大相撲春場所は27日、千秋楽を迎え、3敗で並んだ土浦市出身の東前頭7枚目、高安(32)=田子ノ浦部屋=は、優勝決定戦で新関脇の若隆景(27)=荒汐部屋=に敗れ、惜しくも初優勝を逃した。高安の地元土浦では、駅前の市役所1階でパブリックビューイングが行われ、約100人の市民らが、応援の横断幕やうちわを掲げながら、大きな声援を送った。
千秋楽結びの一番で若隆景が敗れると、本割で敗れた高安との優勝決定戦が決まった。初優勝への望みをつないだ高安に向けて、会場から拍手が起きた。しかし、念願はかなわなかった。立ち会いから攻めた高安だが、土俵際で若隆景の上手出し投げに敗れた。正面の大型モニターに土俵に崩れる高安の姿が映ると、会場からは大きなため息と悲鳴が漏れた。
観戦席の最前列で声援を送った「高安土浦後援会」会長の中川清・元土浦市長は「小さい体でよく粘った。残念。が、頑張った。まだ若い。また来場所応援してやってください」と本人をねぎらった。
中川会長の隣に座る安藤真理子・土浦市長は「コロナ禍の閉塞感の中で、みんなで応援できたのがうれしい。優勝を信じてるし、望みは次につながると思う」と来場所への期待を語った。
応援に駆けつけた、後援会の立ち上げに関わった自営業の冨山みどりさんは「高安関が序二段の頃から応援している。家族ぐるみの付き合い。ショックだが、これからも頑張ってほしい」と力を込めた。
後援会幹事の横山和裕さんは「本当によく頑張った。本人が一番悔しいと思う。胸張って、頑張って次につなげてほしい。また美味しいお酒を一緒に飲みたい」と励ましの声を送った。
高安は5回目の敢闘賞を受賞した。一方、優勝した若隆景は福島県出身。新関脇での優勝は、69連勝の記録を持つ横綱・双葉山が記録した1936(昭11)5月場所以来、86年ぶりの記録となる。(柴田大輔)