土曜日, 2月 7, 2026
ホームつくば企業も参加 飲食店やキッチンカーで【広がる子ども食堂】5

企業も参加 飲食店やキッチンカーで【広がる子ども食堂】5

飲食店が子ども食堂を開くなど、企業参加型の取り組みも現れ始めている。

つくば市天久保の中国料理店、百香亭筑波大学店は、月2回土曜日の昼間、1日30食限定で無料の弁当を配布する「百香亭みんなの食堂」を実施している。

利用は子どもから現役世代、高齢者まで年齢制限はない。筑波大学が近いことから大学生の利用も多い。2月初め、店頭に「みんなの食堂」の看板が出された同店では、成人の男性が無料弁当を注文していた。店内で数分待ち、スタッフからあたたかい弁当を受け取る。同店がテイクアウトで販売している600円の弁当と同じ大きさの器に中華のおかず3品とごはんが入っている。この日のおかずはにんにくの芽と豚肉の炒め物にたけのこの和え物、シュウマイ。

茨城ロータリーEクラブ会員でもある同店の徐佳鋭さん(41)は「奉仕活動として地元の子どもたちに何かできることをしたいと思い活動を始めた。年齢を問わず、来ていただける方には配布している。温かいものを食べてほしいのでお弁当は注文を受けてから作っている。毎回来る人もいるので、飽きないようにおかずの内容は変えている」と話す。できるだけ長く続け、多くの人に支援を広げるのが目標という。

百香亭みんなの食堂は昨年7月から始めた。つくば市が年間最大10万円を補助する市内8カ所の子ども食堂「みんなの食堂」の一つだ。配布時間中はみんなの食堂の看板を出しているが、最初は3~4個ほどの注文しかなかった。昨年9月に市の情報広報誌「かわら版」にみんなの食堂の情報が掲載されると徐々に来店者が増え、毎回30食が無くなるようになった。活動資金は市の補助金のほか、茨城ロータリーEクラブとロータリー財団が支援している。

「こちらから行けばいい」

高見原地区の催しに出店したキッチンカーによる移動式子ども食堂=つくば市高見原、2丁目会館

つくば市高見原の2丁目会館で2月初め開催された地域の催しに、キッチンカー(移動販売車)を活用した移動式子ども食堂が出店し、ボリューム満点のハンバーグ丼やローストビーフ丼がふるまわれた。

この催しは、高見原を含む市内8つの周辺市街地の地域振興を目的にした市主導の実践型プログラムで、同市香取台在住の岡冨陽子さん(44)のアイデアが採用され、移動式子ども食堂と消防車をメーンに地域住民の交流促進や防災力を高めようという催しが実施された。

出店したキッチンカーは普段、都内のイベントなどで肉料理を販売している。この日は子ども50食、大人約100食分が提供された。子ども向けのハンバーグ丼は無料だ。

イベントを企画した岡冨陽子さんは青森県出身。筑波大を卒業し、10年前から子どもを対象にしたオンラインの料理教室「食育料理教室 ふくふく」を主宰している。

子ども食堂にも興味を抱いていたが「本当に支援を必要とする子どもが来ないのが悩み」という運営者の話にむなしさを感じ、運営する側も利用する子どもも、双方が満足できる仕組みはないのかと思案していた。そして出会ったのが、埼玉県熊谷市のNPO法人あいだの奥野大地副理事長が発案し、同市で2019年にスタートさせた全国初のキッチンカーによる移動式子ども食堂だった。「固定の店舗だと遠すぎたり、貧困家庭と思われるから行きづらいといった子どもが出てしまう。困っている人が時間をかけて来る必要はなく、こちらから行けばいい」。

シンプルな理由で始めた移動式子ども食堂の仕組みは、キッチンカーを所有する飲食店に食事の提供を委託し、プロの味を提供できる。中学生以下の子どもと妊婦は無料で、その食事代は寄付金を充てる。大人は通常の価格で購入することでキッチンカーの収益になるという仕組みだ。徐々に認知度が高まり、千葉や静岡、沖縄など、全国に移動式子ども食堂開催の輪が広がり始めている。

「こちらから行けばいいという考えに共感し、この仕組みならみんなが笑顔になれる」と思った岡冨さん。同法人の茨城支部として活動し、県域に移動式子ども食堂を広げたいと話す。まずは市内での移動式子ども食堂の開催に向けて準備しており、子どもたちには友達と連れ立って気軽に来てほしいと呼びかける。

ふるさと納税を充当

境町はコロナ禍の2020年から、町内の飲食店が参加し、毎週土曜日と日曜日に各店10食分ずつ、町内に住む18歳以下の子どもに弁当を無料配布する「境町こども食堂」を実施している。現在、和食店、洋食店、すし店など14店が参加する。

ふるさと納税や企業からの寄付を原資に、町が1食当たり300円を飲食店に助成し、年間2万食ほどが子どもたちに無料提供されている。配布時間は午前11時から午後4時の間だが、ほとんどの店が午前中に配り終わってしまうという。

同町まちづくり推進課によると、地域全体で子どもたちを見守ろうという橋本正裕町長の発案でスタートした。このやり方だとハードルは高くない、全国の自治体に仕組みを広げたいと同課はいう。(田中めぐみ、橋立多美)

続く

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ふるさとのない時代《くずかごの唄》154

【コラム・奥井登美子】お正月には誰も故郷に帰りたくなる。私が育ったのは荻窪のみどり幼稚園。緑の名の通り、生垣に囲まれた家と野原の、のんびりした緑色の住宅街だった。 しかし今の東京の町はどこも高いビルばかりで、緑がない。故郷という言葉とはかけ離れた風景になってしまっている。私の故郷と呼べるような所は、もうどこにもなくなってしまったのだ。 幼い時、父の故郷、新富町へもよく連れて行ってもらった。父は歌舞伎座が新富座であった頃の、鉄砲洲小学校出身。「菅原伝授手習鑑」などに寺子屋の子役として駆り出されて、よく出演させられたそうだ。台詞(せりふ)も筋もよく覚えていて、よく私に語って聞かせてくれた。 隅田川のほとりに町があって、父は「〇〇ちゃんの店でノリを買おう」などと、昔の友達の家に寄っておしゃべりするのを楽しみにしていた。父の故郷はいま、日本ではない、高いビルばかりのどこか架空の空間になってしまっている。 タケちゃんの文が朝日に載った 1月27日の朝日新聞「折々のことば 鷲田清一」に、加藤尚武の文が載っていた。「個人の間の平等は、ある程度まで…自然の平等に支えられているが…国力の差は、ネズミとゾウの違いよりも大きい」 加藤尚武は私の弟のタケちゃん。京都大学の哲学教授を務めた後、鳥取に環境大学を創り、環境問題を、哲学のまな板の上に載せた人。「環境問題のすすめ」という著書もある。生活者として、医療と環境を意識して生活している。 加藤家の男たちはみな食べるのが好きで、父も、兄も、タケちゃんも、好きなものを自分で作って食べるのが趣味だ。 私はせめてせめて、お正月くらいは、おしゃべりの好きな弟のタケちゃん、母の昔の味の料理を作ってくれる妹、姪たちに会って、亡くなった父、母、兄の個性を偲(しの)びながら、今の子供たちと比べて、大笑いするしかないのだろうか。(随筆家、薬剤師)