水曜日, 11月 19, 2025
ホームつくばつくば駅前にチャレンジショップ2店オープン

つくば駅前にチャレンジショップ2店オープン

つくば駅前の商業施設キュート1階とBiViつくば2階に3日、古着店と弁当店がそれぞれオープンした。市内での新規出店や創業を目指す若者を後押しする市のチャレンジショップ事業で、来年2月末まで期間限定で出店する。

自分に合うおしゃれをコーディネート 古着店

古着店は、筑波大学理工学群社会工学類2年の岡本萌実さん(20)が代表を務める「リリー・オブ・ザ・バレイ(Lily of the valley)」で、約90平方メートルの店舗に、ジーンズやジャケット、シャツ、スカート、ワンピースなど1着3000円から6000円の普段着約300点が並ぶ。中高生や大学生など若い世代がターゲットで、アクセサリーやバッグなどもある。

岡本さんは秋田県出身。服が好きで、高校1年の時から、自分が着ている服を写真に撮り、コーディネートのポイントと共にインスタグラムでほぼ毎日紹介してきた。大学に入ってからはアパレル会社から依頼を受け、はやりの服を紹介したり、コーディネートの相談に乗ったり、服を貸し借りする市内の大学生同士のLINEグループを立ち上げるなどしてきた。友人から服のコーディネートを頼まれることも多いという。

ファッションへの愛が高じ、着られてない服を次の持ち主に届けて服を循環させ、さらにファッションの相談に乗りながら、昨日よりちょっぴりおしゃれになれる場所をつくりたいと、市の事業に応募し出店した。

古着店を運営するスタッフは筑波大生17人。古着などを購入する資金は、岡本さんが知人らを集めて事業提案し約100万円を集めた。スタッフが千葉県内などの古着卸業者に買い付けに行く。

店名のLily of the valleyは、すずらんを意味する。花言葉は幸福の再来で、着られなくなった服を次の持ち主に届け再び幸福にするという願いを込めた。

岡本さんは「その人に合う色やコーディネートを提案したい」とし「古着好きだけでなく、自分に合う色や自分に似合うおしゃれが分からない人も気軽に来て、相談してほしい」と話す。来年夏には筑波大近くに古着店を出店する計画もある。

野菜の味を発酵調味料で引き出す 弁当店

弁当店は、今年3月、埼玉県からつくば市に移住してきた発酵料理家の宮崎絵美さん(38)が経営する。店名は「森と海のおべんとう」で、市周辺の農家が栽培した無農薬野菜を、宮崎さんが、みそや麹(こうじ)、酒かすなど発酵調味料で料理した手作りの弁当と惣菜を販売する。

店舗はBiViつくば2階の約25平方メートル。3日の弁当のおかずは、白菜とカリフラワーの鶏ブロス煮込み、切干大根と豚の甘酒アラビアータ、ブロッコリーソースのフワとろ卵焼き、熟成ビーツと有機ニンジンのサラダなど。ごはんは合鴨農法で栽培した白米に黒米を混ぜた。

つくば市と守谷市内3カ所の農家から仕入れた野菜を、栄養素などが逃げないよう、水を使わず野菜に含まれている水分だけで無水調理し、野菜本来の味を引き出しながら発酵調味料で味付けする。

弁当は8種類のおかずが入った1200円(税込み)のものと6種類が入った850円(同)の2種類で、おかずと惣菜は、季節ごとに変わる。水、木、金曜の週3回、弁当は1日限定40食を販売する。

宮崎さんは千葉県出身。大学を卒業後、外資系の広告代理店に勤めた。深夜まで働きづめの日々を10年ほど続けたが、30歳手前で体と心のバランスを崩し、自分は何のために生きているのか、自分の時間の使い方を変えたらもっと人を幸せにできるのではないかと考えるようになった。母親ががんを患った時期とも重なり、大事なのは自分の健康と家族だと、32歳のとき会社を辞めた。

その後、千葉県いすみ市で、自給自足の生活を送りながら暮らすグループに参加し、1年間ほど住み込みで農業をしたり、発酵調味料作りを学んだり、カフェを手伝うなどした。食を一生の仕事にしようと決意し、続いて南アフリカに赴きオーガニックマーケットを学ぶなどした。

帰国後は、子育て中の母親の家などに出向きケータリングや出張料理をした。しかしコロナ禍で仕事のスタイルの変更を迫られ、今年3月、もともと野菜を仕入れるため通っていたつくば市に移住した。9月からは、閉店したレストランの厨房を借りて、市内で弁当の販売をスタート。今日収穫した野菜を、明日のお弁当で出せる農家との距離感が、つくばを選んだ理由という。

これまでの活動を通して「発酵調味料を使った料理方法を教えてほしいとか、みそ作りのワークショップを開いてほしいとか、子どもと一緒に畑に行って皆で料理がしたいとか、いろいろな声をいただいた。ママコミュニティーを盛り上げ、一緒に地域をつくり上げる活動をしていきたい」と話す。

13人が応募

チャレンジショップ事業は、市がセキショウキャリアプラスに委託して実施している事業で、今年度で3年目。出店者の家賃を補助するほか、経営の専門家がアドバイスしたり、顧客や販路開拓を支援する。今年は7、8月に出店者を公募し、13人の応募者の中から、長期出店者として岡本さんの古着店と宮崎さんの弁当店、短期出店者としてほかに3人が選ばれた。今年度の事業費は約1140万円。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

16 コメント

コメントをメールに通知
次のコメントを通知:
guest
最近NEWSつくばのコメント欄が荒れていると指摘を受けます。NEWSつくばはプライバシーポリシーで基準を明示した上で、誹謗中傷によって個人の名誉を侵害したり、営業を妨害したり、差別を助長する投稿を削除して参りました。
今回、削除機能をより強化するため、誹謗中傷等を繰り返した投稿者に対しては、NEWSつくばにコメントを投稿できないようにします。さらにコメント欄が荒れるのを防ぐため、1つの記事に投稿できる回数を1人3回までに制限します。ご協力をお願いします。

NEWSつくばは誹謗中傷等を防ぐためコメント投稿を1記事当たり3回までに制限して参りましたが、2月1日から新たに「認定コメンテーター」制度を創設し、登録者を募集します。認定コメンテーターには氏名と顔写真を表示してコメントしていただき、投稿の回数制限は設けません。希望者は氏名、住所を記載し、顔写真を添付の上、info@newstsukuba.jp宛て登録をお願いします。

16 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

民有地の建物内にセアカゴケグモ 土浦市が注意呼び掛け

土浦市は18日、同市東中貫町、民有地の建物内で、特定外来生物のセアカゴケグモのメス1匹と、卵が詰まった卵のう4個が発見されたと発表した。クモはすでに駆除され、かまれた人や健康被害を訴える人はいない。 セアカゴケグモのメスは毒をもち、かまれると重症化することがある。素手で触るとかまれることがあるため、同市は、見掛けても絶対に素手で触らないよう注意を呼び掛けている。 市環境衛生課によると、17日、建物内にクモが1匹いるのが発見され、セアカゴケグモだと分かり、発見者がクモと卵のうを駆除した。発見者は同日午後5時30分ごろ、市ホームページの問い合わせフォームから市に連絡した。 翌18日午前9時ごろ、連絡を受けた市職員が現地を訪問し、駆除されたセアカゴケグモ1匹と卵のうを確認。県生物多様性センターが同日、セアカゴケグモであることを確認した。 駆除されたメスは体長1センチ弱、卵のうは袋状で、一つの直径が5ミリ程度。クモがどこから侵入したかなどは不明という。 同市内では今年8月、民有地でセアカゴケグモの死骸が発見された。生きた状態で見つかったのは今回が初めて。県内では2013年に神栖市で発見されて以降、各地で目撃されている。 市は、セアカゴケグモを見つけた場合、素手で触らず、家庭用殺虫剤か熱湯、靴などで踏みつぶして駆除し、市環境衛生課(電話029-826-1111内線2459)に連絡してほしいと呼び掛けている。

30年にわたり筑波山を撮影 会沢淳さんが写真展 ダイナミックな自然、見るものを圧倒

18日から 県つくば美術館 30年間にわたり筑波山を撮り続けているつくば市在住の写真家、会沢淳さん(70)の筑波山写真展が18日から、つくば市吾妻、県つくば美術館で開かれている。筑波山の姿のほか、ダイナミックな自然の動きや人々の暮らしを巧みな構図で撮影した70点が展示され、見るものを圧倒する。30年間にわたって撮影した年代、季節、地域など多岐にわたる作品が並べられている。 山頂付近のブナを撮った「白きブナたちの森」は、積雪した筑波山に登り撮影した。「燧ケ池(ひうちがいけ)の榎(えのき)」に写る榎は、今は伐採されたためもう見ることができない貴重な写真だ。「火の神山の神」は、山麓の小田地区で催される伝統行事、どんど焼きを撮った。ほかに、筑波山神社の祭礼、御座替祭(おざがわりさい)で女体山頂付近で撮った「天近きところで」、山麓の田植えの様子を写した「命を植える手」などが展示されている。 会沢さんは筑波山の写真集を出版している唯一の写真家。1955年北海道三笠市で生まれ、新潟県で育った。千代田写真専門学校卒業後はスペインやモロッコを放浪。帰国し1981年、撮影会社の竹見アートフォトスに入社。84年に独立し、95年に「2億4千万年の神々―会沢淳筑波山写真集」を出版。筑波山の写真展は2008年に東京・秋葉原のつくばエクスプレスプラザで初めて開催して以来、2回目。 つくば市に住み、筑波山に徐々に魅了され、素晴らしさに気づいたと話す。「標高877メートルの低山だが、百名山の一つ。関東平野にそびえる目立つ存在で、万葉集には25首の句が詠まれた。しかし、あまりにも当たり前にそこにある」。 ある時会沢さんは「自分が筑波山を見ているのではなく、筑波山が自分を見ている」という感覚になり、「筑波山に通うしかない」と思ったという。 「撮影中に、凍った地面で転落しそうになったり、中腹の白滝神社の前でシャッターが切れなくなったりなど、危ない目や、不思議な現象にたくさん遭った。やはり神々の山なのだと思い、それから筑波山神社でお参りするようになった。筑波山と対峙すると、山が意思を持っていると感じられる」と話す。 市内から来館した60代男性は「筑波山の写真がたくさん並べてあって楽しい。配列にも工夫があって、とても見やすい。全体として構図が素晴らしくさすがにプロの写真家」と話していた。(榎田智司) ◆同展は11月18日(火)から24日(月)まで、つくば市吾妻2-8、県つくば美術館で開催。開館時間は午前9時30分~午後5時(最終日は午後3時まで)。入場無料。問い合わせは会沢淳さん(電話029-838-2786、メールfffaizawa@yahoo.co.jp)。

つくば市「かつらぎ公園」の秋《ご近所スケッチ》20

【コラム・川浪せつ子】今年は夏が長くて、秋はあっという間におしまい? そんな中でも、紅葉狩りは楽しみですね。筑波周辺には、思いのほか紅葉のきれいな場所が多いです。「かつらぎ公園」(つくば市春日)もその一つです。市立春日学園義務教育学校の裏にあり、あまり知られていないかもしれません。 この公園にはテニスコートがあるため、常駐している方もいます。また、池が2つあり、石組の小川でつながっています。そこで見つけたのは、左側の落ち葉お掃除の様子。私は、いろいろな場所で(空港や海外でも)お掃除道具を見るのが大好きです。ついスケッチしてしまいます。日本では、空港掃除係の方が「プロフェショナル」として話題になったこともありました。 お掃除のプロフェッショナル プロと言えば、私の属している全国組織の団体の方の話です。そこで県のトップとして長年活躍していた方が、高齢になり仕事を辞めました。その方はその後も地域に貢献していきたいとシルバー人材センターに登録し、お役所関係の場所のお掃除を始めました。 「トイレのウォシュレットを引き出して、ここまでキレイにしているのは、多分、私くらい」との言葉を聞いて、感動してしまいました。だから、仕事を通して皆さんに信頼され、自分も誇りを持って生きてきのだと。その心持ちで何十年も仕事をしてきたプロだったのですね。 誇りを持って仕事をこなしていくことは、簡単ではないのではないでしょうか。たとえ誰も見ていない、誰にも認められなくても、手を抜かず仕事をこなしていくのは、結構シンドイです。主婦業はそんな感じですね。普通の人は褒められたいし、収入も多くと願うものです。自分を褒め淡々と、仕事も家事もこなしていける人でありたいと思いました。 宅配さんが東屋でお弁当 ちなみに、「かつらぎ公園」は紅葉の時期でなくても癒される場所です。お昼時、小さな東屋で、宅配便のお兄さんがお弁当を食べていました。何でもない、そんな日常がいとおしくなる公園です。(イラストレーター)

ウサギ捕り遊び仕事(3)《デザインを考える》26

【コラム・三橋俊雄】今回は、京都府北部・丹後半島で行われているウサギ捕りという「遊び仕事」について2つの事例を紹介します。「ククリワナ」(宮津市由良・南丹市大野)と「バイ投げ」(宮津市上世屋)です。 針金の「ククリワナ」 杉の新芽を求めて訪れるウサギのケモノミチに、針金で輪をつくり、近くの木へ仕掛ける―それが「ククリワナ」(図1)です。針金は藁(わら)で一度焼いて粘りを出し、柔らかくして用います。金属の匂いが消えるためか、よく捕れるといいます。罠(わな)の針金は使い捨てにし、山仕事の行きしなに仕掛けますが、同じ場所には続けて置きません。 ワナは7〜10カ所ほど設けておきます。ケモノミチはウサギがヒサカキの葉を食べたり、丸い糞を落としたりすることで見分けられます。猟の技術は大人から教わったものだといいます。 朝7時半に山仕事へ出発し、道中で仕掛けを確認します。ウサギが捕れていれば、仕事の間は木にぶら下げておきます。谷では仲間とともに山の作業をし、午後4時半頃には帰宅します。ある日には7羽もウサギが捕れて、近所に分けたこともありました。猟は10月から翌年4月まで続き、平均すると5日に1羽ほどの成果でした。 昔はウサギによる害が圧倒的に多かったようです。杉の苗木を春や秋に苦労して植えても、新芽を食べられてしまい、翌年には植え直しを余儀なくされることもありました。杉の木が一本でも助かればと思い、仇討ちのつもりでウサギを捕りましたが、それは同時に「楽しみ」でもありました。食料の乏しい時代でもあり、捕ったウサギは料理して食べました。 皮は喉から足まできれいに剥ぎ、なめすことはせず干して山の敷物にしました。内臓はうまく取り出せるので捨ててしまい、背や足の肉はすき焼きにして食べました。佃煮(つくだに)風の「コロ炊き」にすれば日持ちもしました。 二股枝の「バイ投げ」 「バイ投げ」は、まず雪山の陽の当たる斜面で、曲がった木の根元近くに眠っているウサギを探し出します。ウサギに気づかれないように近づき、バイ(二股の枝にアカマツの葉をくくりつけたもの)を用意します。そして、天敵のタカやトンビが襲いかかってきたかと思わせるように、続けざまにバイを空中へ投げ上げます(図2)。 バイはヒューヒューと風を切って唸(うな)り声を発し、その音に驚いたウサギは身をひるがえし、木の根元の隠れ穴へ一目散に逃げ込みます。間髪を入れず雪穴めがけて走り寄り、すばやく周囲の雪を踏み固めて逃げ道をふさぎます。テンズキ(木製の除雪具)で穴を慎重に掘り進め、ウサギの後ろ足を探り出して掴(つか)み、引きずり出します。 この「バイ投げ」は午前10時から午後3時頃まで行われ、猟期は節分(2月初め)までとされています。節分を過ぎるとウサギは発情期を迎え、行動が敏感になるため、追いかけるのが難しくなるといいます。(ソーシャルデザイナー)