木曜日, 7月 3, 2025
ホームスポーツ【夏の高校野球県大会】湖北、霞ケ浦 コールド勝ちで8強入り 土浦日大は4回戦へ

【夏の高校野球県大会】湖北、霞ケ浦 コールド勝ちで8強入り 土浦日大は4回戦へ

2020年夏季県高校野球大会は7日目の1日、2球場で3回戦の残り2試合と4回戦4試合が行われた。J:COMスタジアム土浦では土浦日大がつくば秀英を4-0で下し4回戦進出。土浦湖北は茨城キリスト教学園に13-0の大差で7回コールド勝ち、準々決勝に進出した。ノーブルホームスタジアム水戸で4回戦の霞ケ浦は鹿島学園に11-1で6回コールド勝ちを収めた。今大会は雨の影響で順延が重なり8強決定で打ち切りとしていたが、4強決定まで実施する。

3回戦 土浦日大はつくば秀英を完封

【土】中川 – 菅野 【つ】枩本、次郎丸、後藤 – 青木

【崎山勝功】土浦日大は、2回表に吉原蓮の安打を皮切りに、笠嶋大介の二塁打が続き2点を先制。つくば秀英は3回表に枩本匠に代えて次郎丸匡峻をリリーフに送るも、5回表に暴投や守備陣のエラーなどが重なったところへ、土浦日大が五十嵐明斗主将の適時打でさらに2点を追加し、4-0と引き離した。

完投した土浦日大の中川竜哉=J:COMスタジアム土浦

土浦日大エースの中川竜哉は8奪三振で完投、守備陣も堅守でつくば秀英に得点を与えず、完封勝ちを収めた。小菅勲監督は「久々の試合だったので調子が図りかねたが、投手戦でピッチャーに抑えてもらうしかないと思った。完封は上出来だった」と中川を高く評価した。

中川は「ピッチング自体はあまり調子が良くなかったが、残り3試合と決められているので、自分の持てる力を悔いのないよう出しきろうと思い、最初から腕を振っていった」と試合を振り返った。

主将の五十嵐は「今日は相手のエラーやミスで2点もらったので、打線がつながったわけではない。チャンスの場面での凡退は、もう少し工夫しなくては」と、次戦への改善点を挙げた。

完封負けを喫したつくば秀英の森田健文監督は「点の取られ方が悪く、守備からリズムをつくるうちの持ち味が出せなかった。打線は相手のファーストストライクの甘い球を狙おうとしたが、それが打てなかった」と敗因を分析した。

若井太陽主将は「守備から入る意識だったが、ミスから失点し流れが悪くなった。序盤、相手投手が変化球を置きにきたのを振っていけば、流れを渡さずに済んだかもしれない」と悔やんだ。

3回から8回まで力投した次郎丸は「先制されて苦しい展開だったが、相手を気にせず自分の投球ができた。3、4回はゼロで抑えたが、5回の失点は安易に攻めてしまった。もっと緩急や高低など広く使い、じっくり攻めていればエラーもなく、次の回に良い展開ができたと思う」と敗戦の弁を語った。

土浦湖北 下位打線が躍動

(7回コールド)【土】大坪、三浦、荒木 – 佐藤武 【茨】横山、綿引、蛭田、徳永 – 清水太

【池田充雄】土浦湖北は2・3回の攻撃で計6点を挙げ、試合の大勢を決めた。「引き付けてすべてのボールに対応しようという意識だった。最初はタイミングが早くフライを打ち上げていたが、後のバッターが修正し、狙い通りのつなぐ野球ができた」と田中海斗主将。

特に下位打線が躍動し、7~9番の3人がいずれも3打点を挙げた。7番の稲葉悠太は、2回には1死三塁から右前へ先制タイムリー、3回には2死一・二塁から右越えの2点二塁打という活躍ぶり。「新チームになってすぐ7番に抜擢されたが、打てなくて迷惑をかけていた。今大会では一つもミスがなく、ヒットも打てて3年生に恩返しができた」と感慨深げ。

3回表、生還した稲葉を迎える土浦湖北の選手たち=J:COMスタジアム土浦

4回以降は相手の2人目投手に対しやや淡泊な攻撃になったが、「いままでやってきたことをもう一度しっかりやろう」との小川幸男監督の檄(げき)を受け、7回に再び大爆発。打者11人で長短打6本を放ち、5点を奪ってコールド勝ちを決めた。

投手は3人のリレーで、前の試合から間隔が空いた影響からか、それぞれ調子はいま一つだったという。先発の大坪誠之助は「ストレートで腕に力が入らず力んでしまった。後ろに2人いいピッチャーがいるので安心して任せられる」と2回でマウンドを降りたが、「次は自分がちゃんと投げないと勝てないと思う。3日間あるので球威は戻せる」と、最終戦に向けて調整に励む構えだ。

霞ケ浦 打ち勝つ野球で大量得点

(6回コールド)【霞】山本、高松、前原、真仲-瀬川【鹿】猪俣、穂刈、常世田、渡辺、徳永、東風谷-野原、岡本

【高橋浩一】霞ケ浦は、3回戦の総和工戦で延長タイブレークに持ち込まれた反省から、打ち勝つ野球を追求し、2ケタ安打で大量11点をものにした。

この日2番に入った小田倉啓介主将は、3回と4回に2打席連続の二塁打、2打点を挙げ、チームの大量得点の足がかりを作った。「今まで情け  ない試合ばかりだったので何とか打ちたかった。みんながつないでくれたのでチームを勝たせるバッティングができた」と振り返る。

3回表無死二・三塁、斎藤拓生の左前打で佐々木が先制のホームイン

6回には相手投手の乱れから1死満塁とし、瀬川悠人の左前適時打や伊澤誠の中越え3点三塁打などで一気に6点を奪った。「今まで出ていない選手が気持ちを出し、食らいついたプレーをしてくれた。それがいままで出ていた選手にも伝わって、もっとやらなきゃいけないと、全員がまとまった試合だった」と小田倉。

「代わった選手が持ち味を出してヒットを打ってくれてうれしい。出ていなかった3年生が11人いたので、全員出すつもりで組み合わせを考えた。点数が入ったので思い通りに使えた」と高橋祐二監督。

次の試合は5日の準々決勝だが、日程の都合により本大会の最終戦となる。「2連覇という目標を掲げて1年間やってきたので、甲子園はなくなっても最後に気持ちよく勝って終わりたい」(小田倉)、「最後の試合なので20人フルメンバーで下級生も入れて、いつもの試合と同じ気持ちで戦う」(高橋監督)と、あくまで前向きに戦う姿勢を見せる。

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第107回⾼校野球選⼿権茨城⼤会開幕まであと2日。大会を前に、強豪校の名監督インタビュー2回目は、土浦日大の小菅勲監督にお聞きした。 団子状態 ーチームの状況を教えてください。 小菅 正直に言えば、今の時点で完成度は高くありません。欠けている部分も多く、まだまだ課題の多いチームです。 ただ、高校野球は「発展途上人」の集まりです。大会に入ってから成長してくれればという期待がありますし、「これでいけるぞ」という手応えも少しずつ感じています。優勝には足りないピースもありますが、それを大会中に埋めていきたいと思っています。 ──茨城全体のレベルについて、今年は突出したチームがいないと思いますが。 小菅 その通りで、まさに「団子状態」です。だからこそどのチームにもチャンスがあるとも言えます。 完璧に抑えられた ー春に準々決勝で常総学院に3対7で敗れました。反省点や手応え、対策など教えてください。 小菅 まず良かった点は、前半が競り合いになったことです。打撃では事前に分析したデータに基づいて狙い打ちができていました。 一方で、守備は機動力を使われた際に対応できなかったことが反省点です。データに出ないような「余白の部分」への対応力も足りませんでした。ここをどうアプローチしていくかが課題ですね。 ー相手ピッチャーの小澤頼人投手は、対戦してみてどうでしたか? 小菅 手強いピッチャーでした。ゾーンにしっかり投げ込む力があり、変化球でもカウントが取れるタイプです。うちの打線も前半はよく対応していましたが、7回以降は完璧に抑えられてしまいました。そこをどう攻略するかが、今後の課題だと感じています。 素材的に差はない ─打撃陣の調子はいかがでしょうか。甲子園4強入りした2年前の世代と比べてどうでしょう。 小菅 素材的にそれほど差はありません。ただ2年前の世代は課題に向き合う姿勢や思考、行動が非常に優れていました。今年の選手たちはその点でややアプローチ不足があると感じています。 理想は「波状攻撃」ができる打線です。1、2番がダメでも3、4番が、そこがダメでも5、6番がカバーする。春の時点ではそこまでできていませんでしたが、今は徐々にその形に近づいてきています。 ─投手について教えてください。 小菅 エースは右腕の永井です。際立ったボールを投げるタイプではありませんが、「打たせて取る」ことを理解し、自分の投球スタイルを確立しつつあります。守備との信頼関係も生まれ、テンポ良く投げられるようになってきました。非常に頼もしい存在になりましたね。 徐々に自覚芽生え ─1年生は甲子園4強を見て進路を決めた世代ですね。入部希望者は増えましたか? 小菅 ありがたいことに問い合わせは例年の2倍ほどありました。やはり甲子園効果は大きいです。 ─甲子園4強世代はダブルキャプテン制でしたが、今年は? 小菅 今年は梶野悠仁がキャプテンです。新チーム発足時は別の選手に任せていたのですが、徐々に梶野の自覚が芽生えて言動がリーダーらしくなり、キャプテンを交代しました。年によって適した体制を選ぶようにしています。 負ける要因つぶすこと再認識 ─春の敗戦から、チームはどう変わりましたか? 小菅 春は「取れるアウトをしっかり取る」という基本が徹底できていませんでした。今はまずそれを完璧にしようと取り組んでいます。負けない野球をするには、まず「負ける要因」をつぶすことが大事だと再認識できました。守備への意識が大きく変わったと思います。また、常総に負けたことで「夏こそは」という雰囲気がより一層強くなりました。 OBの自己分析を共有 ──大学野球でOBが活躍していますね。 小菅 亜細亜大の芹澤優仁(4年)は東都大学リーグで首位打者とベストナイン。國學院大の藤本士生(2年)は防御率4位。法政大の小森勇凛(2年)は慶応大から初勝利。 そのほか、明治学院大の太刀川幸輝(2年)、常磐大の川井康晟(3年)もそれぞれのリーグで結果を残してくれています。芹澤と太刀川には、なぜ活躍できたか自己分析を5つずつ出してもらい、チームと共有しました。選手たちにも好評でした。 脚本家のように ─夏の大会の土浦日大の組み合わせゾーンは「死のゾーン」とも言われています。 小菅 まさに「一戦必勝」。厳しいゾーンですが、戦いながらチームは強くなっていくもの。決勝戦の頃にはまったく別のチームになっているはずです。 本番までに「負けにくい材料」をさらに整備し、仕上げていく。そして大会中も進化していく選手を見守っていく。監督として脚本家のように準備を進めていきます。 心ひきつける存在に ─最後に、応援してくれるファンや地域の方々、OBの皆さんにメッセージをお願いします。 小菅 選手たちには常に「人気のある選手であれ」と伝えています。ここで言う「人気」とは、人の心をひきつける存在であること。 ガッツあるプレー、笑顔、明るさ─選手それぞれの「自分らしさ」が人の気を引き寄せるのだと思います。感謝の念を持ちつつ、自分を押し殺さず、のびのびと自然体でプレーしてほしい。その姿が、きっと見る人の心を動かすはずです。 全力プレーで心を動かす試合を届けられるよう、「応援されるチーム」を目指していきます。高校野球ファンの皆さま、ぜひ球場に足を運んでいただき、熱い声援をよろしくお願いいたします。 【取材後記】春の敗戦を経て、どこか張りつめたような、それでいて希望に満ちた空気がチーム全体に漂っていたのが印象的だった。小菅監督の言葉は一つひとつに実感がこもっており、単なる反省ではなく、「何を得て、どう変わるか」にフォーカスが当たっていたことが、特に心に残った。「取れるアウトを確実に取る」─言葉にすれば当たり前のようだが、春にできなかったことを素直に認め、そこから逃げずに積み上げ直していく姿勢に、このチームの芯の強さを感じた。夏は“いける”、そう語る監督の眼差しはどこまでも冷静で、それでいてどこか楽しそうでもあった。 そして、今年のチームを語る上で欠かせないのが、キャプテン・梶野の存在だ。新チーム発足当初は目立たなかったという彼が、今では自然と声を上げ、チームを導く姿に変わったというエピソードは、まさに今のチームの成長そのものだろう。与えられた立場ではなく、自らの意思でリーダーシップを育ててきたその過程に、大きな可能性を感じた。 取材を終えて強く思ったのは、「このチームはまだ完成していない」ことこそが、最大の魅力なのだということ。大会を通してどのように進化していくのか──まさに“成長の物語”が始まろうとしている。その主役たちがどんな姿を見せてくれるのか、夏の開幕が今から楽しみでならない。(伊達康)

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昨夏の主力残るもチームを再編 霞ケ浦 高橋祐二監督【高校野球展望’25】㊤

第107回高校野球選手権茨城大会が5日開幕する。今年も、強豪の霞ケ浦、土浦日大、常総学院の名監督3人にインタビューした。第一弾は昨夏の茨城大会を制し、甲子園で念願の初勝利を挙げた霞ケ浦高校の高橋祐二監督。注目の指揮官に、新チームの仕上がりや今シーズンへの手応えを語ってもらった。 OBが活躍 ー昨年甲子園で初めて1勝を挙げました。それも相手は名門の智辯和歌山です。この結果、チームや学校、周辺の地域にどのような変化がありましたか。 高橋 中学チームから今までにない数の問い合わせがあります。智辯和歌山に勝つってことはそれだけすごいことなんだと、それくらいのインパクトだったのだろうと思います。 ープロ野球でOBが目覚ましく活躍しています。 高橋 千葉ロッテマリーンズの木村優人が5月にプロ初勝利を挙げ、先日は阪神との交流戦で高校時代にたどり着けなかった甲子園球場で先発を任されました。また、広島東洋カープの遠藤敦志は球速が最速151キロまで上がったそうです。つい先日1軍に呼ばれたものの雨で流れました。また近いうちにチャンスがあるのではないかと思っています。先輩の活躍が後輩たちの刺激になっています。 無駄失点が多い ー今年のチームの強みをお願いします。 高橋 去年の甲子園メンバーが、ピッチャー、キャッチャー、ショート、センター、レフトと、5人残っています。秋は準優勝になって関東大会に進出しました。一冬越えてその他の選手の成長もあり、ポジションをチェンジするなどチームをつくってきました。 しかしまだ私が求めるレベルまで達していません。特にディフェンス面は正直いって不安な部分が大きいです。無駄な点数を与えない守りの野球がうちの信条なのですが、今年は無駄失点が多い。作戦面でも、勝てるチームの時は監督の意図を選手がよく理解してくれているのですが、今年のチームはちぐはぐなことがあります。大会までには私の考えを浸透させたいと思います。 ー打撃陣の鍵を握る選手は? 高橋 荒木洸史朗と大石健斗を上位に据えていて、この2人が得点に絡んでいけたらと思っていますが、チーム全体として調子が上向きとは言えません。昨年もこの時期に調子が上がってきませんでしたが、かなり練習で追い込んで大会を迎え、勝ち上がるたびに奮発して頑張ってくれて甲子園の切符を手にすることができました。今年も同じように、大会を通して調子が上がってきてくれたらと思います。 2番手に伸びてもらうこと必須条件 ーエース左腕の市村才樹選手はどうですか? 高橋 市村は体重が増えてスピードもアップしましたが、スピードを追い求めて全体のバランスを崩して思うようにいかない時がありました。まさに春の県大会で明秀学園日立に痛打されました。 その後、やはりスピードではなく、本来の持ち味であるボールのキレを意識するようになり、崩していたバランスが整ってきました。最近では県外の強豪校とオープン戦をやってもまとまった投球ができています。 ー2番手投手に名前が挙がるのは? 高橋 右腕の稲山幸汰です。昨年うちが甲子園に行けたのは、調子が悪いときも2番手として使い続けていた眞仲が、県大会から甲子園にかけて覚醒して救世主になったことが大きな理由の一つです。今年うちが勝ち上がるためには、稲山にもっともっと伸びてもらうことが必須条件です。眞仲のような覚醒を期待して送り出したいと思います。 新キャプテン誕生 ー秋と春の戦いから、夏に向けて何か変えたことなどありましたら教えてください。 高橋 春を終え合宿を行う中でスタッフと相談し、夏には新しいキャプテンで臨むことになり、昨年の甲子園を経験した鹿又嵩翔をキャプテンに指名しました。まだキャプテン就任から2~3週間しか経っていないのですが、彼の持ち味を発揮してチームをうまく回してくれていると感じます。 ー近年、東北地方出身の選手が多いですが、理由は? 高橋 コーチでOBの白川拓海先生が仙台大学出身で、東北地方の野球指導者とつながりがあって、ありがたいことにうちを薦めてくれることがあります。最近では秋田県や山形県出身の選手がうちの門を叩いてくれています。 一つも気が抜けない ー今年の茨城の勢力図はどのように見ていますか? 高橋 春に優勝した常総学院が頭一つ抜けた存在だと思います。 ー組み合わせの所感をお聞かせください。 高橋 Aシードのつくば秀英はもちろん、Cシードの土浦日大にDシードの守谷に加え、ノーシードの鹿島学園や日立一、下妻一、水戸商など、上位常連校がひしめく、一つも気が抜けない厳しいゾーンです。投手陣には頑張ってもらって、打線の奮起を期待するしかありません。 甲子園で二度、三度と ー最後に、応援してくれるファンや地元の方々へメッセージをお願いします。 高橋 皆様に支えていただき、去年甲子園で初めて校歌を歌うことができました。日本全国の霞ケ浦高校の卒業生2万9000人に、少しでも勇気と元気を与えられたことと、やっぱり応援してくれている地域の方や、霞ケ浦高校のファンの方に、少しでも恩返しができたかなと思っています。 今年も甲子園で一度と言わず、二度、三度と勝って、全国に霞ケ浦高校の校歌を届けたいと思っています。まずは茨城大会で優勝できるよう精一杯戦います。 【取材後記】昨年は良い意味で開き直って大会を迎えた霞ケ浦高校が見事に茨城大会を制し、甲子園で歴史的な1勝を挙げた。一方で、今年は指揮官の言葉からもわかるように、ディフェンス面や戦術の浸透といった点で、チームづくりに難しさを抱えている様子がうかがえる。しかし、昨年もこの時期にはチームの調子が万全とは言えなかった。そこから大会を通して一体感を深め、結果として覚醒した姿は記憶に新しい。今年も夏本番でどのような進化を遂げるのか、引き続き注目していきたい。(伊達康)