野菜の卸を通じて農業をプロデュースする「よろぎ野.菜」(つくば市万博公園西、吉田巧代表)は26日までに、農家自らが情報発信できるオンラインプラットフォーム「いばれる農産人生産者紹介サイト」を開設した。農業におけるモノ・ヒト・チイキをブランド化するプロジェクトの第1弾に位置付け、まずは掲載希望農家の募集を開始した。
つくば市に2011年3月に起業した同社は現在、茨城をはじめ全国各地の農家約100軒と契約し、生産野菜を飲食店や食品スーパーなど約30企業に納入する卸販売を行っている。取引先開拓を続ける中で、これ以上の販売促進には特に生産者のブランド化が不可欠と考えた。
生産者は気候変動の中で作物の安定的な収量確保に毎年のように苦戦しており、流通側はフードロスの抑止や運転手確保の2024年問題に苦慮している。この両者をダイレクトにつなぐのが同社の立ち位置。今回立ち上げたサイトは消費者向けではないが、スーパーや飲食店が、掲載されている生産者に直接コンタクトを取ることができるのが特徴。流通面についても必要に応じて、同社による橋渡しが可能としている。
同社では近年、ドローンによる栽培管理の効率化やIoT化に業容を拡大している。生産者はこれらに積極的に取り組んでいるものの、企業向けの販売促進には手が回らない。約100件の農家のうち自前のホームページを持っているのは5指に満たない。X(旧ツイッター)などのSNS素材では、販促材料として企業へのプレゼンに使えなかった。
オンラインプラットフォームでは、 同社が運営管理者となって写真撮影や記事作成のバックアップ、サイトの告知などを行う。吉田代表によれば生産者の「顔が見える」形で農産物が迅速に流通する仕組みという。
サイトでは生産者、生産地、生産物の3つのカテゴリー別に欲しい情報にアクセスできる。始まったばかりで掲載生産者は県内の2軒、農産物はトマト、トウモロコシ、コメの3種にとどまるが「茨城にとどまることなくネットワークを広げていきたい」と吉田代表。神奈川県出身、OA機器の営業職から脱サラして、茨城に2008年に移住。「産地も販売先もあるが加工部門がないのが茨城の不満」という46歳だ。(相澤冬樹)
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