機械、金属、航空・宇宙、建設、農業など様々な部門の技術者の集まり、日本技術士会県支部(事務局・ひたちなか市、高橋正衛支部長)のメンバーらによって、8月中つくば市北条の北条大池でカメの捕獲と駆除が行われている。
同支部が霞ケ浦環境科学センター(土浦市)と連携して実施している市民活動支援事業の一環。「特定外来生物カミツキガメ(ミシシッピアカミミガメ)駆除大作戦」と銘打って、初日にワナを仕掛け、2日目に回収をして個体調査などをする「防除調査」という手法で行われた。
ミシシッピアカミミガメは、幼体のミドリガメが縁日などで販売され国内に広がったが、生長すると飼いきれず環境中に放棄され、湖沼など在来の植物種に食害などの被害を及ぼしている。侵略的外来種ワースト100の1つ。農業ではレンコンの食害が一部報告されている。
この駆除が北条大池で実施されるのは初めて。北条大池では現在、大きな被害は見受けられないというが、生物多様性の保全につなげることを目的に、防除調査が実施された。
元々はカニをとらえるためのワナという「カニかごワナ」を15カ所に、浮遊型捕獲装置1カ所に仕掛ける作業は県支部のメンバーによって行われたが、2日目の調査日には技術士6人のほか、一般参加者5人が加わった。農業用ため池の北条大池は霞ケ浦とつながっており、一体的な水域環境として考えられる。ミシシッピアカミミガメによる水環境や生物多様性の問題について知って欲しいため、一般にも参加を呼びかけたという。
26日にも再捕獲
技術士会県支部の大塚太郎さん(52)=技術士補(農業部門)によれば、調査結果はアカミミガメ7匹と、在来種のクサガメ6匹を捕えた。大半が大池の隣にある小池に仕掛けたワナで捕獲されたという。「大池をよく眺めてみると、カメの泳いでいる姿が見える。実際の個体数はかなり多いはず」という話だった。
捕獲したアカミミガメはサイズなどを計測後、同支部が処分する。ドライアイスで二酸化炭素を発生させ、窒息死させる方法をとるという。
浮遊型捕獲装置を引き続き掛けており、カニかごワナによる次回調査は26日にも行われ、一般参加者を募る。大塚さんは、「もっと捕獲したかったが、期待よりも少なかった。ワナの仕掛ける場所について改善していきたい」と語った。(榎田智司)