金曜日, 11月 22, 2024
ホームつくば【高校野球代替大会】常総 佐々木監督に聞く4 伝説のヒーローが好影響

【高校野球代替大会】常総 佐々木監督に聞く4 伝説のヒーローが好影響

【伊達康】県の高校野球代替大会が11日から始まる。優勝候補筆頭、常総学院の佐々木力監督にインタビューした4回目は、ノッカーの心得やスカウティングについて聞いた。

島田直也さんがコーチに

ー今年からOBで元プロの島田直也さん(日本ハム、横浜などで活躍)が投手コーチとして加わりました。島田さんが加わったことはチームにどのような影響を与えたでしょうか。

佐々木 やはりプロで活躍してあれだけの成績を残した投手なので選手の信頼が厚いと言いますか、私には言いづらいことでも島田君には話したりしているようです。

私が野手出身なので、投手目線で指摘してもらったりあらゆる面でプラスになっています。取手二高でいうとエースの石田文樹(横浜で活躍、がんにより41歳で死去)が伝説のヒーロー扱いされるんですけれども、常総学院では島田君が石田みたいな伝説のヒーローなので(笑)。その辺は子どもたちも分かっていて、目を輝かせながら会話しています。

逆転で勝つ常総へ

ー大変聞きづらい質問ですが、試合終盤、特に9回に逆転負けを喫することがここのところ続いています。逆転負けについてどうアプローチし対策を講じているでしょうか。

佐々木 逆転負けに菊地と一條が絡んでいるのがほとんどなので、最後の夏にそのあたりを本人たちがどう解決してくれるか楽しみにしています。

これだけ投げる機会がなくスタミナが持つとは到底思えないので完封、完投っていうのはないと思います。

無理して投げさせたら壊す危険性もあるし。その辺は本人と話し合いながら大会に入っていこうと思います。あまり先行しないでこの大会は逆転で勝つ常総にしたいですね(笑)。

ノッカーの心得

ー常総学院の試合前ノックは芸術作品のようにリズミカルに進んでいく印象です。よろしければノックを打つ際にノッカーとして気をつけていることを教えていただけないでしょうか。

佐々木 私の場合、シートノックの7分間で大体110本くらい打っています。どういうノックを打つかという前に、選手20人と同じ呼吸で、同じリズムで入ることを心がけるべきですね。ギリギリのプレーとかじゃなくて、リズムで一連の動作が流れるようになるのが一番きれいなノックですし、「俺がノックを打ってやるんだ。俺がノッカーで偉いんだ」ってなると、絶対に選手は固まってしまいます。

リラックスして捕りやすいようにする。次どこに打つか決まっていますし、それをきちっと選手も分かっていますので。自分が周りに魅せたくて「あと3メートル右に打ってください」とかいう要求をしてくる選手も昔はいましたね。

110本をリズミカルに打っていって、選手たちがそこに乗っかってくれれば、本当にノーエラーでいけます。昔は110本打ってエラーが1個とか2個とか、シートノックの練習をしながら数えていました。

今はそこまで考える必要はないんじゃないかと思うんですけれども。気持ちを一緒にしてノックをやるみたいなところに気を遣っていましたね。

怒っているときはやっぱりずれが出てくるので、ノックを打つときは気持ちを落ち着かせて打つ。シートノックではない普通の練習の時は引っかけたりこすったり色々打ってやります。今は変化球の球種が多いので、先っぽや根っこに当たった打球も多いですからね。そうやっていくと選手は上手くなっていくと思います。

ボールがバットのどの部分に当たって切れていくか、伸びていくか、ヘッドを立てたり下げたり当たり損ねたりというのをノックでやってやらないと、試合では何本もないのに対応できませんからね。ノックで色々見せてやると、バットにどう当たればボールがどう回転するかが分かるので、バッティングの技術的な部分もノックを見ながら学習していく選手もいました。

スカウティングで重視すべきこと

ー最後に、選手のスカウティングについてお聞きします。中学生をスカウティングする際に重要視しているポイントはどこでしょうか。たとえば体つきですとか、フォーム、足の速さ、運び方などのポイントはありますでしょうか。

佐々木 センターラインがスカウティングで一番大事だと思います。キャッチャーに関しては肩が強いというのが条件ですね。それに股関節が硬いとショートバウンドが止められません。昔は体の大きなキャッチャーがホームでクロスプレーに有利だということでしたが、今はコリジョンルール(衝突プレー防止規則)があってそんなに大きなキャッチャーは必要なくなりました。

正捕手の中山琉唯(小山ボーイズ)なんかもそんなに大きくはないのですが、三拍子揃っていて非常に欲しかった選手なので、20校近くの誘いがあった中で熱烈に誘ってうちに来てもらいました。

1番捕手で主将の重責を担う中山琉唯=正面㊨、昨年秋の大会

ピッチャーは伸びしろを考えながら獲るっていうのが大事ですね。一條(力真、石岡中)なんかは軟式(オール県南選抜)の2番手でひょろひょろしていましたが、お母さんが大きくて、お父さんもがっちりしていますので、お母さんが大きいのでたぶん大きくなるから育ててみるかということで、大峰先生と相談して獲りにいきました。

当時180センチに満たなかったですが今は189センチです。また、取手シニアのエースとして全国でも有名だった菊地(竜雅、けやき台中)に関しては当時から137キロ放っていてできあがっていましたので是非欲しいと。できあがっている選手を獲るのも一つだし、伸びしろを計算して獲るのも大事だと思います。ピッチャーは怪我などがあり一人だけでは成り立たないですから、4人くらい獲れれば一番良いです。それも左右2枚ずついれば最高です。

ショートに関してはハンドリングと足裁きが一番大事だと思います。近年、カウンターになってボールに衝突してしまう選手が多いです。やはり肘から先で吸収できるような柔らかいハンドリングを持っている子が常総のショートにふさわしいのかなと。歴代のショートは金子誠さん(日本ハムで活躍し現在一軍野手総合コーチ)をはじめ非常に上でも活躍する選手が多いので、そういうところを見ながらスカウティングをしています。

外野に関して、以前は内野やピッチャーをやっていた子に外野をやらせたこともありました。内野ができれば外野もできるだろうと。ただやはり今は専門職というか、外野でトップクラスを獲らないと太刀打ちできません。ノックの量が少なくなったというのもあるのでしょうけれど、脚力プラスボールへ最短距離でいける感性を持った子が少なくなったので、そういう専門的な外野手を獲らないと潰しの起用では難しいと思います。

昨夏の日立商戦でコールド勝ちを決める2ランを放ち喜ぶナインが待ち構えるなか両足でホームを踏む中妻翔

ーそういった面では中妻翔選手(日体大1年)は外野手として抜群の能力を発揮していましたね。尋常じゃない守備力でした。

佐々木 中妻の場合、入学したての1年春のオープン戦でいきなりセンターとして起用したのですが、絶対に抜けるよなという大きな当たりを軽々と捕っていましたので、これはセンターが出来上がったなと、安泰だなと、その時点で確信しましたよ。ピッチャーでも左で小さい子でしたけれど、コントロールが良いので重宝しました。本当にユーティリティプレーヤーでしたね。

進学先の日体大の監督さんからも、素晴らしい選手だと、春先からメンバーに入る予定であると連絡をもらっていたのですがリーグ戦がありませんでしたからね。木のバットに対応できれば十分活躍できると思っています。(常総学院監督インタビュー編 終わり)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

コメントをメールに通知
次のコメントを通知:
guest
最近NEWSつくばのコメント欄が荒れていると指摘を受けます。NEWSつくばはプライバシーポリシーで基準を明示した上で、誹謗中傷によって個人の名誉を侵害したり、営業を妨害したり、差別を助長する投稿を削除して参りました。
今回、削除機能をより強化するため、誹謗中傷等を繰り返した投稿者に対しては、NEWSつくばにコメントを投稿できないようにします。さらにコメント欄が荒れるのを防ぐため、1つの記事に投稿できる回数を1人3回までに制限します。ご協力をお願いします。

NEWSつくばは誹謗中傷等を防ぐためコメント投稿を1記事当たり3回までに制限して参りましたが、2月1日から新たに「認定コメンテーター」制度を創設し、登録者を募集します。認定コメンテーターには氏名と顔写真を表示してコメントしていただき、投稿の回数制限は設けません。希望者は氏名、住所を記載し、顔写真を添付の上、info@newstsukuba.jp宛て登録をお願いします。

0 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img
spot_img

最近のコメント

最新記事

県営赤塚公園の秋《ご近所スケッチ》13

【コラム・川浪せつ子】今年のつくば市周辺の紅葉は例年より遅めのようです。つくば市で一番大きい洞峰公園のイチョウ並木も、今年は11月中頃でもまだ緑色。温暖化のせいでしょうか? ですが秋は日々深まりつつあり、至る所で紅葉が見受けられるようになりました。 つくば市役所のホームページによりますと、市内の公園は209カ所だそうです。面積の小さな、駐車場もないような近隣公園もあります。私のお薦めは県営の赤塚公園。駐車場は40台分。市営になった洞峰公園と遊歩道でつながっています。小さな池とかわいらしい水路もあります。 春の桜の季節は見事。とても静かで、近隣の方でないと気付きにくい穴場の公園です。絵のような東屋、ベンチも配置されていますので、ユックリできます。先日は、家族連れの外国の方々が、お子さん達を遊ばせながら、ランチタイム。また、大きな袋を持った女性が、木の枝や実を拾っていました。 近くには、映画館、日帰り温泉… お隣には茗溪学園や住宅。子供たちが遊びに来るからでしょうか、大きな時計も設置されています。先日は、全く水鳥は見えなかったのですが、鳥たちも集まっていることが多いです。自然をそのままに残しているような公園、小さいながら本当に素晴らしいです。 最近、研究学園駅周辺など、新しく移住してくる方が多いですが、どうぞ少し足を延ばしてみてください。赤塚公園の前には、映画館、日帰り温泉、ジム施設などもあります。ジムのボルダリング施設は、オリンピックに出場したスポーツクライミング選手、森秋彩(あい)選手が練習もした所です。(イラストレーター)

中止による減収2億3千万円 土浦花火大会 市が追加負担を決定

市長らの給与減額し道義的責任 土浦市は20日、第93回土浦全国花火競技大会の中止に伴って桟敷席などの収入が無くなり2億3000万円の減収があったとして、同額の補正予算を19日、専決処分で決定したと発表した。併せて、中止により多くの人に心配と迷惑をかけた道義的責任を明らかにするため市長と副市長の給料を減額するとした。 同花火大会は11月2日に開催する予定だったが台風21号の影響により中止。荒天の場合、3日または9日に延期する予定だったが、労働力不足により順延日の警備員を確保できず大会自体を中止とした(11月1日付、5日付、17日付)。 桟敷席の設営や撤去などすでに実施済みの委託業務や、中止に伴い新たに発生する経費を速やかに支払うため、議会の議決を経ないで決定する専決処分としたとしている。2億3000万円は、市が事務局を務める土浦全国花火競技大会実行委員会(会長・安藤真理子土浦市長)に追加補助する。市は当初予算ですでに同実行委に8500万円の補助金を計上しており、中止となった大会の事業費は計3億1500万円になる。全額を市が負担する。 給与の減額は市長が月額20%、副市長が10%を12月から来年2月までの3カ月間減額する。12月の期末手当も市長が20%減、副市長が10%減となる。3カ月間減額する条例についても19日、専決処分とした。 安藤市長は「中止による減収を補うため新たに補助金を増額する結果となってしまったことについて、市民の皆様に心よりお詫びします。開催を心待ちにしていた皆様、 煙火業者の皆様、全ての関係者の皆様に対し、多大なご心配とご迷惑をお掛けしたことについて会長として責任を強く感じています。 今後は花火大会への信頼回復に努め、大会の運営等、様々な課題を検証し、次回の大会につなげて参ります」とするコメントを発表した。

オリジナルレンコン料理専門店開業へ 土浦市産業祭で一部メニューお披露目

日本一の産地である土浦のレンコンを使用したレシピを開発し提供するオリジナルレンコン料理専門店を開業しようと、同市でインターネットテレビ「Vチャンネルいばらき」を運営する会社社長の菅谷博樹さん(55)と、つくば市下広岡で軽食店「ニッチDEキッチン」を運営する増田勇二郎さん(53)が準備を進めている。開業に先立って23、24日開催の第48回土浦市産業祭でオリジナルメニューの一部をお披露目し販売する。 店名は「土浦れんこん物語」。来年1月ごろ土浦駅西口近くの同市川口、ショッピングモール「モール505」の空き店舗に開業し、ランチを提供する予定だ。店を運営する合同会社「土浦れんこん物語」を近く設立する。 菅谷さんによると、土浦にスイーツ店を構えたことがある増田さんと今年9月頃、土浦の活性化について話した際、「レンコン専門店で土浦をもっとアピールしたい」と意気投合したのがきっかけ。 菅谷さんは「レンコンといえば土浦市だが、あまり県外に浸透していないと感じている」と言い、「レンコンを使ったオリジナルメニューを提供し、市内はもちろん全国、海外にも発信したい」と、食を通じた観光促進と地元産業の活性化を目指したいと語る。新店舗のコンセプトについて「農家+料理の職人がコラボレーションしてオリジナルの新しいレシピを作り出していくこと」だと話す。 提供するメニューには、土浦市とJA水郷つくば主催の「日本一のれんこんグランプリ」で2022年と23年に2年連続最優秀賞を受賞した「市川蓮根」(同市田村、市川誉庸代表)」が生産したレンコンを使用する。メニューの開発と監修は、筑波山温泉ホテル一望(つくば市筑波)の料理長を務めた逸見千壽子さんに依頼した。 提供するランチは700円から2000円程度とする予定で、ほかにキッチンカーでの販売も予定し、インターネット販売なども模索している。 コロッケとお焼きを販売 すでにいくつかのオリジナルメニューが完成しており、そのうち「れんこんコロッケボール」と「れんこんお焼き」を23日、24日、モール505で開かれる産業祭で、「ニッチDEキッチン」のキッチンカーで販売する。 れんこんコロッケボールは、レンコンのすりおろしとジャガイモを9対1の割合で配合し、真ん中にカットしたかみ応えのあるレンコンが入っている。食べやすいよう一口大のボール型にしカップに複数入れて販売、クシで刺して食べてもらう。「れんこんお焼き」は、逸見さんオリジナルのレンコン甘辛味噌が入ったお焼きだ。 菅谷さんは「レンコンを使ったオリジナルメニューを今後も開発、提供し、モール505の活性化にもつなげたい」と意気込みを語る。(伊藤悦子)

もったいない(2)《デザインを考える》14

【コラム・三橋俊雄】今回の「もったいない」は、「一物(いちぶつ)全体食」の話からいたしましょう。一物全体食とは、穀物なら玄米のように胚芽まで全部を食べる、野菜や果物なら皮ごと、魚なら骨や頭まで1匹丸ごと食べるという意味で、生物が生きているというのは、丸ごと全体で様々なバランスが取れているということであり、そのまま人体に摂取することで人の身体にも望ましいという考えです。 ウド(独活)の一物全体食 植物のウドも、穂先から茎、皮まで丸ごと食べられる「一物全体食」の食材です。捨てるところがほとんどありません。地中で育つウドの白い茎は酢の物に利用され、穂先の若芽は天ぷらに、硬い皮は細く切ってきんぴらの材料にします。さらに茎の根側の堅い部分は煮付けに用いられるなど、ウドは、それぞれの部位がその特質に合わせて料理に生かされているのです。 ウドという植物を余すところなく食材として使い尽くすこと、そして、前回のコラムでご紹介した「桐材」の多様な利用の仕方も、人間の創造的な知恵の産物であり、「一物全体活用」と言っていいと思います。 さらに、以下にご紹介するのは、一つの「材」ではなく、一つの固有な地域風土が有する「様々な資源」を総合的・循環的に捉えて活用する、三澤勝衛(1885~1937)の『風土産業(1941)』についてです。 塩尻峠横川部落の風土産業 三澤は、横川部落における気候風土の中から、凍(し)み豆腐づくり、養豚、養蚕に着目し、上図に示すような、その地域ならではの循環型資源活用のあり方を提唱しました。 それは、 (1)大豆を購入し、豆腐に加工し、寒い塩尻颪(しおじりおろし)が吹く晩に、凍み豆腐を製造する。 (2)一方、豆腐の搾り粕(かす)の「おから」は、飼っている豚の主要飼料となり、その豚は、肉・皮が利用され、それ以外にも、骨は骨粉にして肥料に、また、油脂も利用する。排泄物は養蚕用の桑や夏期野菜の肥料に使う。 (3)蚕は桑を食べて繭をつくり、その繭は製糸工場で生糸に紡がれる。 (4)繭を売った収入は、冬期の凍み豆腐づくりに向けて大豆購入の資金となる、というものです。 三澤が示したこの「風土産業」は、地域固有の気候風土の中で産み出された様々な資源を、一つの廃物も出さずに全て利用し尽くす循環型の産業であり、今日言われている「循環共生(エネルギーや食を地産地消しながら地域内で資源が循環する自立・分散型の社会づくり)」の先進的モデルと言えるでしょう。そして、広い意味での「もったいない」のデザインと言ってもいいでしょう。(ソーシャルデザイナー)