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《平熱日記》64 コロナと自治会

【コラム・斉藤裕之】この新興住宅地に越してきたある日のこと。自治会の班長なるもののお役目が回ってきた。月に1度開かれる会議は、正直気が重かった。読めばわかる配布物の説明やなんやらで、午前中の2時間が潰れる。だが、新参者の私としては黙って聞いているしかない。

元々は、となり組のようなものから発生したらしい自治会。当時は意味があったのだろうが、今や東京都の自治会加入率は5割。武蔵野市は自治会のない街として公言までしているらしい。人によっては、災害時などには重要な役割を果たすというが、そんな時は誰だって助け合うものだ。

自治会は本当に必要なのか。例えば、必要な情報はネット検索可能だし、自治体も積極的に情報を流している。そろそろ2回目の班長が回ってきそうだ。ろくに読みもしない回覧板を回すたびに、自治会の意味を考えてしまう。

ところで、人里離れた山中の家を訪ねる番組が人気という。さぞかし不便で寂しいのだろうと思いきや、案外気楽で楽しそうな暮らしぶりに、人は人生の原点を見るのかもしれない。例えば、多くの場合、ポツンと離れた家の方を麓の村人はご存じである。

翻(ひるがえ)って我が家はどうだろう。両隣の方のお名前ぐらいは存じているが、一本裏の通りにどんな方がお住まいなのか全く知らない。果たして、どちらがポツンとしているのか。

「そういえば、町会費集めに来ないね」

ちょうどこの原稿を書いている最中、たまたま今日のポツンの放送は、なんと故郷の海辺の一軒家。馴染みの風景や言葉が懐かしい。番組ではご家族が楽しそうに釣りをしている。昨年の春、弟の船に乗ってまさにこの海でカミさんと釣りをした海だ。

新型コロナで生活は変わるのか? 仕事や家族、社会、教育、生き方…。自粛中に家の中の断捨離(だんしゃり)をした人は多いと聞くが、世の中の仕組みもこの際変えていくいい機会かもしれない。例えばリモートワークが可能ならば、こんな海辺の近くに住むことも不可能ではないし、地方に首都機能を分散させることもいいのではないか。

そんなことを考えていると、余計に自治会なるものが不要のものに思えてきた。そもそも入脱会は任意なのだ。このたまに遭遇する「任意」という半ば強制。そうだ、「長いものには巻かれろ」的な時代とはオサラバだ。ということで、思い切って班長宅に赴き、脱会の旨を伝えた。やーれ、せいせいした。

「そういえば、町会費集めに来ないね」とある日のカミさん。実はかくかくしかじかで、自治会を脱会したことを打ち明けた。するとカミさん、「今すぐ取り消してきて!」と切れ気味。公僕のはしくれであるカミさんの立場としては、自治会は触れてはいけない琴線であった。

結局、渋々班長さんに再入会の申し入れをした不甲斐ない私なのであった。少しイギリスの苦悩が分かった? シンクグローバル、アクトローカル! いや、もっとパーソナルでいいんじゃない!(画家)

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