木曜日, 12月 8, 2022
ホーム コラム つくば市長に見られる 民主主義の劣化 《吾妻カガミ》138

つくば市長に見られる 民主主義の劣化 《吾妻カガミ》138

【コラム・坂本栄】五十嵐つくば市長リコール署名運動(~8月10日)が進行中です。前回の137「つくば市長の宿痾…」(7月18日掲載)では、同運動の主唱者が問題視する「運動公園用地売却手順の違法性」を検証、「(市長は)民主主義の基本を軽んじ、市政運営の『金看板』を自ら降ろした」と指摘しました。今回も、五十嵐市政に多見される「民主主義の劣化」について検証します。

リコール運動のリーダー・酒井泉さんは、本サイトの記事「つくば市長に『NO』を突きつける…」(7月13日掲載)の中で、五十嵐市政の「情報統制」「政治宣伝」「大衆迎合」といった手法が「民主主義を壊す」と批判しています。私も本欄で同じことを言ってきましたが、深刻なのは「情報統制」と「大衆迎合」です。

劣化1:市民の市政批判を裁判沙汰で封圧

まず情報統制(メディア・コントロール)の事例。行政者は自分がまとめた政策を批判されるのを嫌がり、批判を封じたいという誘惑に駆られるものです。五十嵐市長も、市政批判を連載したミニ新聞を名誉毀損で訴えるという、絵に描いたような批判封圧の挙に出ました。

そのあらましは、126「…市民提訴 その顛末を検証する」(2月7日掲載)をご覧ください。提訴(2020年11月)→ 裁判所での審理(2021年)→提訴取り下げ(2022年1月)の経緯をまとめてあります。ポイントは、ミニ紙発行人の元市議を名誉毀損で訴えたものの、裁判に勝てそうにないことが分かり、裁判官を挟んだ協議の末、提訴そのものを取り下げるに至った―ということです。お粗末な幕引きでした。

上のコラムでも指摘しましたが、これは「市民の市政批判を萎縮させる」効果を狙った裁判沙汰であり、民主主義の基本である「言論の自由」を抑圧する行為です。市政に長く関わった元市議はこれに激怒。この分野に精通した弁護士に頼んで徹底抗戦。取り下げに追い込みました(事実上、五十嵐市長の自滅)。

訴訟のプロセスで、「言論の自由」抑圧だけでなく、他の「困った行為」も明らかになりました。具体的には、▽法律をよく調べないで1市民を提訴した=行政責任者としての適格性に疑問符、▽取り下げ後、被告市民への謝罪を対面ではなくネット上で済ませた=大人が備えるべき常識に疑問符、▽取り下げの実相を隠そうと図った=政治家としてのメデイア対応に疑問符―などです。

劣化2:退職金辞退というポピュリズム

次に大衆迎合(ポピュリズム)の事例。市長など政治家は票が欲しくて、平均的な投票者に受ける公約を並べたがるものです。それでも、選挙公約は政策中心であるべきです。ところが五十嵐市長は、「市長退職金辞退」という、絵に描いたようなポピュリズム公約を掲げ、2回の市長選に臨みました。

新興国だけでなく先進国でも、大衆迎合が民主政治を壊し、それが権威政治につながると、良識ある政治学者は懸念しています。研究学園都市でポピュリズム公約を掲げた五十嵐市長の鈍感さには、驚くだけでなく、恐怖さえ覚えたものです。121「…つくば市長を追撃」(2021年12月6日掲載)では、県南の市長たちがこの公約に白け、反発したという話を紹介しました。その選挙手法にも疑問符が付いたといえます。(経済ジャーナリスト)

87 コメント

特定候補や特定政党等をおとしめたり誹謗中傷するコメントは公選法や刑法に抵触する恐れがあり、削除します。

87 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー

注目の記事

最近のコメント

最新記事

無償譲渡受け市管理も選択肢の一つ 洞峰公園問題でつくば市長

つくば市長定例会見が8日開かれ、同市二の宮にある県営の都市公園、洞峰公園(約20ヘクタール)にグランピング施設をつくるなどのパークPFI事業について、五十嵐立青市長は「グランピング施設とバーベキュー施設は望ましくないという考えに変わりはない」と述べ、県から無償で公園の譲渡を受け市が管理することも選択肢の一つだとする考えを述べた。 洞峰公園のパークPFI事業をめぐっては、大井川和彦知事が1日の定例会見で、年明けにもグランピング施設などの建設許可の事前協議を開始したいと発言し、さらに、つくば市が自ら管理するのであれば洞峰公園を無償で市に移管したいなどと述べている(12月2日付)。8日の市長会見では、知事発言について記者から質問が出て、五十嵐市長が答えた。 一方で五十嵐市長は、無償譲渡について「簡単に『はい』と言えるものではない」とも述べ「(市として維持管理費などを)精査しているわけではないので、そもそも維持管理費がいくらかかるか分からない。市の他の公園規模と比べてどうかなど、検討するにしても細かい情報は必要になる。無償移管を検討するのであれば(県から)細かいデータをいただかないと市民にも議会にも説明できないし、今の段階で何をどうするかはまだまだ分からない」とも話した。 県は8月の説明会などで、洞峰公園の維持管理費用として、指定管理料が年約1億5000万円、来年度から2027年度までの大規模修繕費用として3億5600万円かかるとしている。 五十嵐市長はさらに、プールやテニスコートなどの利用料金値上げ要望に対し、大井川知事が1日の会見で「利用者の中の一部にだけ負担を押し付けるやり方でバランスが非常に悪い」と否定し、さらに協議会設置要望についても「協議会の位置付けや性格が不透明」だと市の要望をいずれも否定したことについて、「値上げ案は県が当初より代替案として示していたもの。そういう代替案に対して『バランスが悪い案だ』というのは、いささかとまどっている」と不快感を示し、さらに「(県は)『協議会の必要性が分からない』という話だが、(協議会は)話し合っていく素地を作るためには必要なものと思っている」と反論した。 その上で五十嵐市長は「つくば市への回答をちゃんと文書で示していただいた方が、お互いのミスコミュニケーションはないと思っている。はっきりと県の方向性が決まったら文書でお示しいただいて、それをもとに県と協議していきたい。協議が整わない中で(グランピング施設建設の事前協議が)申請されることはないと思っている」と改めて述べた。

「5時に夢中」の岩下さんの見せる「文化」《遊民通信》54

【コラム・田口哲郎】 前略 東京メトロポリタンテレビジョンの月~金曜日夕方5時からの番組「5時に夢中」を楽しく視聴していることは、以前書きました。「5時に夢中」は東京ローカルのワイドショーという感じですが、コメンテーターが多彩で、サブカルチャーの殿堂のようです。 私が好きなのは、木曜日の中瀬ゆかりさんと火曜日の岩下尚史さんです。中瀬さんは新潮社出版部部長で、文壇のこぼれ話を巧みな話術で披露して笑わせてくれます。岩下さんは新橋演舞場勤務から作家になった方で、東京のいわゆるハイ・カルチャーをよくご存じの方で、こちらも話術が巧みで笑わせてくれますが、ひとつひとつのお話に含蓄があるというか、うなずくことが多いです。 岩下さんの小説『見出された恋 「金閣寺」への船出』の文体は流麗で、引き込まれます。岩下さんは國學院大学ご出身ですが、國學院の偉大な民俗学者にして作家の折口信夫の小説『死者の書』などの文体を思わせる傑作だと思います。 さて、岩下さんのインスタグラムの話題が出ていて、美食家としての一面が見られるというので、見てみました。岩下さんらしい、ハイソな生活を垣間見られるのでおすすめです。シティ・ホテルでのパーティーや会食、料亭とおぼしきところでの高級料理など、きらびやかな世界が広がっています。

TX県内延伸に賛成?反対?【県議選’22つくば候補者アンケート】3

県議選候補者アンケート最終回は、つくばエクスプレス(TX)県内延伸構想の是非と、旧統一教会と接点をもったことはあるかについて、つくば市区の立候補者8人に聞いた。 TX東京延伸については11月25日、東京都が「都心部・臨海地域地下鉄構想」の事業計画案を発表。まず臨海地下鉄を単独で整備し、将来的に、TX東京延伸(秋葉原-東京)との接続や、羽田空港との接続を今後検討すると発表したばかり。 一方、県内延伸をめぐっては、県が今年度、初めて調査費を計上し、今年度中に①筑波山方面②水戸方面③茨城空港方面④土浦駅方面-の4方面案の中から1本に絞り込むと発表し、県内各地で誘致合戦が繰り広げられた。延伸に必要な事業費、需要予測、費用対効果も調査が行われている。一方つくば市は東京延伸を優先するとし、県内延伸の誘致合戦には加わらなかった。 NEWSつくばは告示前、8候補者に対し「TX県内延伸ルートを絞り込む調査費を県が計上し、県内延伸を求める運動がつくば市以外で盛り上がっています。県内延伸計画に賛成ですか、反対ですか」と質問した。賛成、反対、どちらでもないの3つのいずれかに〇を付けてもらい、50字程度で理由を書いてもらった。 各候補者の回答は以下の通り。 ▽佐々木里加氏 賛成「県内延伸には反対しないが、土浦ではなく、本来はつくばエクスプレスの名の通り筑波山を経由し県庁のある水戸へ、あるいは空の玄関茨城空港を経由し水戸へ伸ばすべき」

筑波山が初冠雪

筑波山頂に6日朝、この冬初めて雪が降り、初冠雪となった。標高877メートルの山頂付近は午前中、雲に覆われたが、雲が薄くなったところは、雪が薄く積もっているのが麓からも見えた。 山麓の住民によると、平均的な初冠雪は12月中旬頃で、例年より少し早い初冠雪となる。 昨晩、南岸低気圧が通過、冷たい空気が大陸から流れ込み、気温が低い山頂は雪になったとみられる。この気圧配置は関東地方に雪を降らす典型的なパターンだ。 つくば市館野の6日の最低気温は11月下旬並みの3.1度。筑波山頂近くの御幸ケ原の気温は午前6時半時点でマイナス0.1度だった。気温は標高が100メートル上がるごとに0.6度下がるといわれており、標高877メートルの筑波山は、地上より約5度低いことになる。 南岸低気圧は2~3月によく発生し、大雪になることもある。雪の降る範囲は標高500メートル辺りまでのことが多い。「逆転層」という中腹付近の気温が高くなる独特の気象現象があるからだといわれる。(榎田智司) ◆筑波山の気象状況はライブカメラで確認することが出来る。