野菜や果樹の「敷きわら」として使われた。現在は、多くが廃棄物として処理される。古い茅の再利用を地域の農家と取り組んでいる。

12月から1月、つくばなど各所で

12月から翌年1月にかけて同会は、高エネ研を始めつくば市内各所や、石岡市、桜川市などからかやぶき家屋5、6軒で使われるススキを刈り取る予定だ。15年以上参加する常連のボランティアらに支えられる一方で、将来を見据えて新しい世代の「茅刈り隊」への参加を呼び掛ける。

新田さんは「ボランティアの方には、刈り倒したススキを集めて束にする作業をしていただきたい。午前9時に集合して午後4時ごろまで。お茶にお昼、茶菓子も用意します。割と気持ちよくできる作業だと思う。マイペースで、気持ちよく体を動かし、かやぶきの維持保存にも貢献できる」と話す。

かや刈りの日程は▽12月21日(土)、22日(日)=つくば市大穂1-1、高エネ研▽25日(水)、26日(木)=石岡市根小屋1234、県畜産センター▽来年1月以降はつくば市葛城の森、桜川市上曽トンネル用地、栃木県益子町の濱田窯長屋門茅場などで予定している。(柴田大輔)

◆かや刈りボランティア「茅葺き応援団茅刈り隊」への応募は専用のウェブサイトか、メール(kayayaneitonami@gmail.com)にて受け付け。活動の詳細は「やさと茅葺き屋根保存会」のブログへ。

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