市職員が陳述し告発
生活保護行政をめぐり、つくば市で不適正な事務処理が相次いでいる問題で、市が7月と8月に公表した生活保護受給者に対する生活保護費の過払い(7月20日付)と、国に請求するのを怠った生活保護費の過支給による徴収不能(8月21日付)による市の損害額計約3842万円は違法、不当な支出だなどとして、市長や歴代管理職が同額を市に返還するよう勧告を出すことを求める監査請求が市監査委員に出された。
昨年まで生活保護業務を担当し、市議会に生活保護行政の適正化を求める請願を出した(9月3日付)市男性職員(39)が6日、請求者代理人として陳述し、不適正事務の原因は、市が発表しているような管理職の認識不足などではなく、ずさんな債権管理と、生活保護費の誤った支給が発覚するのを恐れた管理職の故意、重過失が原因だなどと告発した。監査請求は7月29日、元市議の塚本武志さんが市監査委員に出し、市職員が請求者代理人として陳述した。9月27日監査結果が出される。
返還を求めた3842万円は、生活保護受給者30人に対する生活保護費の過払い約1481万円と、国に請求するのを怠ったなど生活保護費の過支給による徴収不能分約2361万円を合計した市の損害分。
市職員の陳述によると、法定受託事務である生活保護は、法令や実施要領、運営要領などが書かれた生活保護手帳や同問答集に基づいて支給されるべきだが、3842万円については法的根拠を欠いたまま支給された。
原因について市の発表では「制度に対する解釈や認識を誤り監督職員もチェックができていなかった」「管理職の認識が不足し問題視されなかった」などとされているが、市職員は「不適正な支給をするための明確な指示があった」「(担当課内部で)複数のケースワーカーから指摘や改善の訴えもあったにもかかわらず繰り返しており、もはや故意、重過失だ」などとしている。
特に障害がある人に一定額が上乗せされる障害者加算の誤認定については、2019年に会計検査院から指摘を受け、当時、誤認定は11件だったが、今年の発表では22件に増えているとしている。
さらに、長きにわたって不適正な状況にあったにもかかわらず発覚しなかった原因について市職員は「各種監査で虚偽の報告をしてきたから」だとしている。
その上で「(残業代未払いなど)働いても給与がもらえない環境、(市職員が)暴行を受けても自分で身を守るしかない環境、法的正当性より管理職の感覚が勝つ環境、不適正を指摘すると村八分にされる環境、そういった一連の労務環境が不適正事案を生んだ」として、「今後同じ過ちを繰り返さないため(監査請求が)適正化の端緒となってほしい」などとしている。(鈴木宏子)