月曜日, 2月 23, 2026
ホームつくばつくばに花咲く 匠の技に触れるイベント開催

つくばに花咲く 匠の技に触れるイベント開催

14日、つくばセンター広場

科学の街・つくばで活動する、優れた技を持つ職人や芸術家らにスポットを当てるイベント「つくば音楽祭・つくばな匠」が14日、TXつくば駅前のつくばセンター広場(同市吾妻)で開催される。会場に設けられたステージでのライブ演奏とともに、職人たちがブースを構え、ワークショップや作品を通じて匠の技に直接触れることができる機会となる。

市内で家屋のリフォームや家具制作業を営む主催団体「MSO」の山崎誠治さん(68)は「昨年開催した『つくば音楽祭』に続くイベントで、その技術や歌声を肌で感じてもらいたい」とし、「今年はさらに『職人』にスポットを当てたかった。つくばで活躍する高い技術を持つ人たちと市民の出会いに場になれば」と企画への思いを語る。

県内唯一の刀匠

つくばで技術を磨く宮下さん=つくば市蓮沼、筑波鍛刀場

カン!カン!カン!

「筑波鍛刀場」(つくば市蓮沼)で、赤く焼けた鉄の塊に手槌(てづち)を振り下ろすのは、刀剣作家の宮下正吉さん(38)。甲高い金属音が室内に響くたびにオレンジ色の火花が跳ね上がる。宮下さんが行うのは、水で濡らした金敷の上で高温の鉄を叩く「水打ち」という作業。熱した鉄の表面に溜まる酸化鉄や不純物を水蒸気で飛ばし、表面を綺麗にするためのものだ。「火の仕事は手早くやる必要がある。限られた時間でいかに集中するかが大切」だと、額ににじむ汗を拭う。

宮下さんは、日本美術刀剣保存協会主催の「新作名刀展」で、2013年に新人賞と努力賞を受賞するなど高い評価を得てきた。刀鍛冶になるためには刀匠資格を有する刀鍛冶の下で5年以上修業し、文化庁主催の「美術刀剣刀匠技術保存研修会」を修了する必要がある。現在日本国内にいる刀匠は約250人。高齢化などによりその数は減り続けている中で、宮下さんは県内唯一の刀匠だ。

小学2年で奈良県からつくば市に家族と転居すると、茗溪学園中・高を経て群馬大学に進学し、超伝導に関する研究をした。日本刀との出合いは大学在学中。ある展覧会で人間国宝の故・大隈俊平の作品を見て「鉄そのものがもつ美しさ」に魅了された。卒業後は、正倉院に納められた刀子や稲荷山古墳から出土した鉄剣など古刀の復元を手がける刀匠・宮入法廣氏に弟子入りし、刀剣作家としてのキャリアをスタートさせた。「ふるさと」であるつくば市で工房を構えたのは2014年。以来、筑波山を望む田園地帯で美術刀剣を手がけている。

つくばでは、理系のキャリアを生かして物質・材料研究機構(NIMS)の鉄素材に関する研究に協力したり、中・高で所属していた吹奏楽部の仲間らと定期演奏会を開くなど、地域に根ざした活動をしている。

作品作りに欠かせないものとして師から伝えられたのは、「感じることの大切さ」だ。「それは『五感を鍛える』こと。幼少期から眺めてきた筑波山の麓で、自然に囲まれ仕事ができるのは何よりの環境」だと語る。イベントでは、金槌と鏨(たがね)を使い自分の名前をステンレスの板に刻む「銘切り」のワークショップを開催し、ネームプレートを作成する。「作業に触れてもらうことで、僕が抱いた感動を皆さんにも知ってもらいたい」と話す。

「参加型」作品で木の魅力を伝える

取手市の井野団地を利用した、取手市と東京芸大、URによる「井野アーティストヴィレッジ」にアトリエを構えるつちやさん=取手市井野、井野アーティストヴィレッジ

「木そのものが持つ音色だけでなく、加工の仕方で音の響きが変わるんです」

木による音の魅力をこう話すのは、つくば市在住の木工作家・つちやあゆみさん(41)。木材による大小さまざまな歯車やレール、木球を複雑に組み合わせ、それらがぶつかったり、転がったりしながら響かせる音や、木そのものの感触を大切にした作品を作っている。

今回のイベントに出展するのは、つちやさんの代表作である、人の背丈ほどの大型木琴「輪唱の◯(輪)」。階段状の本体の各段に木琴の鍵盤を1枚ずつはめ、上から木球を転がすことで鍵盤が鳴り、一つの曲を奏でる作品だ。2体で1組となる本作品は左右対称にできていて、設置の仕方でS字や円状に木琴の姿を変えられる。その曲線の内側に立つことで、木と木の柔らかい音が身体の周りを駆け巡るのを体感できるのも特徴だ。「日常の中に優しい時間をつくりたい」。そんな思いを込めた作品だと、つちやさんは話す。

同作品は2012年、凸版印刷社による無印良品のプロモーション企画で採用され、世界三大広告賞の一つとされる「One Show(ワンショウ)」のインタラクティブ部門「One Show Interactive(ワンショウ インタラクティブ)」でメリット賞を受賞した。

つちやさんが作品作りを始めたのは、会社勤務を経て2008年に進学した多摩美術大学でのこと。建築系の学部に入り、「ある空間に人が集まり行動することで、そこにどんな場が創造されるのか」を研究した。卒業制作では「実際に触れるものを作りたい」と木材を取り入れ、肌触りや音など木が持つ魅力に引き込まれた。

「輪唱の○(輪)」を訪れる人は、見るだけでなく、自由に鍵盤を入れ替えて、自分で好きに「作曲」や「演奏」ができる。作品がこうした「参加型」であることも、「空間」「場作り」を学んだつちやさんのこだわりだ。「作品があることで、そこに集まる人の間で思っても見ない行動やコミュニケーションが生まれることがある。お客さんが参加することで作品が完成する」。そのために、より自由に触れてもらえるよう丈夫さと安全性も重視する。

「音の作品」を作る背景にあるのが、幼少期に出会ったある作品だった。それは、自動で音を奏でる、モーターで動く鉄琴だった。つちやさんはその音に引き込まれながら、「好きに鍵盤をはめ替えて、自分の好きな曲を作れたらいいのに」と思ったという。

「見ているだけより自分も何かしたい。作品を使っている人が主役であって欲しい。自分が主役なのって楽しいじゃないですか」と微笑むと、「大人も子どもも楽しめる作品です。自由に触れて、遊んでもらえたら」と当日の来場を呼びかける。

つちやさんが展示する「輪唱の◯(輪)」。自由に鍵盤をはめ替えることで、大人も子どもも自由に曲を作ることができる(つちやあゆみさん提供)

その他、「つくばな匠」には、つくば市や国内外で活動する三味線奏者で和楽器職人の深田有馬さんや、市内在住の画家・上渕翔さん、染色家の飯塚優子さんによる「ぷにの家」、牛久市の人形映像監督・飯塚貴士さんら9組がブースを構える。

「つくば音楽祭」では、マリンバやジャズバンドをはじめ、ウクライナ、インドネシア、フィリピンなど国際色豊かな演奏とともに、三味線、人形浄瑠璃など14組がステージに上がる。(柴田大輔)

◆「つくば音楽祭・つくばな匠2023」は、10月14日(土)午前11時~午後5時、つくば市吾妻1-10-1 つくばセンター広場で開催。入場は無料。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

2 コメント

2 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

イタリアの風は(たぶん)優しく暖かい《マンガサプリ》4

【コラム・瀬尾梨絵】今回ご紹介するのは、独特の筆致とハイセンスな世界観で、多くのファンを魅了し続けるオノ・ナツメ先生の「LA QUINTA CAMERA(ラ・クインタ・カーメラ)〜5番目の部屋~」(小学館、全1巻)。舞台はイタリアのとある街。そこにあるアパートの一室では、性格も職業もバラバラな4人の中年男性たちが共同生活を送っている。彼らの住まいには、いつも空いている「5番目の部屋」があり、短期留学生や旅人に貸し出している。そこから静かに物語は動き出す。 オノ・ナツメ先生といえば、「リストランテ・パラディーゾ」や「ACCA13区監察課」など、渋い「おじさま」を描かせたら右に出る者はいない。 本作でもその手腕は遺憾なく発揮されており、同居者は、少し気難しかったり、陽気であったり、家事が得意であったりと、それぞれに人生の年輪を感じさせる魅力的なおじさまたち。彼らが囲む食卓や、何気ない日常のやりとりを見ているだけで、読者はイタリアの石畳の上を歩いているような、心地よい異国情緒に包まれる。 この作品の最大の読みどころは、ゲストとして「5番目の部屋」にやってくる人々との交流にある。言葉も文化も違う異邦の若者たちが、一時的にこの部屋に滞在することで、住人である4人の男性たちの日常に小さくて温かい波紋が広がっていく。 この部屋を訪れる留学生たちは、それぞれに夢や悩みを抱えている。対する4人の住人たちは、彼らに過剰に干渉することなく、そっとおいしい料理を差し出したり、さりげない一言で背中を押したりと、年長者ならではの距離感で寄り添う。その交流は劇的なドラマではないが、誰かの人生がほんの一瞬だけ交差し、互いの心を少しだけ温め、また離れていく。そんな一期一会の美しさが、この作品には満ちあふれている。 心の余裕と他者への慈しみ また、オノ先生の描くイタリアの描写も絶品。シンプルながらも洗練された線で描かれる街並みやインテリア、そして何よりおいしそうな料理の数々。読み進めるうちに、淹れたてのコーヒーの香りや、温かなパニーニの食感、窓から差し込む午後の柔らかな光まで感じられるような、五感に訴えかける表現力が本作の濃度を一層高めている。 派手なアクションや奇抜な設定はないが、ここには現代人が忘れがちな「心の余裕」と「他者への慈しみ」が描かれている。読み終えた後、まるで良質な短編映画を観た後のような、清々しくも少しだけセンチメンタルな余韻に浸れるはずだ。忙しい日常に少し疲れを感じたとき、あるいは静かな夜に一息つきたいとき、ぜひ『LA QUINTA CAMERA』の扉を叩いてみてほしい。 5番目の部屋に集う人々の優しさが、あなたの心も穏やかに解きほぐしてくれるだろう。(牛肉惣菜店経営)

戦争と差別に反対 若者たちがスタンディングデモ つくば駅前

選挙結果に危機感 2月8日投開票の衆院選で与党が大勝した結果を受け、戦争や差別への懸念を訴える若者たちが21日、「戦争と差別 もうたくさん!」などと書かれたポスターを手に、つくば駅前のつくばセンター広場で街頭に立った。外国にルーツを持つ若者を中心に80人余りが、それぞれが抱く経験や思いを語りながら、「声を上げ続けることの大切さ」を訴えた。 大学院生が呼び掛け スタンディングデモを呼び掛けたのは、つくば市在住の大学院生、ハナさん(25)。日本とナイジェリアにルーツを持ち、つくばで生まれ育った。2週間前の衆院選で、与党の自民党が大勝した結果について、「自分にとっては衝撃的だった。食べ物は高く、賃金は低い。毎日生活が苦しい状況で、軍事費を上げようとする。日本が戦争に向かっているように感じた」と語る。 ハナさんは、近年強まっていると感じる排外主義や差別に対する危機感も、デモ開催の理由の一つだという。ハナさん自身も、生活の中で差別を感じた経験がある。物件を探していた際、「アフリカ系のハーフだから難しい」と断られたことがあり、不動産業界でも外国人風の人を断る家主が増えていると説明されたことがある。 選挙戦の中では、つくば駅前で外国人排斥を訴える候補者を見ることもあった。「多様な人が暮らすつくばで、外国人を追い出せという声があるのは悲しい。ネット上でも差別的な言葉をよく見るようになった。それが訂正されないまま広がっているのが怖い」とし、「外国人や性的マイノリティ、女性など弱い立場の人が切り捨てられ、スケープゴートにされ、対立があおられていると感じる」と話す。 中高生らも参加 デモには多様な背景を持つ学生が参加した。中国で生活し、現地で反日デモを目撃した経験を持つ中学2年の参加者は「今の日本の状況には複雑な気持ちがある」と話す。「日本人だけど、中国語が話せるというだけで嫌なことをされたり、言われたりしたことがある。それはおかしいと思う」。一方で、多様な言語や文化に触れる経験は自分の世界を広げたとも語り、「いろんな人を受け入れる社会になってほしい」と訴えた。 市内在住の高校3年ジボフスキー・ニキータさんは、「外国人への嫌悪と闘いたいと思って参加した」と話した。同じく高校3年のマッコイ・キリアンさんは「私の家族も差別を経験してきた。差別のない平和な世界をつくっていきたい」とし、高校2年の荒木茉莉花さんは「戦争や差別のない世界にしたい。一つの国のことを語るにも、その国の中にもいろいろな立場の人がいることをしっかり考えなくてはいけない」と、国や立場によって単純に善悪を決めつけない視点の大切さを強調した。 「市民運動の力示したい」 ハナさんは、2年前から仲間たちと声を掛け合い、パレスチナ連帯を訴えるスタンディングを毎月開催してきた。そこで感じてきたのが今回のデモのテーマの一つでもある「市民運動の力」だとし、「選挙結果を見ると、みんなが差別に賛成しているように見えるかもしれない。でも、実際には反対している人は多い。パレスチナに関してもそう。その声を見える形にしたかった」と話す。また、外国にルーツを持つ人が政治について発言すると批判されることがあるとしながら、「日本に住んでいる人なら誰でも、差別は嫌だと言う権利がある」と強調し、「裏金問題や統一協会との関係など、批判されるべきものが批判されないまま、憲法改正が押し進められようとしている。私たちは、そんなこと望んでいない。差別は嫌だ、戦争は嫌だという当たり前のことを、当たり前に言える社会にしたい」と訴えた。 会場には、通行人も自由に思いを書き込めるように付箋と大型の模造紙が用意された。スピーチも誰でもできるようにし、「みんなの声を可視化する場にしたい」という思いが込められた。 来場した牛久市の細谷一明さん(62)は「23歳と17歳の子どもがいるが、彼らを戦争に行かせたくない。雰囲気に流されないよう、声を上げることが大切」と語った。(柴田大輔)

新党「中道」はこれからどうなる《文京町便り》49

【コラム・原田博夫】唐突に始まり、2月8日が投開票日だった総選挙は、自民党の歴史的大勝で、高市早苗首相の賭けは見事に当たった。急ごしらえの野党第一党、中道改革連合は壊滅し、議席数では3分の1に落ち込んだ。これほどのコントラストは、国民一般のみならず永田町の消息通や選挙プロも、事前には予想できていなかった。 実体のなかった新党「中道」の敗北を受けて、共同代表の野田佳彦(旧、立憲)氏と斉藤鉄夫(旧、公明)氏は責任を取り、ともに退任。敗退の原因は解明しきれず、「中道」の認知度も低いままだが、その新代表に小川淳也氏(香川1区、54歳)が選出され、幹事長には階毅維氏(盛岡1区、59歳)が指名され、新執行部が発足。翌18日には、特別国会で首相に指名されて、第2次高市内閣が発足した。 しかし、衆院を基盤とする中道は存在するも、参院では立憲と公明は継続し、国会議員総体では3党の連絡協議の場が設けられることになった。さらに、1976年総選挙以来の慣例で第2会派に当てられてきた衆院副議長ポストに関しては、打診された立憲・元代表の泉健太氏(京都3区、51歳)が拒否したため、石井啓一氏(比例北関東、67歳)が就くことになった。 気になる政治家、小川新代表 というわけで、新党・中道の船出は甚だ厳しい。小川新代表は、不退転の覚悟で議論を尽くして党内融和を図り、18日の議員総会では「巨大与党の権力の横暴や怠慢は絶対に許さない。権力監視の先頭に立つ」と言っているが、このスタイルは旧来の野党色を引きずっている印象がある。こうした対決色は果たして、有権者とりわけ20~40歳代にどれだけ届くだろうか。言い換えれば、無党派層に刺さるだろうか。 ここ数年の国政選挙で、国民民主、維新、参政、みらいなどの一点突破型新党が順繰りにそれなりの議席を確保してきたことを踏まえると、その時々のテーマやイシューに躊躇(ちゅうちょ)なく取り組む、進取性が求められる気がする。そうした潮目の変化を「つかむ」「引き出す」柔軟さと戦略性こそが、巨大与党に対峙(たいじ)するには必要ではないか。 たまたま私は、小川新代表と2000年ごろ、ロンドンで交流があり、その誼(よしみ)で夏の週末、リッチモンド野外で開かれたコンサートを家族連れで楽しんだことがある。 その時の小川氏の真摯(しんし)かつ謙虚な言動に感心し、政界に転じた後も折々の活躍を気にしてきた。この際、経済学者リカードの比較優位(自分の相対的に優位な分野に特化すべし)原理に基づいて、ご自分のキャラクターと年来のスタイルを貫き、かつグローバルに激動の時代の息吹を感じ取る柔軟性を発揮してもらいたい、と祈る。(専修大学名誉教授)

雪と氷とコハクチョウ《鳥撮り三昧》10

【コラム・海老原信一】今回の題は「雪と氷とコハクチョウ」ですが、北国に行けば普通に見られる光景です。県南地域ではどうでしょう。寒さが募る1~2月、時々雪が降り、公園の池や沼も結氷します。洞峰公園の沼でも、日陰になる場所の雪や氷が溶けることなく、厚さを増すことがあります。そんなときはカモたちの様子を楽しめます。 しかし、ゼロではありませんが、つくば市の洞峰公園の沼にハクチョウが飛来することはあまりありません。20数年前に数羽の飛来を確認できたのに、連続しての飛来がなかったのは残念です。 水戸市の大塚池や旧瓜連町の古徳沼は、ハクチョウの飛来地として知られています。土浦市の乙戸沼もハクチョウの飛来を楽しめる場所です。私の記憶では、主にコハクチョウでしたが、数羽で飛来したハクチョウが20~30羽に増え、多いときには90数羽にもなりました。 私が観察を始めてから数年、20羽前後で飛来していました。しかし、ここ数年は減っており、「気候温暖化」の影響かなと思っています。少なくなったものの、今でも12月末には飛来し、乙戸沼を散策する人たちは、2月中旬ぐらいまでハクチョウを楽しめます。 ところが、2025年12月末~26年1月初旬、その姿が見られませんでした。この原稿を書いている1月18日には飛来しているのか、分かりません。近日中に行ってみるつもりです。 降雪後の晴れて冷えた朝 乙戸沼でのことですが、「雪と氷とコハクチョウ」を経験できたことがあります。22年1月の雪が降った後の晴れて冷えた朝、水面は全面結氷。コハクチョウが数羽、岸近くの日が当たりそうな氷の上に身を伏せ、じっとしていました。 長い首を水中に差し込み、水底の水草の根などを食べる彼らにとって、氷が解けないことには食事ができません。人が与える食べ物を得るにしても、足元が氷では思うように動けません。身を守る上でも不利と思っているのでしょう。ひたすら氷解を待っていると、私は見ていました。 こういったコハクチョウの様子をうれしそうに見ている私を、彼らは「ひどい奴だ」と思っていたかもしれません。それでも「これからも来てほしい、楽しませてほしい」と、彼らの飛来を願っている私。そのために何ができるのかを考えながら、野鳥の観察を続けたいと思っています。(写真家) 追記:1月20日、11羽の乙戸沼飛来を確認し一安心。