日曜日, 9月 13, 2026
ホームつくば企業も参加 飲食店やキッチンカーで【広がる子ども食堂】5

企業も参加 飲食店やキッチンカーで【広がる子ども食堂】5

飲食店が子ども食堂を開くなど、企業参加型の取り組みも現れ始めている。

つくば市天久保の中国料理店、百香亭筑波大学店は、月2回土曜日の昼間、1日30食限定で無料の弁当を配布する「百香亭みんなの食堂」を実施している。

利用は子どもから現役世代、高齢者まで年齢制限はない。筑波大学が近いことから大学生の利用も多い。2月初め、店頭に「みんなの食堂」の看板が出された同店では、成人の男性が無料弁当を注文していた。店内で数分待ち、スタッフからあたたかい弁当を受け取る。同店がテイクアウトで販売している600円の弁当と同じ大きさの器に中華のおかず3品とごはんが入っている。この日のおかずはにんにくの芽と豚肉の炒め物にたけのこの和え物、シュウマイ。

茨城ロータリーEクラブ会員でもある同店の徐佳鋭さん(41)は「奉仕活動として地元の子どもたちに何かできることをしたいと思い活動を始めた。年齢を問わず、来ていただける方には配布している。温かいものを食べてほしいのでお弁当は注文を受けてから作っている。毎回来る人もいるので、飽きないようにおかずの内容は変えている」と話す。できるだけ長く続け、多くの人に支援を広げるのが目標という。

百香亭みんなの食堂は昨年7月から始めた。つくば市が年間最大10万円を補助する市内8カ所の子ども食堂「みんなの食堂」の一つだ。配布時間中はみんなの食堂の看板を出しているが、最初は3~4個ほどの注文しかなかった。昨年9月に市の情報広報誌「かわら版」にみんなの食堂の情報が掲載されると徐々に来店者が増え、毎回30食が無くなるようになった。活動資金は市の補助金のほか、茨城ロータリーEクラブとロータリー財団が支援している。

「こちらから行けばいい」

高見原地区の催しに出店したキッチンカーによる移動式子ども食堂=つくば市高見原、2丁目会館

つくば市高見原の2丁目会館で2月初め開催された地域の催しに、キッチンカー(移動販売車)を活用した移動式子ども食堂が出店し、ボリューム満点のハンバーグ丼やローストビーフ丼がふるまわれた。

この催しは、高見原を含む市内8つの周辺市街地の地域振興を目的にした市主導の実践型プログラムで、同市香取台在住の岡冨陽子さん(44)のアイデアが採用され、移動式子ども食堂と消防車をメーンに地域住民の交流促進や防災力を高めようという催しが実施された。

出店したキッチンカーは普段、都内のイベントなどで肉料理を販売している。この日は子ども50食、大人約100食分が提供された。子ども向けのハンバーグ丼は無料だ。

イベントを企画した岡冨陽子さんは青森県出身。筑波大を卒業し、10年前から子どもを対象にしたオンラインの料理教室「食育料理教室 ふくふく」を主宰している。

子ども食堂にも興味を抱いていたが「本当に支援を必要とする子どもが来ないのが悩み」という運営者の話にむなしさを感じ、運営する側も利用する子どもも、双方が満足できる仕組みはないのかと思案していた。そして出会ったのが、埼玉県熊谷市のNPO法人あいだの奥野大地副理事長が発案し、同市で2019年にスタートさせた全国初のキッチンカーによる移動式子ども食堂だった。「固定の店舗だと遠すぎたり、貧困家庭と思われるから行きづらいといった子どもが出てしまう。困っている人が時間をかけて来る必要はなく、こちらから行けばいい」。

シンプルな理由で始めた移動式子ども食堂の仕組みは、キッチンカーを所有する飲食店に食事の提供を委託し、プロの味を提供できる。中学生以下の子どもと妊婦は無料で、その食事代は寄付金を充てる。大人は通常の価格で購入することでキッチンカーの収益になるという仕組みだ。徐々に認知度が高まり、千葉や静岡、沖縄など、全国に移動式子ども食堂開催の輪が広がり始めている。

「こちらから行けばいいという考えに共感し、この仕組みならみんなが笑顔になれる」と思った岡冨さん。同法人の茨城支部として活動し、県域に移動式子ども食堂を広げたいと話す。まずは市内での移動式子ども食堂の開催に向けて準備しており、子どもたちには友達と連れ立って気軽に来てほしいと呼びかける。

ふるさと納税を充当

境町はコロナ禍の2020年から、町内の飲食店が参加し、毎週土曜日と日曜日に各店10食分ずつ、町内に住む18歳以下の子どもに弁当を無料配布する「境町こども食堂」を実施している。現在、和食店、洋食店、すし店など14店が参加する。

ふるさと納税や企業からの寄付を原資に、町が1食当たり300円を飲食店に助成し、年間2万食ほどが子どもたちに無料提供されている。配布時間は午前11時から午後4時の間だが、ほとんどの店が午前中に配り終わってしまうという。

同町まちづくり推進課によると、地域全体で子どもたちを見守ろうという橋本正裕町長の発案でスタートした。このやり方だとハードルは高くない、全国の自治体に仕組みを広げたいと同課はいう。(田中めぐみ、橋立多美)

続く

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho





spot_img

最近のコメント

最新記事

2027年度高校入試を展望する《竹林亭日乗》44

【コラム・片岡英明】9月は中学3年生が受験高校の選択を迫られる時期である。今回は2026年度(私学就学支援初年度)の全日制高校入試の流れを分析し、受験生を応援したい。2025年度(県立高無償化初年度、所得制限なし)に続き、私学も今年度から年45万7200円(月3万8100円)の支援が行われた。これによって受験の流れに変化が生まれた。 県立960人減、私学365人増 今春(2025年度)の県内中学卒業者は2万4555人で、前年より637人(2.5%)減少した(高校審議会資料)。高校入学者数は、県立高が1万4741人(前年度比960人、6.1%減=県教委入試報告書)。一方、私立高入学者は6939人(同365人、5.1%増)となった。単純に考えると、私学就学支援効果で、受験生の1.5%が新たに私学に入学したと言える。 ところが、私学には危機感が高まっている。確かに、1月の推薦入試では、私学23校(AO中心の江戸川取手を除く)で前年比460人増だったが、一般入試の受験者が約1000人減少したからだ。最終的な入学者数は私学24校で365人増えたものの、推薦が460人増だったので、一般入試の入学者は前年比約100人減少した。 これは、中学卒業者数減に加え、今までよりも受験生が私学の推薦に流れ、県立の入試倍率が低下したからである。県立の不合格者減に伴い、私学も県立合格発表後の入学手続きが減少したのだ。私学側も、今年1月の入試から入学者数確定までの生徒の流れの変化に驚いている。 就学支援金による新たな流れに伴い、私学の戦略は「推薦で入りたい魅力ある学校」を目指すことになる。今まで以上に地域に必要な学校、「マイブーム」として積極的に入る生徒を増やす―そんな学校づくりを見せる必要がある。これは公私共通のテーマである。受験生は、大学進学やスポーツの実績だけでなく、学びの場としての魅力を見定めてほしい。 受験者と保護者の動向 県立高受験者にも新たな流れがある。県立高の定員は昨年度より80人減の1万7150人。一方、応募者は1万5714人と、前年度比1341人減だった。ここから、応募者減の背景として、生徒637人減と私学推薦470人増に加え、もう一つの流れがあることが分かる。私学の県立併願合格者の単願への切り替えだ。 さらに、今年の県立入試で応募者と受験者の差が221人ある。これは昨年より34人多い。ここでも県立への応募後に私学の単願への切り替えがある。私学の多様なコース設定のなかで、当初は県立高併願の生徒・保護者が、2月末の県立高入試と3月の合格発表まで待たずに、特に県立高の志願先変更前後に、単願に切り替える生徒が増えている。 「私学への波」は続くか? 就学支援初年度は、確かに私学への波が生まれた。しかし波は必ず引く。本物の波はこれからだ。1回限りの波か本物かを見てほしい。受験生は、2026年度入試の新たな流れを参考にして、自分のこだわりを大切にして、志望高校を調べ、価値のある青春・学び・進路を見つけてほしい。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会 代表)

見えない印が示す「AI時代の透明性」《安全の窓》4

【コラム・佐々木哲美】2026年8月2日以降に登場した新しいAIモデルでは、EUだけでなく世界中で文章に“見えない印”を入れる仕組みが導入されたといわれています。文章の意味を変えず、特定の単語をわずかに選びやすくすることで、後からAI生成の可能性を推測できるようにするものです。お札の透かしに例えられることもありますが、お札は国家の信用を守るための“絶対的な証明”。一方AI透かしは、情報の透明性を補うための“補助的な目安”。同じ「見分ける」でも、重さも精度もまったく異なるのです。 では、AI生成かどうかを区別する意味はどこにあるのでしょうか。それは文章の価値を決めるためではなく、“使われる場面を守るため”です。ニュースや行政文書、研究論文、教育現場、偽情報対策など、責任の所在が重要な領域では区別が不可欠です。一方、創作や趣味の文章、メールの下書き、会議メモ、アイデア出しなどでは、内容や効率が目的であり、AIか人間かを区別する必要性はほとんどありません。川柳などは、面白ければ作者がAIでも人間でも構わないでしょう。重要なのは「区別すること」ではなく、「区別が必要な文脈を見極めること」なのです。 AIと共に書く時代の「揺れる境界」 こうした議論を進める中で、私自身の体験がこのテーマをより身近なものにしました。最近、文章をつくる過程が大きく変わり、情報収集から整理、構成の調整までAIに手伝ってもらうようになりました。効率は上がり、思考の幅も広がりましたが、その一方で疑問も生まれました。ここまでAIに助けてもらっているのに、この文章を「自分の文章」と言い切れるのだろうか―そんな迷いです。この問いが今回の考察の出発点になりました。 AIが自然な文章を生成できるようになり、人間とAIの境界は表面的には曖昧になっています。しかし、境界を決めるうえで最も重要なのは能力ではなく、責任の所在だと気づきました。AIは膨大な情報をもとに文章を作れますが、意図を持たず、倫理判断もせず、結果に対する責任を負うこともできません。一方、人間の言葉には経験の重みや葛藤が宿り、その内容を説明し、引き受ける力があります。文章が社会に影響を与える場面では、誰がその内容を担保するのかが決定的な意味を持ちます。 「責任を引き受ける者」としての人間 さらに、境界は「作り手」ではなく「使い手」の姿勢によっても変わると感じました。AIの文章をどう扱い、どこまで自分の判断で補正し、どのように責任を引き受けるか。ここに人間の役割があります。最近、会議の席で「AIに作成させました」と謙遜なのか責任逃れなのか分からない言葉を口にする人がいますが、私はこれは言うべきではないと思っています。AIがどれだけ手伝ってくれても、最終的に内容を自分の判断で引き受けている限り、その文章は「自分の文章」なのです。 AIと人間の境界は固定された線ではなく、文脈によって揺れ動く線です。その揺らぎを恐れるのではなく、責任を明確にしながら両者の強みを響き合わせることこそ、AI時代の言葉との向き合い方だと感じています。(労働安全コンサルタント)

「出口見えない研究、今も森の中」ラスカー賞受賞の筑波大 柳沢教授が会見

睡眠と覚醒を調整する重要な神経伝達物質、オレキシンを発見し、睡眠理解の飛躍的な進歩に大きく貢献したとして、筑波大の柳沢正史教授(66)が9日、米国医学会で最も権威ある賞、アルバート・ラスカー基礎医学研究賞を受賞した。柳沢教授は10日、筑波大で記者会見し、「出口が見えない研究だった」「今も森の中にいる」などと語った。 ラスカー賞は、受賞者のうち3分の1がノーベル生理学・医学賞を受賞するなど、ノーベルに次ぐ賞といわれている。柳沢教授はオレキシンの発見のほか、オレキシンの欠乏が、ナルコレプシー(過眠症)と呼ばれる突然眠り込んでしまう病気の原因となることを解明し、米スタンフォード大のエマニュエル・ミニョー教授と共同でラスカー賞を受賞した。柳沢教授らの研究により不眠症治療薬が開発されたほか、今年ナルコレプシー治療薬が薬事承認された。 柳沢教授は10日の会見で、オレキシン発見に至る経緯を改めて話した。神経伝達物質を「鍵」、神経伝達物質の受け口となる受容体を「鍵穴」に例え、米テキサス大准教授だった1995年当時、「相手の鍵が分かっていない鍵穴分子が多数見つかっていた。これまでの古典的な薬理学では、鍵分子が先に見つかって、その作用を調べる過程で鍵穴が見つかるが、私たちは逆方向の鍵穴分子から出発した」と述べた。 当時、ポスドクだった桜井武筑波大教授がテキサス大に来て、鍵穴を、鍵を見つけるための検出器として使い「桜井さんの検出で、当時まだ知られていなかった神経伝達物質が分かった」と言い、「桜井さんは筑波大に戻って、データ出しを全部やった。(オレキシン発見は)テキサス大だけでなく筑波大の仕事でもあった」と強調した。 この新しい神経伝達物資は、脳の中心の、本能や自律神経をつかさどる視床下部にあることが分かり、当時は「食欲を制御すると思った」と振り返り、「オレキシンはギリシャ語で食欲という意味。当時は食欲をつかさどる物質だと考え、オレキシンと名付けた」と明かした。 次の段階として、この神経伝達物質が欠損したマウスをつくって、食欲が減るのではないかと予測し実験した。「しかし何も起こらず、マウスは健康で異常は見つからなかった」と話した。「苦労して実験したので非常に悲しかった」が「あきらめず観察してみよう」と、マウスは夜行性なので「虚心坦懐に夜の行動を観察した」「わらをもすがる思い」だったと述べた。 発売されたばかりの安価な赤外線カメラを買って観察すると、マウスが急に動かなくなることがあった。最初はてんかん発作ではないかと思ったが、診断するには脳波をとらないといけない。当時、小さなマウスの脳波を測定できるラボは世界に数ラボしかなかったが、たまたまテキサス大にマウスの脳波をとっていた人がいて、その人に教わってマウスの脳波をとった。すると、てんかんの脳波ではなく、レム睡眠の脳波で、脱力発作と同時にレム睡眠が起こることが分かった。レム睡眠の時、人は夢を見るが、夢を演じるのは危険なので脱力が起こる。しかし当時は睡眠のことはほとんど分かっていなかった。柳沢教授は「睡眠の異常であれば『これはでかい』と感じ、ラボ全体を、食欲研究から睡眠研究にかじを切った」と話した。 柳沢教授はさらにナルコレプシーの原因を解明する。当時を振り返り「最初からゴールを目指した研究ではなかった。鍵穴分子を見つけるという宝探しを始めた」とし、ハワードヒューズ医学研究所から、自由に研究できる研究資金の提供をいただいたことが大きかったと振り返った。「基礎研究の中の探索研究はどこへ行くか分からない研究。そういう研究環境は大事」「出口はどこかとか、社会実装とかいわれると作文はするが、本当の研究はそういうものではない」と強調した。 脳の中には睡眠を維持する睡眠中枢と、覚醒を維持する覚醒中枢があって、睡眠中は脳の中で睡眠中枢が活性化して、覚醒中枢の働きが弱まる。覚醒時は逆になり、シーソーのように、常にどちらか一方の状態になっている。柳沢教授は、睡眠と覚醒の切り替えの仕組みを、竹筒の先端に水を入れ、水がたまると先端が下がって音が出る「ししおどし」に例え、「(ししおどしの)水に当たるものが脳内で何なのか不明、今はそこを研究している」とし、「そもそもなぜ眠らなきゃいけないのか、この二つのなぞが解けていない。私が現役のうちにだれかが解いてほしい」とし、将棋の藤井聡太さんの「頂上が見えないという点では森林限界の手前」という言葉を引用し「睡眠研究は森林限界を超えていない。自分の行く道は見えないし、ピークも見えない、周りは森しか見えない」などと話した。(鈴木宏子)

別館宴会場「昴」を大改修 ホテル日航つくば

ホテル日航つくば(つくば市吾妻1丁目)は別館大宴会場「昴(すばる)」の大改修を進めていたが、このほど工事が完了、10日、報道機関などへの内覧会を開いた。天井照明装置、影像音響装置、床カーペットなどが一新され、「幅広い用途に対応できる宴会場として生まれ変わった」(古澤聡総支配人)。改修費は約3億円という。 同ホテルは、1985年開催のつくば科学万博に合わせ、1983年「筑波第一ホテル」として開業。別館は1990年に完成した。その後、ホテルオークラ(本社東京都港区)が運営を引き継ぎ、2001年「オークラフロンティアホテルつくば」に名称を変更。さらに経営権もオークラが継承、同社による日本航空系ホテル買収から10年後の2020年、現ホテル名になった。 筑波山稜線、桜川水面をイメージ 改修は大きく分けると3分野。天井照明は蛍光灯からLEDに換え、明るさを従来の3倍にし、スポット照明に動作性を持たせた。プロジェクターは後方壁面に備え付け(これまではフロアーに設置)、壁面スクリーンも電動操作(同手動操作)にし、音響器機には音質劣化抑制システムを導入した。カーペットは、紫峰・筑波山の稜線、市内を流れる桜川の水面などをイメージできるデザインのものに張り替えた。 古澤総支配人は「3分割可能な大宴会場は約700平方メートルの広さがあり、県南にある宴会場としては最大級。式典、宴会、結婚式などの快適性だけでなく、各種の会議に対応できるよう、照明器具や会議装置の機能性もアップした」と話す。 新装で増収目指す 同社の2025年度の売上高は18億2000万円。今年度は20億円を見込む。収入の半分を占める宿泊部門は外国人観光客を呼び込むことで増収を図り、宴会部門は新装会場の稼働率アップで増収を目指す。さらに、両部門の活性化を飲食部門につなげ、レストラン「セリーナ」、中国料理「桃李」、「常陸牛 山水」などの利用者増も狙う。(坂本栄)