できるだけ申請しないよう管理職が指導
つくば市は9日、市社会福祉課職員の残業代(時間外勤務手当て)と特殊勤務手当てに未払いがあったとして、未払い分が請求できる過去3年間にさかのぼって今後、支給すると発表した。未払いの人数や金額が全体でどのくらいになるかは現時点で不明。残業代未払いが発生した要因は、できるだけ申請しないよう管理職が不適切な指導を行っていたため、職員が申請しにくい状況になっていたとしている。
不適切な指導をした管理職に対しては今後、規定に基づいて処分を実施する。一方、監督責任を重く受け止め、五十嵐立青市長が給料を2カ月間10%減給とするほか、飯野哲雄、松本玲子副市長2人が1カ月間10%減給するとし、近く議会に提案する。さらに今後、同様の未払いがないか全庁的に調査するとしている。
残業代については昨年9月、特殊勤務手当については今年2月、いずれも同課職員から未払いがあるとの指摘があり判明した。
市社会福祉課によると、残業代未払いについては職員の指摘を受けて同課で調査、ヒヤリングを実施し、各職員に申請するよう促した。現在、申請に基づきコンピュータシステムへのログイン状況などから突合作業を実施しているが、未払いの人数と金額は調査中で、確定次第、公表するとしている。
一方、未払いの特殊勤務手当は、生活保護の業務に従事した職員に1日275円支給する手当。指摘を受け、今年3月、同課で調査を実施したところ、同業務についての解釈が各職員で異なっていたことが分かった。法令に基づき支給基準を明確化した上で同課職員に過去3年分の未申請分を申請するよう促したところ、今年5月、人数と金額が判明。2020年度(21年1~3月のみ)は12人に1万5950円、21年度は14人に9万6250円、22年度は15人に16万2525円、23年度は16人に9万5700円が未払いで、3年間で延べ57人、37万425円になる。年度によって支給対象職員の7割から9割近くに未払いがあった。
原因は、2020年4月に市職員特殊勤務手当条例の改正があり、改正前は支払い対象職員に定額の手当てが支給されていたが、改正後は、日割りで申請する方式に変更になったことにより、管理職によって判断が違ってしまったとしている。手当を支給する対象業務を明文化した文書などは作成されていなかった。
市人事課は、未払い分についてはいずれも内容の精査が終わり次第、速やかに追加支給をするとしているが、支払い時期は現時点で分からないとしている。
未払いについて五十嵐立青市長は同日「これまでも全庁的に時間外勤務については必ず申請すること、管理職には部下に時間外勤務をさせる場合は必ず事前に業務命令を行った上で、内容について状況を監督すること等、繰り返し指導してきたが、このような事案を発生させてしまったことを反省しています」とし、「今後このようなことが決して無いよう適切な労務管理体制を確立すべく改善に向け取り組みます」などとするコメントを発表した。
【訂正10日午後1時45分】6段落目、特殊勤務手当未払の原因に関して「2020年4月に社会福祉法の改正があり」は「…市職員特殊勤務手当条例の改正…」の誤りです。訂正しました。