【コラム・川端舞】2025年10月の私は、ちゃんと生きていますか? つくばを離れ、群馬に引っ越して、半年たった頃だと思います。少しは新しい生活に慣れてきましたか?
2024年10月、今の私は自分を押し殺して、何とか生き延びています。曲がりなりにもライターである私が、自分の思いを素直に書けないのは、想像したより辛いことでした。未来の自分になら少しは本音を書けると思い、手紙を書きます。私にとって、言葉を綴(つづ)ることは生き延びるための処世術だから。
言うまでもなく、障害者は社会から生きづらさを押しつけられる存在です。この社会は障害者の存在を前提にしておらず、障害者のことはあくまで例外としか考えていないから。そんな中、車椅子でそのまま室内まで入れるアパートを群馬で見つけられたのは奇跡だと思います。健常者なら、アパートの室内に入れるかどうか、心配することさえないのでしょうが。本当に羨(うらや)ましいです。
社会から常に爪弾(はじ)きにされてきた障害者なのだから、同じように社会から差別されてきた女性や性的少数者たちの立場も理解できるのでは。今から1年前の私はそう信じていました。しかし、それは幻想なのかもしれません。障害者団体の中にも女性や性的少数者に対する差別が歴然とあることを、この1年で私は痛感しました。
当然ながら、障害者団体の中にも女性や性的少数者はいるはずなのに、彼ら・彼女らの声は軽視されがちであることに、私は気づいてしまいました。「そんなことはない。それは、あなたが対話をしなかったからだ」と、私を責める人もいるでしょうが、この1年、私がどれほどもがき苦しんだか、未来の自分なら分かってくれますよね?
もう少し上手な対話の方法があったのかもしれませんが、私にはあれが限界でした。私は負けたのです。
来月でこのコラムも最終回
私は来年、15年暮らしたつくばを離れ、故郷の群馬に引っ越そうと思っています。群馬には、以前から関わりのある性的少数者の支援団体もあるので、その団体とも繋(つな)がりながら、障害者と性的少数者の連帯を模索するつもりです。
このコラムも、次回で終わりにしようと思います。ちょうど60回、丸5年で幕を下ろすことになります。私の拙い文章を毎月読んでくださった方がいるのなら、ライター冥利(みょうり)に尽きますね。最終回のコラム、私は何を書くのでしょうか。それでは、お元気で。誰かの評価を得るために、無理に頑張らないでください。
あなたの悪い癖です。そんなことより、自分で自分を認められるような生き方をしてください。(障害当事者)