木曜日, 8月 6, 2026
ホームつくば臭いやアルコール対策示すも反発の声相次ぐ つくば洞峰公園事業で県の説明会

臭いやアルコール対策示すも反発の声相次ぐ つくば洞峰公園事業で県の説明会

4000筆の署名の重み

参加者1 洞峰公園と赤塚公園、ペデストリアンデッキは一体として計画された。専門家からは、あと10年、20年すれば文化財としての指定が議論の遡上にのぼるという指摘が出ている。質問は3点ある。きょうの説明は、グランピングありきのPFI事業であると理解した。PFI事業の成立可能性について、責任をもっていただけるのか、経営計画がはっきり見えてない。グランピング施設は人気があるが、コロナ禍での一時的な流行なのか、判断するのは早計だ。この点は(県のパークPFI事業者)選定委員会でも指摘があり、事業者自身が「自分たちもチャレンジング、トライアンドエラーでチャレンジする」と回答している。(収支計画が)予定通りでなかった場合の対応はどうなるのか、事業者の撤退があった場合はどうなるのか、事業廃止に伴う費用はどうか。取り戻せない自然はどうなるのか。2つ目の質問は、景観の変化だ。グランピング施設により修景は変化し景観が悪くなる。南側駐車場の拡張予定地は内周路と外周路の両方の園路に接している。どちらからも建屋の裏を歩くような、路地裏を歩くような仕様になるのではないか。グランピング施設の騒音調査には空調の室外機が加味されてないのではないか。(野球場は)最も静寂なエリアなので洞峰沼にも影響を及ぼす。3つ目の質問は、グランピング施設を建築する際の用途制限についてだが、つくば市から(建築許可の)特例が出ることを前提にやられている。特例の要件は、良好な住環境を害する恐れがないこと、公共上やむを得ないことだ。環境の評価、周辺の経済的影響を計量的に示してほしい。公共上やむを得ないといえるほど(県の財政は)危機的な状況なのか。毎年1億5000万円の支出は許容できる範囲ではないか。

県都市整備課 グランピングありきのパークPFIという質問だが、県としては、パークPFI事業を公募し、事業者からグランピングを核とする提案があった。事業として成立するかについては、提案をいただいた際に、選定委員会に議論していただき、選定委員会の中で、収支計画だったり、事業者の財務状況を審査した。財務の専門家も選定委員に入っていただいた。事業の成立については特段問題はないと判断されたと思う。

長大 民間事業者として、事業が継続できないことはあってはならない。多額の資金を投入して事業を行うからには、必ず事業期間を全うして事業を継続していきたい。(選定委員会で発言した)トライアンドエラーとは、コロナ禍で、アウトドアブームが後押ししている、しかしずっと人気は続くのか、当初は人気でも、5年ぐらい経つと全国に(グランピング施設が)増えるので、差別化を図っていないところは人気が廃れる、新しい魅力づくりをすることで飽きのこない施設運営を考えていきたいということ。(土浦市の)東城寺に新しいグランピング施設を運営している会社と新しい運営をしていきたい。良かった事例、失敗した事例などさまざまな事例をもっているので、飽きのこない事業運営をしていきたい。

 万が一、仮に破綻した場合は、事業者との協定の中で、事業者の責任において、別の事業者に継承することが可能か検討したり、施設をいったん撤去して芝生の状況に戻すことになる。県の税金を使うことはない。(南側駐車場の拡張で)伐採した木が戻らないのは言う通りだが、駐車場の拡張はできるだけ伐採本数を減らすことを検討している。2つ目の質問の景観の変化については、できる限り大きな変化がないよう配慮する。

長大 グランピング施設の室外機の音を加味しているのかとの質問だが、類似施設での調査は6月上旬だったので空調が使われていたのか定かでない。夏場のエアコンを使っている時期にモニタリング調査をして示すこともできる。

 (グランピング施設の建設を許可するか否かの)建築基準法48条の特例だが、つくば市が特定行政庁の立場になる。事業提案があった際、事業者としても、県としても、つくば市と何回か協議し、48条の但し書きの適用許可のご指摘をいただいている。野球場エリアから住宅地の距離を考えると、住環境の影響は極めて少ないと考えている。それを判断するのはつくば市であり、つくば市の建築審査会である。特例許可が得られるような事業計画を立てている。

会場からは厳しい声が壇上に投げかけられた

参加者2 私はテニスで洞峰公園を利用しているが、困っていることは希望の日時にBコート使えないことだけ。満足しており、テニスコートをもっと欲しいとは思わない。プールも年2、3回使わせてもらっている。県は1億5000万円が負担になって大変だからパークPFIを導入するというが、洞峰公園は市民公園だ。市民公園という位置づけを壊してまで(パークPFI事業を)やる価値があるか。今、使っている者としては今の在り方に満足している。土日の混雑は分かる。テントを利用される方がある。テントを貸し出すなど、そういう収益の確保の仕方もある。つくば市民として、歩いてペデを通って、洞峰公園があるということが自慢。今の公園で感謝している。それが続くことを願っている。負担が大変なら、(利用料金の値上げなど)利用者から(料金を)とっていただいて全然かまわないと思っている。

 洞峰公園を変える必要はないという意見は、多くいただいている。体育館や洞峰沼周辺は基本的に改変しない。今回考えているのは、住宅地から一番離れた旧野球場。一番使われていない施設を、収益を上げるグランピング施設に変える。それによってプール、テニスコートの老朽化の修繕に充てる。できる限り、現状の良好な環境を変えないことを大前提に考えている。

参加者3 ここに至るまで、4000筆の署名をいただいて協議会設置を県に求めている。20年間、長大にお預けする計画だが、県は善処します、出来る限り調査します等、すべてがあいまい。グランピングブームが終わったら、あとで考えますなど、そういうことに不安を感じる。国家的プロジェクトで出来た公園を、今後20年、一緒に考えましょうという要望書を出させていただいたが、いまだに明確な答えをいただいていない。今日こそ、明確な回答をいただいて帰りたい。長大には、面談を申し込んでいるが、一切会ってくれることなく、今日に至っている。両者共に回答がない。4000筆の署名はそんなに軽いのか。希少動物については今回、回答しないとのことだが、前提が間違っている。希少動物を醸成する環境が大事。都市の公園に絶滅危惧種がまだいる環境に価値がある。保全、保護を前提とせずに、事業案についてアンケートをとることが理解できない。6月末までに回答をお願いしたが、まったく回答をいただいていない。

 4000筆の署名の重みは認識している。今まで明確に回答できなかったが、今日までに整い、説明会を開いた。アンケート調査で広く意見を集めることを8月いっぱいまで時間をかけてやっていきたい。協議会を設置するかどうかは、まずは説明会を開催しつつ、意見をアンケートで集めたものを分析した上で、洞峰公園を運営するのに何が大切かを考えていきたい。協議会は、どういった方に入っていただくのが適切なのか、時間を掛けて、つくば市と調整しながら考えていく必要があると考えている。鳥類や植物などの希少動植物は認識している。専門家の意見を聞きながら、つくば市の意見を聞きながら、法令に基づいて適切にやっていきたい。

長大 (回答期限の)6月30日までに回答できておらず申し訳ありません。(長大の)会長、社長とも情報を共有している。事業者として、市民と会って、相対するのは止めなさい、県と足並みをそろえていかないといけないと指示されている。返事ができてないところは週明けに対応させていただきたい。自然環境を無視しグランピング事業をやろうとは考えてない。可能な限り影響が少ないやり方を考えている。どういうやり方がいいのか、頭を悩ませていきたい。

参加者4 都市公園法施行令に都市公園の中に宿泊施設をつくってはならないという規定がある。どのように考えたら都市公園内にグランピング施設がつくれるのか

 都市公園法上、宿泊施設について規定はあるが、施設として認められると考えている。

参加者5 都市公園は住民のためにある。その人たちが嫌だと言っているのになぜグランピングをつくるのか。朝から夜まで、のんびりするために使っている、いい公園だ。グランピングみたいな施設は、自然景観を破壊し、風紀が乱れる。夜も安心してジョギングできない。

 風紀は24時間スタッフを常駐させる等、十分配慮した計画であると思っている。

参加者6 まだまだ生煮えの感じがある。何のための事業か。目的は経費の削減なのか。管理運営費の削減ならば積算根拠を示していただきたい。プールや体育館等、どこが傷んでいるか説明していただきたい。(大規模修繕費年平均)8000万円の根拠は何かも示していただきたい。公園の質や魅力をどのように描いているのか。洞峰公園を観光地と勘違いされていないか。長大の行動憲章に、環境を最大の目標として行動します、と書いてある。静かな洞峰公園の環境を破壊して何が環境を大事にします、か。静かな環境を壊してほしくない、木を切ってほしくない、スポーツジムはなぜ24時間営業なのか、夜中にだれが利用するのか、グランピングの利用者はだれを想定しているのか。公園全体に影響しないというが、人は動く。喧噪があり、静かな環境が損なわれる。

 事業目的は経費縮減、魅力向上、将来に備えること。グランピング施設やBBQガーデンは新たな魅力だ。課題になっている部分を改善し、新たなニーズに応えて魅力を向上する。修繕費等、その他いただいたご意見は、まとめてホームページ上で回答させていただく。

駐車場拡張の伐採計画に異論

参加者7 県に2つ質問がある。これまで事業者選定の前後で説明会が行われてなかったのはなぜか。(今年3月の)オープンハウスでは将来計画として大規模イベントの実施や避難所も説明に入っていた。今回、説明に入ってないのはなぜか、今後10年間の収支計画とビール工房の収支計画を示してほしい。

 これまで説明会をなぜしてこなかったかだが、昨年公募を行い、つくば市の担当部局とは何回か打ち合わせをさせていただき、つくば市役所と情報を共有させていただいた。今年3月、オープンハウスで説明し、今日、詳細な説明をさせていただいた。年平均8000万円の修繕計画は、数年間の実績と今後の計画を踏まえている。積算根拠の資料はあるので、ウェブに掲載できるかも含めて検討させていただきたい。

長大 パークPFIの収支計画は、あくまで民間の事業者が投資して回していくことになるので、ノウハウも含めて公表は控えさせていただきたい。

市民の質問に答える県の担当者ら

参加者8 南側駐車場の拡張に反対の立場から発言させていただきたい。300本の樹木を切ってアスファルト舗装にするのは、ヒートアイランド緩和に向けて政府が求めていることの真逆の行為ではないか。127台も増やす必要はない。

 駐車場拡張のため木を伐採することは事実だが、以前から公園の利便性向上のため、つくば市の方から駐車場の拡張を言われていた。拡張エリアから伐採本数を極力減らすことを考えている。自然環境への影響については専門家の意見を聞きながら丁寧に対応していきたい。台数についてもこれまでの混雑状況を勘案して計画の見直しをしている。台数は多少前後する。

参加者9 洞峰公園で朝6時半のラジオ体操を毎日やっている。今のままでお願いしたい。国交省の都市公園の定義の中で、洞峰公園は都市基幹公園の位置づけになるのではないか。その中で要求されているのは、良好な都市環境を提供すること、都市の安全性を向上させることなどだ。市民の活動の場、憩いの場、豊かな地域づくり、こういうことに対して、県は一つ一つ検証しているのか。県議会ではどういう議論がなされたか。

 都市公園の中で、総合公園、都市基幹公園という位置付けだ。良好な、豊かな地域づくり、今回の計画はいずれもそれを満たしていると考えている。県として、貴重な豊かな環境、市民の憩いの場は維持されると考えている。県議会では、6月議会の予算特別委員会で、市民の意見を聞いてないんじゃないかという質問が出て、知事が広く意見を聞くと説明した。

参加者10 駐車場増設に反対だ。一部の曜日や時間が混雑するからと言って単純に増設するのは役所にありがちな単純な発想だ。今は一律の料金だが、料金を(曜日や時間によって)変動させるべき。それで混雑が抑制できないようだったら周辺の民間駐車場を活用するとか考えるべき。車が増えたから道を増やそうということなら際限なくやっていかなくてはならない。税金の無駄使いだ。工夫して、それでもだめなら駐車場を増やせばいい。

 駐車場の拡張が必要と考えている。

参加者11 騒音、臭い、景観の問題で懸念が払しょくされていない。BBQ場、グランピング場で果たして収益を確保できるか疑問だ。周辺には手頃な価格で楽しめるBBQ場やグランピング場が少なくとも8カ所ある。秋冬はオフシーズンで利用者はほぼいない。管理費用は1年を通してかかる。1年の半分は収益がない。シーズン中も平日の収益は少ない。経営は決して楽ではないといわれている。近隣に競合する施設がある中で収益が上げられるのか。数年経ったら、税金を使って別の施設にリノベーションされることはないのか。施設利用料を上げたりした方が収益を上げられるのではないか

 破綻して税金が使われることはない。

参加者12 グランピングが打ち出の小づちみたいに聞こえる。利用者はどこから来るのか、市民は使わない、東京から来る人を想定していると思う。東京から洞峰公園にくると思っているのか。グランピング施設は(一般的に)3万も、4万も、5万もとる。普段、自分たちが住んでない別世界につくるもの。市民ためのものではない。止めた方がいい。

参加者13 長大の事業コンセプトに、既存の利用者を意識した公園づくりとある。洞峰公園の利用者満足度アンケート調査の結果、利用のしやすさ、自然環境に大いに満足、満足を合わせると90%以上、不満は0.3%しかない。つくば市民は洞峰公園を誇りに思って大切にしている。洞峰公園の魅力は木であり、樹冠だ。南側駐車場の拡張予定地には、朝からランナーが走っている。小鳥が営巣し、シジュウカラが2回目の抱卵に入っている。あそこを切られると300メートルぐらい丸裸になる。ランナーがフライパンの上を走るようになる。木の伐採計画を見直すということだが、どのくらいの本数を切るかはいつごろ分かるのか。多目的広場のイベントの説明がなかった。イベントの騒音がすごく気になっている。

長大 南側駐車場拡張の伐採計画の見直しは、まずは皆さんの声を聞いて設計を検討し、樹木の配置、樹間の調査をストップしている。計画を進める段階になったら改めて調査することになっている。今の時点でお答えできないが、事前にお耳に入るようにしたい。あそこは元々すべて伐採しようと思っていたが、奥の(北側)、たい肥がこんもりしていて、木が少ないところを駐車場にする。すべて伐採してフライパンのようになることはない。

TSP太陽 (多目的広場で)イベントを開催する際は、音楽イベントのようなときはもちろん、マルシェ、フードイベントでBGM音楽を流すことも考えている。スピーカーの志向性を考慮して調整を行った上で、開催時間にも配慮してイベントの開催に努めたい。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

38 コメント

38 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

広島・長崎の原爆パネル展開催 土浦市民ギャラリー【戦後81年】

広島・長崎の原爆被害の実相を多くの市民に知ってもらおうと「ヒロシマ・ナガサキ原爆パネル展」(土浦市主催)が5日から、土浦駅西口前の土浦市民ギャラリーで始まった。原爆投下直後の広島、長崎の街の様子や放射線被害の実情などを紹介した写真パネル30点と、戦争を知らない若い世代に向けて、16の問いで構成された「核兵器と戦争に関する16の問い」のパネル17点の計47点が展示されている。会場では、被爆直後の広島の映像と被爆者の証言、被爆体験を語り継ぐ取り組みなどを紹介した広島平和記念資料館制作の動画「ヒロシマ 被爆者からの伝言」が上映されている。 同市は1988年に非核平和都市を宣言し、93年から毎年、原爆パネル展を開催している。翌94年からは、8月6日に広島市で催される平和記念式典に、中学生と市民代表を派遣している。今年も原爆パネル展の開催と併せて、市内8校の中学生16人と市民代表2人など計21人を広島平和使節団として5日から7日まで広島に派遣している。 原爆パネル展は、全国の非核平和宣言都市でつくる日本非核宣言自治体協議会(事務局・長崎市平和推進課)からパネルを借り受け、展示している。原爆投下直後の街の様子については、燃え残りの火がくすぶる爆心地から500メートルの広島市中心部の写真や、臨時救護所に収容された負傷者の写真などが展示されている。米国が、広島と長崎に原爆を投下した理由については「投下により戦争を終結できれば、戦後、ソ連(当時)の影響が広がるのを避けられ、膨大な経費を使った原爆開発を国内向けに正当化できる」からだったなどと説明している。 「16の問い」は、「あなたに思い出したくない辛い過去はあるか」「核兵器廃絶は実現できるか」などの問いについて「正解はないが、あなたの答えを探してほしい」と呼び掛け、核兵器廃絶の取り組みについて「人々の声が、核兵器を禁止する新しいルール『核兵器禁止条約』をつくった」などと紹介している。 同展を主催する同市総務課は「会場にお越しいただいて、平和の大切さや戦争の恐ろしさ、核兵器使用の悲惨さなどについて考えるきっかけにしていただければ」と話し、来場を呼び掛けている。 ◆同展は16日まで、土浦市大和町1-1 アルカス土浦1階、土浦市民ギャラリーで開催。入場無料。開館時間は午前10時~午後6時。月曜休館。

人形に命を吹き込む50年 筑波大学人形劇団「ノイ」

「人形って、生きているように見える瞬間があるんです」。今年、旗揚げから50年を迎えた筑波大学の学生人形劇団「ノイ(NEU)」の塚越彩加さん(20)はそう話す。筑波大学開学3年目の1976年に発足したノイは、現在、学部生18人、大学院生4人の計22人で活動する。ドイツ語で「新しい」を意味する「ノイ」という名前には、旗揚げ当時の学生たちの「新しい人形劇をつくろう」という思いが込められている。半世紀の歴史の中で受け継がれてきたのは、「人形劇を『面白い』『楽しい』と思う気持ち」だ。 受け継いできた技術と人のつながり 「ごめん! そこはもう少し間を詰められるかな」 仕切りを外した畳敷き10畳二間の稽古場に、張り詰めた声が響く。声の主は、8月に都内で公演を予定する、宮沢賢治原作の「注文の多い料理店」で演出を務める同大2年の田中咲妃さん(19)だ。公演が間近に迫り、稽古にも熱が入る。「この作品は昨年5月の初演以来、何度も改良を重ねてきた。人の身体表現と人形劇をどう組み合わせるかが大切。もっと見やすく、分かりやすい作品になるよう、最後まで磨き上げていきたい」と話す。 ノイが活動拠点とするのは、TXつくば駅近くの筑波大春日エリアの春日課外活動施設だ。2002年に同大と統合した旧・図書館情報大学の敷地内にあった旧宿泊施設をアトリエとして使用している。 室内には、次回作に向けて制作途中の美術道具が並ぶ。舞台で使う人形は、人形の胴体や頭に直接手を入れて、指や手首の動きで動かすパペットや棒遣い人形、作品によってはより直感的に操作できる糸操り人形を用いている。人形は、和紙や新聞紙、包装紙などを型に何層も貼り重ねる「張り子」という技法も用いられ、衣装や舞台美術など、公演で使うほぼ全ての道具をメンバー自身が手作業で仕上げるのが劇団発足以来続く伝統だ。一体あたり、試作の期間も含めると、完成までに約1カ月を要する。演目によっては、人形と共に、役者の身体表現も取り入れ物語の世界を表現する。 「活動を始めてまず難しかったのは人形作り。構造を考えたり、縫製したり、丈夫に仕上げたり、工程がとても多い。上手な人を見ると『どうしてこんな仕組みを思いつくんだろう』と驚く」と、入団3年目の塚越さんは振り返る。照明機材や音響機材、大きな黒幕なども代々受け継がれてきたものだ。「今改めて全部そろえようと思ったら、本当に大変」と語る。 一方で、「伝統は技術的なものだけではない」と話すのは、ノイ代表の横井一葉さん(20)だ。「50年という歴史の中で、人のつながりも受け継がれてきた。OB・OGの皆さんとは今も交流がある。公演を見に来てくださったり、ワークショップなど学外のイベントで、プロとして活動されていたり、自分で劇団を立ち上げたりした先輩たちから直接アドバイスをいただく機会もある。本当に貴重」 コロナ禍経て「バージョンアップ」 演目は、劇団によるオリジナル作品が中心だが、近年は、神話や童話をモチーフにしながら人形劇としてより物語を引き立たせるためにセリフや場面を追加するなど再構成した作品も増えている。一方で、公演を控える「注文の多い料理店」は、原作の文章を忠実に再現しており、ノイの中では珍しい作品だ。メンバーは、公演ごとに役者として舞台に立つこともあれば、演出担当者として役者への演技指導、照明や美術、音響効果などを指示する舞台の責任者も務める。脚本は、演出担当者が一人で作ることもあれば、メンバー全員で話し合いながら仕上げることもある。 一時期は、劇団員が10人を切る時期が続いたこともあった。活動を自粛せざるを得なかったコロナ禍では、公演のサイクルや演出方法など途切れてしまった伝統もあった。しかし活動を再開させる中で、以前よりバージョンアップさせたのが公演方法だという。 以前は、春の新歓公演、夏の新人公演、雙峰祭(学園祭)公演、卒業公演、演劇祭への参加などと年間スケジュールが決まっており、公演ごとに新作を作るのが慣例だった。一方、現在は、定期的な公演のほかに、地域の幼稚園や保育園、小学校から依頼を受けて行う公演が増え、年間を通じて舞台に立っている。 「コロナ禍で劇団の運営方法や文化を引き継ぐことが難しくなった。公演ごとに新作を作り、一つの作品に全力を注ぎ、公演が終われば一区切り、という印象がこれまでのノイにはあった」と横井さんは言う。「演劇にはそうしたスタイルも多くある。例えばミュージカルは長期間同じ作品を上演するし、小劇場では1週間ほど公演し、次の作品へ移ることもある。ただ、その方法では作品を改善する機会も少なく、経験も次につながりにくかった」と話す。一方、プロの人形劇団は、幼稚園や小学校などを巡回しながら、何度も同じ作品を上演することが多い。「私たちも、これまで小劇場のようなスタイルだったが、今はプロの人形劇団に近い形へ少しずつ移行しているところ」だと横井さんは説明する。 「楽しむこと」が伝統 「仕掛けのある人形が思い通りに動いた時は、本当にうれしい」と話す横井さん。「脚本の面白さがお客さんに伝わって、笑ってくれたり、泣いてくれたりすると、『頑張って良かった』と思えるし、自分が思い描いていた動きが、人形でそのまま表現できた時は本当に感動する。驚きと美しさの瞬間をつくりたい、子どもにも分かりやすく、大人にも通じる驚きと感動を大事にしたい」 50年を迎えて横井さんは「活動を休止してしまった学生人形劇団が少なくない中で、他大学の人形劇団出身の方から『うちの大学では劇団がなくなっちゃったんだよね』と言われる。ノイ出身でプロとして活動する先輩からも『今もノイはにぎやかでうれしい』と言われると、うれしいです」 ノイの一番の伝統は「楽しむこと」だと横井さんはいう。「作品づくりをしていると『こう動かしたいのにうまくいかない』『思ったように見えない』と苦しくなることがたくさんある。でも、その試行錯誤そのものを楽しんでほしい。『楽しむこと』をノイの伝統として受け継いでいってほしい」という。 「趣味は『人形劇』と胸を張って言えるくらい、人形劇にどっぷり浸かっている。人形劇が本当に好きなので」と笑顔を見せる横井さん。「人形劇というと『子どものためのもの』というイメージを持っている方も多いと思う。でも私たちは、その先入観を覆すような作品づくりを目指している。どの作品にも『面白かった』『驚いた』と思っていただける見どころがあると信じている。11月には学園祭での公演もある。ぜひ劇場へ足を運んでいただけたらうれしいです」。(柴田大輔) ◆筑波大学人形劇団ノイの公演スケジュールや活動の詳細は、同劇団の公式サイトへ。

世界で一番幸せ者です《続・気軽にSOS》174

【コラム・浅井和幸】2014年にタブロイド判「常陽新聞」に《気軽にSOS》を寄稿、その後、ネットメディア「NEWSつくば」に《続・気軽にSOS》のタイトルで継続、このコラムも干支(えと)が一回りしました。今回が定期寄稿の最後になりますが、この欄を通じて、私自身のことも発信でき、とても幸せな時間でした。 周りの人からこのことを聞かれたら、私は「自分は世界で一番幸せな人間である」と答えます。実際、いろいろな反応がありました。 Aさんは「自分はやっとこの年齢(80歳)になって、その気持ちになれた。浅井の年齢でそう感じることは素晴らしい」と言ってくれました。Bさんは「そう感じられるように、自分もいろいろと学んでいきたい」と言っていました。Cさんは「こんな不幸がたくさんある世界で、そんな能天気な言葉が信じられない」と言ってくれました。 各人が、今どのように生きていて、この世界をどのように感じていて、浅井に対してどのような立場で接しているのかで、それぞれの感想は変わってきます。多くの感想から感じることは、自分が立派な人間だと思われたい、自分が賢い人間だと思われたいと背伸びしている人は、義務をあまり課して自分を追い詰めていなか、ということです。 「おいしいね」と感想を伝えるよりも「〇〇の料理はまずい」と言えるほうが、味が分かる人間であると見られるように。「人の悪口を言えるほうが人間を知っているのだ」とアピールできると思い込んでいるように。 お金に困ったことがないと聞くと、どれほど金持ちなのかと考えてしまいがちですが、あまりお金を使わない生活であれば、お金持ちでなくともお金に困ることはありません。たくさんの収入や資産があっても、支払いが多ければお金に困るものです。 「足るを知る」ということは「我慢をする」とはイコールではないでしょうし、「今後は全く成長しない」ということともイコールではないでしょう。現在に喜び、さらなる高みを目指して力を付けいく「足るを知る」という境地もあるはずです。 私の幸せの定義 今後、私の考えはどんどん変わっていくかもしれませんが、今のところ、私の幸せの定義は次の状態です。 ある程度の余裕があり、何となくこの先も何とかなるだろうという感覚を持ち、そのうえで、五感(六感もかなぁ)で良さを感じたときに感じられるもの。五感とは、視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚です。例えば、美しいとか、かっこいい音楽だなとか、おいしいとか、いい匂いとか、よい肌触りとかを感じることです。 何となく大丈夫かなという感覚は難しいので、つらく苦しいときでも、とにかく、空を見上げて面白い雲だなとか、肌触りの良いタオルだなと思うような体験を繰り返してみてください。きっと、不幸しかないようなこの毎日の中で、少しの光を感じられるときが来るかもしれません。(精神保健福祉士)

鹿島神宮を訪ねて《ふるほんや見聞記》19

【コラム・岡田富朗】今年は、12年に一度の午年(うまどし)に執り行われる鹿島神宮の「式年大祭 御船祭(みふねまつり)」が、9月1日から3日まで斎行されます。祭礼は、1日の勅使参向例祭(ちょくしさんこうれいさい)・神幸祭(じんこうさい)、2日の御船祭、3日の行宮祭(あんぐうさい)・還幸祭(かんこうさい)の3日間にわたって執り行われます。12年に一度、午年に斎行されるのは、十二支が一巡する節目であることに加え、午が方角では南、時刻では正午を表し、陽の気が最も盛んになると考えられているためです。この大祭には、「天下泰平」「諸願成就」「魔陣退散」の願いが込められています。 鹿島神宮では年間90を超える祭儀が執り行われ、祭頭祭(さいとうさい)や白馬祭(おうめさい)、流鏑馬(やぶさめ)など特色ある諸行事が数多く行われていますが、その中でも一番規模の大きな祭礼が御船祭であり、本邦内海で行われる御船祭としても最大の祭典です。開催期間中は多くの人出が見込まれるため、神宮周辺では交通規制が実施されるほか、シャトルバスが運行されます。 御船祭の起源は二千年以上前にさかのぼるとされ、平安時代より体系化され、世情に合わせその規模や形を変えることはあっても、現代まで脈々と受け継がれてきた祭礼です。 鹿島神宮の御祭神「武甕槌大神」(たけみかづちのおおかみ)は鹿嶋の地域だけでなく、日本全国を守護する神として古くから信仰されてきました。その御神威を広く全国に届けるため、祭礼の舞台となるのが、かつて「香取の海」と呼ばれた広大な水域です。現在の霞ケ浦や北浦、水郷地帯一帯に広がっていたこの内海は、古代には東国最大級の水上交通の要衝でした。 現在の御船祭は1870(明治3)年に再興されたもので、御分霊をお遷(うつ)した御神輿に約2000人が供奉して北浦湖岸の大船津へ向かいます。大船津河岸の大船津鳥居(西の一之鳥居)に御船祭の時期のみ設置される船着き場で神事が執り行われます。そこから色鮮やかな五色の吹き流しや龍頭を飾りつけた「御座船」を先頭に、幟旗や大漁旗を飾り付けた約100隻の供奉船(ぐぶせん)が約11キロをわたって香取市加藤洲に向かって進み、香取神宮のお迎えを受けます。 武甕槌大神と経津主大神 鹿島神宮の御祭神「武甕槌大神」と香取神宮の御祭神「経津主大神」(ふつぬしのおおかみ)は、ともに協力して日本の基礎を築き上げた神として神話で語られています。御船祭では、「今後も共に国の安寧のために力を尽くす」ことを確認することに重要な意義があるとされています。香取神宮では2026年4月に12年に一度の「式年神幸祭」を執り行い、「経津主大神」を鹿島神宮の神職がお迎えしています。 こうした歴史ある式年大祭を迎えるにあたり、2020年から5年7カ月にわたり、記念事業として境内の主要建造物を修繕する「令和の大改修」が進められてきました。6月には楼門改修工事の完了をもってすべての工事が終了し、修復を終えた楼門が参拝者を迎えます。楼門は1634(寛永11)年、水戸藩初代藩主・徳川頼房によって奉納されたもので、日本三大楼門の一つに数えられ、国の重要文化財にも指定されています。(ブックセンター・キャンパス店主)
コメント一覧