木曜日, 4月 30, 2026
ホームつくばインドのハンセン病患者を支援 筑波大学生団体

インドのハンセン病患者を支援 筑波大学生団体

寄付募り住居5軒を建て替えへ

筑波大学の学生でつくる国際ボランティア団体「ナマステ(namaste!)つくば支部」(袴田裕菜代表=国際総合学類2年)は、インド国内のハンセン病患者への支援として、患者らのコロニー(集落)に家を建てるプロジェクトを行っている。2026年3月末をめどに計5軒の建て替えを目指す。

新規感染者が世界最多

ハンセン病は現在では完治する病だ。インドは今、ハンセン病新規感染数が世界最多と言われている。世界保健機関の調査では2021年のインド国内における新規感染者数は約7万5000人に上っている。背景にあるのは、衛生環境の問題とされる。インドでは差別がいまだ根強く、感染者や回復者、家族が暮らすコロニーが国内に点在している。数世代に渡って暮らしている場合が多いが、低賃金労働や物乞いによって生計を立てている生活者が多く、経済的問題から電気水道等のインフラも整っていないコロニーも多い。

ビシュナプールコロニーの様子。レンガや土で造られた壁が多く、壁がない部屋も多くある(同)

そうしたインドでのハンセン病患者や、後遺症や差別に苦しむ回復者を支援しようと、ナマステはもともと、2011年頃に早稲田大学の学生らによって創設された。つくば支部は15年にスタートした。同支部の創設者は当時、筑波大国際総合学類に入学した酒井美和さんで、酒井さんは21年からインドでハンセン病コロニーを支援するNPO法人わぴねす(東京都中央区)の代表理事を務めている。現在のつくば支部はわぴねすとも協力関係にあり、協同してプロジェクトを行うこともある。

直接渡航し支援

つくば支部には現在30数人が所属する。創設以来インドに直接渡航し、ハンセン病差別の問題と向き合ってきた。渡航が制限されていたコロナ禍を除き、長期休暇で授業のない3月と9月の年2回、数週間程度滞在し支援活動を行ってきた。昨年12月まで代表を務めていた生物資源学類3年の長井絢香さんは「インドにはたくさんのコロニーがある。現在つくば支部が支援している西ベンガル州のビシュナプールコロニーもその一つで、西ベンガル州の州都カルカッタから電車で4時間ほどかかる場所にある」と話す。滞在中はコロニー内の学校施設を借りて滞在する場合が多かったが、コロナ禍以後はインド政府によって禁止され、コロニー近くのゲストハウスで寝泊まりをしている。

ビシュナプールコロニーの水タンクの様子。上下水道が十分に整備されておらず、飲料水は井戸水に頼っている(同)

ビシュナプールコロニーは140人ほどが暮らすコロニーだ。村長のジョゲンナさんはハンセン病の回復者で、差別されホームレス状態にあった人たちに声を掛け共に暮らすようになり、徐々にコロニーが形成されていった。電気は通っているが極めて不安定で、飲料水は井戸に頼っている。男女比はほぼ同数で、90歳を超えた生活者もいる。23%が近隣の市場などで日雇い労働に従事し、40%が物乞い、そのほか多様な職業に就いているが「多くが低賃金労働で、生活環境は悪いまま」だと長井さんはいう。

学生としてできること

現在、つくば支部では26年3月末をめどに、ビシュナプールコロニー内の住居5軒を建て替えるプロジェクトを進めている。電気や上下水道、教育や就労などの支援ではなく、「住む家」に焦点を当てたのには理由がある。

「コロニーに行って学生の私たちに何ができるかを聞くと、真っ先に出てくるのは雨漏りがひどくて安心して眠ることができないというような住居の具体的な問題。教育や就労の問題はあまり出てこない。お金を集めて家を建て替えることももちろん容易なことではないが、教育や就労よりも具体的な事業であり、学生としてできる最大限だと思った」と長井さん。コロニー内の住居は土壁が基本で崩れやすく、壁のない部屋もある。

23年の渡航時に地元の事業者に、家の建て替え工事の見積もりを行った。1軒あたり13万ルピー、日本円にして約23万円が工事費用としてかかることが分かった。そこで寄付型のクラウドファンディングで最も緊急度の高い1軒の建て替え工事費用を募ることにした。23年の11月25日からクラウドファンディングキャンペーンをスタートさせた。12月初めには目標金額10万円に届き、最終的に19万円を集めることができた、足りない分はさらに寄付を募るなどして工面したいという。

ビシュナプールコロニーの子供たちと写真を撮る様子(同)

長井さんは「自分たちにできることは小さいと思う。それでも一歩踏み出す勇気が身に着いた。団体には行動力のある人が多くアクティブ」と話す。つくば支部での活動を経て、国際開発関係の進路を選択する学生も少なからずいる。長井さん自身も「将来は、国際的に社会の基盤を支えるような仕事に就きたい。直接的に国際開発の仕事に就きたいと考えているわけではないが、つくば支部での活動が影響を与えていると思う」と話す。

つくば支部の長期的な活動目標は、支援するコロニーを増やすことだ。つくば支部では現在、実質的に支援しているのはビシュナプールコロニーのみ。「インド国内には数多くのコロニーがある。ビシュナプールコロニーだけでなく、他のコロニーへの支援をすることを長期的な目標にしたい」と長井さんは話す。(山口和紀)

◆ナマステつくば支部のX(旧ツイッター)はこちら

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

新業態のカフェオープン つくば市の建設業者

店内にガーデニングの新技術展示、営業時間外は時間貸し検討 つくば市内の土木・建設会社が5月9日、同市羽成の会社敷地内に新業態のカフェをオープンする。ガーデニングなども手掛ける浅野物産(浅野一重社長)で、浅野弘美専務は「郊外に立地するためカフェ単独での経営は採算的には厳しいものがあるが、店内でお客様とコミュニケーションし商談につなげるなど、企業全体としての相乗効果を考えたい」と話す。 カフェ店内や店頭には、ポット栽培の花が配置される。土を用いず、頻繁に水差しをしなくても保水を長期間維持できるスポンジと瓦チップを利用したポットで、ガーデニングの新技術を紹介する。地球温暖化を考える場とも捉え、来店客に温暖化対策を施した店舗であることを説明していく。カフェが営業していない時間帯は、店内スペースを団体や個人に時間貸しするなどの使い方も検討している。近隣の観光施設「つくば牡丹園」とも連携し、ちらしを置くなど相互に協力する。 カフェの名前は「Seasons(シーズンズ)つくばカフェ」。穏やかで心温まる豊かな時間を紡ぐ場所にしたいとネーミングした。6年前、中小企業診断士から、環境に配慮したカフェをつくったらどうかとの話があり、ずっとアイデアを温めてきた。昨年、実行に移した形だ。 建物は2階建てで、1階がカフェ、2階は事務所など。カフェの店舗面積は108平方メートル。客席は室内に20席、野外に15席設置する。2025年度の事業再構築補助金の採択を受け、自社で建築した。 メニューはドリンク、軽食を中心に、スープランチ、ホットサンドなどを提供する。お薦めはフルーツティー、ハーブティ、ソフトクリームなど。 浅野専務は「ガーデンニングも建築も自社で出来るのが強み。土木と建築がハード、会社敷地内にある庭・外構展示場『ここちテリア』がソフト、カフェがハブと位置付け、相互に連携させながら相乗効果を生み出していきたい」と話す。基本が建設業であることから、「居・食・住」を通じて心地よい暮らしと人のつながりを育む場所にしたい意向だ。 5月9日 ガーデンフェスタ 5月9日のオープン当日は花木の直売イベントなど「ここちガーデンフエスタ」を開催する。フラワーマーケットのほか、端材市、重機体験、いばらき若旦那のコンサートなどが催される。浅野物産は来年65周年を迎え、ガーデニング部門のここちテリアは今年10周年を迎えることから記念のイベントとする。 同社はこれまでも、全国の花木生産者を集めて直売イベントを開くなど敷地内のここちテリアでイベントを開いてきた。浅野専務は「以前は公共事業の受注がほとんどだったが、イベントを開催するようになったら、一般のお客さんも増えた。イベントはお客さんに事業内容を知らせる良い機会。当日はみなさんに楽しんでもらいたい」と来場を呼び掛ける。 浅野物産は1992年に運送業として創業、68年建設業にも事業の幅を広げ、2016年には、理想の庭づくりを提案する「ここちテリア」を始めるなど、幅広い活動をしてきた。会社敷地内にはすでにギャラリーや貸スペースもあり、親子リトミックや園芸教室に貸し出すなど市民活動も応援している。独自の企画として年に1回「ここちガーデンフェスタ」を開催している。(榎田智司) ◆Seasonsつくばカフェは、つくば市羽成23-1の浅野物産敷地内に5月9日(土)オープン。営業時間は午前10時~午後5時。定休日は火曜と水曜。9日(土)、10日(日)、11日(月)はオープニングデー、14日(木)から通常営業。 ◆ここちガーデンフエスタは5月9日(日)午前10時~午後4時、同社敷地内ここちテリアtsukubaで開催。問い合わせは電話029-838-1128(同社)へ。

水戸市とつくば市の今年度予算を比較《水戸っぽの眼》12

【コラム・沼田誠】3月議会が議了を迎え、新しい年度の予算が固まりました。みなさんの税金が、どの事業にいくら配分されるか、自治体ごとに一斉に決まる季節。元広報担当としては、個々の項目よりも、市のトップが市民に向けて予算をどう語ったかが、とても気になります。 今回は、水戸とつくばの市長が2026年度予算をどのように語ったのかを見ていきます。その前に、両市の一般会計当初予算の大枠を確認します。水戸は1308億円で、2年連続して過去最大となりました。つくばは1227億円で、7年連続で更新してきた「過去最大」が止まることになりました。 ただ、つくばの市税歳入は593億円(+4.5%)と過去最大を更新しており、総額の減少は税収の頭打ちではなく、大型投資が一段落した結果に見えます。具体的には、TX沿線の教育施設整備が一段落しました。詳細は本サイトの記事「…つくば市26年度当初予算案」(1月30日付))をご覧ください。 対照的な両市長の「語り口」 では、両市はこの予算をどのように語っていたでしょうか。その語り口は対照的です。水戸市長は、最重要課題に「人口減少問題」を据えた上で、「選択と集中」の下、限られた財源を「みとっこ未来プロジェクト」と「若い世代の移住・定住加速プロジェクト」に重点配分すると宣言しています。 具体的には、「医療・福祉」「教育」「救急体制」「防災・減災」などの言葉が並びます。減りゆく人口に抗うために、暮らしの「今」の基礎を厚く守る構えと言えるでしょう。 一方、つくば市は「未来への持続可能な投資」をテーマに、「量的拡大から質の高いサービスへ」「誰一人取り残さない」と理念を掲げた上で、児童発達支援センター、陸上競技場、スマートモビリティ、芸術文化創造拠点などの事業を将来の果実として説明しています。 会見で市長は「新規事業に大胆な投資をするというよりは、これまで行っている事業を着実に未来へつなげていく」とし、「査定は非常に厳しくし、予算要求からはかなり削らなくてはいけなかった」とも述べました。「未来」を掲げ、「量から質への転換」として語り直す姿勢が印象的です。 事業のビルド&スクラップ さて、「SIMふくおか2030」という、自治体財政について体験するシミュレーションボードゲームをご存知でしょうか? このゲームは、福岡市を舞台に参加者が担当部長役となり、話し合いで事業を選び・削り、傍聴者のジャッジを受けながら破綻しないように予算を組むというものです。福岡市の元財政課長が各地で開いていた「出張財政出前講座」が7年前に土浦であり、私はその際に体験しました。 そこで印象に残っているのは「ビルド&スクラップ」という言葉でした。自治体の財政規模は無尽蔵ではなく、社会の変化や災害などの緊急事態に対応するには、既存事業を止めざるをえない状況もありえます。ある政策を行うということは、別のある政策を行わないということと、意識的に判断しているのです。 「今を守る」vs.「未来を強調」 「今」を守る水戸市、「未来」を強調するつくば市。その結果、予算に載らなかったものは何か? 予算を見るとき、そのことにも想像力を向けてみる必要があると思います。(元水戸市みとの魅力発信課長)

おおい、ツバメよ 来てくれないのか《鳥撮り三昧》12

【コラム・海老原信一】築48年の我が家。古くなり傷んではきたが、それなりに心地よく暮らせている。玄関の右隅上方にベニヤ板の棚が取り付けられている。設置してから7~8年は経つが、ツバメに来てほしくて用意した営巣用棚だ。 だが来てくれない。なぜなのかと思いながら、毎年見ては寂しくなる季節がやってきた。家主はそれなりに心地よく暮らせているが、ツバメには気に入ってもらえないようだ。 庭先の電線に止まっては、ジュリ、ジュリと鳴く姿は見えるのに、あと3メートル先のこの物件で営巣してほしい。確かに、巣作りに必要な泥を採れる場所がこの近くにはない。田んぼとか、湿地のような湿った土がないと、巣作りは難しいようだ。諦めるより仕方がないのか。 巣立ち間もない子ツバメ 17年ぐらい前、花室川中流域でのこと。川の途中に石を敷き詰め、流れに変化をつけてある場所が一定の距離ごとに設置されている。その一つの下流に橋が架かっており、暑い盛りの季節、その上に通い詰めたことがある。 敷き詰めた石が流れを変化させると、そこにはいろいろな堆積物が集まる。ごみなどもあるのだが、小さな生き物たちもおり、魚がそれを目当てに集まってくる。その魚を狙ってサギが飛来する。敷石の上で水面を見つめ、くちばしを水中に打ち込み魚を捕らえる。 空振りになることの方が多い。だからだろうか、納得するまで頑張る。似たようなものかと思いながら、観察と撮影を続ける私。 それにしても暑いとつらくなり、少し動いてみようかと川下側に歩き出したとき、1本のヨシが揺れるのに違和感を覚えた。おや何だろうと視線を凝らす。そこに、3羽の巣立ち間もない子ツバメが止まっている。 1本のヨシに3羽も止まれるなんて、鳥の体は軽くできている。ヨシも細い見掛けとは違って柔軟なんだと、感心をしながら眺めていた。急に子ツバメたちが騒がしくなったと思ったら、すぐに親ツバメが現れた。 くちばしの先には虫を捕らえている。そうか、そういうことか。親の飛来をいち早く察知し、我先に食べ物を受け取ろうとアピールする子ツバメたち。そこに遠慮は存在しない。親は公平に与えようとするのだろうか、それともアピール度の強い子に傾くのだろうか。 希望を捨てない家主 自然界のおきては私たちが考える以上に厳しく、それでもうまく収まる柔軟さもあると思わせる一幕を見ることができた。そこへ誘導してくれた暑さにも感謝だ。 そんなやり取りを身近で見たいと設置した玄関先の棚。自身がツバメならどうだろうか? ここでしばらく暮らしてみようと思える場所なのだろうか? それでも希望を捨てたくない家主なのだが…。(写真家)

柵が倒れ女子児童けが つくばカピオ前広場

26日午後1時30分ごろ、つくば駅近くの同市竹園、市の複合施設、つくばカピオ前の広場で、広場に設置されたスロープと広場を隔てる鉄製の柵に女子児童(8)が手を掛けたところ、柵がスロープ側に倒れ、児童は足などを打ってけがを負った。 市芸術文化推進課によると、倒れた柵は高さ79センチで、長さ4.35メートルにわたって3ブロックが倒れた。女子児童は市内から家族と遊びに来ていて、柵に体を向けて手でにぎっていたところ、柵と一緒に正面から倒れたという。同課によると、柵に腐食はみられず、溶接部分がはがれたことが原因とみられるという。 柵はカピオと同じ1996年に建築された。指定管理者のつくば市文化振興財団(同市竹園)が施設の管理などを実施し、定期的に点検などを実施しているが、柵がぐらついていたなどの異常は確認されていなかったという。 市文化振興財団は、女子児童の保護者に謝罪した上、施設の点検や安全確認を改めて実施した。倒れた箇所や同様の柵がある箇所については現在、カラーコーンを設置し、近寄らないよう注意喚起する張り紙を掲示している。 市は、当該施設の点検を徹底し、安全対策や注意喚起を行うなど再発防止に努めるとしている。