土曜日, 2月 21, 2026
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ウクライナ人が書いた「プーチン幻想」を読む 《邑から日本を見る》111

【コラム・先﨑千尋】ロシアのウクライナ侵攻(侵略)から2カ月以上経つ。プーチンが当初考えていた数日間での占領はかなわず、いつどのような形でこの戦争が終わるのかに焦点が移った。今日(5月9日)はロシアの対独戦勝記念日だそうだが、プーチンはどのような演説をするのだろうか。

ロシアのウクライナ侵略開始前から不思議に思っていたことの一つに、アメリカのバイデン大統領が「プーチンがウクライナへの侵攻を決断したと確信している」という類の情報を流し続けてきたことがある。米政府は、侵略後も、ロシアの攻撃状況や兵力、後方支援の問題などの機密事項と思えることを、それこそリアルタイムで刻々公開してきている。さらに、ミサイルや新兵器などを次々にウクライナに提供し続けている。

実質的にロシアとアメリカの代理戦争ではないかとすら思える。もうかるのはアメリカなどの「死の商人」だけだ。国連は無力であることも証明された。

先日、脱原発を目指す首長会議に出席した折、世話人の1人、三上元・元静岡県湖西市長から「この本が面白いよ」と、グレンコ・アンドリー「プーチン幻想」(PHP新書)を紹介された。著者はウクライナ人。翻訳ものではなく、著者が日本語で直接書いている。本の帯には「かつてウクライナは、世界三位の核保有国だった。しかし『非核三原則』を掲げ、あげくはクリミアをロシアに奪われた。日本在住のウクライナ人が、平和ボケ日本人に贈る警告の書。プーチンに騙(だま)されるな!」とある。

なるほど面白い。小説を読むときの面白さではなく、初めて知るロシアとプーチンの世界。新書だから一気に読める。3年前、安倍首相の在任中に出版された本だから最新の情報はないが、本書は「日本人が知らないプーチンの正体」「ロシアは『約束を破るために約束をする』」「ウクライナの教訓-平和ボケと友好国への妄信が悲劇を招く」から成り、読めば、プーチンとはこういう人なのだということが分かる。

侵略前のプーチン像は100%ウソ

柔道や秋田犬などから、プーチンは親日、プーチンは反中、プーチンはロシアや東スラブの伝統文化を目指す保守主義者、プーチンは国際金融資本と戦っている勇者という、ウクライナへの侵略前の日本人のプーチン像は100%ウソ、と著者は最初に断じる。そして、そういう説がなぜ間違いなのかを著者は次々に論証、立証している。その筋道がはっきりしているのが面白いゆえんだ。

プーチン体制はいかにして出来上がったのか、責任の半分はアメリカにある、アメリカはソ連の崩壊を望まなかった、インターネット空間も徹底的にコントロール、プーチンと側近による国家の私物化、人を殺してもよいという考え方、安倍政権の対露外交は間違っている―などのフレーズは、今読んでみるとホントによく分かる。

日露間の北方領土問題は当分棚上げされるだろうが、著者の主張は「北方四島は不法占領されているのだから、『返ってくる』ではなく、『取り返す』『返還させる』だ。早期に解決しなければならない理由はない。千島列島も南樺太も係争地なのだ。唯一の解決策は占領状態の終了」と明快だ。政治家や外務省の人たちだけでなく、多くの日本人に読んでもらいたい本だ。(元瓜連町長)

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