金曜日, 4月 10, 2026
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長屋門みちあるき 6月から5コースで開催 つくば建築研究会

長屋門が点在するつくば市内の集落を訪ね歩く「長屋門みちあるき」を、NPOつくば建築研究会(同市谷田部・坊垣和明理事長)が6月から本格的に開催する。同会が取り組んでいる長屋門保存活用事業「もん泊」の活動紹介の一環として、来年1月まで計5回開催し5つのコースを歩く。

つくば市内には、江戸時代から明治期にかけて建てられ、農家や商家の物置兼住居として使われた長屋門が200軒以上ある。長屋門の新しい価値を創造し保存しようと、同会は、長屋門を改装して宿泊機能を与える「もん泊」事業を提唱している(2020年9月9日付同9月27日付)。

「みちあるき」は長屋門を広く紹介するため、どのような集落に点在するかを実際に訪ね歩く。現在の使われ方や状態を観察し、つくば市内に埋もれている古い道筋を楽しんでもらうウォークイベントだ。2022年夏から試行してきた。4回目となった今年1月は小田城址から筑波山神社まで、15カ所の長屋門を見学しながら約14キロを歩いた(1月9日付)。

これまでに開催された長屋門みちあるきの様子

今年度は5回を予定し、各コースごとに長屋門みちを設定する。併せて地域の歴史的遺構を探訪するほか、都市部と農村部の自然環境の変化を体感してもらう。6月から開催する5コースは▷一の矢~若森縣庁跡付近▷若森縣庁跡付近~北条▷北条~菅間▷菅間~上大島▷筑波山口~筑波山神社。メーンターゲットは、つくば市周辺に住む人を中心とし、都内からの参加も期待している。

同研究会の永井正毅副理事長は「長屋門の所有者について例を挙げると、地域の歴史含め長屋門の建設経緯などについて講演し発表されたご当主を始め、家主が元市役所職員で地域貢献に積極的な考えを持つ方、子供が集まれるような地域貢献ができたらよいと考える所有者などがいらっしゃる。個人情報に関わるため毎回どこに所在する長屋門を訪ねるかは具体的に説明できないが、実際に『みちあるき』をしながら郊外の各地域の原風景を楽しんでいただきたい。当日家主と対話できれば、長屋門が地域資源として活用できる可能性を多くの人と考えていきたい」と話す。(鴨志田隆之)

◆参加費は各回2000円。全5回の参加希望者は計8000円で、もん泊のロゴがプリントされたTシャツを頒布する。1回目の参加権販売は6月10日に同市栗原の古民家レンタルスペース下邑住宅で開かれる邑マルシェで実施し、この日にTシャツも披露する。イベント予定は直前に変更、中止の場合もある。問い合わせはNPO法人つくば建築研究会(電話029-886-8039、Eメール)へ。

2023年開催予定の「長屋門みちあるき

  開催日   時間集合場所、コース等
6月17日(土)13:00~17:00一の矢~若森縣庁跡付近
7月15日(土)13:00~17:00若森縣庁跡付近~北条
11月11日(土)13:00~17:00北条~菅間
12月16日(土)13:00~17:00菅間~上大島
1月6日(土)13:00~17:00筑波山口~筑波山神社

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「おひたじ」のまち土浦《くずかごの唄》156

【コラム・奥井登美子】 「土浦は『おひたじ(醤油=しょうゆ)のまち』と聞いていたけれど…」 「うちの隣りのあの大きな倉も、昔、醤油を作っていたらしいわ」 「おひたじ、使い過ぎですよ。漬物にまでかけるのね」 私の母は明治時代、京橋で生まれて育った人。醤油のことを「おひたじ」と言っていた。常陸の国の「ひたち」が下町風になまって、「おひたじ」になったらしい。 私が3人目の女の子を出産したときだった。奥井家の親戚の男の人から「女っぱら…」と言われ、私は何のことやら、さっぱりわからなかった。家が重んじられた江戸時代、女の子ばかり産んでいる母親を「差別用語」でそう呼んだらしい。 まだそのような差別用語が、土浦には残っていたのかと、びっくりした。 醤油ジャブジャブの夫 私の夫、奥井清は94歳まで日本山岳会に入っていて、山登りを楽しみながら、明るく、たくましく生きて、天国にみまかった。 彼は76歳のとき、東京のお茶の水で大動脈解離を起こし、救急車で当時の東京医科歯科大学病院に運ばれた。大動脈の中膜が脳へ行く1センチ下からの解離で、脳味噌も何とか機能を保持しながら退院ができた。 3人の娘たちは、子育てしながら仕事をしていたが、介護の私を実に細かくサポートしてくれた。「女っぱら…なんて言われたけれど、女の子が3人いて本当によかった」。彼はしみじみとそう言って、3人の娘たちに感謝していた。 退院のときに医者から強く言われたのは、食事の塩分制限だった。お醤油をジャブジャブ使う夫の舌を、どうやって改造し、塩分を減らしていけばいいのか、私は途方にくれてしまっていた。 千葉大学病院で胃がんの手術をしていた外科医だった兄も、「大動脈解離の後、いつ何が起こるか分からない状態だから、2人とも覚悟して生活を変えなさい」と、心配してくれた。 医者の言うことは聞いてくれるが、私が言えば反発するに違いない。当時、霞ケ浦医療センターに栄養指導の部門があったので、そこへ2人で通院することにした。(随筆家、薬剤師)

「水エンジン」量産へ 東大発 宇宙ベンチャーがつくばに生産拠点

小型人工衛星向けの推進機(エンジン)を開発する東京大学発の宇宙ベンチャー、ペールブルー(Pale Blue 本社・千葉県柏市、浅川純社長)がつくば市内に建設していた「つくば生産技術開発拠点」の開所式が8日、大井川和彦知事、五十嵐立青つくば市長ら関係者30人余りが参加して催された。同施設では、同社が開発した「水」を推進剤とする独自のイオンエンジンの量産に向け、技術開発から製造、検査、出荷までを1カ所で完結させる。 拠点は、つくばエクスプレス(TX)万博記念公園駅周辺の工業地域に立地する。鉄骨造3階建て、敷地面積は約1900平方メートル。当初は25年8月の操業開始を予定していたが、実際の稼働は今年2月となった。 用地は県が土地区画整理事業を実施したTX沿線の上河原崎・中西地区内で、県有地をペールブルーが約9800万円で落札し、取得した。土地取得費を含む総事業費は約16億円。成長産業の本社や研究所などの誘致を目的とした県の企業立地促進補助金に、2023年12月に採択された。補助見込額は約1億5000万円。主に人材の雇用に対する奨励金として活用される。 施設内には、真空状態となった内部で機器の試験を行う真空チャンバー、振動試験機、クリーンルームなどの主要な設備があり、推進機の生産技術開発から最終検査・出荷までを自社で完結できる「一気通貫」の体制を構築した。 拠点は今年2月に稼働を開始し、現在は約15人が勤務する。生産拡大に合わせて段階的に人員を増やし、将来的には最大60人体制を目指す。生産技術や品質管理、調達などものづくり関連の人材を中心に採用を強化している。 県プロジェクトの目玉企業 ペールブルーは2020年、東大大学院で航空宇宙工学を専攻した浅川さんら研究者4人が創業した。従来の推進剤には毒性の高いヒドラジンや、希少で高額なキセノンが使われ、取り扱いに制約があった。これに対し同社は、安全で調達が容易な水に着目し、水蒸気やプラズマを噴射して推進力を得る独自の推進機「水イオンエンジン」を開発した。エンジンの重量は、水を含めて約1.5キロ、大きさは約10センチ四方と、従来型では難しかった小型化を実現。浅川さんは水の利点として「安全性、入手性、コスト」の3点だと説明する。2025年9月には宇宙空間で水イオンエンジンを稼働させることに、世界で初めて成功した。 同社が開発する推進機は、ロケットで打ち上げられた人工衛星が宇宙空間で切り離された後に初めて役割を発揮する装置で、推進剤となる水を宇宙空間に噴射し、その反動で衛星を動かす仕組みだ。機能は大きく四つある。衛星を目的の軌道に送り届ける「軌道投入」、空気抵抗や重力の影響で生じる軌道のずれを定期的に修正する「軌道維持」、運用を終えた衛星を大気圏に落下させる「軌道離脱」、増加が問題となっている宇宙ごみ(スペースデブリ)との「衝突回避」だ。 近年は多数の小型衛星を連携させて運用する「衛星コンステレーション」が急速に広がり、年間数千機規模の打ち上げが続く。衛星の数だけ推進機が必要となるため、需要は世界的に増加している一方で、供給が追いついていないと浅川さんは言う。 県は2018年、JAXA(宇宙航空研究開発機構)と連携し宇宙ビジネスに取り組むベンチャー企業などを支援する「いばらき宇宙ビジネス創造拠点プロジェクト」を立ち上げた。大井川知事は開所式で「宇宙開発は新たな段階に入りつつある。つくばを中心に宇宙ビジネスに貢献できる企業を集積したい。ペールブルーはプロジェクトの中でも目玉の企業であり、県としてしっかりと支援していく」と述べた。 五十嵐市長は「世界から注目されるペールブルーの新拠点がつくば市にオープンしたことを光栄に思う」と歓迎し、約4年前から欧州の宇宙産業をリードするルクセンブルクの機関と連携協定を結び、市内のスタートアップを現地に派遣するプログラムを実施しており、ペールブルーの海外展開についても支援する意向を示した。(柴田大輔)