つくば文化学園が運営する日本語学校「日本つくば国際語学院」(つくば市松代、東郷治久理事長兼校長)の入学式が20日、隣接の日本料理店、山水亭で催され、コロナ禍の中、入国を待ちわびた13カ国の52人が入学した。3年ぶりの入学式となった。
2年間入国できず待機していた留学生が多いという。例年なら4月に入学式を開催するが、コロナ禍で留学生の入国が遅れたため1カ月遅れの式典となった。
出身国は、イラン、ウズベキスタン、タジキスタン、スリランカ、ネパール、ガーナ、カメルーン、ミャンマー、モンゴル、中国、韓国など。
式典では、東郷理事長が一人ひとりに学生証を手渡し、「去年、おととしは入学式が行えなかった。待ちわびていた入学式が盛大に行えたことは大きな喜び」とあいさつした。さらに「コロナの中、一度は入学を断念しようかと考えた人もいたと思うが、将来の夢の実現のために目標を果たすという強い意志が扉を開いた」と称えた。その上で「日本語を楽しく学び、日本を好きになってもらおうというのがモットー。たくさん日本語で話して上手になってください」などと呼び掛けた。
新入生を代表してイラン出身のハディース・ダナーさん(28)が日本語であいさつし「もし世界中のどこにも戦争がなかったら、おそらく今日、ウクライナ人やシリア人も私たちとここで入学式を祝うことができたと思う」と語り、「ここにいる新入生は、大きな願いを達成し成長するために留学を決意し、さまざまな人が安全に安心して一緒に暮らせる日本を選んだ。今の気持ちを忘れずに精一杯頑張るつもりです」などと決意を話した。
続いて在校生を代表してベトナム出身のズォン・ヴァン・チンさんも日本語で「私を助けてくれた先輩たちのように、私も優しい先輩になろうと心の中で決め、皆さんが来るのをずっと待っていたのに、コロナのせいでなかなか先輩になれなかった。今日やっと先輩になれた。皆さんと一緒に勉強できる毎日を楽しみにしています」と話した。
同校は2018年度に開学。20年度と21年度はコロナ禍で入学予定者が来日できず、学生は、リモートで出される宿題をこなすなどしながら待機していた。一方、同校では主に、つくば市内の大学や研究機関などで働く外国人の家族などが日本語を勉強するなどしていたという。
新入生代表としてあいさつしたイラン出身のハディースさんは、アニメ監督、宮崎駿さんのファンで、イランの大学で日本語と日本文化を学び、卒業後、イラン国内のアートスクールでイラストやアニメを勉強した。1年半前に来日する予定だったが、コロナ禍でかなわず、イラン国内の会社でイラストを描く仕事をしながら入国できる日を待ったという。「ずっと待っていることは一番大変だったけれど、アニメは日本が世界一なので、将来のため来日した」と話す。卒業後は、日本のアニメ制作会社で働くことが夢だという。