日曜日, 8月 23, 2026
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土浦博物館と市民の郷土史論争に市長が回答《吾妻カガミ》176

【コラム・坂本栄】土浦市立博物館から郷土史論争を拒否された市民が市の広聴窓口に質問状を送ったところ、市は博物館が執筆した反論文を同封した市長名の回答書をまとめ、同市民に郵送してきました。博物館はこの郷土史家をクレーマー(常習苦情者)扱いにして論争を拒んでいましたが、博物館を監督する市長が代わりに回答したことで、市の論争拒否姿勢は改められたことになります。

郷土史家をクレーマー視した博物館

この問題については本コラムでも何度か取り上げました。経緯、争点、私の疑問などについては下の青字部をクリックしてご覧ください。

▽論争を挑む本堂氏⇒博物館が論争拒否通告:158「…博物館が郷土史論争を拒絶!

▽本堂氏をクレーマー扱いする市⇒論点整理:159「…論争拒否…土浦市法務が助言

▽教育委担当課の論争封殺の動き⇒私の提案:163「…拒否…市民の研究者が猛反発

経緯はこういうことです。元市職員の本堂清氏が博物館の郷土史解釈に疑問を持ち、糸賀茂男館長や学芸員に何度も会って回答を求めたところ、A4版3ページの回答(23年1月30日付)が送られてきて、末尾に「…これ以上のご質問はご容赦ください。…今後は口頭・文書などいかなる形式においても、博物館は一切回答致しません…」と書かれていました。

主な争点はこういうことです。▼本堂氏:筑波山系の市北部は古くから「山の荘」と呼ばれていたvs.▼博物館:そう呼ばれるようになったのは中世以降である、▼博物館:「山の荘」は桜川南側の現つくば市北部にあった「方穂荘(かたほのしょう)」の一部だったvs.▼本堂氏:いや、「方穂荘」は桜川北側の「山の荘」までは延びていない。

市長は論争拒否を事実上取り下げ

本堂氏は3ページの回答に納得せず、市の広聴窓口「こんにちは市長さん」経由で、市長に「再検討要請」(同8月30日付)と「回答への反論」(同9月27日付)を提出しました。最初のパラグラフで触れた市長の回答(A4版1ページ、同12月14日付)は、本堂氏の要請と反論に応えたものです。

市長回答には「…現段階においては、従前と同様の質問については(博物館の)これまでの見解と相違はないため、前回以上の回答は難しいとのことです。別添1・2の2部は私が受けた報告ではございますが、ご参考までに同封させていただきます」と記載され、博物館による「市長へのご報告①」(A4版43ページ、1月回答の詳述版)と「市長へのご報告②」(同28ページ、反論への反論)が添付されていました。

広聴窓口に寄せられた市政への疑問には答えなければなりませんから、市長はA4版1ページで回答したわけです。それに、博物館が「今後…回答致しません」と通告した手前、市長が代わりに回答するという体裁を取り、博物館が作成した全71ページの報告書が添付されました。ということは、市としては論争拒否を事実上取り下げたことを意味します。

特別展「本堂vs.糸賀論争」を期待

論争拒否絡みでは、博物館に通じるルートが市役所にできました。しかし郷土史解釈では、本堂氏も博物館も相手の主張を認めていません。本堂氏は「屁理屈はこれまでと同じ。論点をズラしている箇所もある」と言っており、今回切り開いた「こんにちは市長さん」チャネルを使って博物館との論争を続けるそうです。

館長が率いる学芸員団と郷土史に詳しい研究者によるこの論争、いずれも自説を譲らず、どうやら平行線の状態が続きそうです。この際、博物館が特別展「本堂vs.糸賀論争」を企画し、争点を公開するも面白いと思います。また、館長と学芸員は研究室にこもらず、市民と議論する「サロン」を館内に設けたらどうでしょうか。(経済ジャーナリスト)

<参考>

土浦市長の回答書(23年12月14日付)

市立博物館の解答書(23年1月30日付)

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