木曜日, 4月 16, 2026
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【つくばセンタービル改修】㊥ 民意と距離ある計画

【鈴木宏子】つくば駅周辺、つくばセンタービルリニューアル基本計画策定費や中心市街地エリアマネジメント団体の出資金などが予算化され、市民説明会が開かれないまま、中心市街地をイノベーション拠点にしようという取り組みが始まっている。これに対し市民は、中心市街地に何を求めているのか。

市は2017年から居住者や働く人の意向調査、オープンハウス、アンケートなどで市民の意見をたびたび求めてきた。

市民意向調査結果の方はホームぺージなどで公開されている。調査の一つ、中心市街地居住者580人の意向調査結果では、住民は中心市街地に「商業や滞在型施設などが多く立地し活気にあふれている街」「文化施設や公共施設が多く立地する公的機能が中心の街」を求め、「インキュベーション(創業支援)施設」がほしいとの回答は14番目だった。

市民は生活者として中心市街地に、にぎわいや都市機能、文化を求めている。昨年12月に出された市議会の「今後のつくば中心市街地まちづくりについての提言」も市民の意向に沿ったものだ。

今年3月策定の「中心市街地エリアマネジメント検討業務委託報告書」にも市民の意向について「文化・運動施設、商業施設、子育て施設を望む意見が多い。その他高齢者、子供の居場所、市の窓口、業務機能、ホテル」などと記されており、市は市民の意向を把握した上で、今回のリニューアル案を出したことが分かる。

市の計画は民意と乖離(かいり)してないか。3年半前の前回の市長選でも、中心市街地という場所は別にして、つくばに集積する研究機関のさまざまな資源を活用して科学産業をつくり雇用を増やす科学産業都市づくりを訴えたのは大泉博子候補だったが、市民が選んだのは、総合運動公園問題の完全解決を訴えた五十嵐現市長だった。

市民の意向を市長がどう考えたかは議事録が不存在で、「市長・副市長報告案件指示事項」と題した簡単なメモの一覧表しかなく、意思形成過程を検証できなかった。

「市の顔つくば駅が効果的」

なぜセンタービルに2カ所目のイノベーション拠点をつくるかについて「つくばセンタービルリニューアルの方向性案」では「(つくばセンタービルは)店舗自体を外から視認できないこと等により不特定多数を集客する商業等の入居は難しい」などと消去法で商業機能を省いている。さらに区分所有者の意向として「ホテルオークラ(ホテル日航つくば)から、ホテル運営が厳しい状況であるため相乗効果を生むオフィス機能となることが望ましい、オフィス機能であれば相乗効果が見込めるため連携した取り組みも可能」との意見があるとも説明している。

情報開示された「中心市街地エリアマネジメント検討業務委託報告書」には、つくば市は研究機関のさまざまな資源を活用した小さなビジネスは起こっているが市に根付く企業が少ないと課題を挙げ、「市の顔となるつくば駅周辺で、資源を活用したまちづくりを表現していくことが効果的」とある。

総合運動公園の教訓どこに

「総合運動公園問題の完全解決」を最大の公約に掲げた五十嵐市長が就任直後、著名な弁護士による総合運動公園事業検証委員会を設置した。総合運動公園がなぜ白紙撤回に至ったかについて同委員会は第1に民意との乖離を指摘し、7つの提言をまとめた。①大規模事業は民意の把握を適切に行い、市民の直接的な要請に基づくものでない事業は市民への説明を十分行うこと②事業計画、基礎的検討の段階で議会への適切な報告を行うこと③財源、市の財政負担の程度について確実な財源と見通しを区別して説明することーなどだ。

同検証委の提言を受け、市は18年9月「大規模事業の進め方に関する基本方針」を策定し、市が主体となる総事業費10億円以上の施設整備事業について、①事業の進め方、必要性や効果、課題、将来への影響など市民に必要な情報提供を十分に行うなど、民意を適切に把握する②事業の客観性を高め市民ニーズに即したものとし、意思形成過程の透明性を図るーなどの手続きを定めた。

「つくばセンタービルリニューアルの方向性案」によると、センタービルの改修費用は、すべての整備を市が実施した場合は約13億6280万円、市が出資する法人が運営整備した場合は約9億8960万円かかるとある。これはセンター広場に設置が検討されている屋根や、エリアマネジメント団体が担うことが検討されている中心市街地全体のまちづくりを含まない。

事業費は全体でいくらになるのか。エリアマネジメント団体の収支見通しをどう見積もっているのか。つくばには創業支援組織が多くあり多くの取り組みを行っているが、これまでやってきたことの分析はされ、課題を明確にしているのか。なぜ民意と乖離してでも中心市街地でなくてはならないのかー。市は総合運動公園の教訓を生かし市民に説明すべきだ。(つづく)

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7部署42人に6255時間 市職員の残業代未払い つくば市が全庁調査公表

約2年間で総額1490万円 生活保護業務を担当していたつくば市職員の告発に端を発する同市の残業代(時間外手当て)未払い問題で(24年5月9日付)、五十嵐立青市長は14日、市役所全体で調査した結果、2021年4月から23年4月までの間、7部署の42人に6255時間の残業代未払いがあり、未払い総額は1490万円になったと発表した。 昨年5月までに支払い済みの生活保護など担当の社会福祉課職員24人(未払い時間3851時間、約860万円)以外に(25年6月20日付)、新たに6部署の18人に2404時間分の未払いがあったことが分かり、今月8日に約630万円を支払ったという。 18人に対する延滞金(遅延損害金)は40~50万円程度になる見通しで、市は議会に報告し速やかに対応するとしている。さらに職員の処分についても今後検討していくとしている。 6部署は、社会福祉課以外の福祉部の1部署、建設部の2部署、都市計画部の1部署、消防本部の2部署。具体的な課の名前は現時点で公表しないとしている。 サービス残業が発生した具体的事案として▽課の残業代の予算が不足した際に、所属長が残業を制限する指示を出し、残業の申請が適正になされなかった▽市の規則で月45時間超える残業は原則不可となっていることから、所属長が理由を問わず一律に不可とし、サービス残業の時間数を翌月に付け替えるなど不適切な管理をした▽所属長が残業を把握していながら適切な申請を促さずサービス残業が発生した▽残業の申請は、事前申請を原則としていることから、所属長が事後申請を認めずサービス残業が発生した▽残業時間の削減について所属長が特定職員に実現可能な手段を明示せず、残業時間の削減のみを指示したためサービス残業が発生したーなどがあったとした。 原因や背景については「特定個人によって起こったというより、全庁的に慣習に従って行われた部分も多い」などとした。 その上で、残業代未払いは全庁的な規模の問題だとし、組織全体としてこれまでの慣習を払拭し、再発防止に向け、①誤った認識を払拭するための全庁的な制度の周知②管理職による残業の事前命令と事後確認の徹底③必要に応じた予算措置などのほか、必要に応じた適正な職員数の配置、職員の能力向上のための研修、相談体制づくり、生産性を意識した評価制度の検討などに取り組むとしている。 一方、所属長の処分については、全庁的な慣習のほか、必要性が低いのに職員が残業した事例もあったなどとして、「所属長に一律に責任を課すことには疑義が生じ、処分は慎重さが求められる」などとしている。 全庁調査は、社会福祉課で残業代未払いがあったことを受けて実施された。五十嵐市長の処分については、すでに同課で未払いが発覚した際に処分を実施したなどから、追加の処分は実施しないとしている。 「全て明らかになったと思わない」 一方、最初に告発した当時社会福祉課の男性職員(41)=現在は別部署に異動=は「今回の公表で全てが明らかになったとは到底思っていない。私たち職員が置かれていたのは、必要な残業を適正に申請するのか、それとも職場の空気に従って黙るのかを迫られる、まさに『踏み絵』のような状況だった。しかも、定期監査結果や、職員間で直接聞き取ってきたサービス残業の実態と比べても、今回公表された結果とは大きなズレがある。まだまだ拾われていない被害があると思う」とし「社会福祉課についても、声を上げられた人、申告や請求にたどり着けた人は全体の一部。申請できなかった人、職場の空気にのまれて諦めた人、声を上げれば不利益を受けるのではないかと黙った人がいた」とし「一番懸念しているのは、声を上げた人(公益通報者)が守られず、私の二の舞になってしまうこと。問題の本質は、個人・現場の問題ではなく、市役所全体の組織風土にある。自主的な幕引きではなく、第三者を入れた検証と、声を上げた職員が不利益を受けない仕組み作りが必要」だとしている。(鈴木宏子)