土曜日, 2月 7, 2026
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高校生の進学情報格差なくしたい 筑波大生らオンライン塾立ち上げ

筑波大学の学生らが昨年、無料のオンライン塾を立ち上げた。高校生らの学習や進路の指導を行う「学び舎栄智(まなびやえいち)」だ。活動の大きな目標は、地方と首都圏の高校の間にある大学進学に関する情報格差をなくすことだ。代表の長谷川弘貴さんは、同大理工学群数学類1年で、地方出身。団体を立ち上げた経緯とこれからの展望について話を聞いた。

―活動のきっかけはなにか。

長谷川 高校生の頃から大学進学に関する「情報格差」に大きな関心を持っていた。自分が通っていた高校は、授業料は払っているのに自分が望んだような情報が得られないという状況だった。そういう環境の中で進学の情報格差というものには大きな関心を高校時代から抱いていた。

行動に移すきっかけは新型コロナで時間の余裕が出来たこと。昨年、入学していきなりコロナ禍が直撃した。春学期(前期)が完全にオンライン授業になってしまって残念だったが、時間的には余裕が出来た。「時間だけはあるので何かをやってみよう」という気持ちになって、活動をスタートさせた。

―「学び舎栄智」はどんな活動をするのか。

長谷川 活動をスタートさせたのは昨年の4月から5月。将来的には有料の塾を運営したいと思っているが、今はその前の段階。高校生の学習指導や進路相談などを無料で行なって、市場調査をしているところ。団体の構成員としては、筑波大の学生が7人、茨城大学が2人、山形大学が1人の計10人で活動をしている。

―活動のきっかけとなった「情報格差」とは具体的にどういうものか。

長谷川 やはり大きな問題は地方と首都圏の大学進学情報の格差だ。地方に住んでいる高校生は、そもそも大学に通うイメージをもてなかったり、大学の情報を集めるということが難しかったりする。まずはそういう情報格差を出来るだけ埋めていきたいと思っている。

活動に協力してくれている大学生は地方出身の子が多い。彼らは地方と首都圏の間にある情報格差を実際に体感していて、栄智の活動方針に共感してくれている。具体的な活動としては、大学生がオンラインで大学生活について話す活動や、公式サイトで大学生活の様子などを書く活動をやっている。

活動をサポートしてくれている地方出身の学生は、そうした情報格差という問題意識を共有していると思うし、団体としてのモチベーションにつながっていると感じる。

―普段どのような活動を行っているのか。

長谷川 活動の主軸はオンラインでの学習指導。応募してきてくれた高校生とオンラインで面談をして、希望する進路に近い学部や学科の学生が個別で指導をしている。

今のところ、栄智に集まってきてくれている高校生は「現在の所属学年よりも進んだ範囲を予習しておきたい」と希望する子が多い。授業の予習をオンラインで支援しているという言い方が良いかもしれない。

その他としては、ブログで筑波大学のすごい学生を紹介したり「大学で役に立つ積分」と銘打って数学の解説を書いたりしている。

公式サイトで現役の学生に対するインタビューを公開している

―ほかの個人塾との違い、栄智ならではの特徴は。

長谷川 大学生がやっているということがあって、生徒と年齢が近い。面談をしながらお互いに指導の仕方を模索している。押し付けるのではなく、生徒と一緒に指導の方法から考えていくところが他にはない強みだと思っている。

―活動する上で苦労しているところは。

長谷川 やはり指導する講師とのマッチングが難しい。高校生の生徒は、一人ひとり求めているものが違うので、要望に合うような講師を充てることに苦労している。

今いるメンバーは、理系大学生に偏っているところがある。生徒は理系だけではないので、文系科目の指導には今は弱みがあるように思う。それも含めて自分としては楽しくやっている。一人ひとりに合った講義をするというのが強みであり、難しさだと感じる。

―今後はどのように活動していきたいか。

長谷川 今はその段階に向けて頑張っている最中だが、将来的にはお金をとってやっていきたい。それは教える方の責任にもなるし、「お金を払っているのだからきちんと受けよう」という生徒の姿勢にもつながる。まだ始めたばかりなので、そこまでいくのはまだ先だとは思っている。

そうして活動の質を上げていくなかで、高校生に情報を届けていくことが出来たらうれしい。

(聞き手・山口和紀)

◆栄智のホームぺージはこちら。公式ツイッターはこちら。活動に関わってくれる大学生を募集している。

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ふるさとのない時代《くずかごの唄》154

【コラム・奥井登美子】お正月には誰も故郷に帰りたくなる。私が育ったのは荻窪のみどり幼稚園。緑の名の通り、生垣に囲まれた家と野原の、のんびりした緑色の住宅街だった。 しかし今の東京の町はどこも高いビルばかりで、緑がない。故郷という言葉とはかけ離れた風景になってしまっている。私の故郷と呼べるような所は、もうどこにもなくなってしまったのだ。 幼い時、父の故郷、新富町へもよく連れて行ってもらった。父は歌舞伎座が新富座であった頃の、鉄砲洲小学校出身。「菅原伝授手習鑑」などに寺子屋の子役として駆り出されて、よく出演させられたそうだ。台詞(せりふ)も筋もよく覚えていて、よく私に語って聞かせてくれた。 隅田川のほとりに町があって、父は「〇〇ちゃんの店でノリを買おう」などと、昔の友達の家に寄っておしゃべりするのを楽しみにしていた。父の故郷はいま、日本ではない、高いビルばかりのどこか架空の空間になってしまっている。 タケちゃんの文が朝日に載った 1月27日の朝日新聞「折々のことば 鷲田清一」に、加藤尚武の文が載っていた。「個人の間の平等は、ある程度まで…自然の平等に支えられているが…国力の差は、ネズミとゾウの違いよりも大きい」 加藤尚武は私の弟のタケちゃん。京都大学の哲学教授を務めた後、鳥取に環境大学を創り、環境問題を、哲学のまな板の上に載せた人。「環境問題のすすめ」という著書もある。生活者として、医療と環境を意識して生活している。 加藤家の男たちはみな食べるのが好きで、父も、兄も、タケちゃんも、好きなものを自分で作って食べるのが趣味だ。 私はせめてせめて、お正月くらいは、おしゃべりの好きな弟のタケちゃん、母の昔の味の料理を作ってくれる妹、姪たちに会って、亡くなった父、母、兄の個性を偲(しの)びながら、今の子供たちと比べて、大笑いするしかないのだろうか。(随筆家、薬剤師)