【コラム・田口哲郎】
前略
先日、名古屋に行ってきました。新幹線で東京駅から1時間半。言わずと知れた本州の中央部の中枢都市です。名古屋の夏はとくに暑いと聞いていましたが、9月というのに本当に暑かったです。先週、大阪に行ってきましたが、大阪よりも暑く感じたので、相当だなと思います。
名古屋は、近世に織田信長が那古野城の城主となって以来、豊臣秀吉、徳川家康とその領主をいただき、近代以降は工業地帯として発展してきた、伝統も経済規模も大きい大都市なのはご存知のとおりです。
その名古屋、すべてを回ったわけではないのですが、中心部と郊外を見た感じで、大阪とはやはり街の雰囲気は違いました。ひとことで言うと、大阪は蓄積を感じ、名古屋には流れを感じました。
名古屋は京都と東京の中間ですから、大きな往来のなかにあります。あくまでイメージなのですが、でも、街が拡大して広がっているダイナミズムみたいなものが感じられました。どこかに活気が常にあって、変化に対して寛容なのではないかと思いました。
一方、大阪は瀬戸内海の大阪湾に面しているので、なんとなく地理的に行き止まりな感じがして、名古屋のような流れというよりは、物事がそこで止まって、積み重なり、蓄積が熟成して文化になる感覚が街から感じられました。たしかに、上方文化は大阪で生まれて江戸に広まりました。
気の流れが街をつくる?!
気の流れというのでしょうか、そういうものが人びとの気性に影響して、まちづくりにも現れるのかもしれませんね。
最近、大阪、名古屋と二つの地方都市に行きましたが、感じるのはゆとりです。東京を中心とする首都圏とは時間の流れの速さが違います。そうすると、人が人にやさしい。疲れ切った群衆が行きすぎる東京の駅とは違い、みんな生気があり、どことなく元気に見えました。
首都圏にありながら茨城県南は土地に余裕がありますから、東京の疲弊を緩和するゆとりを提供できればよいですね。東京に一番近い地方都市を目指してまちづくりをするのもよいかもしれません。ごきげんよう。
草々
(散歩好きの文明批評家)