水曜日, 2月 25, 2026
ホームつくば富岡町出身者の交流団体立ち上げ 小園治さん、喜英子さん【震災12年】

富岡町出身者の交流団体立ち上げ 小園治さん、喜英子さん【震災12年】

福島県富岡町出身の小園治さん(72)と喜英子さん(67)は、つくば市の研究学園駅に近い新興住宅地に2016年から夫婦2人で暮らす。翌17年には、つくば市内に住む30世帯ほどの富岡町出身者に声を掛け、避難者同士が交流し親睦を深める「つくばさくら会」を立ち上げた。現在コロナ禍で活動を休止しているが、3カ月に1回ほど集まり、芋掘り、ブルーベリー摘み、料理教室 ボウリングなどのイベントを開催してきた。

「おなかの底から笑えるのは地元の人じゃないと。かしこまらなくて済むし」と喜英子さん。「富岡から来て、外に出にくかったり、自宅にこもりがちになっている人に声を掛けて、少しでも外の空気を吸ったりして、皆で楽しんでいる」と治さんは話す。

「つくばに来て、右も左も分からなかったが、外に出て何かやらなきゃいけないと、筑波大学のゴルフ講座に申し込んでそこで友達ができた」と治さん。喜英子さんは「つくば市役所の相談窓口で卓球サークルを紹介してもらって卓球を楽しむようになり、今も週1回、谷田部総合体育館で続けている。夫婦で大穂交流センターのいきいき体操教室に参加したお陰で友だちも増えて、『畑やらない?』って誘われて、豊里の畑でジャガイモをつくったりしている」と話す。

ただ、今年に入り、配偶者の死をきっかけに「ここにいる意味が分からない」と、福島県内に土地を見つけ、引っ越していった会員もいるという。

車庫の車の中で一夜

12年前の3月11日、喜英子さんは、福島第1原発から8キロほど離れた富岡町で、次女と2人で暮らしていた。夫の治さんは当時、電力会社の関連会社に勤務し、神奈川県川崎市の会社寮に単身赴任。東京電力社員の長男は、大熊町の社員寮に入り、BWR(沸騰水型軽水炉)の運転員を養成するためのBWR運転訓練センターで研修を受けていた。

次女は隣の双葉町役場で保健師として勤務していた。3月11日は送別会の予定があり「なるべく早く帰っておいで」と言って次女を送り出した。しかし次女と再会できたのは1週間後。保健師の次女は町民と一緒にバスでさいたまスーパーアリーナに避難し、さいたまで次女の無事を確認することができた。

余震が続く3月11日、近所の人たちは近くの体育館に避難した。次女と連絡がとれない中、喜英子さんは「娘が帰ってきたら自分を探すのではないか」と、車庫に止めてあった車の中で、時折エンジンをかけてラジオを聞きながら、一夜を過ごした。

翌日、避難するよう言われ、着の身着のまま隣接の川内村の小学校に避難した。すぐに帰宅できるだろうと、飼っていたビーグル犬を庭先につないだまま、容器に水とえさをいっぱい入れて自宅に残した。

避難先で、福島市の友人と電話がつながり「水は無いけど電気があるからうちにおいで」と誘われ、川内村の避難所から福島市の友人宅に2泊した。栃木県の那須塩原駅までなら新幹線が通っていることが分かり、タクシーで那須塩原まで行き、震災から5日後、東京駅で治さんと会うことができた。その後は治さんが単身赴任する川崎市のワンルームの寮に身を寄せた。

町民と医師の板挟みに

次女は双葉町民と共にさいたまスーパーアリーナから加須市の旧騎西高校に避難し、保健師として勤務を続けた。夜中、次女から喜英子さんに電話がかかってきたことがあった。社会人1年目だった次女は、住民と医師の板挟みになり憔悴している様子で、トイレの個室から泣きながら電話を掛けてきた。

数日後、休暇をとるよう夫婦で次女を迎えに行ったところ、男性用のももひきをはき、よれよれの格好をして、咳込んでいる次女の姿があった。次女はその年の7月に双葉町役場を退職、都内の大学病院や総合病院で勤務した。

感動の再会

富岡町の自宅は当時、居住制限区域に指定された。一時帰宅した際、自宅の駐車場にビーグル犬を保護したと書かれた動物愛護団体の貼り紙が貼ってあった。喜英子さんは一人になる日中、インターネットを検索し、ビーグル犬を探し始めた。

やがて「ブルーの真新しい首輪をしたよく吠える犬です」と紹介された被災犬のサイトを見つけた。掲載されていた写真は飼い犬そっくり。同じ川崎市内の動物病院にいることも分かり、そんなに吠えるなら飼い犬に違いないと、翌日、動物病院に見に行った。

朝早かったことから、動物病院はシャッターが閉まっていて、犬の鳴き声もせず静かだった。すると看護師が犬を3頭ほど連れて散歩から戻ってきた。そのうちのビーグル犬が喜英子さんを見つけて突進してきて、ワンワン吠ながら喜英子さんの顔をぺろぺろなめ、感動の再開を果たした。

喜英子さん夫婦は単身寮から駅近くのマンションに引っ越していたが、犬を飼うことはできず、千葉県内に住む長男の妻の実家で引き取ってもらうことになった。ビーグル犬はその後、2016年8月まで生き、17歳で死んだ。「最期は幸せだったと思う」と治さんはいう。

根無し草ではいられない

2015年2月、富岡町で近所だった喜英子さんの同級生が、つくば市内に住む長女と同居することになり、「日中何もしてないから、つくばに遊びにおいで」と連絡があった。初めてつくばに来た喜英子さんを、友人があちこち案内してくれ、分譲住宅を見て回った。

治さんは翌年1月に会社を退職することが決まっていた。富岡町の自宅はすでに解体していた。再び治さんとつくばの分譲住宅を見に行き、「1人でも知っている人がいたら心強い」と2カ月後、つくばに家を購入することを決め、治さんが退職した16年1月、つくばに転居した。

「家が決まるまでは夢中で、私たちどうなっちゃうんだろう、いつまでも根無し草ではいられないと、気持ちばかり焦っていた。どこかに落ち着かなきゃ、腰をすえなきゃと、富岡のことは考えられなかった」と喜英子さんは当時を振り返る。「今つくばに落ち着いてみると、富岡で生まれ育ち、富岡で子育てをして、富岡しか知らない私にしてみると、なんで富岡に帰る選択をしなかったのかなとも思う」とともいう。

富岡町の家は解体したが、お墓が残る。治さんは千葉県柏市出身。長男だったので、富岡町に家を建てたとき、千葉の両親のお墓を富岡町に移した。喜英子さんは「もしものことがあったら、富岡のお墓に入れてねって、子どもたちには言ってある」という。(鈴木宏子)

終わり

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

1コメント

1 Comment
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

最新の脅威動向と防御策学ぶ つくばでサイバーセキュリティ対策セミナー

関彰商事 近年、企業や自治体を狙ったサイバー攻撃は高度化、巧妙化しており、身代金を要求するランサムウェア被害や情報漏えい事故が相次いでいる。こうした状況を受け、最新の脅威動向と具体的な防御策を学ぶ「サイバーセキュリティ対策セミナー」を関彰商事(本社・筑西市・つくば市、関正樹社長)が県内4カ所で開いている。そのうちの一つ、つくば会場のセミナーが24日、ホテルグランド東雲で開かれ、企業経営者や情報システム責任者など約70人が熱心に受講した。 第1部は身近なサイバーセキュリティ被害対策と題し、同社ビジネストランスフォーメーション部の江幡博康部長が実際の被害事例を紹介した。 同社の子会社であるセキショウキャリアプラスは昨年、不正アクセスの被害を受け、約1万5000人分のデータが漏えいした(25年10月10日付)。江幡部長は「ダーク・サイトに名簿が流出している」という第3者からの報告で分かったと話し、「突き詰めてみると脆弱なプログラムを使っているとか、不要なデータを管理できていなかったというような反省点があった」「当たり前のことを実行しているかどうかということが大事」だなどと述べ、「うちは絶対大丈夫だと思わず、対策にもコストをかける必要がある」と話した。 第2部は「サイバー攻撃の手口の紹介・デモンストレーション、サイバー犯罪の現状と被害防止対策」と題し、県警本部生活安全部サイバー企画課の白土哲也警部が講演した。 白土警部は、セキュリティ対策の基本や、情報セキュリティの個人情報の窃取などの具体的な脅威を紹介し、ランサムウェアなどを詳しく解説した。デモンストレーションでは2台のディスプレイを用い、攻撃側と被害側に分けて、具体的にどうやって侵入するのかを見せた。 その上で「アサヒグループホールディングスやアスクルのように充分な対策をとっている大企業でも被害を受けることがある。100%守り切れるわけでないが、充分な対策をとっていく必要がある」と説明した。さらに「サイバーセキュリティ対策は経営者の関与が大事」だとし、「対策の不備により、法的・道義的責任が問われるなど経営に大きな影響を与える。経営資源の投入と具体的な指示が必要」だと訴えた。 もしウイルス感染や不正アクセス、情報漏えいなどのセキリティインデントが発生したらどうするのかー。白土警部は「ネットワークを切断する、情報システム部と責任者に報告する、最後は警察に通報することになる」などと話した。 受講した物流業「明送」(守谷市)の一ノ瀬慶一社長は「具体的にサイバー攻撃のデモを見せてもらって、分かりやすくて良かった。ある程度の対策をしてきたが、評価を見直し、社員教育にも力を入れていきたい」と話した。福祉機器メーカー「幸和義肢研究所」(つくば市)の山野井勉製造部長は「今回のセミナーはセキュリティの重要さなど分かった多く、ためになった。今日の話を持ち帰り、これからの対策や社員教育にも反映させていきたい」と感想を述べた。(榎田智司)

駅の1時間《短いおはなし》48

【ノベル・伊東葎花】 みのりが、春のあぜ道を走っている。赤いカーデガンがかわいい。畑仕事のおじいさんが、目を細めて話しかけた。 「みのりちゃん、どこに行の?」 「駅。ママを迎えに行くの」 みのりのママは都会の病院に入院していたが、今日退院して帰ってくる。 「そうか。ママが帰ってくるのか」 おじいさんは幼い背中を見送って、おばあさんに尋ねた。 「みのりちゃんは、いくつになったかな?」 「5歳ですよ」 「5歳か。かわいい盛りだ」 駅には、誰もいない。小さな無人駅だ。ベンチに座ると、どこからか髪の長いおねえさんが来た。 「お嬢ちゃん、誰か待ってるの?」 「パパとママを待ってるの。入院したママが電車で帰ってくるから」 「そう」 「おねえさんは誰を待ってるの?」 「私は、時間が過ぎるのを待ってるの」 「ふうん。こんな暗い駅より、もっといいところで待てばいいのに」 「ここじゃなきゃだめなの」 「どうして?」 「だって、ここにいれば年をとらずに済むわ」 「えっ?」 「ここでの1時間は、外での1年。ほら、浦島太郎の竜宮城みたいにね」 竜宮城は知っているけど、みのりにはピンとこなかった。 「外に出てごらんなさい。ちょうど10分過ぎたわ」 みのりが外に出ると、蒸し暑かった。今にも雨が降りそうだ。紫陽花が咲いていた。 「ね、2カ月進んで、6月になっていたでしょう」 おねえさんは、何でもないような顔で言った。 「うそだよ。電車は? パパとママは?」 「春まで待てば電車が来るわ」 「そんなのうそだ」 みのりは、外に飛び出した。 セミが鳴いていた。太陽が容赦なく照りつけて、じりじりと肌を焼く。8月だった。そして季節はすぐに秋に変わった。みのりは怖くなった。おねえさんの言うことは、本当だ。 「いいじゃない。あなたにとっての1年なんて、大したことないわ」 「いやだ。電車いつ来るの? パパとママに会いたいよ」 泣き叫ぶみのりを横目に、おねえさんは時計を見た。ちょうど1時間が過ぎた。「ああ、また春が来たわ。お嬢ちゃん、ありがとう。もういいわ」 「みのり、起きなさい」 みのりは、肩をゆすられて目を覚ました。目の前に、パパとママがいた。 「パパ、ママ」 「みのり、ひとりで迎えに来たんだね」 「待ちくたびれて眠っちゃったのね」 パパの大きな手が、みのりを抱き上げた。「ただいま、みのり」とママが笑った。よかった。パパとママ、ちゃんと帰ってきた。あれは怖い夢だった。おねえさんは、どこにもいない。 みのりは、パパとママと一緒に、あぜ道を歩いた。あれ?靴が少しきつい。赤いカーデガンの袖も、短くなっている。畑仕事のおじいさんが「退院おめでとう」と手を振った。おじいさんは、幸せそうな親子を見送って、おばあさんに尋ねた。 「みのりちゃんは、いくつになったかな?」 「6歳ですよ。もうすぐ小学生です」 何も変わらないのに、春の駅で、みのりの1年だけが奪われた。 (作家)

パブコメを「儀式」にしないために《水戸っぽの眼》10

【コラム・沼田誠】国において、SNSでパブリックコメント(意見公募)実施を告知している案件は全体の5%未満に過ぎないー。産経新聞に掲載された山田太郎元デジタル政務官の調査記事を読み、つくば市と水戸市のパブコメはどうなっているか気になりました。そこで今回は、両市の2024(令和6)年度実績を比較したいと思います。 つくばと水戸を比べると… 市民への「見せ方」には明確な差がありました。つくば市は15案件を実施し、延べ107人から439件の意見を得ています。「生物多様性つくば戦略(案)」には81件(13人)の意見が寄せられています。専門知識を持つ市民が多い土地柄もあり、行政案に対して科学的な裏付けを求める市民が多いことがうかがえます。 また、パブコメ一覧ページは、各案件の概要から「結果」までが簡単にたどれるよう整理されています。 これに対し、水戸市の募集数は33案件に上ります。しかし、一覧表を開くと、「結果の詳細については担当課へ問い合せください」という記載が目立ち、意見提出0件も散見されます。情報が見つからない、あるいは担当課に問い合わせる必要がある、という時点で、市民による意見表明の機会が「参加コストの高い閉ざされた手続き」に映ってしまいます。 SNSを活用する周知方法 SNSを活用した周知についても、両者に差が見られました。公式Xで“意見募集/意見公募”などで検索した範囲では、つくば市の公式アカウントでは「つくば市下水道事業経営戦略(案)」を除く全ての案件の告知が見つけられました。 一方、水戸市の公式アカウントでは、同条件では昨年度分のパブコメ告知を見つけられませんでした。ただ、検索仕様上の見落としや、投稿が削除された可能性はあります。これが事実であれば、かつて水戸市の広報を担当していた立場として、パブコメをSNSで必ず告知する手順を整備すべきだったと、反省せずにはいられません。 ただ改善の芽もあります。例えば「水戸市こども計画(案)」のパブコメでは、「さまざまな子育て支援制度などがあるが、ネットで探すのは困難である。水戸市のHPでは情報や答えを見つけることができない」との住民からの指摘に対して、市側が「子育てに関する情報につきましては(中略)SNSや子育て支援アプリ『みとっこ子育て応援アプリ』など、各種媒体を活用し、…広く発信してまいります」と回答しています。 このように、情報発信に課題意識を持つ部署や職員が増えていけば、パブコメ告知についても、自ずと改善が進むと思います。 行政が見落とした視点を掘り起こす 重要な施策において、行政はパブコメに先立ち、有識者らを集めた審議会を開くことが通例です。委員の選び方や、議論の実質などはさておき、審議会も経てやっとまとめられた案に、一般市民の意見で修正を加えるのは、実務者にとって心理的・手続き的なハードルが高い面もあるでしょう。 ともあれ、パブコメ(審議会も)が「行政案の追認」という、アリバイづくりに陥るリスクは常にあると言わざるをえません。しかし、パブコメは本来、形式的な手続きではありません。行政が見落としていた視点を掘り起こし、議会に対してより質の高い、吟味された議論の素材を提供するプロセスです。 パブコメを単なる「儀式」にしないため、行政機関はその実施を積極的に公開し、それに対して住民の側は意見を出し続ける―そうした地道な積み重ねこそが、地域をよりよくする土台となるのではないかと思います。(元水戸市みとの魅力発信課長)

イタリアの風は(たぶん)優しく暖かい《マンガサプリ》4

【コラム・瀬尾梨絵】今回ご紹介するのは、独特の筆致とハイセンスな世界観で、多くのファンを魅了し続けるオノ・ナツメ先生の「LA QUINTA CAMERA(ラ・クインタ・カーメラ)〜5番目の部屋~」(小学館、全1巻)。舞台はイタリアのとある街。そこにあるアパートの一室では、性格も職業もバラバラな4人の中年男性たちが共同生活を送っている。彼らの住まいには、いつも空いている「5番目の部屋」があり、短期留学生や旅人に貸し出している。そこから静かに物語は動き出す。 オノ・ナツメ先生といえば、「リストランテ・パラディーゾ」や「ACCA13区監察課」など、渋い「おじさま」を描かせたら右に出る者はいない。 本作でもその手腕は遺憾なく発揮されており、同居者は、少し気難しかったり、陽気であったり、家事が得意であったりと、それぞれに人生の年輪を感じさせる魅力的なおじさまたち。彼らが囲む食卓や、何気ない日常のやりとりを見ているだけで、読者はイタリアの石畳の上を歩いているような、心地よい異国情緒に包まれる。 この作品の最大の読みどころは、ゲストとして「5番目の部屋」にやってくる人々との交流にある。言葉も文化も違う異邦の若者たちが、一時的にこの部屋に滞在することで、住人である4人の男性たちの日常に小さくて温かい波紋が広がっていく。 この部屋を訪れる留学生たちは、それぞれに夢や悩みを抱えている。対する4人の住人たちは、彼らに過剰に干渉することなく、そっとおいしい料理を差し出したり、さりげない一言で背中を押したりと、年長者ならではの距離感で寄り添う。その交流は劇的なドラマではないが、誰かの人生がほんの一瞬だけ交差し、互いの心を少しだけ温め、また離れていく。そんな一期一会の美しさが、この作品には満ちあふれている。 心の余裕と他者への慈しみ また、オノ先生の描くイタリアの描写も絶品。シンプルながらも洗練された線で描かれる街並みやインテリア、そして何よりおいしそうな料理の数々。読み進めるうちに、淹れたてのコーヒーの香りや、温かなパニーニの食感、窓から差し込む午後の柔らかな光まで感じられるような、五感に訴えかける表現力が本作の濃度を一層高めている。 派手なアクションや奇抜な設定はないが、ここには現代人が忘れがちな「心の余裕」と「他者への慈しみ」が描かれている。読み終えた後、まるで良質な短編映画を観た後のような、清々しくも少しだけセンチメンタルな余韻に浸れるはずだ。忙しい日常に少し疲れを感じたとき、あるいは静かな夜に一息つきたいとき、ぜひ『LA QUINTA CAMERA』の扉を叩いてみてほしい。 5番目の部屋に集う人々の優しさが、あなたの心も穏やかに解きほぐしてくれるだろう。(牛肉惣菜店経営)