水曜日, 2月 25, 2026
ホームコラム明秀日立が快挙 県南勢どう立ち向かうか注目

明秀日立が快挙 県南勢どう立ち向かうか注目

【コラム・伊達康】第90回センバツ甲子園は大阪桐蔭が史上3校目となるセンバツ連覇を達成して閉幕した。茨城の明秀学園日立は、1回戦の瀬戸内戦で9回に劇的な逆転勝利を収めると、2回戦の高知戦では10対1と大勝。初出場ながら2勝を挙げる躍進を見せた。

3回戦では優勝した大阪桐蔭を相手に8回まで2安打に抑えられ三塁すら踏めない苦しい展開だったが9回にエース細川拓哉の左中間ホームランで1点を返し4点差とすると、二死満塁でこの日2安打と当たっている4番・芳賀大成までつないだ。結果は空振り三振で5対1と3回戦敗退となったものの、王者を相手に最後まで目が離せない粘りを見せてくれた。この大舞台での敗戦を機に夏にはさらにとてつもないチームに仕上げて来るに違いない。

「大阪出身」強調に違和感

明秀学園日立の試合がテレビで中継される際、チーム紹介や選手紹介で実況が頻繁に発したのが「大阪出身」という言葉だ。チームは監督の金沢成奉氏(大阪・桜宮―東北福祉大)をはじめ、関西圏出身の選手が多数を占める。ベンチ入りメンバー18人のうち、茨城出身選手はエース細川(北茨城市出身)と代打の切り札である佐伯尚吾(桜川市出身)の2人だけで後の16人は関西圏を筆頭に福島、宮城、東京など県外出身だ。確かに特徴のあるメンバー構成ではあるのだが、果たして「大阪出身」や「県外出身」と繰り返し紹介する必要があっただろうか。

1980年夏、江戸川学園取手が東京、千葉、愛知、静岡のリトルシニアやポニーリーグの有名選手を片っ端から100人スカウトして部員120人の大所帯を築き、そこから選び抜かれたベンチ入りメンバー17人のうち16人が県外出身者という構成で、学校創設からわずか3年目で甲子園出場を果たした。当時のいはらき新聞(現在の茨城新聞)『白球の詩』のコーナーに「”外人部隊”で構成される江戸川学園はその在り方をめぐって本県高校野球界に一石を投じている」という記述があった。当時はまだメンバーを県外出身者で固めることが珍しく、県外出身者が茨城の看板を背負って甲子園に出場することに高校野球関係者のみならずファンからも反発や疑問が噴出したようだ。

しかし、それから38年が経過した今日、私立高校で県外出身者がスタメンに名を連ねること自体は取り立てて珍しいことではない。現に県内において、昨秋の茨城準決勝で対戦した常総学院はスタメン9人中3人が県外出身者であるし、決勝で戦った霞ケ浦に至ってはスタメン9人中7人が県外出身者だ。さらに土浦日大は東京や千葉から、つくば秀英は栃木や東京から、鹿島学園に至っては神奈川や台湾から選手を集めている。関西出身であっても隣県であっても県外であることには変わりない。

金沢監督が大阪出身ということもあり、関西圏の中学年代にスカウティングネットワークがあるからこそ関西圏から選手を集めているのであって、東京や神奈川、千葉などの関東圏から選手を集めていている私学とはエリアを異にしているだけではないか。取り立てて大阪(関西)を強調する必要はない。むしろ、過去に甲子園出場の実績がない明秀学園日立に、まだ15歳の少年が「一旗上げてやろう」とはるばる大阪(関西)からやって来ているのだからその決意たるや一通りではない。親としても、練習試合や公式戦を観戦することができない地に相当な覚悟を持って我が子を送り出したはずだ。

小中学生球児に衝撃

茨城県勢として常総学院を除いた春と夏の甲子園での勝利は、2005年夏の藤代(対福岡・柳川)の勝利以来、実に13年ぶりのことであった。初出場にして初勝利、さらに2勝の快挙を成し遂げた明秀学園日立の甲子園での躍動ぶりは、今の小学生や中学生の球児に衝撃を与えたに違いない。今後はより多くの中学生から希望進路として名前を挙げられるようになるだろう。東海大相模や浦和学院や明徳義塾のように、全国的に知名度の高い強豪校となった時、「大阪出身」「県外出身」という線引きがちっぽけなものとしてあえて紹介されなくなるのかもしれない。その次元にまで明秀学園日立は躍進できるのだろうか。常総学院をはじめ県南の有力校がそのプロセスに対してどう立ち向かうのか注目だ。茨城の高校野球はますます面白い。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

最新の脅威動向と防御策学ぶ つくばでサイバーセキュリティ対策セミナー

関彰商事 近年、企業や自治体を狙ったサイバー攻撃は高度化、巧妙化しており、身代金を要求するランサムウェア被害や情報漏えい事故が相次いでいる。こうした状況を受け、最新の脅威動向と具体的な防御策を学ぶ「サイバーセキュリティ対策セミナー」を関彰商事(本社・筑西市・つくば市、関正樹社長)が県内4カ所で開いている。そのうちの一つ、つくば会場のセミナーが24日、ホテルグランド東雲で開かれ、企業経営者や情報システム責任者など約70人が熱心に受講した。 第1部は身近なサイバーセキュリティ被害対策と題し、同社ビジネストランスフォーメーション部の江幡博康部長が実際の被害事例を紹介した。 同社の子会社であるセキショウキャリアプラスは昨年、不正アクセスの被害を受け、約1万5000人分のデータが漏えいした(25年10月10日付)。江幡部長は「ダーク・サイトに名簿が流出している」という第3者からの報告で分かったと話し、「突き詰めてみると脆弱なプログラムを使っているとか、不要なデータを管理できていなかったというような反省点があった」「当たり前のことを実行しているかどうかということが大事」だなどと述べ、「うちは絶対大丈夫だと思わず、対策にもコストをかける必要がある」と話した。 第2部は「サイバー攻撃の手口の紹介・デモンストレーション、サイバー犯罪の現状と被害防止対策」と題し、県警本部生活安全部サイバー企画課の白土哲也警部が講演した。 白土警部は、セキュリティ対策の基本や、情報セキュリティの個人情報の窃取などの具体的な脅威を紹介し、ランサムウェアなどを詳しく解説した。デモンストレーションでは2台のディスプレイを用い、攻撃側と被害側に分けて、具体的にどうやって侵入するのかを見せた。 その上で「アサヒグループホールディングスやアスクルのように充分な対策をとっている大企業でも被害を受けることがある。100%守り切れるわけでないが、充分な対策をとっていく必要がある」と説明した。さらに「サイバーセキュリティ対策は経営者の関与が大事」だとし、「対策の不備により、法的・道義的責任が問われるなど経営に大きな影響を与える。経営資源の投入と具体的な指示が必要」だと訴えた。 もしウイルス感染や不正アクセス、情報漏えいなどのセキリティインデントが発生したらどうするのかー。白土警部は「ネットワークを切断する、情報システム部と責任者に報告する、最後は警察に通報することになる」などと話した。 受講した物流業「明送」(守谷市)の一ノ瀬慶一社長は「具体的にサイバー攻撃のデモを見せてもらって、分かりやすくて良かった。ある程度の対策をしてきたが、評価を見直し、社員教育にも力を入れていきたい」と話した。福祉機器メーカー「幸和義肢研究所」(つくば市)の山野井勉製造部長は「今回のセミナーはセキュリティの重要さなど分かった多く、ためになった。今日の話を持ち帰り、これからの対策や社員教育にも反映させていきたい」と感想を述べた。(榎田智司)

駅の1時間《短いおはなし》48

【ノベル・伊東葎花】 みのりが、春のあぜ道を走っている。赤いカーデガンがかわいい。畑仕事のおじいさんが、目を細めて話しかけた。 「みのりちゃん、どこに行の?」 「駅。ママを迎えに行くの」 みのりのママは都会の病院に入院していたが、今日退院して帰ってくる。 「そうか。ママが帰ってくるのか」 おじいさんは幼い背中を見送って、おばあさんに尋ねた。 「みのりちゃんは、いくつになったかな?」 「5歳ですよ」 「5歳か。かわいい盛りだ」 駅には、誰もいない。小さな無人駅だ。ベンチに座ると、どこからか髪の長いおねえさんが来た。 「お嬢ちゃん、誰か待ってるの?」 「パパとママを待ってるの。入院したママが電車で帰ってくるから」 「そう」 「おねえさんは誰を待ってるの?」 「私は、時間が過ぎるのを待ってるの」 「ふうん。こんな暗い駅より、もっといいところで待てばいいのに」 「ここじゃなきゃだめなの」 「どうして?」 「だって、ここにいれば年をとらずに済むわ」 「えっ?」 「ここでの1時間は、外での1年。ほら、浦島太郎の竜宮城みたいにね」 竜宮城は知っているけど、みのりにはピンとこなかった。 「外に出てごらんなさい。ちょうど10分過ぎたわ」 みのりが外に出ると、蒸し暑かった。今にも雨が降りそうだ。紫陽花が咲いていた。 「ね、2カ月進んで、6月になっていたでしょう」 おねえさんは、何でもないような顔で言った。 「うそだよ。電車は? パパとママは?」 「春まで待てば電車が来るわ」 「そんなのうそだ」 みのりは、外に飛び出した。 セミが鳴いていた。太陽が容赦なく照りつけて、じりじりと肌を焼く。8月だった。そして季節はすぐに秋に変わった。みのりは怖くなった。おねえさんの言うことは、本当だ。 「いいじゃない。あなたにとっての1年なんて、大したことないわ」 「いやだ。電車いつ来るの? パパとママに会いたいよ」 泣き叫ぶみのりを横目に、おねえさんは時計を見た。ちょうど1時間が過ぎた。「ああ、また春が来たわ。お嬢ちゃん、ありがとう。もういいわ」 「みのり、起きなさい」 みのりは、肩をゆすられて目を覚ました。目の前に、パパとママがいた。 「パパ、ママ」 「みのり、ひとりで迎えに来たんだね」 「待ちくたびれて眠っちゃったのね」 パパの大きな手が、みのりを抱き上げた。「ただいま、みのり」とママが笑った。よかった。パパとママ、ちゃんと帰ってきた。あれは怖い夢だった。おねえさんは、どこにもいない。 みのりは、パパとママと一緒に、あぜ道を歩いた。あれ?靴が少しきつい。赤いカーデガンの袖も、短くなっている。畑仕事のおじいさんが「退院おめでとう」と手を振った。おじいさんは、幸せそうな親子を見送って、おばあさんに尋ねた。 「みのりちゃんは、いくつになったかな?」 「6歳ですよ。もうすぐ小学生です」 何も変わらないのに、春の駅で、みのりの1年だけが奪われた。 (作家)

パブコメを「儀式」にしないために《水戸っぽの眼》10

【コラム・沼田誠】国において、SNSでパブリックコメント(意見公募)実施を告知している案件は全体の5%未満に過ぎないー。産経新聞に掲載された山田太郎元デジタル政務官の調査記事を読み、つくば市と水戸市のパブコメはどうなっているか気になりました。そこで今回は、両市の2024(令和6)年度実績を比較したいと思います。 つくばと水戸を比べると… 市民への「見せ方」には明確な差がありました。つくば市は15案件を実施し、延べ107人から439件の意見を得ています。「生物多様性つくば戦略(案)」には81件(13人)の意見が寄せられています。専門知識を持つ市民が多い土地柄もあり、行政案に対して科学的な裏付けを求める市民が多いことがうかがえます。 また、パブコメ一覧ページは、各案件の概要から「結果」までが簡単にたどれるよう整理されています。 これに対し、水戸市の募集数は33案件に上ります。しかし、一覧表を開くと、「結果の詳細については担当課へ問い合せください」という記載が目立ち、意見提出0件も散見されます。情報が見つからない、あるいは担当課に問い合わせる必要がある、という時点で、市民による意見表明の機会が「参加コストの高い閉ざされた手続き」に映ってしまいます。 SNSを活用する周知方法 SNSを活用した周知についても、両者に差が見られました。公式Xで“意見募集/意見公募”などで検索した範囲では、つくば市の公式アカウントでは「つくば市下水道事業経営戦略(案)」を除く全ての案件の告知が見つけられました。 一方、水戸市の公式アカウントでは、同条件では昨年度分のパブコメ告知を見つけられませんでした。ただ、検索仕様上の見落としや、投稿が削除された可能性はあります。これが事実であれば、かつて水戸市の広報を担当していた立場として、パブコメをSNSで必ず告知する手順を整備すべきだったと、反省せずにはいられません。 ただ改善の芽もあります。例えば「水戸市こども計画(案)」のパブコメでは、「さまざまな子育て支援制度などがあるが、ネットで探すのは困難である。水戸市のHPでは情報や答えを見つけることができない」との住民からの指摘に対して、市側が「子育てに関する情報につきましては(中略)SNSや子育て支援アプリ『みとっこ子育て応援アプリ』など、各種媒体を活用し、…広く発信してまいります」と回答しています。 このように、情報発信に課題意識を持つ部署や職員が増えていけば、パブコメ告知についても、自ずと改善が進むと思います。 行政が見落とした視点を掘り起こす 重要な施策において、行政はパブコメに先立ち、有識者らを集めた審議会を開くことが通例です。委員の選び方や、議論の実質などはさておき、審議会も経てやっとまとめられた案に、一般市民の意見で修正を加えるのは、実務者にとって心理的・手続き的なハードルが高い面もあるでしょう。 ともあれ、パブコメ(審議会も)が「行政案の追認」という、アリバイづくりに陥るリスクは常にあると言わざるをえません。しかし、パブコメは本来、形式的な手続きではありません。行政が見落としていた視点を掘り起こし、議会に対してより質の高い、吟味された議論の素材を提供するプロセスです。 パブコメを単なる「儀式」にしないため、行政機関はその実施を積極的に公開し、それに対して住民の側は意見を出し続ける―そうした地道な積み重ねこそが、地域をよりよくする土台となるのではないかと思います。(元水戸市みとの魅力発信課長)

イタリアの風は(たぶん)優しく暖かい《マンガサプリ》4

【コラム・瀬尾梨絵】今回ご紹介するのは、独特の筆致とハイセンスな世界観で、多くのファンを魅了し続けるオノ・ナツメ先生の「LA QUINTA CAMERA(ラ・クインタ・カーメラ)〜5番目の部屋~」(小学館、全1巻)。舞台はイタリアのとある街。そこにあるアパートの一室では、性格も職業もバラバラな4人の中年男性たちが共同生活を送っている。彼らの住まいには、いつも空いている「5番目の部屋」があり、短期留学生や旅人に貸し出している。そこから静かに物語は動き出す。 オノ・ナツメ先生といえば、「リストランテ・パラディーゾ」や「ACCA13区監察課」など、渋い「おじさま」を描かせたら右に出る者はいない。 本作でもその手腕は遺憾なく発揮されており、同居者は、少し気難しかったり、陽気であったり、家事が得意であったりと、それぞれに人生の年輪を感じさせる魅力的なおじさまたち。彼らが囲む食卓や、何気ない日常のやりとりを見ているだけで、読者はイタリアの石畳の上を歩いているような、心地よい異国情緒に包まれる。 この作品の最大の読みどころは、ゲストとして「5番目の部屋」にやってくる人々との交流にある。言葉も文化も違う異邦の若者たちが、一時的にこの部屋に滞在することで、住人である4人の男性たちの日常に小さくて温かい波紋が広がっていく。 この部屋を訪れる留学生たちは、それぞれに夢や悩みを抱えている。対する4人の住人たちは、彼らに過剰に干渉することなく、そっとおいしい料理を差し出したり、さりげない一言で背中を押したりと、年長者ならではの距離感で寄り添う。その交流は劇的なドラマではないが、誰かの人生がほんの一瞬だけ交差し、互いの心を少しだけ温め、また離れていく。そんな一期一会の美しさが、この作品には満ちあふれている。 心の余裕と他者への慈しみ また、オノ先生の描くイタリアの描写も絶品。シンプルながらも洗練された線で描かれる街並みやインテリア、そして何よりおいしそうな料理の数々。読み進めるうちに、淹れたてのコーヒーの香りや、温かなパニーニの食感、窓から差し込む午後の柔らかな光まで感じられるような、五感に訴えかける表現力が本作の濃度を一層高めている。 派手なアクションや奇抜な設定はないが、ここには現代人が忘れがちな「心の余裕」と「他者への慈しみ」が描かれている。読み終えた後、まるで良質な短編映画を観た後のような、清々しくも少しだけセンチメンタルな余韻に浸れるはずだ。忙しい日常に少し疲れを感じたとき、あるいは静かな夜に一息つきたいとき、ぜひ『LA QUINTA CAMERA』の扉を叩いてみてほしい。 5番目の部屋に集う人々の優しさが、あなたの心も穏やかに解きほぐしてくれるだろう。(牛肉惣菜店経営)