利用者間の交流を重視した共用の仕事・勉強の空間、コワーキングスペース「ROOMS(ルームス)」(つくば市苅間)が1日、オープン1周年を迎えた。5日には記念パーティーを予定している。サービスを立ち上げた筑波大学大学院2年の滝波俊平さん(25)に話を聞いた。
ROOMS(2021年5月6日既報)は、作業用の「個室」と「コワーキングスペース」の提供をメーンにしている。開業から1年が経った現在、個室を目当てにした利用者が主だ。利用者の多くは女性で「オンライン会議を静かなところでやりたい」という声が多い。ほかにも「アイドルのライブを一人で集中して見たい」という個室利用者の声もあった。
今年4月の利用者数は「個室」が37人、コワーキングスペース5人。これまでの累計利用者数でみても12倍ほどのひらきがある。月間の売上額はおよそ4万円で推移している。「コワーキングスペースの利用が伸びないのは意外だった。現在は、コワーキングスペースを別の形に転換することも検討している」という。
開業当初は個室とコワーキングスペースのみを提供していたが、現在は「キッチンスペース」と「イベントスペース」、「こたつ部屋」も始めた。利用者のニーズに応えるためだ。しかしイベントスペースはコロナ禍で利用する催しが少なかったため利用者はほとんどいなかった。キッチンスペースについては「クリスマス女子会やママ会などで数件の利用があった」そうだ。「お客さんの声を聞きながら少しずつ新しい挑戦をしてきた。これからも良い場を作っていくために試行錯誤していきたいと思っている」と滝波さん。
コロナ禍での開業だったが影響は少なくなかった。「感染者数が増加すると利用者も減り、減少すると増える。このサイクルがあった」。コロナ禍のリモートワークやオンライン授業などの需要で「個室」の利用が増えるのではないかと考えていたが、実際にはそうした利用者は少なかったそうだ。
「良い場を作っていきたい」
1周年記念パーティーは5日、ROOMSで開催される。つくば市天久保の喫茶店「ひととつむぐカフェ 縁counter(エンカウンター)」などが出店する。同店は滝波さんと同じく、筑波大学大学院に在籍しながらお店を経営する伊藤悠椰さんのカフェだ。滝波さんは「ROOMSのスタッフの方が伊藤さんと知り合いで、紹介をしてもらった。こういう風にいろいろなつながりを作ることができた1年間だった」と振り返る。
同市上郷でパパイヤ農園を営む柳下浩一朗さん(ジミーfarm合同会社)からは、パパイヤ茶の提供を受けた。普段からコワーキングスペースで飲むことができるお茶だ。「こういうコラボはありがたい。これからもつながりが増えていったらうれしい」と滝波さん。
記念パーティーでは滝波さんが「植本祭」と呼ぶ催しが行われる。利用者から「好きな本」を募集し、それをROOMSが購入する。当日、参加者でそれらの本を棚に移し、誰かが好きな本だけが集まる「本棚」を完成させるというイベント。「私自身も本が好きでこの催しを考え付いた。新しいつながりが生まれたらうれしい」と話す。
今後について滝波さんは、「現在は5年制の一貫制博士課程の2年目なので、まだ数年は大学院生として在学する。これからもROOMSを続けていって、良い場を作っていけたらと思う」と展望を語った。(山口和紀)
◆1周年パーティーは6月5日(日)午前10時から。営業時間は午前9時から午後19時。日曜定休。電話029-856-4155 。HPはこちら。