つくば市長選が20日告示された。立候補を届け出た現職で3期目を目指す五十嵐立青氏(46)=無所属=と、新人で前県議の星田弘司氏(50)=無所属、自民推薦=の2氏の横顔を紹介する。
「時計の針が元に戻ること」警戒 五十嵐氏
2016年11月から市長を2期8年務めた。今回は3期目の4年(~2028年11月)に挑む選挙になる。当然のことだが、取材に対してはこの8年間の実績を強調する。「人口増加率が国内の一般市では1位となった。企業数は8年の間に1万2000人以上増え、1万8000人以上も雇用が増えた。税収も77億円増え、財政調整基金は2倍以上になった」。
ただ、「ほとんどの市民がつくば市の生活に満足しているかというと、まだそこまでに至っていない」とし、要望が多い課題として、①今の市営図書館とは別の場所に図書館を建てたい、②市内に地元物産などを販売する道の駅を設置したい、③企業進出を促すため産業用地を確保したい、④県立高の定員不足を解消するために県立高の増築に市から資金を提供したい―などを挙げた。
五十嵐氏は市長になる前のつくば市のことを「市民無視の政治」と定義し、この8年の間にそういった政治は変わってきたとしながらも、「時計の針が元に戻る」ことを警戒する。この辺が3期目出馬の最大の理由のようだ。
プライベートなことを聞くと、「霞ケ関で働いていた妻が県北の森林組合に転職し、今、平日はそこで木こりをしている。週末には市内梅園の自宅に帰ってくるが、平日は同居中の3人の子どもに私が食事を作っている」。「得意料理は肉ジャガとカレー。といっても、某メーカーの自動調理鍋に材料を並べて、スイッチを入れるだけだから簡単」と、笑った。
筑波大学を卒業した後、英ロンドン大学に修士留学。帰国後、コーチングオフィスなどを運営しながら、つくば市議を2期務め、8年前、市長に当選した。好きな言葉は「和して同ぜず」。「(後援者などと)ウェットな関係性を維持しながらもドライな決断をする」意味という。尊敬する人物は、映画「独裁者」で「政治家以上に政治的な影響を世に与えた」喜劇俳優C・チャップリン。46歳。
「市民の声が市長に届いてない」 星田氏
つくば市議2期6年、県会議員4期14年、都合20年の議員経験を踏まえ、つくば市長に立候補した。実は4年前にも市長選への出馬を考えていた。ところが、コロナ禍の中で思うように選挙運動ができないだろうと判断して見送った。今回は満を持しての出馬といえる。挑戦者だから当然だが、2期8年の五十嵐市政の問題点を鋭く指摘する。
インタビューでは「県議としての活動の中で、市内各地の皆さんから意見を聞いてきたが、市民の声が市長に届いていない。TX駅の周辺はともかく、周辺地域の市民からは、インフラなどの整備が不十分との声が強い」と述べた。
また、五十嵐市政と県の連携が不十分な例として、県営洞峰公園の市営化を挙げた。市長と知事とのコミュニケーション不足によって公園管理権が市に移管され、市に新たな維持運営負担が発生したと指摘する。県や国や周辺市と連携しながら、「市のブランド力やポテンシャル力を生かす市政運営」が基本キャッチフレーズ。選挙広報用チラシには、大井川知事と握手している写真を大きくあしらっている。
プライベートなことを聞くと、「中高で野球をやっていたので、野球が大好き。車にはバットが積んであり、いつでも打てる」。「今一番楽しいのは、高校で野球をやっている次男のプレイを見ること。自分が野球をしていたころの写真は1枚しか残っていないが、休みの日に次男の練習をのぞくに行き、写真をバチバチ撮っている」と、笑った。
東海大学体育学部卒。小学生時の体育の先生(日本体育大卒)にあこがれ、自分も体育の先生になろうと思った。卒業後、英シェフィールド・ハラム大学・大学院に留学、「観光マネージメント」を学ぶ。帰国後、父が経営していた星田建設(つくば市西大沼)で働き、市議をしていた父の早世に伴い、そのポジションを継承した。現在は実の兄が社長をしている建設会社の社員。50歳。