【相澤冬樹】認定NPO法人宍塚の自然と歴史の会(及川ひろみ代表)の発足30年を記念する映画会が29日、県霞ケ浦環境科学センター(土浦市沖宿町)で開かれた。会員はじめ、同会の活動を特徴付ける親子連れら約200人が集まり、同会の活動とも共振する循環型農業の取り組みを描いた映画『武蔵野』(2018年、原村政樹監督作品)を鑑賞した。
生物多様性日本アワードで優秀賞
同会は1989年9月4日に発足したNPO法人で、つくば市に近い土浦市の宍塚大池を中心とした100ヘクタールほどの里山エリアで様々な活動を行っている。及川代表は会の設立から関わっており、NEWSつくばに執筆のコラム「宍塚の里山」は27日付けで46回を数えている。
同コラムで告知したのが今回の映画会で、会では「30周年記念式典などやらない」と決めているそう。映画会以外の記念行事は予定していなかったが、開催直前になって1つの朗報がもたらされた。イオン環境財団による第6回生物多様性日本アワード(国内賞)で、同会は優秀賞4団体の1つに選ばれた。及川さんは26日、国際連合大学で開催の授賞式に出席したことを報告した。
及川さんは、同会の取り組みが地域の農家1軒1軒を訪ね、里山の暮らしを聞き書きする調査活動から始まったと回顧する。今日1900種を超える動植物が確認される大池周辺の多様な生態系に触れるためには、まず地元の人たちとの交流がベースになければならなかったという。調査には専門家が加わり、より深く正確に知ることで、保全に生かす活動になった。
保全はさらに教育のステージに進み、今や会員は400人を超える。この1年で約40人が入会しており、20代、30代の若い人たちが数多く加わった。田んぼの学校はじめ各種の観察会など、親子で参加できるイベントが年に80回以上組まれ、同会の活動を特徴付けている。

宍塚大池周辺は環境省の「重要な里地里山」コアサイトに選定され、長期間(100年)のモニタリング調査を実施中。この宍塚の里山を100年先にまでつなげていこうというのが、同会のスローガンになっている。その先行例に位置づけられる埼玉県南西部、武蔵野地域の取り組みを学ぼうと、この日の映画会となった。同映画のプロデューサー鈴木敏夫氏を迎え講演会と意見交換が行われた。
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