【鈴木萬里子】見慣れた野の花や絶滅危惧種、日本固有種などを精密に描いた「植物画の世界 三浦ひろ子個展」がつくば市竹園の筑波銀行つくば本部ビル2階ギャラリーで開かれている。初日の3日には100人近い来場者が訪れ、精密に描かれた作品の数々に感嘆の声が上がっていた。
植物画は花びら、がく片、葉の形、花や葉の色合いなどの特徴を細かく、正確に、実寸で描く。写真技術が発達する以前には植物標本として描かれていたため、精密さが要求されている。
三浦さんが描いたきっかけは、バブル期に大規模開発に伴う動植物の環境調査に関わったこと。「失われゆく動植物、特に野草に心を動かされ、確かに存在した事実を残したかった」との強い思いからだ。環境省の2017年レッドリストには、植物だけでも絶滅危惧種は2267種あるという。
個展は今回で4回目。初めて開催した時、三浦さんは「華やかな花ではなく野の花ばかりで来場者が落胆するのではないか」と心配していた。ところが「地味でも克明に描かれた野草が魅力」との声が上がり安堵したという。
会場には作品42点が展示され、そのうち14点は絶滅危惧種、準絶滅危惧種、日本固有種などだ。
熱心に作品を見ていた土浦市の70代の夫婦は「作品が素晴らしいのはもちろんだが、絶滅危惧種への取り組みに三浦さんの人間性が垣間見えて素晴らしい」と話していた。「普段見逃してしまいそうな所まで正確に描かれていて感動した」「心が穏やかになった」などの感想が寄せられているという。
◆会期は9日(月)まで、時間は午前10時~午後5時(最終日は午後3時)、土日も開催。入場無料。問い合わせは090・8873・0590(鮎澤さん)
