月曜日, 12月 2, 2024
ホームスポーツサンガイア、昨季王者の富士通に苦杯

サンガイア、昨季王者の富士通に苦杯

【池田充雄】バレーボールVリーグ2部(V2)男子のつくばユナイテッドサンガイア(SunGAIA、本拠地つくば市)は10月31日と11月1日、ホームゲーム土浦大会2試合を、土浦市大岩田の霞ケ浦文化体育会館で開催した。31日はヴィアティン三重(桑名市)にセットカウント3-0で勝利したが、1日は昨季王者の富士通川崎レッドスピリッツ(川崎市)に0-3で敗れた。今季通算成績は2勝2敗。

2020-21 Vリーグ2部男子 第4戦(11月1日、霞ケ浦文化体育会館)
つくば 0-3 富士通
17-25
19-25
23-25

つくばはここまでホームの声援を後押しに2連勝を挙げ、勢いに乗って富士通に挑んだが、勝利には届かなかった。

第1セットのつくばは浜崎勇矢がセッターを務め、テンポが良く振り幅の大きいトス回しで、オポジットの上場やミドルブロッカーの廣瀬優希らが得点を重ねた。だがセット中盤から富士通が流れをつかむと、つくばを上回る多彩な攻撃で、的確にブロックの隙間を打ち抜くようになった。

第1セット、阿部主将のスパイクはクロスに決まる(撮影/高橋浩一)

つくばは第2セット中盤から土井友登をセッターに起用。浜崎のトスのテンポに富士通が慣れてきたため、相手のブロックを見て柔らかいトスを上げる土井の良さを生かそうという作戦だ。第3セットに入ってこれが奏功し、上場のバックアタックや廣瀬のブロックポイントなどでつくばがリードする展開。ただし最後は競り合いながらも相手の攻撃力に押し切られた。

「昨季も上位チームに苦杯を喫しており、上回るにはさらなる努力が必要。それを再認識したゲームだった」と五十嵐元監督は振り返る。

両チームとも目指すバレーは近いが、富士通の方があらゆる面で少しだけ上回っており、それが結果に表れた。阿部航平主将は「富士通の速い攻撃に対策が遅れ、終始劣勢になってしまった。それに対し、相手はこちらの攻撃に素早く対応してきた。その差が出たのではないか」と分析。

上場雄也は「富士通は強いが、無理な相手ではない。今日は守備の意思疎通が悪く、ブロックのサインが通ってなかったり、レシーブのポジション取りができてなかった部分があった。6人全員でしっかり守れれば、どのチームと戦ってもいい試合ができると思う」と、修正すべきポイントを挙げた。

次回ホームゲームは1月16、17日、つくばカピオ(つくば市竹園)で開催される。

第3セット、最後まで強い意気込みで戦うつくばの選手たち(撮影/高橋浩一)

戦う姿から感じてもらえたら

今後の戦いに向けて、五十嵐監督に聞いた。

ー今後の構想は。

五十嵐 チームとして総合的な力を高めたい。ここまでは上場が中心になって効果的なプレーができていたが、一人に集中しなくても突破できるような、的を絞らせない攻撃がしたい。それを今日は相手の方ができていた。

ー今季「変革」というスローガンを掲げている。目指すチームの姿は。

五十嵐 勝利やプレーのパフォーマンスはもちろんだが、それに留まらない何かを発信していきたい。われわれの大きな目的の一つは、茨城に元気を届け、バレーボールの価値を発信すること。目先の勝ち負けばかりに目が行っていると、その部分が抜けてしまいがち。新しく参入したチームが盛り上がりを見せる中、自分たちも負けてはいられないと選手に話している。

—勝利だけに留まらない価値とは。

五十嵐 観客に勝利を届けるのは第一だが、負けた時に何を伝えられるのか。去年は自問自答する部分が多かった。選手は必死にやっているが、にじみ出てしまう雰囲気というものがあった。感動というと大げさだが、戦う姿から何かを少しでも感じてもらえたら。それがわれわれの役割の一つだと思う。

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