火曜日, 3月 3, 2026
ホームコラム《県南の食生活》11 ぼたもち、ボタメシ

《県南の食生活》11 ぼたもち、ボタメシ

【コラム・古家晴美】先週末、スーパーのレジ近くに沢山のおはぎが並んでいましたが、お買いになりましたか? 2020年春の彼岸は、中日(なかび)の3月20日(春分の日)をはさんで前後3日ずつ、17~23日でした。

現在、店頭で販売されているものは、その多くが「おはぎ」とラベル付けされていますが、『茨城方言民俗語辞典』を見ますと、県南地方ではオハギは見当たらず、ボタモジ(現桜川市、取手市)やボタメシ(つくば市、土浦市、取手市)などが「おはぎ」として紹介されています。

また、この季節になると、春彼岸に食べるのが「ぼたもち」で、秋彼岸に食べるのが「おはぎ」と解説する記事や番組も目立ちますね。確かに、季節的違いにより使い分ける地域もあるのですが、全国的に言えるものではなく、片方の呼称しか使わない地域もあります。

また、小豆餡(あずきあん)の「ぼたもち」と黄な粉やゴマをまぶした「おはぎ」(大正末期の水戸周辺、静岡県引佐群など)、もち米をつぶして握った「ぼたもち」と、つぶさず握った「おはぎ」(新潟県古志郡)など、材料や調理法で使い分ける例も報告されています。

阿見町大室では現在でも、お彼岸になると「ぼたもち」を作るお宅があります。炊飯器で炊いたもち米を皿によそい、その上に自宅で煮たつぶし餡を載せます。この地域では、「ぼたもち」は丸めずにこのような形で食べることが多いようです。地元では「おはぎ」と言う呼び名はあまり使いません。

60年前までは「漉し餡」

ダンゴツキの回(2019年9月25日掲載)でもご紹介したように、現在はつぶし餡が広く流通していますが、こちらでは、60年ほど前までは農家で自家用に作る場合でも、ほとんどが漉(こ)し餡だったそうです。作った経験のある方はよくご存じだと思いますが、漉し餡はつぶし餡と比べると数倍の手間と時間がかかります。

茹(ゆ)でた小豆をつぶして数回裏ごしし、何度か水に晒(さら)して布に包んで絞るという、根気のいる作業です。これは時間にゆとりがあるお年寄りたちの1日がかりの仕事でした。

ぼたもちは、お彼岸以外にもミツメノボタモチと言って、産後3日目の産婦に食べさせ出産祝いに配ったり、死後35日の法事に作って、死者が剣の山を登る時に足を滑らせないようにと、草鞋(わらじ)でぼたもちを挟んで墓に供え、参列者に振る舞ったりしました。

同様の例は、かすみがうら市、行方市、つくば市でも行われていました。このほかに、田植えを始めるウエソメや田植えが終わったサナブリ、稲の収穫が終わったカリアゲ、麦播きをすませたマキアゲの際にも、ぼたもちを作って食べる習慣がありました。お餅を搗(つ)くほどではないけれど、祝いたいような機会に作られてしていたようですね。(筑波学院大学教授)

➡古家晴美さんの過去のコラムはこちら

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

「うつろ舟」享和3年 常陸国に漂着《ふるほんや見聞記》14

【コラム・岡田富朗】皇居向かいに位置する国立公文書館では2月28日から3月13日までの期間、所蔵されている『弘賢随筆』(ひろかたずいひつ)の原本から、「うつろ舟」が描かれている箇所(上の写真)が展示されています。「うつろ舟」の形は現代の人が見ると空飛ぶ円盤のようにも見えますが、江戸時代後期の1803(享和3)年2月22日、常陸国に漂着したとされる舟です。 漂着したのは、現在の茨城県神栖市波崎舎利浜(しゃりはま)ではないかと言われています。『弘賢随筆』は、幕臣で蔵書家としても知られる屋代弘賢(やしろひろかた、1758~1841)の手もとにあった雑稿を取りまとめ、不思議な出来事や変わった噂(うわさ)などが数多く収録されています。 55年前設置された国立公文書館 国立公文書館は、「公文書等の保存、閲覧・展示などへの利用、公文書の調査研究を行う機関」として、1971(昭和46)年7月に設置されました。今日では、公文書館は図書館・博物館とともに、文化施設を支える三本の柱の一つとなっています。 館内入口の展示スペースでは、常設展示に加え、1~2カ月ごとにテーマを変えた企画展や特別展が実施されています。常設展示では複製資料を展示していますが、期間限定で貴重な資料の原本が並ぶこともあります。 国立公文書館の設置に際し、その重要な一部門となった内閣文庫は、1873(明治6)年に太政官に置かれた図書掛に始まり、1885(同18)年の内閣制度創始と同時に内閣文庫となりました。以来、和漢の古典籍・古文書を所蔵する我が国屈指の専門図書館として、内外の研究者に親しまれてきました。 所蔵品のうち、日本の資料で最も古いものとしては、東大寺文書に含まれる908(延喜8)年の文書があるそうです。 1998(平成10)年7月には、筑波研究学園都市内に、つくば分館を設置し、書庫などの拡充を行いました。現在、175万冊が所蔵されており、うち50万冊が内閣文庫、125万冊が行政機関などから移管された公文書です。 3~5月に昭和100年記念特別展 データ化が進んでいるものの、毎年行政機関から4~5万冊の公文書を受け入れており、永久保存していく資料であるため、蔵書は増加の一途をたどっているそうです。そのため、既存施設の書庫が近年中に満架となる見込みであることを踏まえ、2029(令和11)年度末には、新館の開館を予定しています。新たな国立公文書館は、新たな憲政記念館と合築で整備され、展示スペースも広くなるそうです。 「公文書は保存するだけではなく、利用していただくことにも意味があるので、より多くの方に公文書館を訪れていただきたい」と、総務課広報の新井さんは話してくれました。「うつろ舟」展示終了後、3月20日~5月24日までは、昭和100年記念特別展「昭和の日本人とフロンティア―南極・深海・宇宙への挑戦―」が開催されます。(ブックセンター・キャンパス店主)

創立40周年祝う つくば学園ロータリークラブ

市内で記念式典 社会奉仕団体、つくば学園ロータリークラブ(RC)の創立40周年記念式典が1日夕、つくば市内のホテル日航つくばで開かれた。同RC会員のほか、招待された県内RC代表も参加し、200人を超える大式典になった。つくば市内には、つくば学園RC、つくばシティRC、つくばサンライズRCの3クラブがあるが、会員数は学園RCが最も多い。 会員数3.5倍に 学園RCを代表して高田稔美会長(高田工務店社長)があいさつ。「このクラブは1986年7月、土浦RCのスポンサークラブとして、30人の会員で設立された。1985年に開かれた科学万博が成功のうちに終わり、地域が活気に満ちていた時代だった。当時、私は中学生だったが、地域発展の未来に期待していた。それから40年。つくば市は大発展し、私たちも地域の発展に寄与してきた」と述べた。 また、創立40周年記念式典の浦里浩司実行委員長(浦里酒造店会長)は「会長あいさつにもあったように、スタート時の会員は30人だったが、今では100人を超え、106人の規模になった。スポンサーの土浦RCはじめ、多くのロータリー会員のご指導にお礼申し上げる」と、会員の大幅増を強調した。 学園RC会員によると、茨城県内のRCで最も会員数が多いのは水戸RCで、学園RCは2番目という。土浦市内にも、土浦RC、土浦南RC、土浦中央RCの3クラブがあるが、学園RCのスポンサー(親クラブ)だった土浦RCの会員数は減少傾向にある。 3人のガバナーを輩出 高田会長、浦里実行委員長のあいさつのあと、瀬戸隆海ガバナー(県内全RCの代表、龍ケ崎RC会長)、県知事代理の久保三千雄県営業戦略部長、五十嵐立青つくば市長が来賓としての祝辞を述べた。 この中で、瀬戸ガバナーは「40年前というと、NTT民営化、科学万博、男女雇用機会均等法成立など、時代の大きな変化が始まろうとしている時期だった。学園RCは、たくさんの奉仕活動に取り組んでおり、RC活動に大きなインパクトを与えている。これらが未来に残るよう、今後の活躍を祈念している」と、活発な活動を続けるよう求めた。 学園RCもこれまで、筑波山江戸屋の吉岡昭文社長(当時)、つくば企画の野堀喜作社長(当時)、東光拓商事の大野治夫社長(当時)の3人のガバナーを輩出している。いずれも地元有力会社の経営者だ。 記念式典の途中、40年のクラブ活動の写真をAIで編集したスライドが壁面に映し出され、出席者はRC活動のいろいろなシーンに見入っていた。1時間半の式典のあと、会場は祝賀の宴に入り、夜遅くまで懇親を深めた。(坂本栄)

サンガイア、千葉に連勝 プレーオフ進出の可能性残す

バレーボールVリーグ男子のつくばユナイテッドSunGAIA(略称サンガイア、本拠地つくば市)は2月28日と3月1日、つくば市竹園のつくばカピオアリーナで千葉ドット(旧千葉ZELVA、本拠地千葉県千葉市)と2連戦し、共にセットカウント3-0で連勝した。これでサンガイアは通算成績16勝8敗で東地区5位。レギュラーシーズンは残り4試合で、他チームの結果次第では各地区2位以上によるプレーオフ進出の可能性も残す。 2025-26 Vリーグ男子(東地区)レギュラーシーズン(3月1日、つくばカピオアリーナ)サンガイア 3-0 千葉ドット25-2325-1522-17 つくばでのホーム最終戦となった1日、第1セットは拮抗(きっこう)した展開で、ブロックの隙を突く千葉の精密な攻撃に苦しんだサンガイアだったが、終盤に僅差(きんさ)をつけてセットを先取。第2セットは中盤以降一気に差をつけてセット連取、第3セットも勢いに乗ってものにした。 「昨日とはメンバーが替わった中で、チームとしてやるべきことを確認し、苦しい場面でも逆転されず我慢することができた」と、アウトサイドヒッターの川村駿介。同じくアウトサイドヒッターの畑中大樹は「アウェーでの4連敗から、自分たちの課題を見つめ直し、みんなで戦って手にした連勝」と話し、自分の攻撃については「序盤は緊張もあって肩に力が入ってしまったが、後半は気持ちを切り替えてチャレンジャーとして挑むことができた」と振り返った。 この日は川村、畑中の2人に加え、ミドルブロッカーには榮温輝、リベロには松浦友喜と、前日から先発4人を入れ替えて臨んだ。「昨日はミドルブロッカーの決定率が良く、今日もそこに相手がついてくると思ったので、バックアタックを積極的に使うなど、幅のあるいい攻撃ができた」とセッターの浅野翼。 川村はスピードとパワー、畑中は高さとパワーという持ち味をそれぞれ攻撃に発揮。榮と梅本鈴太郎が速攻などで揺さぶりをかけ、エースの長谷川直哉が要所を締める。それら全てのタクトを振るうのが浅野翼のトスワークだ。「縦にも横にも、相手に的を絞らせず、しっかりと立体的に攻撃を展開したことが勝利につながった」と浅野は胸を張る。 「昨季と違ってすごく選手層が厚くなっており、誰が出ても力を落とさずに、違ったスタイルのバレーができる。どのチームも対策を立てて試合に臨んでくる中で、できるだけ違うパターンでメンバー編成し、昨日と今日とで全く違うバレーを意識的にしている」と加藤俊介監督。 今季Vリーグは残り2節4試合。東地区は現在、首位から5位までが勝ち星4差の中にひしめく大混戦だ。サンガイアは、来週はホームの牛久運動公園体育館で長野GaRonsとの2連戦、再来週はアウェーの北ガスアリーナ札幌46で北海道イエロースターズとの2連戦に挑む。 「相手がどうこうではなく、自分たちが目指すバレーができれば結果は必ずついてくる。残り2週間で選手と共に今の課題を詰めきり、4試合を全部取ってわれわれが目指してきた今季の集大成を締めくくりたい」と加藤監督は意気込む。(池田充雄)

常陸牛のおいしさ発信拠点に つくば駅前に専門料理店「常陸牛 山水」

3月5日「常陸牛の日」にプレゼント企画 【PR】3月5日は「常陸牛の日」―。常陸牛のおいしさを発信する拠点として、つくば駅前のホテル日航つくば(つくば市吾妻)2階にこのほど、常陸牛専門の料理店「常陸牛 山水」がオープンした。オープン後、初の企画として「常陸牛の日」の5日、3000円以上の料理を注文したお客様に、常陸牛ロースト寿司一貫をプレゼントする。 松阪牛、神戸牛など全国各地のブランド牛の産地には、ブランド牛に特化した専門料理店が数多くある。一方、常陸牛に特化した専門料理店は県内にほとんどないという。 同店では、常陸牛の中でも厳選した牛肉を使い、ステーキ、しゃぶしゃぶ、すき焼き、会席料理などを提供する。厳選した常陸牛は、きめ細かく、とろけるようにやわらかで、濃厚な味わいと甘い脂が特徴の逸品だという。 2018年に同ホテルにオープンした「つくば山水亭 別亭」をリニューアルし、今年1月9日「常陸牛 山水」としてオープンした。つくば市小野崎の日本料理店「つくば山水亭」を運営するサンスイグループが引き続き手掛ける。 山水亭別亭は当初、魚中心の日本料理を提供していた。ステーキ、しゃぶしゃぶ、すき焼きの中から選べる常陸牛のメニューを提供したところ大変好評だったこと、つくば駅から徒歩2分のつくば市中心部に立地する料理店であることなどから、茨城県のブランド牛のおいしさを発信する拠点としてリニューアルした。 昼の部は2200円から、夜の部は2900円から1万5000円の会席コースなどを提供する。ステーキ、すき焼き、しゃぶしゃぶの中からメーン料理を選ぶことができ、いずれも常陸牛の澄まし汁、包み焼、大トロあぶり寿司、シチューなどを味わえる常陸牛づくし会席コース(12000円)などが人気だという。価格はいずれも消費税込。 常陸牛の日にプレゼントするロースト寿司についてサンスイグループレストラン事業部の小林剛本部長は「常陸牛はお寿司としてもおいしいのでぜひ味わっていただければ」と話している。 常陸牛は、指定生産者が月齢27カ月以上飼育した黒毛和牛のうち、肉の締まり、きめ、霜降りの度合い、光沢、脂肪の質などの肉質等級が4以上、かつ赤肉がどのくらい得られるかの歩留等級がB以上の、茨城県常陸牛振興協会が認定した高品質の牛肉。3月5日は1977年に同協会が設立されたことにちなんで「常陸牛の日」に認定された。 ◆「常陸牛 山水」の営業時間は午前11時30分~午後2時と午後5時30分~9時。座席数は60席。問い合わせは電話029-855-3313(同店)へ。