火曜日, 11月 3, 2026
ホームつくば史上最長! ナノサイズのネコジャラシ 物材機構など合成に成功

史上最長! ナノサイズのネコジャラシ 物材機構など合成に成功

【相澤冬樹】物質・材料研究機構(NIMS、つくば市)は9日、理化学研究所と共同で、史上最長のボトルブラシポリマーの合成に成功したと発表した。イネ科植物エノコログサの花穂「ネコジャラシ」 に似た形状の高分子材料で、従来の合成で致命的欠点だった長さや化学的性質の多様性の制約を大きく改善した。これにより、柔軟性と低摩擦性を有する高分子材料などへの応用が期待されるという。

今回の成果は、NIMS機能性材料研究拠点の山内祥弘独立研究者と理研創発物性科学研究センターの石田康博チームリーダーらの研究チームによる。

史上最長といっても、その長さはナノメートル(μm=10億分の1メートル)オーダー。カーボンナノチューブに代表される1次元ナノ材料は、サイズや性質の調整など合成上の課題があった。従来の合成法では原料となるモノマーの反応性や微量不純物の混入などの課題があったため、伸長可能な長さは1μm強が限界で、数μm長の合成法が求められていた。

そこで研究チームが注目したのが、ボトルブラシポリマーという新たな高分子材料。モノマーが多数結合した高分子のことをポリマー(重合体)と呼ぶ。ボトルブラシポリマーは1本の主鎖と複数の側鎖からなり、それぞれの構築用に2種類の重合体を用意、側鎖の選択によって様々な化学組成を持った高分子の設計が可能となる。

この合成により出来上がったネコジャラシは長さ7μmまでに到達、これまでの最長値と比べて約3.8倍の長さに相当した。さらに2種類の重合法を組み合わせることで、主鎖の長さは維持しつつ4種類の側鎖を持つボトルブラシポリマーを作り分けることにも成功した。

今回の成果は、長さや直径サイズや化学的性質の制御された様々なボトルブラシポリマーの合成を可能にする。ボトルブラシポリマーは、表面にコーティングすることで低摩擦面を実現し、例えば機械可動部の摩擦によるエネルギー消費の削減に繋がると期待されている。今後、ボトルブラシポリマーの長さを生かしながら、3次元網目構造にすることで、安定かつ柔軟な材料としてソフトコンタクトレンズや人工軟骨への応用が期待できるという。

NIMSの山内祥弘研究者は先に、ハリセンボンに発想を得た高耐久超撥水材料の開発も手掛けている。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho





spot_img

最新記事

筑波大学附属図書館 特別展を訪ねて《ふるほんや見聞記》22

【コラム・岡田富朗】筑波大学附属図書館の貴重書展示室では、11月20日まで、特別展「戦いのものがたり―語りと記録がつくるイメージ」が開催されています。 絵巻、軍記物語、合戦図 本展では、同館所蔵の絵巻や軍記物語、合戦図など計36点の古典籍を通して、人々が戦いをどのように語り、描き、後世へと伝えてきたのかをたどります。世界各地で戦争や紛争が続く今だからこそ、過去の戦いの歴史に触れ、その記憶や伝承のあり方について改めて考えることができる貴重な機会となっています。 筑波大の歴史は、1872(明治5)年、東京・湯島聖堂内に日本初の教員養成機関として発足した師範学校にさかのぼります。大学の歴史とともに附属図書館に受け継がれてきた資料は、2026年3月時点で、貴重書は1万2407冊、和装古書は約17万8000冊にのぼります。 特別展は1995(平成7)年に始まり、今年で35回目を迎えます。約1年に一度、秋の学園祭の時期に合わせて開催されてきました。普段はなかなか目にすることのできない古典籍資料を、学生や研究者だけでなく、一般の方も無料で鑑賞することができます。 本展では、「蒙古襲来絵巻」をはじめ、古代・中世の戦いや事件を描いた絵巻の模本や軍記物語などが一堂に公開されています。なかでも、国宝「伴大納言絵巻」(出光美術館所蔵)の写本と考えられる筑波大学本「伴善男物語」は、虫喰いや破損が激しく、長らく公開が難しかった資料です。2024年から約2年をかけて修復され、今回、初めて公開されました。 貴重書などをデジタル化 同館では、貴重書や和装古書のデジタル公開も進められており、インターネットを通じて資料を閲覧することができます。 デジタル公開は資料の保存と活用を両立するうえでも大きな意義があり、世界的にも図書館が所蔵資料をデジタル化し、より多くの人が利用できるようにする動きが広がっています。一方で、貴重な資料を実際に間近で鑑賞することの意義も、高まっているように感じます。本展の展示資料はすべて実物で、紙の質感や色彩、筆跡など、デジタル画像だけでは伝わりにくい魅力に触れることができます。 10月28日には、芸術系准教授 水野裕史さんによる「古典を描き、写し、学ぶ―江戸時代後期の絵巻受容」、人文社会系助教 菊池そのみさんによる「『伴善男物語』修復後初公開によせて―物語と記録」、図書館情報メディア系教授 白井哲哉さんによる「戦を物語る絵図―布陣図・合戦図」の特別講演会も開催されました。 貴重書展示室では、特別展の開催期間以外は常設展示が行われています。「古典籍のインターフェース」をテーマに、本のかたちや構成、写本・製版本・活字本についてなど、同館所蔵の資料を通して紹介しています。また、常設展・特別展ともに展示図録が制作されており、研究者からも高い評価を得ています。(ブックセンター・キャンパス店主)

バイシクル・ダイアリーズ ⑺《ことばのおはなし》97

【コラム・山口絹記】前回記事では、ツール・ド・つくばを完走し、次の目的地を佐賀県に決めたところまで書いた。 大会後、オーバーホールに出していた自転車が帰ってきた。チェーンやワイヤーなどが交換され、すっかりきれいになっている。店長さんから整備内容の説明を受けたあと、私は切り出した。 「今度、佐賀に行くんですけど、このバイクを連れていきたいんです」 「飛行機輪行ですか?」 輪行というのは、自転車を分解して袋などに収納し、公共交通機関で運ぶことだ。飛行機の場合、運搬中に破損する危険もあるため、店長さんはあまりお勧めしないという。 「ちなみに出発はいつですか?」 「今月末です」 数秒の沈黙。 「ツール・ド・つくばもですけど、また時間がないですね」 なんかすいません。 それから出発まで、何度も自転車屋さんへ通うことになった。輪行袋に入れるために前輪やペダルを外し、ブレーキを保護し、さらにリアディレイラーという変速機まで取り外す練習をする。飛行機のサイズ制限に収めるため、シートポストまで切った。 家でも、ひたすら分解と組み立てを繰り返し、翌日、また店長さんに見てもらう。店の前で作業していると、来店したお客さんに店員と間違えられた。最初は訂正していたのだが、面倒になったので「受付は店内でやっています」と案内することにした。もういいや。 「茨城から、自転車で?」 そして出発当日。朝からバタバタしてしまい、成田空港に着いたのはチェックイン締め切りの9分前。自転車と荷物を抱えて空港を走り回り、なんとか3分前に手続きを終えた。 福岡空港に着くと土砂降りである。空港の外で自転車を組み立て、レインウェアを着て出発。まずは「牧のうどん」で腹ごしらえをした。甘い味付けが好みの私には、九州のうどんが実にうまい。 店員さんに「どちらから?」と聞かれ、「茨城です」と答える。 「自転車で?」 さすがに、そこまで冒険野郎ではない。 その後、雨の中を30キロほど走って博多駅へ。ここで高校時代の友人と、約10年ぶりに再会した。焼鳥屋で昔話をしながら、今回、九州に来た本当の目的や、自転車に乗り始めた理由についても話した。 10年ぶりだというのに、不思議と昨日も会っていたような気がする。17歳だった私たちが、20年後にこんな話をしているとは思わなかった。夜、友人にホテルまで送ってもらい、部屋に入ったところで力尽きた。 翌朝目を覚ますと、レインウェアを着たまま、靴も脱がずに寝ていた。お湯を注いだカップ麺は、すっかり伸びきっている。(言語研究者)

つくば駅前でトラクターデモ 令和の百姓一揆いばらき 県内8農協も参集

「令和の百姓一揆」ののぼり旗を掲げたトラクターと軽トラック計28台が1日、「日本の食と農を守ろう」などと訴え、つくば駅周辺をデモ行進した。令和の百姓一揆いばらき実行委員会(共同代表 秋山豊日本の種子を守る会会長など)が県内で初めて実施した。県内の農家や消費者など約350人が集まり、「農家に補償を」「国産守ろう」などと声を上げながらトラクターに続いて、つくば駅前の土浦学園線、東大通り、西大通りなど約3キロをデモ行進した。 県内17農協のうち、地元のJAつくば市、JAつくば市谷田部、隣接のJA水郷つくば(本店土浦市)のほか、 JA常陸(常陸太田市)、JA日立市多賀(日立市)、JA水戸(水戸市)、JA北つくば(筑西市)、JAやさと(石岡市)の8農協が参集した。農民運動茨城県連合会(農民連)、県生活協同組合連合会なども参加し、農家と消費者が一緒に声を上げた。 デモに先立って、同市竹園の大清水公園で集会が催され、共同代表の一人、涌井義郎 鯉渕学園農業栄養専門学校元教員は「日本の農業と食を取り巻く環境は厳しさを増す一方。茨城でも農家が毎年3000人減り、過去5年間で25%減った。これは大変な危機。なぜこんなに減ったのかといえば、暮らしていける所得を稼げないから」と話し「こんな状態でいいんでしょうか。この国の子供たち、孫たちが、国産の食料をずっと食べ続けられるためには農家の所得が安定しなければならない。所得補償を訴えていこう」などと話した。 県内の農協に参加を呼び掛けた共同代表の一人でJA常陸の組合長でもある秋山会長は「JAもついに立ち上がった。党派を超えて、現場のエネルギーを訴えようということになった」と話し「我々農民が自ら食料をつくって子供たちに食べさせる、そういう意志がないとこの国はだめになる。我々農民は何が何でも日本の農業を守って、食料を守る」と語った。 地元JAつくば市の関喜幸組合長は「今の農業情勢では農家が食べていけない。農業の所得補償が一番。消費者にも農家の実態を把握してもらいたい」などと話し、JAやさとの広沢和善組合長は「今年、JAやさとは(組合員の農家から60キロ当たり)1万3000円でコメを買い上げた。そしたら農業者の皆さんから『安くてやっていけない』とお叱りを受けている。去年は3万4000円で買った。そしたら消費者の皆さんからおコメが高いと叱られた。日本の主食であるコメが安い高いを繰り返すのは競争原理に原因がある。主食なので、国が値決めをしていくことにもっていかないと将来は厳しい」などと訴えた。 共同代表の一人で、農民連の岡野忠常任執行委員は「今日ここに、さまざまな立場の人たちが国民の食料、農業を守るために集まることができた。画期的なこと。『国民を飢えさせるな』と、政府に大きな声を上げていこう」などと呼び掛けた。 トラクターデモでは、「米作って。飯食えない」と書かれたむしろ旗を掲げたトラクターや、「外米輸入拡大反対」と書かれた横断幕を貼り付けた軽トラックがつくば駅前をゆっくり走り、沿道では、スマートフォンでトラクターの写真を撮る若者の姿も見られた。病害虫の侵入を防ぐため現在輸入を禁止している生鮮ジャガイモの輸入解禁に向けて米国と協議が進められている状況を受けて、手作りのジャガイモの張りぼてを頭にかぶり、「国産ジャガイモを守れ」と訴えながら歩く男性や、「いつまでもあると思うな食と農」と書かれたむしろ旗を持って歩く女性の姿もあった。(鈴木宏子)

「わんわんランド」で学園祭 つくば国際ペット専門学校

パートナードッグと成果を披露  つくば国際ペット専門学校(つくば市沼田、東郷治久理事長)の学園祭「第16回犬友祭(けんゆうさい)」が、隣接する犬のテーマパーク「つくばわんわんランド」を1日貸し切りにして31日催された。動物看護師、犬の訓練士や美容師などを目指す学生たちがさまざまな企画を用意し、普段の勉強の成果を披露した。 卒業生や家族など約1500人ほどが集まった。卒業生が久しぶりに友人たちに会う機会にもなった。 犬や猫のトリミング、トレーニング、ブリーディングなどペットビジネスの知識と技能を総合的に学ぶ「ペットケア総合コース」2年生は、「同じタイプのわんちゃんとふれあう」という企画を実施。人の性格診断を用意して犬との相性を確認し、来場者に合った犬を選定するという催しを実施した。 会場にはグルメコンテスト「OKAWARI(おかわり)」と称し、生徒たちが出店したハンバーガーやおでん、ラーメンなどの模擬店が並んだ。 フィナレーレを飾ったのは、ドッグトレーナーコース2年生26人による「ドッグ・パフォーマンス・ショー」。入学直後から毎日一緒に過ごしているそれぞれのパートナードッグ(伴侶犬)と1年半向き合った成果として、犬の障害物レースや曲芸を披露した。時折、犬が言うことを聞かない場面もあったが、成功すると会場から大きな拍手が湧き上がった。 横浜市からラブラドール・レトリバーの愛犬と共に来場した卒業生の西塚芽衣さん(23)は「久しぶりに母校に来られて良かった。年前卒業して、今は犬の訓練士をしている。ここで学んだことが役に立ち、犬が好きだから毎日が楽しい。これからもマイペースでやっていきたい」と話した。 つくばわんわんランドは今年30周年を迎え、つくばペット専門学校は来年、30周年になるという。(榎田智司)