火曜日, 6月 17, 2025
ホームつくば災害ボランティアのトレセン来春開所 日本財団つくば研究所跡地

災害ボランティアのトレセン来春開所 日本財団つくば研究所跡地

国内初、技術系エキスパートを育成

つくば市南原、日本財団つくば研究所跡地の一部に、日本財団ボランティアセンター(東京都港区、山脇康会長)が「災害ボランティアトレーニングセンター」を開設する。重機の操縦など専門知識をもった技術系ボランティアを育成したり、災害復旧に必要な重機やダンプ、資機材を配備して災害現場に貸し出すなどする。来年3月か4月に開所する予定だ。技術系の専門知識をもつ災害ボランティアを育成するトレーニング施設は国内初という。

研究所跡地約5万7000平方メートルのうち約5000平方メートルに整備する。現在、芝生の広場になっている敷地北側の運動場を重機操作などのトレーニング場とする。さらに来春までに研修室などの建物と、重機を駐車する車庫などを整備する。建物の規模や重機の配備台数、スタッフが常駐するかどうかなどの詳細は今後検討するという。

地震や土砂崩れなどが発生した場合、災害現場という特殊な環境で重機を操縦し、がれきや土砂を撤去したり、屋根の上など高所で作業したりなど、技術があり経験を積んだ人材が必要になることから、重機、ダンプ、資機材を配備して、操縦方法の講習会を開催し人材を育成する。

日本財団(東京都港区、笹川陽平会長)から敷地の一部を借りて、同財団ボランティアセンターが整備し、運営する。

講習会で、機体を持ち上げて段差を乗り超える方法を学ぶ消防士=23日、つくば市南原

開所に先だって23日同跡地で、消防士を対象に、重機の操縦方法を学ぶ「技術系災害ボランティア 重機操縦エキスパート講習会」が初めて開かれた。消防士の普段の仕事とは別に、休日にボランティアで災害現場に駆け付け、災害ボランティア活動をしている東北や関東の消防士らが参加し、災害現場を想定した重機の操縦方法のほか、段差の超え方、坂道の上り方や下り方などの方法を学んだ。25日まで3日間開催し、県内のほか山形、福島、埼玉、千葉などの消防士が各日約10人ずつ講習を受ける。

23日、休日を利用して講習会に参加した茨城西南広域消防本部(古河市)総和消防署当直隊長の小倉尚敏さん(47)は「災害現場で実際に重機を動かしボランティア活動をしている人から教わる機会はなかなかないので、貴重な経験になる。災害時にボランティアチームの一員としてお手伝いできたら」と話す。

講習会の講師を務める山形県の置賜広域行政事務組合消防本部消防司令補の我妻清和さん(40)は「参加者は人助けをしたいという気持ちで参加している。重機は危険を伴う作業なので、操縦方法を覚えるだけでなく、これをやったら危険だということを理解してもらえたら」と話す。来春開所するトレーニングセンターについては「重機がない消防署も多いと思うので、訓練施設ができるとボランティア活動のスキルをもった人が増える。とても重要な活動拠点になると思う」と話す。

技術系講習会は、今年秋から毎月1回程度開催し、重機の操縦方法のほか、倒木を除去するためのチェーンソーの使い方など資機材の操作方法の講習会なども実施する予定という。

同研究所跡地をめぐっては、新型コロナの感染拡大が始まった2020年4月、感染拡大による医療崩壊を防ぐ目的で日本財団が同跡地に約9000床の軽症者向け病床を整備すると発表し(2020年4月5日)、地元の五十嵐立青つくば市長が受け入れに難色を示した経緯がある(同4月6日)。一方、同年5月から8月に、研究所内にあった角水槽棟や回流水槽棟などの研究施設が解体、撤去され更地になった(同5月22日付)。

今年1月から2月末までは、日本財団から無償で土地の貸与を受け、県が200床規模の臨時の医療施設と、自家用車に乗ったまま1日300人がPCR検査を受けることができる発熱外来を開設した(22年12月2日付27日付)。県の医療施設と発熱外来施設はその後撤去され、現在、つくば研究所跡地は更地になっている。(鈴木宏子)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

1コメント

コメントをメールに通知
次のコメントを通知:
guest
最近NEWSつくばのコメント欄が荒れていると指摘を受けます。NEWSつくばはプライバシーポリシーで基準を明示した上で、誹謗中傷によって個人の名誉を侵害したり、営業を妨害したり、差別を助長する投稿を削除して参りました。
今回、削除機能をより強化するため、誹謗中傷等を繰り返した投稿者に対しては、NEWSつくばにコメントを投稿できないようにします。さらにコメント欄が荒れるのを防ぐため、1つの記事に投稿できる回数を1人3回までに制限します。ご協力をお願いします。

NEWSつくばは誹謗中傷等を防ぐためコメント投稿を1記事当たり3回までに制限して参りましたが、2月1日から新たに「認定コメンテーター」制度を創設し、登録者を募集します。認定コメンテーターには氏名と顔写真を表示してコメントしていただき、投稿の回数制限は設けません。希望者は氏名、住所を記載し、顔写真を添付の上、info@newstsukuba.jp宛て登録をお願いします。

1 Comment
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

知的障害児のためのデザイン《デザインを考える》21

【コラム・三橋俊雄】今回は、知的障害を持つAさん(12歳)が主人公です。AさんはADL(日常生活動作)の大部分が未発達な女の子で、食事、排せつ、コミュニケーションなどに介助が必要です。一方でAさんは、泣き出す前に歌う歌があり、音を集中して聞くことができるなどの特徴があります。そこで、AさんのADLを向上させ、母親の介護負担を減らすために、教育や訓練がどのようにAさんの能力を生かせるかを検討しました。以下、お母さんのAさんに対する「願い」と、そのデザインについてお話しします。 「お母さん」と呼んでほしい Aさんは、初め、「カレーライス」「お風呂」「お水」などの簡単な言葉が言える程度でした。しかし、絵本を毎日読み聞かせる実験を3週間ほど行った結果、絵本にある言葉(226文字、40単語以上)を覚えることができました。そこで、Aさんと母親を登場人物として「お母さん」という言葉を多用した絵本を作成し(上図左)、その絵本の読み聞かせを繰り返すことで、自分から「お母さん」と言えるようになることを願いました。しかし、結果はまだ道半ばでした。 「うんち」を教えてほしい まず、トイレに入ることを嫌がるAさんと一緒に、トイレの壁やドアを楽しいデザインで飾ることにしました(上図右)。フェルトでできた「大きな木」をドアに貼り付け、トイレに行くたびにフェルトの花を1つずつ追加して飾ることで、トイレに入ることへの抵抗を減らしていきました。また、オムツを脱ぐシーンから排せつ物をトイレに流すシーンまでをナレーションしたビデオを見てもらい、「排せつ行為」を意識してもらう実験を行いました。その結果、Aさんがカーテンの後ろで「うんち出た」と言い、トイレで排せつできたことがありました。 続けて食事をしてほしい 食事は、お母さんがスプーンですくってAさんに食べさせていたため、すくう動作をAさんに覚えさせることが必要と考えました。まず、音の出るビー玉やピンポン球などを箱に入れて、スプーンですくう訓練を行いました(下図左)。また、1人で食べ続けることができないAさんのために、スプーン置き(凹み)が4つあるお皿をデザインしました(右図)。左手でお皿を握れるように太い取っ手を付け、食材をすくいやすいように底を少し傾斜させました。この食器を3Dプリンターで製作し(下図右)、Aさんに使ってもらったところ、食材の乗った4つのスプーンから1つを選び、4回続けて食事をすることができました。 大げさに言えば、この食器によって、お母さんがAさんの口に料理を運ぶ手間が少し軽減されたということです。こうして、知的障害のあるAさんに様々なデザインアプローチをすることで、ADLの向上と、お母さんの「願い」を、少しですがかなえることができたのではないかと思いました。(ソーシャルデザイナー)

コメが集まらない…家庭に協力呼び掛け 21日 松見公園で学生食料支援 つくば

コメや野菜が高騰し物価高が続く中、筑波大学近くのつくば市天久保、松見公園で21日に予定されている「学生食料支援」にコメや野菜が集まらず、主催者の「民主青年同盟茨城県委員会」(吉田翔代表代理)がコメや野菜の提供を呼び掛けている。 約200人の大学生らを対象にコメを2キロずつ無償提供する予定で、400キロを目標に集めているが、16日時点でまだ70キロほどしか集まっていない。野菜なども十分な量が集まっておらず、主催団体は「各家庭にあるコメ2キロを1袋にしてご協力をお願いいただけないか」「知り合いの農家に野菜の提供をお願いしていただけないか」など協力を呼び掛けている。 コメや野菜の配布はこれまで県南地域の約20戸の農家が無償で協力してきた。コメの高騰が続く中、協力農家の倉庫にもコメが減り、提供が難しい状況になっているという。野菜も協力農家がネギ、レタス、キャベツなどを軽トラック1台分持ってきてくれていたが、今回は収穫時期と合わないなどから提供が難しい。 コロナ禍に始まる 松見公園での学生食料支援はコロナ禍の2020年12月に始まった。農家などから無償で提供を受けたコメや野菜を無償で配布してきたほか、市民からのカンパで、スパゲティー、レトルトカレー、缶詰などの食材のほか、生理用品、トイレットペーパーなどの日用品を市内のスーパーで購入し、大学生らに無償配布してきた。コロナ禍、アルバイトが減り生活が苦しくなった大学生らを支援しようと市民団体「学生応援プロジェクト@つくば-PEACE(ピース)」が開始、計10回実施され22年6月に終了した。 その後、物価高が続いていることから、仕送りが減ったり、アルバイトで大変な一人暮らしの大学生らを支援しようと、2023年11月に民主青年同盟県委員会が主催して学生食料支援を再開、コロナ禍に松見公園で食料配布を手伝った「学生応援プロジェクトPEACE」のメンバーだった市民らも手伝っている。 主催者が変わって2回目の今年4月26日実施の食料支援には約250人の筑波大生らが列をつくった。コメは130人分260キロしか用意できず、他の食料などもわずか1時間で無くなった。途中、カップ麺などを追加で購入して約20人に配布することができたが、約100人は何も受け取ることができず帰った。このままでは申し訳ないと、21日に3回目の食料支援を実施する。 同県委員会の稲葉英樹さんは「いろいろ手を尽くしているが、まだまだ物資が足りておらず、皆様のお力が頼り。ご連絡をいただければ受け取りに伺いますし、ぜひご協力をお願いします」と呼び掛けている。(鈴木宏子) ◆学生食料支援は21日(土)午前10~12時、つくば市天久保1-4、松見公園で開催。雨天の場合は公園の建物内で実施する。物資提供の協力はメールhide.flhtc@gmail.com、電話080-4462-0118(稲葉さん)へ。 ➡松見公園での食料支援の過去記事はこちら

50年前と50年後の7月5日《映画探偵団》89

【コラム・冠木新市】50年前の1975年7月5日、東映の『新幹線大爆破』が公開された。当時、パニック洋画がはやっており、それをまねて大作映画として企画される。脚本は、小野竜之助と監督の佐藤純彌である。それまで鉄道映画を何本も製作してきた東映だが、あまりにも衝撃的な内容のため、国鉄は製作協力を拒否し、独力で製作せざるを得なかった。 当然、新幹線のシ一ンは特撮やセットで作るわけだが、そのころ東映企画調査部でアルバイトをしていた私は、上手くいくかなと半信半疑で眺めていた。 東映スターの高倉健は脚本にほれ込み、出演料を下げてまでの参加だった。豪華なキャストをそろえ大宣伝をくり広げ、青春映画『ずうとるび 前進!前進!大前進!!』と2本立て公開となる。作品の出来は素晴らしかった。ひかり109号に爆弾が仕掛けられ、時速80キロ以下になると爆発する。東京-博多間をノンストップで走り続けなければならない。 倒産した町工場の社長・沖田(高倉健)らの爆弾犯。犯人とやりとりする国鉄の運転指令官・倉持(宇津井健)。倉持の指示を受けながら必死に運転する新幹線運転士・青木(千葉真一)。この3者を軸に、乗務員と乗客、犯人を追う刑事の行動がテンポよく描かれ、2時間32分、一瞬も飽きさせることなく作られていた。新幹線の特撮もよく出来ていた。 この年のキネマ旬報ベストテンで第7位、読者選出ベストテンでは第1位を獲得する。評価は高かったのだが、しかし興行的にはヒットせずにコケてしまう。その後、高倉健は東映を離れることになる(コラム57参考)。 翌1976年は、日本映画界にとって画期的な年となる。角川書店が映画製作に乗り出し、『犬神家の一族』を大ヒットさせ、1本立て公開が主流となっていくからだ。年末には、海外向け短縮版『新幹線大爆破』1時間40分バ一ジョンが公開された。これはフランスなど各国で大ヒットしての凱旋興行だった。 オリジナル版との違いは、犯人側の動機を描く場面をばっさりカット、アクションとサスペンスで押し切る構成で、東映の岡田茂社長がオリジナル版よりよいと大絶賛したといわれる。 私もさらにスピードアップされ面白いと思ったが、どちらに軍配を上げるか迷った。観客の好みも分かれていたと思う。しかし私はオリジナル版の犯人の心情を描いた方がしっくりきた。今思えば、このころから日本映画の流れも好みも変化し始めたのではなかろうか。そうそう、海外短縮版の凱旋興行もヒットしなかったが、『新幹線大爆破』の評価は年々高まっていく。 リメイク版『新幹線大爆破』 2025年。樋口真嗣監督によるリメイク版『新幹線大爆破』がNetflixで配信された。私はまだ見ていないが、1975年版の続きの設定だそうだ。50年前とは異なり、JR東日本も製作協力したという。時代の変化を感じさせる。 2025年7月5日、公開50周年を記念して、オリジナル版『新幹線大爆破』が丸の内TOEIで特別上映されることになった。また、7月5日に大災害が起こるとの情報が(科学者がデマだと否定しているにもかかわらず)現在ネットで盛んに流れている。あれから50年。パニックが噂されている現実の中でパニック映画を見るわけだ。 我々は『新幹線大爆破』の世界に生きている。いずれにしても、時代の替わり目を迎えているのは確かである。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)

被害女性の父親、つくば市議に説明求め陳情 示談金遅延めぐり

昨年10月のつくば市議選で初当選した榊原アリーゼ市議(29)=緑粋会=が、2018年と20年につくば市内で、当時大学生だった女性にけがを負わせた事件の示談金支払いが遅延した問題をめぐって、女性の父親(62)が、遅延理由の説明や少額訴訟手付金の支払いなどを求める陳情書を、同市議会6月定例会議に出していることが分かった。 父親は千葉県流山市の会社経営者。当時娘は大学生でつくば市内で一人暮らしをしていた。榊原市議と知り合い、付き合うようになったという。 陳情書などによると、榊原市議は市議になる前の2018年に、女性の顔などを殴り約2週間の安静加療を要するけがを負わせた。20年には同市内のアパートで、女性の顔や胸などを殴り約1週間の安静加療を要するけがを負わせた。20年当時、刑事事件になったが、裁判の途中、示談し、女性側が告訴と被害届を取り下げた。 取り下げた理由について父親は、当時、榊原市議はローンを組んで車を購入することができなかったことから、娘が身代わりとなって娘名義でローンを組み、約300万円の車を購入して榊原市議が乗っていた。任意保険に加入しておらず、事故を起こされた場合、娘に責任が及ぶのを避けたかったなどとしている。 示談内容は、榊原市議は2018年と20年に娘に多大な肉体的、精神的苦痛を負わせたことを深く謝罪する、今後娘には一切連絡をとらない、娘名義の車を引き渡す、示談金として100万円を21年2月までに分割で5~20万円ずつ支払うなど。 父親によると、車のローンは榊原市議が毎月娘に渡していた。示談後、車は引き渡されたが、ローンが200何十万円残っていた。父親はすぐに車を売却したが150万円ほどでしか売れず、100万円以上を負担などした。 示談金の支払いについては、最初の20万円はすぐに振り込まれたが、21年9月に7万円が振り込まれ、その後は月に数千円から数万円が振り込まれただけだった。21年9月から23年3月までに延べ17回計15万7000円が支払われ、以降は振り込みが途切れた。 つくば市議に当選したことを知った父親は今年に入り、榊原市議に対し弁護士を通じて、今年3月末を期限に示談金の残金の支払いを再度催促した。たびたびの催促により今年1月21日、40万円が振り込まれた。 さらに残金について、期限とした今年3月末まで待ったが、榊原市議からは振り込みも説明もなかった。4月に入って父親は、少額訴訟を起こそうと弁護士に16万5000円の手付金を払って訴状の作成などを依頼した。簡易裁判所に訴えを起こす直前の5月17日、榊原市議から遅延延滞金も含めた残金の約40万円が振り込まれた。示談書の支払い期限から4年3カ月、市議になってから半年が経過していた。 父親は「もう時すでに遅し。この間、かすみがうら市や柏市、取手市の市議選に立候補しており、供託金30万円を出すお金や(立候補する市町村に居住するための)引っ越し費用はあったはず。人間として、議員として、責任を果たしてほしい」と語る。 榊原市議はNEWSつくばの取材に対し「お話することは何もありません」としている。 陳情は市議会への要望やお願いで、同市の場合、紹介議員がいる請願とは異なり、常任委員会などで審議されたり採決されることはない。陳情書は議員全員に配布され、ホームページなどで公開される。(鈴木宏子)