【伊藤悦子】新型コロナウイルスの影響でマスクが不足しているなか、取手市在住のフリーアナウンサー、小村悦子さん(39)は日本手拭い地からマスクを手作りして、周囲に配っている。制作のきっかけや思いをインタビューした。
喉が潤うフィット感
小村さんはラヂオつくばのMCをはじめ、ナレーターや地域イベントの司会などで活躍中だ。2016年、17年には、つくば観光コンベンション協会のつくば観光大使を務めた。2008年からは、着物地ギターストラップ制作工房『福悦~フクエツ~』で着物地をリメイク、ギターストラップや髪飾りなどを制作する作家としても活動している。
その手作りの原点は「世の中にないものを作る」こと。音楽活動をする夫が使うギターストラップも、髪飾りのシュシュも市販には好みのものがなかった。そこで好きな着物地を使って、制作を始めた。ギターストラップは日本テレビ系列「ぶらり途中下車の旅」でも取材され、人気も高い。
マスク作りを始めたのは、PM2.5(微小粒子状物質)が注目され始めた2013年。アナウンサーという仕事柄、PM2.5や乾燥から喉を守るためにもマスクは必需品だ。しかし市販の不織布マスクは顏にフィットせず、乾燥を防ぐことができなかった。
新婚旅行でベトナムを訪れた際に見た、現地の人が着けていた布マスクを思い出した。そこで日本手拭いでマスクを立体的に作ったところ、フィットして喉が潤うようになったという。購入した人からの評判も良かったが、あくまで個人の感想、医療用途に効果・効能を謳う商品ではない。手がかかるため、その後しばらくは制作を中断していた。
しかし新型コロナの感染拡大により、マスクが不足し始めた。取手の友人たちから「悦ちゃんのマスクの出番が来た」「今こそマスクを作るとき」と連絡が来たそうだ。手作りマスクのことを覚えてくれていた友人がたくさんいたことがうれしかったという。
「卒業式や入学式など楽しみにしていたことが次々と中止になっている今、もしかしたら誰かの役に立てるのかもしれない」と、買い置きの日本手拭いでマスク作りに再び取り掛かった。手がかかる箇所を改善し、ストレスを感じないで早く作れる方法を見つけた。
マスクを作るきっかけには、新型コロナに負けたくないという気持ちもあった。トイレットペーパーや納豆がなくなる様子を見て、「そんなに翻弄されなくてもいいじゃないかと思った」という。
便乗でやっていると誤解されるのではと夫が心配したため、友人限定で手作りマスクをFacebookにアップした。するとたくさんの友人たちから反応があり、注文が来たという。そのときマスクがなくて本当にみんな困っていたのだと実感したそうだ。
「友達がマスクを作って、と言ってくれなければ作らなかったと思う。今なら売れる、というのではなく気に入って使ってもらえたらいいなという気持ち。一度にたくさん作れるものではないので作れる範囲にはなるが、どこかお店に置いてくれるところがあればうれしい」と笑顔で語った。
マスクの表地は日本手拭い、口にあたる部分はダブルガーゼになっている。サイズと価格は大750円、中700円、小650円。小村さん個人から購入する場合は、送料120円が必要。
◆マスクの購入先
・取手駅西口直結リボンとりで 5階スタジオ505(平日10:00〜17:30)問い合わせは電話080-2336-5244
・着物地ギターストラップ制作工房「福悦〜フクエツ〜」のFacebook
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