月曜日, 4月 27, 2026
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つくばの街づくり 迷走する市の計画 《吾妻カガミ》109

【コラム・坂本栄】TXつくば駅前に新装オープンした「トナリエ クレオ」をのぞいてみました。撤退した西武百貨店では「デパ地下」だった1階には、食品スーパー「ロピア」のパワフルな食材が並び、以前とは大分違った雰囲気でした。茨城初の同店が核店舗として入り、つくばセンター地区は平成のころとは違ったまちに生まれ変わるような予感がします。

徒歩や自転車で行ける「クレオ」

トナリエ・クレオ開店の様子は、本サイトの記事「クレオ3年ぶりに再オープン」(5月19日掲載)をご覧ください。新しい家主「日本エスコン」の伊藤社長のあいさつが引用されていますが、「大型百貨店などのGMS(ゼネラル・マーチャンダイズ・ストア)を核とする構成から、地域住民に欠かせない食品スーパーを核とするNSC(ネイバーフッド・ショッピング・センター)に構成を変えていく」との考え方には、なるほどと思いました。

業界用語NSCとは、食品スーパーを中心にして、近隣住宅街などの小商圏をターゲットとする商業施設のことだそうです。大商圏を想定して高級品も扱う百貨店とは違ったコンセプトです。中部電力系の東証1部上場不動産会社・日本エスコンとしては、つくば駅周辺に林立するマンションに注目(自らもクレオ隣りに建設中)、勢いのある食品スーパーを誘致したようです。

この地区には、カスミ・フードスクエア学園店、ヨークベニマル・つくば竹園店、西友・つくば竹園店など、有力な食品スーパーがひしめいています。そこに新たなNSCをぶつけてきたことに、エスコンとロピアの気合いを感じます。クレオに徒歩あるいは自転車で来られるエリアに、これからもマンション、戸建住宅が増えると読んだからでしょう。

これらの店の大商戦によって、つくば駅周辺が活気ある「オフィス+マンション+飲食店+小売店」地域になればと思います。

市の無為は「まちづくり」にプラス

こういった絵を描いていたら、2年半前に、五十嵐市長が「つくば駅周辺にマンションを建てさせない」と言っていたのを思い出しました。この計画がまだ生きているとすれば、進出会社の読みに狂いが生じます。そこで市長にただしたところ、マンションを規制する方針は変わっていないということでした。どうやら、市は民主導の「まちづくり」が面白くないようです。

市主導の「まちづくり会社」による「クレオ再生計画」が失敗した後、コラム「クレオ問題 そして祭りは終わった?」(2018年11月5日掲載)の中で、「市は時間軸を曖昧にしたまま、つくば駅周辺にマンションを建てさせない用途制限措置を導入しようとしている。これでは、建設を誘導しているようなものです」と指摘しました。

その後の推移を見ると、市はマンション規制に動かず、市長発言によって逆に建設が促され、マンションの集積が進むことになりました。市長の言行不一致=無為が「まちづくり」にプラスになったわけです。

エスカレーター問題で迷走するセンター地区再生計画もそうですが、市は余計なことをしない方がよいようです。この際、お荷物の「センタービル」の再生も、市主導の「まちづくり会社」ではなく、知恵と力がある民間会社に頼んだらどうでしょうか。この提案、コラム「センタービル再生の問題点」(2020年8月3日掲載)でも書きました。(経済ジャーナリスト)

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約250種類のクレマチスを集めたコレクション特別公開「クレマチス園公開」が、25日からつくば市天久保の国立科学博物館 筑波実験植物園(遊川知久園長)で始まった。今回で36回目を数え、例年2万人を超える来場者が訪れる企画展だ。華やかな色彩と多様な形を持つことから「ツル植物の女王」とも呼ばれるクレマチスの魅力と、歴史、保全の取り組みを体感できる。開催は6月7日まで。 クレマチスはキンポウゲ科の植物で、北半球の温帯地域を中心に約300種が分布している。日本にも約30種の野生種が確認されている。日本の代表的な野生種で大きな花をつける「カザグルマ」は、中国原産のテッセンなどとともに19世紀の植物学者 シーボルトがヨーロッパへ持ち帰り紹介したことで、現在の多様な園芸品種のルーツの一つとなったことが知られている。 ヨーロッパでは150年以上前から品種改良が始まり、約100年前にフランスで生まれた紅色の花弁と黄色の芯が特徴の「ビル・ド・リヨン」など園芸品種は現在までに数千種に及んでいる。日本では戦後に育種が進み、青紫色から薄青色の花色を持つ12から15センチの大輪を咲かせる「藤娘」など、海外へ輸出される品種が生まれている。園内では、クレマチスが歩んだ歴史を知ることができるように、「100年以上前の品種」「昭和の品種」「新しい品種」などの表示が株ごとにつけられている。 同園では、カザグルマをはじめとするクレマチスの野生種と園芸品種、350種以上を保有している。今回の展示は「約250種類のクレマチスが時期をずらして開花し、100種類ずつ花がバトンを渡しながらリレーするような形で咲き変わっていく。訪れる時期によって異なる景観が楽しめる」と、展示を担当する同園研究員の村井良徳さんは言う。 ゴールデンウィーク頃には早咲きの品種が見頃を迎え、会期前半と後半で全く異なる種類を見ることができるのも特徴だ。昨年発表された常陸太田市の大内園芸による世界で初めてとなる緑色の壺型の花をつける「シェンロン」や、個人育種家の廣田哲也さんによる淡いピンクが特徴の「咲良(さくら)の妖精」など、流通量が少ない品種もある。 絶滅危機の野生種も 多様な園芸品種がある一方で、深刻な個体数の減少に直面する野生種がある。地域ごとに花の色や形が異なるカザグルマや、四国の限られた場所に自生するシコクハンショウヅルなどは、宅地開発やダム建設、乾燥化などの影響で自生地が急速に減少し、絶滅危惧種に指定されている。茨城県内でも近年、複数の自生地が消失しているという。園ではこうした貴重な遺伝資源の保全に力を注いでおり、DNA解析による系統研究も進められている。 村井さんは「野生種が持つポテンシャルに人の手が加わって、色と形が爆発的に多様化したのがクレマチス。これだけの花の多様性を間近に見ることができるのは、筑波実験植物園だからこそ。一つ一つの花が持つ個性を、じっくり楽しんでもらえたら」と来場を呼び掛ける。(柴田大輔) ◆コレクション特別公開「クレマチス園公開」は4月25日(土)~6月7日(日)、つくば市天久保4-1-1 国立科学博物館 筑波実験植物園で開催。開館時間は午前9時から午後5時(入園は午後4時半まで)。月曜など休館、5月4日(月)は開館。入園は一般320円、高校生以下、65歳以上、障害者などは無料。5月4日(月)と19日(火)は入場無料。◆5月3日(日)、4日(月)、19日(火)、6月7日(日)はそれぞれ午前10時~、10時半~、11時~の3回、同園研究員の村井良徳さんによる「クレマチス園見学ポイント紹介」を開催。会場は同園内のクレマチス園。各回先着10人。◆5月4日(月)と19日(火)午後1時半~、午後3時~、村井さんによる栽培講座「はじめてのクレマチス栽培」を開催。会場はクレマチス園。各回定員12人。◆5月10日(日)午後1時半~、カザグルマ研究者の飯島眞さんによる特別セミナー「風車の多様性および保全と、テッセンを中心とした種間交配の成果と今後の育種の可能性」を開催。会場は同園研修展示場3階セミナー室。定員30人。◆5月17日(日)午後1時半から村井さんによる「日本のクレマチスの野生種や園芸品種の多様性を楽しむ」。会場は研修展示場3階セミナー室。定員30人。※講座とセミナーはホームページから事前予約が必要。詳しくは同園ホームページへ。